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<   2019年 07月 ( 9 )   > この月の画像一覧

この夏最後のTOHOシネマズフリーパスポートを使うかもしれず、その場合は「ペット2」も観る事になりそうなので、地上波で放送された「ペット」を見る。
個人的にはイルミネーションの制作するアニメはあまり評価していないのだが、その中ではまだマシな方だった。

ケイティに飼われている室内犬のマックスは、毎日おとなしくケイティの帰りを待つのが日課だった。
それに引き替え、同じマンションや近隣のマンションの室内で暮らすペットたちは、飼い主が留守にしている間に好き勝手放題をしている。

ある日ケイティが、大型犬のデュークを保健所から引き取って帰ってきた。
デュークは部屋に来るとすぐに、体格差を利用してマックスから寝床やエサを奪いだした。
しかしマックスを知恵を使い、ケイティの留守中に部屋を荒らせば、犯人は新入りのデュークと思われるはずだと、デュークを脅していう事を聞かせることに成功する。
だがデュークは、ペットシッターに連れられて他のペットたちと一緒に散歩に出た時に、マックスを罠にかけて、路地裏に置き去りにしようと考えた。
しかし路地裏に巣くっていた野良猫軍団とトラブルになり、マックス、デュークとも首輪と鑑札を焼かれてしまう。
その結果2匹は、動物管理局の職員に捕獲されてしまった。
2匹が保健所に連行される最中、乗っていたバンを襲う一団が現れた。
ウサギのスノーボール率いる「元ペット団」だ。
スノーボールたちは人間に捨てられたことを恨み、復讐を考えていた。
スノーボールは一緒にバンに乗っていた仲間の犬を救い出すが、2匹は自分たちも檻から出してくれと頼む。
スノーボールに相手にされない2匹が、自分たちは飼い主を殺したとウソをつくと、スノーボールは2匹を仲間にしてアジトに連れて帰った。
だがアジトには、路地裏でもめた野良猫たちもいて、2匹がペットであることがバレてしまう。
さらに2匹がスノーボールの追及を逃れようとしているとき、元ペット団の大蛇が崩れてきたがれきの下敷きになり死んでしまう。
2匹は元ペット団から追われることになった。

一方、マックスたちの隣のマンションに住み、マックスを慕っていたポメラニアンのギジェットは、一緒に戻れなかったマックスを捜しに行こうと他のペット仲間に声を掛ける。
しかし仲間はなかなか賛同してくれない。
ギジェットは仕方なく、マンションの屋上で飼われていたタカのタイベリアスに捜索を依頼、マックスとデュークが元ペット団のアジトに行ったことを突き止める。
そしてペット仲間の長老を頼って、元ペット団のアジトにマックスたちを捜しに行くのだった。

冒頭にも書いたが、ディズニー&ピクサー系の作品と比較すると、イルミネーションは中途半端な作品が多い。
自分が観た中では、大泥棒グルーシリーズの3作品以外は、かなりレベルが低かった。
中でも「SING/シング」は酷かった。
どの作品にも共通して言えるのだが、必要以上にキャラが多過ぎて、その結果どのキャラもストーリーとのかかわりが希薄になってしまう。
細切れのエピソードが連なり、エピソード間のつながりも希薄なので、全体を通しての主題がよくわからなくなってしまう。

この作品であれば、マックスとデュークの出会いの争いのエピソードは不要だっただろう。
さらに野良猫たちのエピソードも不要だ。
デュークはケイティにもらわれてきたものの、以前の飼い主の事が忘れられずにマックスの制止を振り切り部屋を出てしまい、見捨てられないマックスがデュークと同行する、と言う設定の方が、わかりやすくてストーリー展開にも深みが出たはずだ。
またその設定だけで、今作品に用意されたエピソードを十分消化できたはずである。
にもかかわらず、意味のないエピソードを詰め込みすぎたため、本来一番重要なエピソードになるはずのデュークと以前の飼い主のエピソードが薄っぺらくなってしまった。

飼い主が留守の時ペットたちは何をしているか、と言うテーマについても、マックスとデュークを追う主要キャラ以外は冒頭とラストシーンしか登場していないし、逆にタカのタイベリアスについては主要キャラなのにこのエピソードには加われていない。
とてもプロが考えた設定、脚本とは思えない仕上がりだ。

それでも「ミニオンズ」「SING/シング」「グリンチ」あたりに比べればまだマシな方だったか。
もしフリーパスポートで観る事になっても、「ペット2」にはあまり期待しない方がよさそうだ。


83.ペット


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実写版の宣伝として地上波で放送された、アニメ版「ライオン・キング」を録画して見る。

プライド・ランドを統べるライオンの王ムファサに、シンバと言う息子が生まれた。
ムファサはシンバをかわいがるが、ムファサの実弟スカーはシンバの誕生を面白く思っていなかった。
ムサファは弟を一族の一員として期待していたが、小さい頃から何をやってもムサファに勝てないスカーはムサファを疎ましく思っていたのだ。
そしてある日、シンバをだましてハイエナたちが巣くう像の墓場に行くように仕向けてしまう。
純粋で冒険好きのシンバはスカーの言う通り、幼馴染のナラを連れて像の墓場に行き、ハイエナたちの襲撃を受けるのだが、間一髪で助けに現れたムファサに救われる。

スカーはハイエナたちとつながっており、さらにムファサとシンバを抹殺する計画を立てる。
そしてヌーの群れの暴走を利用して、ムファサを亡き者にしてしまった。
さらにシンバもそのままプライド・ランドを離れる。
スカーはまんまとプライド・ランドを支配することになった。

制作されたのは1994年でちょうど25年前、まだウォルト・ディズニー・ピクチャーズが単独で制作していた頃の作品だ。
色彩こそアフリカっぽく彩色されているが、スタティックな2Dが今では逆に新鮮に見えるほどベタな絵柄である。
ちなみに、ピクサーと組んだ最初の作品「トイ・ストーリー」はその翌年1995年に公開している。
先日その「トイ・ストーリー」の「4」を観たが、25年間でアニメも目を見張るほど進化した。
年を取るのも仕方がないと、妙な部分で感慨深く感じてしまった。


82.ライオン・キング(アニメ版)


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同名のエッセイが原作だ。
元々はブログに掲載していた弁当の日記をまとめたエッセイなのだが、それだけで1本の映画になるのかと思ったら、まずまず手堅くまとめられていた。

八丈島に住む持丸かおり(篠原涼子)は早くに夫を亡くし、いくつもの仕事を掛け持ち、さらに内職までして二人の娘を育てていた。
長女の若葉(松井玲奈)は高校を卒業した後近所で一人暮らしをしていたが、母と一緒にお土産物製造の会社に勤務していた。
次女の双葉(芳根京子)は中学を卒業して高校に入学しようとしていたが、母親に反抗する態度ばかりを取り、まともに会話もせず連絡はLINEという状態だった。
双葉の反抗期にどういう対応をしたらよいか迷ったかおりだが、双葉の態度に対抗するために、得意の料理の腕を生かして双葉が嫌がるキャラクター弁当を作ることにする。
そしてかおりは、いつもキャラ弁が上手にできるので、それをブログにアップすることにした。

都内に住むシングルファザーの岡野信介(佐藤隆太)は、ある日息子の健太郎(鳥越壮真)から、友達のお弁当はきれいで楽しそうだと言われる。
困った信介はカラフルな弁当を作ろうとするが、なかなか巧く行かない。
その時偶然かおりのブログを見つけ、弁当作りの参考にし始めた。
信介は上手に作るコツをかおりに質問することで、二人は交流を持つことになる。

進路や恋愛に悩む双葉を、かおりは一生懸命にキャラ弁で励ますのだが、かおりの気持ちがストレートに伝わらず、二人の仲はこじれることもよくあった。
また信介が作る弁当も、健太郎には気持ちが伝わっていなかった。

率直な感想は、キャラ弁の話だけでよく108分の映画にまとめたものだ、である。
正直、観る前はかなり内容の薄い映画ではないかと思っていたが、きっちりストーリーとして出来上がっていた。
もちろん、主題はキャラ弁なので、想像以上の展開ではない。
しかし、篠原涼子と芳根京子のキャラを巧く生かし、無理なく自然にエピソードを膨らませて映画に仕上げていた。

ただ、佐藤隆太のシングルファザーのエピソードはやや強引かな、とも思った。
ネタバレになるので詳しくは書かないが、あっさり弁当作りが巧くなってしまうという展開ではなく、最後まで弁当作りに苦心する、と言う設定の方が感動的で面白かったのではないかと思う。
また、いくらなんでもかおりがなんでもでき過ぎで、実際に家事を行っている人間から観たらちょっと引いてしまうかもしれない。
普通に考えたらいくら若くても、あの仕事量ならどこかで体を壊しているだろう。

映画じゃなくてSPのTVドラマっぽくも見えるが、親子の交流と意味ではそこそこの作品だと思う。


81.今日も嫌がらせ弁当


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「トイ・ストーリー」シリーズ、9年ぶりの新作である。
ウッディの「あばよ、相棒」の一言で、このシリーズも完結したかと思ったが、新展開で新作が作られた。
個人的にはディズニーの中でも一番好きなシリーズなので期待して観に行ったが、感想は「なんと!そう来たか!」であった。

9年前、アンディの妹モリーの部屋にあった、ランプと羊飼い人形のボー・ピープ、そしてボーの羊たちは、他の子供にもらわれて行きそうになる。
ボーと恋仲関係にあったウッディはボーたちを助け出そうとするが、これがおもちゃの運命と言って、ボーたちはそのままもらわれて行ってしまった。
そして月日がたち、ウッディたちもアンディからボニーへと持ち主が移っていた。
まだ幼いボニーはおもちゃたちをかわいがるのだが、女の子という事もありウッディはあまり遊んでもらえていない。
それでもウッディは腐らずに、元からボニーの持ち物だったぬいぐるみのドーリーとともに、ボニーのおもちゃとしての役割を果たそうとしていた。

ある日ボニーが幼稚園に通うことになった。
ボニーがお試し保育に行くのも渋っているのを見て心配になったウッディは、仲間の制止を振り切りこっそりボニーのリュックに忍び込んで幼稚園に同行してしまう。
ボニーは幼稚園に到着しても、ウッディの予想通り友達ができず、工作にも手を付けられずにいた。
そこでウッディはボニーが工作ができるように、ゴミ箱からクレヨンやゴミを拾って手助けをする。
するとボニーは、先割れスプーンなどを使ってフォーキーというおもちゃを作った。
ボニーはフォーキーをとても気に入るのだが、フォーキー本人は突然おもちゃとして命が与えられ、とまどうばかりだ。
自分はおもちゃではなく食事をするための道具で、使われた後は捨てられるゴミだと言って、おもちゃである事を認めようとしない。

週末、ボニーの家族はキャンプ場に遊びに行くことになり、おもちゃたちも同行することになった。
しかしどれだけウッディが説得しても、自分がおもちゃである事を認めたくないフォーキーは、真夜中に走行するキャンピングカーの窓から逃げ出してしまう。
慌ててフォーキーを追うウッディ。
フォーキーを見つけ、キャンプ場に向かう道すがら、ウッディはおもちゃが持ち主を楽しませるだけじゃなく勇気づける存在である事を、自分の体験談を交えて話す。
夜明け近く、キャンプ場に到着するころ、フォーキーはやっと自分がおもちゃである事を理解した。

ウッディとフォーキーがキャンプ場でボニーたちのキャンピングカーを探しているとき、ウッディはキャンプ場のタウンエリアにあるアンティークショップの前で脚を止める。
その店のショーウィンドウにあったのは、ボー・ピープとセットだったランプだった。
早くボニーのところに行こうと言うフォーキーを連れ、ウッディは早朝の店の中に入って行く。
ウッディは店の中でボーを探すのだが、現れたのはボーではなく、アンティークの大型人形ギャビー・ギャビーと腹話術人形の4体のベンソンだった。
ギャビー・ギャビーはボーのところへ案内してくれると言うが、どうも様子がおかしくウッディは用心していた。
ギャビー・ギャビーは、自分もウッディと同じ発声装置があるのだが、壊れていてうまく発声できない、自分が子供に相手にされないのはそのせいだ、と言い出す。
そしてウッディに、発声装置を交換して欲しい、言い出した。
ウッディは当然拒否をしてフォーキーとともに逃げ出そうとするが、ちょうど入店してきた店のオーナーの孫娘ハーモニーに見つけられてしまい、そのまま店の外に連れ出されてしまった。
ウッディは隙を見てハーモニーのもとから逃げ出し、フォーキーを助けに行こうとする。
そこで偶然出会ったのは、ボー・ピープだった。
ウッディは事の顛末を話し、ボーに一緒にフォーキーを救出に行って欲しいと頼む。
ギャビー・ギャビーの本性を知っているボーは最初は渋るのだが、ウッディに説得され一緒にフォーキーの救出に向かう。

予告編を見た限りでは、キーとなるキャラクターはフォーキーだと思っていた。
実際物語の1/3くらいは、ストーリーの軸はフォーキーなのだが、この物語の本当のキーパーソンはボーだ。
まだ公開してから間もないし、これ以上ネタバレするのは良くないと思うが、モリーの手から離れたボーはすぐにアンティークショップに売りに出され、その店を自力で抜け出していた。
そしてウッディが驚くほどの行動力を身に着けていた。

ウッディはシリーズを通して、常におもちゃたちに対してリーダーシップを発揮する。
おもちゃは持ち主ために存在する、と言う信念を決して崩さず、いつでも仲間たちを「諦めるんじゃない」と鼓舞し続けた。
それがこのシリーズの面白さである。
だがこの間苦労したボーは、やや青臭いウッディより、考え方も行動力も数段大人だった。
後先考えずに先走るウッディを戒め、ウッディも反論ができなかったりする。
そしてボーの協力でフォーキー救出作戦を実行するうちに、ウッディはどんどんボーに感化されていく。

この映画のキャッチコピーは『あなたはまだ-本当の「トイ・ストーリー」を知らない。』だが、「知らない」と言うよりも「想像しなかった」ラストを迎える。
正直、かなり意外な結末だった。
だが意外な結末ではあるものの、このまま終了しても、あるいはこの作品をリブートとして新しい展開があっても、どちらも違和感はない。
もちろん、リブートとして新しいシリーズ展開することを期待する。


80.トイ・ストーリー4


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今回のギンレイは、ギンレイらしい2本だった。

まず「家へ帰ろう」。
読みは「うちへかえろう」である。

ブエノスアイレスに住むアブラハムは90歳を目前にして右足を痛め、長年住んだ家から老人ホームに移り住むことになった。
家で暮らす最後の日、子どもと孫たちが集合するものの、子どもたちはアブラハムの目の前で財産分与の話でもめ、一緒に写真を撮ろうとした孫の一人が、写真に入る代わりにiPhoneをねだったりする。
そんな時、荷物の整理をしていた子供から、1着のスーツについての扱いを尋ねられる。
仕立て屋だったアブラハムが作ったスーツだが、それはある友人のために作ったものだった。
子どもと孫が帰った深夜、アブラハムはスーツを持って家を抜け出し、一人でポーランドに旅立つ。

その晩のうちにヨーロッパに渡りたかったアブラハムは、唯一チケットが取れたマドリードへと渡る。
そこからワルシャワを目指すのだが、右足の悪いアブラハムの旅は一筋縄では行かない。
列車に乗り遅れ、旅費を盗まれたりする。
そして旅の中で、なぜアブラハムがスーツを持ってワルシャワを目指したのか、彼のこれまでの人生が少しずつ語られることになる。

アルゼンチンでチケットを手配するあたりから、アブラハムがユダヤ人で、ホロコーストの被害者であったことがわかる。
ホロコーストからアブラハムが生き延びた部分がストーリーの軸になっているのだが、それ以外にも長年疎遠になっていた娘とのエピソードが組み込まれたりもしている。
主題のホロコーストの悲劇は、直接的な描写ではなく行間でソフトに語られており、映画はテンポよく進んでいく。
ある意味では、巧くロードムービーとして仕上げられていると言っていいだろう。

ただ、映画を観終わった後で全体を振り返ると、話がやや散漫な感じがする。
冒頭の孫娘、飛行機内で知り合った男、宿の女主人、末娘、文化人類学者、そして看護師。
これらのキャラがストーリーの中でアブラハムとかかわる事で、アブラハムの人となりが表現されるのだが、全員がいきなり登場して、余韻を残さぬまま次のシーンに移り変わってしまう。
感動的なストーリーになってはいるものの、もう一度観たいかと問われても「観たい」と言う答えにはならない。
コンパクトにまとめようとしたのかもしれないが、心に残るシーンが少ない、ちょっとあっさりしすぎた印象になってしまった。

続いて「ちいさな独裁者」。
映画のラストでわかったのだが、第二次世界大戦末期に実在した、ヴィリー・ヘロルトと言う実在の人物が起こした事件がベースになっているらしい。

ドイツの敗北が決定的になっていた1945年初春。
ドイツ軍は敗走を繰り返し、部隊を脱走する者が後を絶たなかった。
ヴィリー・ヘロルトはもその一人で、仲間の兵に追われていた。
なんとか逃げきったヘロルトは、農家のニワトリ小屋から玉子を盗もうとするが撃退される。
脱走兵による盗難やレイプが頻発していたため、農民たちも自警を強めていたのだ。

フラフラになりながら逃走を続けるヘロルトは偶然、道の脇で脱輪した軍用車を見つける。
人影はなく、車の中には空軍大尉の軍服が積まれていたため、ヘロルトはボロボロの軍服を脱いで着替えた。
そしてその場に、一人の兵士が現れる。
彼はヘロルトを本物の空軍大尉と勘違いし、部隊からはぐれた自分を同行させてほしいと願い出る。
ヘロルトは男を運転手とし、脱輪していた車で移動を開始した。
すると脱走兵と思われる3人組や、機関砲を引いて撤退中の2人組と出会い、全員を仲間にする。
やがて脱走兵狩りをしていた野戦憲兵隊とも出会うが、ヘロルトは自分はヒトラー総統から勅命を受け、脱走兵の略奪状況を調べる任務に就いていると嘘をつき、巧く駆け引きをして憲兵隊の信用を得る。

憲兵隊の隊長はその後、ヘロルトたちを脱走兵の収容所に案内する。
収容所では裁判待ちの脱走兵であふれ、物資も不足している状態だった。
そのため軍に所属する警備隊長は不満を募らせていたのだが、司法省から派遣された所長が裁判なき処刑を拒むため、二人は対立していた。
ヘロルトは身分がバレないようにふるまうのだが、その結果、憲兵隊長が要望する即決裁判を実行することになってしまう。
収容所長は職務違反と拒もうとするとが、勢いづいた警備隊長が策を弄したため、即決裁判が始まり、90名の脱走兵が処刑されることになった。

簡単に言うと、脱走兵だったヘロルトが、偶然や周囲の思惑でどんどん権力を得ていくという話だ。
途中、憲兵隊長との激しい駆け引きが合ったり、脱走兵のヘロルトを追っていた大尉と出会うなど、ヘロルトの身分がバレそうになったりする。
この描き方が巧い。
さらに途中からは、ヘロルト身分がバレるかどうかから、ヘロルトの暴走がどこまで続くのか、と言う方向に話の軸がシフトする。
そしてこのヘロルトの暴走行為の描き方も巧い。
だんだん、自分のしている事の判断もできないほど、ヘロルトの行為はエスカレートする。
事実をもとにした映画はストーリーのメリハリが薄くなることも多いが、この映画はノンフィクションを巧みにフィクションへと作り変えている。

主役のマックス・フーバッヒャーの演技も良かった。
冒頭では追手に怯える脱走兵だったのだが、嘘を重ねるたびにどんどん開き直っていき、最後は本当に自分が大尉であると信じて行動を行っている。
このヘロルトの変化を見事に演じていた。

明るいストーリーではないので誰にでもおススメするような映画ではないが、個人的には評価できる作品だと思った。


78.家(うち)へ帰ろう
79.ちいさな独裁者


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「メン・イン・ブラック」シリーズは、1、2はストーリー的にあまり深みがなかったものの、3はかなり面白かった。
今回は口コミでの評判が今一つで、どちらに転ぶかと思っていたが、悪い方に転がってしまった。

幼少時、モリー(テッサ・トンプソン)は偶然、MIBが宇宙人を探索している現場に遭遇する。
彼女の両親はニューラライザーで記憶を消されたが、建物の2階にいたモリーは影響を受けなかった。
そしてその時地球にやってきたエイリアンを救って、逃がしてしまう。
この事がきっかけで、モリーはMIBのメンバーとなることを夢見るのだが、組織に所属するどころか実際にMIBが活動している事さえなかなか確認ができない。
やっとのことでMIBのアジトに潜り込み、なんとか見習いとして採用してもらうことになった。

モリーはエージェントMとなり、まずロンドン支局に派遣される。
そこにはかつて、パリのエッフェル塔に現れた凶悪宇宙生物ハイヴを撃退した支局長のエージェント・ハイT(リーアム・ニーソン)とエージェントH(クリス・ヘムズワース)がいた。
MはHが命じられた、極秘で地球に来ていたVIPのヴァンガスの警護に同行する。
Hはヴァンガスと仲が良く、任務も問題なく遂行しそうであったが、一瞬の隙をついてヴァンガスはハイヴからの刺客である双子の兄弟に暗殺されてしまった。
ヴァンガスは死の間際、駆け寄ったMに水晶のような物体を渡す。

ヴァンガスを護れなかったことで、HとMは支局内で非難をされる。
Hはその非難に対し、ヴァンガスが地球に来ていたのはMIBの一部の人間しか知らない、という事はMIBの内部にスパイがいると主張。
そしてHとMは刺客のツインズを追い始める。
だが逆に、ツインズもMの持つ水晶を手に入れるため、地球に来ていたのだった。
その一方でMIBのロンドン支局も、Mがヴァンガスから水晶を受け取っていたことに気付く。
HとMは、ツインズとMIBから追われることになる。

ハッキリ言って、ストーリーはかなり大味である。
前作の「3」は、未来が見えるグリフィンと言うキャラを巧く使い、先が見えない展開でかなりハラハラさせてくれた。
だが今回は設定を大がかりにして内容の薄さをカバーしようとした感じが強く、観ていてかなり興醒めした。
面白かったのは冒頭のモリーがMIBに潜入しようとするシーンまでで、ハイヴとの戦いとなる本編はありきたりの内容だった。
ヨーロッパを舞台にモロッコまで展開するも、これだけで「インターナショナル」と謳うのはかなり安っぽい感じもする。

クリス・ヘムズワースとテッサ・トンプソンのコンビは悪くないので、次回作を作るのであればきちんとストーリーを作り込んだ作品にしてもらいたい。


77.メン・イン・ブラック インターナショナル



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アベンジャーズの一員となったスパイダーマン・シリーズの第2弾だ。
過去にサム・ライミ、マーク・ウェブ監督で制作されたときは原作にかなり忠実だったのだが、このシリーズは原作から離れてアベンジャーズのメンバーであることが前提となっている。
ただ、個人的にはその方が好きである。

「アベンジャーズ/エンドゲーム」の後、世界は5年間姿が消えていた人と、そのまま過ごしていた人が混在していた。
ミッドタウン高校に通うピーター・パーカーも、同級生がいきなり大人びたりしていたものの、なんとか普通の高校生活を送っていた。
そして夏休み、クラスは先生の引率でヨーロッパ旅行に行くことになった。
前作でリズが転校した後、MJに恋心を寄せていたピーターは、なんとかこの旅行でMJとの距離を縮めようと画策する。
そんなとき、ピーターの前にハッピーが現れ、ニック・フューリーから仕事の連絡が入っていると告げる。
ヨーロッパ旅行を優先したいピーターはニックの連絡を無視、そのままヨーロッパ旅行に旅立った。

すると最初の立ち寄り先のヴェネチアで、いきなり水の化け物が現れた。
叔母のメイが荷物の中にスパイダー・スーツを入れていたのだが、突然の事でピーターはスパイダーマンになれずに苦戦する。
そこにマイティ・ソーのような空飛ぶ不思議な男が現れ、水の化け物を退治してしまった。

ピーターはその後、ヴェネチアを訪れていたニックに無理やり召集され、その化け物がアベンジャーズの戦いが原因でこの次元にやってきた4体のエレメントの1体であることを知らされる。
エレメントを追ってこの次元にやってきたベックが、4体のうちの3体までを退治していたが、残りの1体もすぐにプラハに出現するという。
そのため、ニックはピーターの旅行先を無理やりプラハに変更してしまう。
そしてピーターはニックから、トニー・スタークがピーターに残した眼鏡を渡される。
そのメガネはトニーが開発した「E.D.I.T.H.」と言う人工知能を搭載しており、人工衛星に搭載したドローン型攻撃機などを操ることもできた。
トニーはピーターこそが、自分の意志を継ぐ者と考えていたのだ。
ピーターは試しに「E.D.I.T.H.」を使用するのだが、その威力にビビッてしまう。
そのためプラハで最後エレメントを倒した後、自分には荷が重く、ベックこそがピーターの後継者にふさわしいと、ベックに「E.D.I.T.H.」の使用許可を与え、眼鏡も渡してしまった。

ピーターはその後、MJに告白しようとするのだが、ふとしたきっかけでプラハで倒したエレメントが映像として映し出される。
そこでこれまでのエレメントとベックの戦いが、すべて精巧に作られた映像とドローンによる攻撃であったことが判明する。

これまでのシリーズのスパイダーマンのヴィランは、ゴブリン、オクトパス、サンドマン、リザード、エレクトロなど、巨悪というより単純な怪物に近かかった。
そのため、スケール的にはやや小ぶりに感じられてしまい、個人的にはそれほど好きなシリーズでなかった。
だが、アベンジャーズの一員となってからは、アイアンマンのトニー・スタークと密接な関係となり、ストーリーも世界征服をたくらむ巨悪との戦いとなった。
制作会社のコロンビア映画が、原作に忠実な単独のシリーズよりマーベル・ヒーローに仲間入りした方が、世界観が広がって興行収入も上がると判断したためだろう。
コロンビア映画とディズニーの間でどのような調整が入ったかはわからないが、賢明な判断と思う。
一方で、本作に出てきたエレメントは、原作のヴィランに近いようにも思え、原作ファンにも配慮があったともい言えるだろう。

これまでスパイダーマンは、アベンジャーズのメンバー中ではやや非力なキャラであったが、今後はトニーが遺した技術や武器なども使用できるので、中心メンバーとして活躍するに違いない。
3月にディズニーの20世紀フォックス買収が完了したため、今後は「X-MEN」シリーズもリブートで「アベンジャーズ」にかかわってくるかもしれない。
「エンドゲーム」で第一章が終了したものの、アベンジャーズはまだまだ楽しませてくれそうだ。


76.スパイダーマン ファー・フロム・ホーム


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「凶悪」「孤狼の血」の白石和彌監督作品である。
主人公を絶望へ追い込む過程が、いかにも白石作品と言えるだろう。

木野本郁男(香取慎吾)は競輪中毒の男だ。
昆野亜弓(西田尚美)、そして亜弓の連れ子の美波(恒松祐里)と一緒に暮らし、印刷会社に勤めてはいるものの、生活はほとんど美容師の亜弓の収入に頼り、競輪で負けが込んだ時は亜弓のへそくりから札を抜くような生活をしていた。
ある日郁男は競輪仲間の渡辺とともに、印刷所を解雇になる。
ちょうど亜弓の父が病気で余命宣告を受けたこともあり、3人で亜弓の実家のある石巻に移ることにした。

亜弓の父の勝美を含めた、4人の生活が始まる。
元々亜弓と美波も石巻で生活していたのだが、東日本大震災のために川崎に移り住んでいた。
しかし美波は転校先の学校でいじめに会い、小学校から中学卒業まで不登校であった。
そんな美波が一番心を許していたのが郁男だった。
美波は石巻で夜間高校に通い始め、そこで幼馴染の翔太と再会する。
美波は久しぶりに友達ができたため、翔太とよく遊ぶようになった。

郁男は、亜弓の幼馴染で勝美の世話もしていた小野寺(リリー・フランキー)に印刷会社を紹介してもらい、そこで働き始めた。
石巻に移転する際に競輪はやめると宣言していたが、印刷会社の同僚が暴力団からノミ車券を買っている事を知り、自分も少しずつノミ車券に手を出すようになってしまう。

そんな時、美波が翔太との遊びで遅くなることが原因で、亜弓と折り合いが悪くなった。
亜弓に連絡をせず遅くまで帰宅しなかったため、郁男と亜弓は二人で美波を捜し始める。
だがその過程で郁男と亜弓も言い合いになり、郁男は亜弓を車から降ろして別行動を取ってしまった。
郁男は美波を捜しあて、亜弓に連絡をするように言うのだが、美波からの電話に対応したのは刑事だった。
郁男と美波が現場に駆けつけると、そこには変わり果てた亜弓の姿があった。

郁男、美波、勝美の3人は気落ちしながらも生活を続けようとする。
しかし警察が郁男の取り調べを始め、狭い街の中で郁男が犯人ではないかと言う噂が広がった。
さらに郁男が勤める印刷会社で、売上金がなくなる事件も発生した。
印刷会社の同僚が原因であることがわかり、郁男は工場内で暴れ、解雇されてしまう。
そしてどうしたらいいかわからなくなった郁男は、暴力団が販売するノミ車券にのめり込んでしまう。

不器用な郁男が、石巻に移り住んだことを契機に真面目に生きようと決意するが、この郁男の描き方がリアルだ。
安っぽい物語だと、心機一転真人間になろうと努力したりするが、現実にはそういう人間は少ないだろう。
この作品の郁男のように、少しずつ自分を変えようとするものの、誘惑に後ろ髪を引っ張られてもしまう、と言うケースの方が多いと思う。
そして亜弓の殺人事件で、歯車が狂い始めてしまう。
排他的な要素が強い小さな田舎町と言う設定も、郁男を追い込む要素として機能している。

序盤で亜弓の元夫、美波の実の父の村上(音尾琢真)が登場するのだが、この村上の設定、キャスティングも絶妙だ。
亜弓は今でも街の人気者で、一緒に帰ってきた郁男はあまり歓迎されていない、さらに郁男に心を許している美波も元々は地元の人間であった、と言う展開で、郁男の孤独感を強調している。

中盤まで郁男が追い込まれていく様子を見ていると、多少なりともギャンブルをする自分には身につまされる思いで、直視するのがやや辛かった。
そしてその郁男を演じる香取慎吾の演技もかなりいい。

途中でラストもほぼわかってしまうのだが、それでもメリハリの効いた展開で、完成度の高い作品と言っていいだろう。


75.凪待ち


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昨年「夜は短し歩けよ乙女」、「夜明け告げるルーのうた」で、2作連続ヤラかしてしまった湯浅政明監督作品だ。
今回は正念場になると思うが、手堅くまとめられた作品になったいた。

向水ひな子(川栄李奈)は小さいころからサーフィンが好きで、子供の頃に住んでいた千葉にある大学に入学した。
早速波に乗るひな子の姿を、消防士の雛罌粟港(ひなげしみなと、片寄涼太)と後輩の川村山葵(かわむらわさび、伊藤健太郎)が見ていた。
その夜、ひな子の住むマンションの隣の、建設中のマンション内で花火が暴発する騒ぎがあった。
火はひな子のマンションまで燃え移り、そこでひな子と港は出会うことになる。
ひな子と港はすぐに意気投合し、二人でサーフィンを始めた。
そして出会った年のクリスマスの日、ひな子が早朝から花屋でバイトをしていると、港からいい波が立っていると連絡が入った。
バイトを終えてひな子が海岸に駆け付けると、おぼれた人を助けようとして波に巻き込まれた港が打ち上げられていた。

ひな子はしばらく、港を死を受け入れらないでいた。
だがある日、港との思い出の歌を口ずさむと、水の中に港が現れた。
港はひな子が危ない目にあうと助けてくれ、いつまでもひな子を護ると約束してくれた。

水の中に話しかけるひな子を見て、山葵と港の妹の洋子(松本穂香)はひな子がおかしくなったと思う。
特に山葵は、密かにひな子に思いを寄せていた。
山葵がひな子に何度も「先輩はもういない」と言っても、ひな子は受け入れようとしない。
しかし港がひな子を助けるたびに、港の姿がだんだん薄くなっていくことに気付いた。

一言で言えば、ラブファンタジーと言うカテゴリーか。
港が不思議な力で水の中に本当に現れているのか、あるいは単純にひな子の妄想なのか、その線引きが最後までわからないように巧く作られており、若者向けのアニメとしてはかなりいい線言っていると思う。
そもそも湯浅政明作品だけに、作画はかなり美しい。
そしてキャラクターの表情や動きも、ストーリーにマッチしている。
ハッキリ言ってラブストーリーとしてはありきたりの展開ではあるが、作画と演出をきっちり作り込んでいるので既視感はあまりない。
メインの声優4人もなかなかの演技だった。

「夜明け告げるルーのうた」も、作画は非常に良かったと思う。
ルーのダンスシーンなどはややレトロなタッチで描かれていて、作品のアクセントとなっていた。
アニメとしては質が高く、設定が「崖の上のポニョ」に酷似していなかったらもっと高い評価を得ていただろう。
少なくとも日本アカデミー賞で最優秀アニメーション作品賞を受賞した「夜は短し歩けよ乙女」よりも、完成度は高かったと思う。

今回はラブストーリーの王道を行った結果、湯浅政明の持ち味が生きた感じがする。
今年は夏に新海誠作品が控えているので映画賞の受賞は厳しいかもしれないが、個人的には湯浅政明の復活を喜ぶべき作品だと思った。


74.きみと、波にのれたら


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