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2019年米アカデミー賞で監督賞を受賞した作品だ。
NetFlixが配給権を持っているので、日本では劇場公開はナシかと思ったが、意外と期間限定で劇場公開しているようだ。
と言う事で上映館を探して観に行った。
観た後に監督が「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロンであることを思い出したが、「ゼロ・グラビティ」とはまったく異なるタイプの作品で、正直見ている間はかなり眠くなった。

サッカーのW杯が行われた1970年のメキシコ、クレオは同僚のアデラとともに、医師であるアントニオの家で住み込みの家政婦をしていた。
アントニオは学会のためカナダのケベックに向かい、クレオとアデラは日々、妻のソフィア、ソフィアの母、4人の子どもたちの面倒を見ていた。

仕事が休みの日、クレオとアデラはボーイフレンドたち遊びに行く。
アデラとラモンは映画を観るが、クレオとフェルミンはホテルに行くことにした。
そしてクレオは妊娠、後日映画を観ている際にその事をフェルミンに告げるが、フェルミンは映画の途中でトイレにたちそのまま行方をくらました。

その後、クレオは子どもたちを映画に連れて行くときに、アントニオが他の女性といるところを目撃する。
アントニオとソフィアの仲は修復できないレベルとなっていた。

クレオはフェルミンの住む村を訪れるが、彼は自分が父親であることを認めず、クレオを脅して追い返す。
ソフィアはクレオの出産を快く受け入れ、その準備のためベビーベッドを買いに行くのだが、店の前の通りでデモ行進が始まり、デモ隊と警察官が激しく衝突する。
さらにそこに民兵が加わり、デモ隊に発砲した。
デモ隊のメンバーがクレオとソフィアのいた家具店に逃げ込んでくるが、民兵もそのメンバーを追って発砲し、メンバーを殺害してしまった。
そしてその民兵の中にフェルミンが含まれており、彼は銃口をクレオに向ける。
フェルミンは発砲せずその場を立ち去ったが、クレオはショックで破水してしまった。
クレオは病院に運び込まれるが、子どもは死産だった。

ソフィアとアントニオは離婚することが決定し、アントニオが家に荷物を取りに来る間、ソフィアと子どもたちはビーチに旅行に行くことになり、クレオも同行した。
そこで二人の子どもが波にさらわれそうになるが、泳げないクレオが必死に助ける。
なんとか浜辺まで3人が戻ったとき、クレオは泣きながら子どもが生まれる事を望んでいなかった、と告げる。

旅行から帰宅後、クレオは留守番をしていた笑いながらアデラに「話すことがたくさんある」と言った。
ビーチでの懺悔ですべてが吹っ切れたようだった。

ストーリーはざっくりこんな感じである。
画面はモノクロ、撮影も長回しが多く、時代を感じさせる作品になっている。
ただ、個人的にはかなり退屈だった。
時間の流れをスローに感じさせる作りにしているのはわかるが、もう少し役者の演技や表情のアップなどの演出で、メリハリが付けられたのではないかと思う。
あえてメリハリを付けないように突き詰めた、と言えばその通りなのかもしれないが、それが面白いかと言えば、ハッキリ言って私には面白いと感じられなかった。
そのあたりは個人の好き嫌い、と割り切るしかないのだろう。

この監督の次回作は、「ゼロ・グラビティ」のような作品であることを期待したい。


63.ROMA/ローマ


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ここ数日大騒ぎになっている、「老後2000万円足りない」問題。
ニュースでも老後どうすべきかと大げさに取り上げているが、薄っぺら感が否めない。
ネット上では「年金はやっぱりあてにならない」と言う、今さら何言ってんの?書き込みから、「オレは昔から考えていたから驚かない」という知ったかぶりの薄っぺらい書き込みまでが蔓延している。

しかし問題の本質はそこではないのではないか。
そもそも「老後2000万円足りない」根拠となっている「月額25万円」の内訳がまったく不明だ。

一応、金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書を見てみた。

●金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書 の公表について
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html

ここにも25万円の内訳はない。

リタイア直後の60歳はともかくとして、90歳の夫婦が毎月25万円も必要なのだろうか?

通常、日本の家計で一番多くの割合を占めるのは住居費と言われていた。
そして、子どもがいる場合の教育費だ。
現在はひょっとすると、日本人は居住費の平均より教育費の平均の方が多いかもしれない。

ただいずれにしろ、60歳と90歳ではこれらの額は大きく異なるだろう。
食費だって異なるし、はっきり言って活動範囲も年を取れば限られてくると思うので、遊行費も同じという事はないだろう。
唯一、90歳の方が出費が多くなりそうなのは医療費だ。
しかしこれは個人差が大きすぎて、きっちり計算することは難しい。

素人の私がちょっと考えただけで、この「30年間毎月25万円が必要」の根拠はまったくのデタラメだ。

そして居住費で言えば、生産緑地の指定解除による2022年問題が起きると、土地の価格や家賃が一気に下がるので、今とは計算方式がまったく異なってくる可能性がある。
2022年問題についてはここでは詳しく解説しないが、都市近郊農家の税制優遇措置が解除され、23区内を含む近郊農家が一気に土地を放出して供給過多になる事である。
結果、土地の値段は大きく下がり、マンション価格、家賃も下落する。

いずれにしろ、25万円の根拠がないのになぜこのような報告書が発表されたのかと思って、ワーキンググループのメンバーを見てみた。
すると、研究者の中に混じって投資関連の専門家が多く入っていることがわかった。
中には、専門誌「投資信託事情」発行人兼編集長や、良質な金融商品を育てる会世話人、なんて人もいる。

もちろん、資産形成において投資は重要なファクターではある。
そして年金がやがて破綻するから自分で老後の貯えを考えておかなければならないという話は、昭和のバブル期から言われていたことだ。
だから投資関連の専門家がこの状況で警鐘を鳴らすというのも頷ける、と言うか当たり前の話で遅すぎるくらいだ。

しかしこの報告書の怪しいところは、やたら「金融リテラシーの向上」を謳い、かつやたら「つみたて NISA」と「iDeCo」と言う特定の金融商品を推奨している点だ。
たしかに税制優遇がある金融商品とは言え、「老後2000万円足りない」と言う報告とセットで特定の金融商品を推奨するのはどうかとも思う。
「つみたて NISA」と「iDeCo」への誘導ありきで作られた報告書のように思えてくる。
特定の金融商品を推奨するよりも先に、家庭の収支バランスの見直しと長期的な計画の立案を推奨するべきではないだろうか?

この報告書を見た本質を理解できない野党の恥ずかしい議員が、国会で鼻のアナおっぴろげて得意気に大声張り上げたりしている。
大臣様も大臣様で、目を通してから一笑にふせば説得力が出たはずなのに、メンツを潰されたためにムキになって報告書の受け取りを拒否したりしている。
子どもか?

もう、国民不在の政治にもほどがあるが、どこのニュースでも25万円の根拠には触れず、ネットでもこの事に気づかず「オレは昔からベンキョーしてたから驚かない」なんて恥ずかしい自慢をしてたりするのだから、議員様もメディアもネット民も、「しょーもない」と言う意味で同じレベルか。

そんな中、今日のNHK「ニュースウォッチ9」に出ていた八ツ井慶子さんと言うFPは、ちょっと説得力のある事を言っていた。
金融庁に忖度して言葉を選んだと思われるが、まず「この段階で具体的な数字を出すのはどうかと思う」としたうえで、重要なの「MY 資産形成」で自分のライフプランに合わせた将来設計をするべきだ、と言っていた。
私もまさしくその通りだと思う。
本当はもっとはっきり、「25万円という額は根拠がないので、この数字に踊らされてはいけません」くらい言って欲しかったが。

で、最後に「じゃあ、お前はどうなんだ」と聞かれるかもしれないが、そもそも私は90歳まで生きるつもりなんてさらさらない。
私が年金を受け取るのが65歳で、もうそろそろその年も見え始めてきたが、65歳まで生きようとも思っていない。
せいぜい60歳まで生きれば十分だと思うし、その間は当然働き続ける。
私は父が18歳の時に死んでしまい、その後は父の遺族年金で大学まで卒業し、母も死ぬまで年金を受給したので、今自分が支払っている年金はその分の返済だと考えている。
一応、30年近く前から毎月生保の個人年金の積み立てをしているので、60~70歳まではそれを受給できる体制にはなっている。

でも人生なんて、そんなもんで十分でしょ。
長生きしたって、いい事なんて何にもあるわけないんだから。


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正当なルパンIII世シリーズとは別世界を描いている「LUPIN THE IIIRD」シリーズの第四弾作品だ。
第一弾のTVシリーズ「峰不二子という女」と、一昨年劇場公開された第三弾「血煙の石川五ェ門」は観たのだが、第二弾の「次元大介の墓標」は近所の劇場で公開されなかったため見逃している。

峰不二子は南部の荒野でランディと言う男と彼の息子ジーンの面倒を見ていた。
そこにランディを狙った殺し屋ビンカムとそのチームが現れる。
ランディはコドフリー・マイニングと言う巨大な会社の経理をしていたが、ジーンの心臓手術の資金を捻出するために会社のカネを横領したのだ。
その額は5億ドル。
ビンカムは砂を使って人の心を操るが、ランディはビンカムに襲われると不二子にジーンを託してアジトを爆破する。
ビンカムは爆破の難を逃れ、チームと一緒に不二子とジーンを追った。
ルパンと次元大介も、ランディが横領したコドフリー・マイニングのカネを狙っていた。
ビンカムが不二子たちに追い付いた現場に駆けつけ、ビンカムから二人を救う。

4人は街のホテルに逗留するが、ジーンはルパンと次元に5億ドルで父親の仇を討つように依頼する。
5億ドルを狙っていた不二子は、そのカネはジーンの手術代だと彼を諌めるものの、ジーンは聞き入れず、ルパンと次元も依頼を受けてしまう。
不二子はジーンと二人きりになり再度ジーンを諌めるが、その場にビンカムが現れる。
しかもルパンと次元はビンカムの仲間に足止めされ助ける事ができない。
不二子はカーチェイスの末間一髪でビンカムから逃れ、モーテルに逃げ込んだ。
だが、そこでもジーンは不二子の説得を聞き入れず、騒ぎを聞いたモーテルの主人が警察を呼んでしまう。
不二子の話を聞かないジーンはモーテルに残り、不二子は一人で逃げ出した。
しかし警察はコドフリー・マイニング社の息が掛かっており、ジーンは社長の元に連れて行かれてしまう。

起承転結はわかりやすく、ルパンシリーズとしては可もなく不可もなく、と言ったところか。
「血煙の石川五ェ門」もそうであったが、おそらく元々TV放映用に制作された作品で、30分×前後編の2本という構成のため映画としてはやや物足りない部分もあった。
また前作「血煙の石川五ェ門」からシリーズ全体のストーリーを引き継ぎ、さらに自作につながっていくと思われるのだが、「血煙の石川五ェ門」でその布石が打たれていなかったので、唐突感を感じた。
しかしこれについては私が「次元大介の墓標」を観ていない事が原因で、3作品すべてを観れば唐突感は感じないのかもしれない。

全体をきちんと整理するには、「峰不二子という女」からもう一度観直しをする必要があるかもしれない。


62.LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘


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原作は東野圭吾だが、いかにも東野ワールドと言った作品だった。
作者本人が映画を観て「完成した映画を観てうなりました。複雑な構造を持ったストーリーから逃げることなく、見事に真っ向勝負した作品でした。きっと多くの人が、この映画に翻弄されることでしょう」とコメントしているそうなので、おそらく原作にかなり忠実に作られているのだろう。

バイオメーカーの研究員として働いていた敦賀崇史(玉森裕太)は、しばしば同じような夢を見ていた。
同棲している研究生の麻由子(吉岡里帆)が、子どもからの親友で同じ会社の研究員をしている三輪智彦(染谷将太)の恋人である夢だ。
智彦は春の人事異動でいきなりアメリカ本社勤務となり、崇史に直接挨拶をする間もなく渡米していた。

夢の中で崇史は、毎朝並行して走る電車の向こう側に乗車していた麻由子に恋をしていた。
大学を卒業する日に告白しようと隣の電車に乗るのだが、彼女はその日に限って崇史の乗る電車に乗っており、告白することはできなかった。
しかしその半年後、智彦から初めてできた彼女だと言って麻由子を紹介される。

智彦の研究は社内でも極秘プロジェクトとして進められていた。
崇史が食堂でその話を聞くと、脳内に照射をして記憶を書き換えると言う。
智彦はすでに後輩の篠崎で実験を行ったと告げるが、崇史はプロジェクトリーダーに許可なく脳内照射を行うのは、倫理規定違反ではないかと言う。
智彦はごく限られた照射だし、プロジェクトリーダーにはすぐに報告すると言うが、崇史は智彦の研究に違和感を感じていた。

現実の崇史は、あまりにも具体的な夢を何度も見るため、ふと智彦の事が気になり始めた。
アメリカ本社の智彦に連絡を取ろうと試みるが、極秘プロジェクトのため個人のメールアドレスは社内と言えども教えられないと断られてしまう。
仕方なく崇史はプロジェクトの共有アドレスにメールを送信するが、智彦から戻ってきたメールには不審な点があった。

現実の世界と崇史の夢の世界を行き来するため、状況把握がやや難しい作品である。
しかしともすればゴチャゴチャになりそうなストーリーを、脚本と演出できちんと整理している。
また、途中から結末がほぼわかってしまうし、最後もやや予定調和な終わり方なような気もするが、玉森裕太、染谷将太、吉岡里帆の3人の演技力がストーリーをラストまで引き締めている。
特に吉岡里帆の麻由子は、夢と現実で崇史との距離感が難しい部分を演じ切っていた。
主演した「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」では、ちょっと役柄を持て余していたようにも見えたが、今回の麻由子役は良かった。

東野作品の中では地味な作品になるのかもしれないが、まずまずの完成度の作品であった。


61.パラレルワールド・ラブストーリー


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原作はかわぐちかいじの同名漫画で、中国が尖閣諸島を占領するというかなり具体的なストーリーになっているが、映画版では侵略をする敵国が国連非加盟のテロ連合国家「東亜連邦」で、侵略する波留間群島と言う架空の島に置き換えられている。
では面白くないかと言えば、ややリアリティに欠ける部分が多いものの、企画に福井晴敏が加わっているだけに見応えのある作品になっていた。

20××年、東アジアの東亜連邦の漁船が大量に波留間群島付近に現れ、警告する海上保安庁の巡視船に向かって発砲をした。
そして軍隊が現れ巡視船を拿捕、軍隊は波留間群島の初島を占拠した。
一報を受けた日本政府は、巡視船救出のため航空機搭載型護衛艦「いぶき」と護衛艦4艦、潜水艦1艦を現地に向かわせる。
しかしその艦隊を東亜連邦の潜水艦が待ち受け、さらに空母から戦闘機を発進させた。

日本初の空母であるいぶきは、その存在自体に賛否両論が集まっていた。
そのため自衛隊は、マスコミ2社にいぶきへの体験乗艦と取材を許可しているところだった。
新聞記者の田中(小倉久寛)とネットニュースの記者本多(本田翼)の載せたまま、いぶきは現地へと向かっていた。

その頃内閣では、侃侃諤諤の議論が繰り広げられていた。
東亜連邦が戦闘をしかけてきたとき、それに対して自衛権を行使して防衛出動を発令するのか。
日本は自衛隊を保有しているが、これまで防衛出動を発令したことは一度もない。
そうこうしているうちに、初島を斥候しに行った戦闘機が撃墜され、犠牲者が出てしまう。
さらに敵戦闘機からミサイルが発射される。
内閣総理大臣の垂水(佐藤浩市)は、史上初の防衛出動発令を決意する。

日本が外敵から侵略を受けた場合、自衛権の発動はどうするのか、そして発動後の戦闘はどうなるのか。
現代において、誰もが一度は考えた疑問に対して、かなり具体的な回答を見せてくれる作品だ。
自衛権で局地的な戦闘になった場合、相手を攻撃しすぎると宣戦布告をされ戦争に拡大してしまう可能性がある。
特に、人的犠牲を最小限に抑えないと、戦争になってしまう可能性が大きくなる。
敵潜水艦、護衛艦をできるだけ撃沈しないで戦闘不能の状態にし、戦闘機も敵パイロットが可能な限り生存できるように撃墜する。
だからと言って、すべての戦闘員が助かるわけではない。
東亜連邦、日本とも想定できる被害の中で被害者を出してしまう。
その被害者が出てしまう状況設定もかなりリアルだ。

被害を最小限に抑えながら、敵に打撃を与える戦術を冷静に考えるのがいぶき艦長の秋津一佐(西島秀俊)だ。
元々空自のエースパイロットだったがが、海自へ転属して艦長となった。
ともすれば自衛権の枠を逸脱しそうな秋津の大胆な戦術に疑問を覚えるのが、副長の新波二佐(佐々木蔵之介)だ。
この二人は防衛大学同期のライバルで、海自に進んだ新波が副長と言う状態になっている。
その状況の中で、秋津の戦術に新波が異を唱えるケースもあるのだが、秋津は説得力のある言葉で戦術を実践、被害を最小限に抑えて巡視船救助に突き進む。

同時期に外務省は国連安保理への連絡を取り、戦闘終結へと必死に外交を行う。
この描き方もなかなか迫力があった。
緊迫した状況の中、クリスマスイヴの準備をするコンビニ店長(中井貴一)の描き方も悪くない。
実写映画の場合、ともすれば生々しさが出てすぎてしまい、中途半端にリアリティを追うとグズグズになってしまう可能性もある。
そういう意味では、原作と異なり敵国、占拠された島の両方を架空にした点が、逆にリアリティを強くしたようにも思う。

ただ、記者二人を乗艦させたまま現地に向かうという部分だけは、著しくリアリティに欠けてしまった。
万一民間人に被害が及んだ場合、その騒ぎは「侵略してきた敵国と交戦した」レベルではないので、普通に考えれば何があっても二人を艦から降ろすだろう。
なので、二人がどうしても艦から降りられなくなる状況を作り出すべきだった。

また国連安保理が緊急に召集されたら、間違いなく世界中のニュースになる。
となればどのエリアで緊張が高まっているかも、世界各国のメディアが血眼になって探すだろう。
日本のメディアも日本の領海で戦闘が起こっていることにすぐ気が付くはずで、政府の発表まで何もニュースが流れない、などという事も絶対にない。
政府が報道統制を掛けた、などのエピソードも入れるべきだったと思う。

とは言え、戦闘シーンのCGも素晴らしく、最後まで緊張しながら見続ける事ができた。
役者も実力者を揃えており、想像していたよりもはるかに完成度の高い作品であった。


60.空母いぶき


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原作は中島京子で、この人の事は良く知らなかったが松たか子と黒木華が出演した「小さいおうち」の作者でもあった。
タイトルは、アメリカでは認知症患者が少しずつ記憶を失っていくことから「長いお別れ」と呼んでいることに由来する。
作者の父親は著名なフランス文学者だったようだが、その父が認知症を患った事がこの作品のベースになっているようだ。

母の曜子(松原智恵子)は下の娘の芙美(蒼井優)携帯電話に、次の父昇平(山﨑努)の誕生日には必ず実家に来るように伝言を残していた。
同時に家族とアメリカにいる上の娘の麻里(竹内結子)にも、父の誕生日に帰国するように電話をする。
芙美は将来自分の飲食店を出すため、スーパーの惣菜コーナーで働いていた。
父の誕生日にも手作りの惣菜を持って帰るのだが、父が惣菜を食べる様子がおかしい。
校長まで務めた厳格な父昇平(山﨑努)だが、母によると現役を引退してから少しずつ認知症の症状が出ているとの事だった。

芙美は数年後、キッチンカーで待望の自分の店をオープンするが、これが巧く行かない。
麻里は夫の仕事でアメリカ暮らしが続くが、現地での生活に慣れる事ができず、夫や息子とも少し溝ができ始める。
昇平はしばしば「帰る」と言って家を出て放浪してしまうので、曜子は麻里に頼んで昇平を生家に連れて行ってみる。
しかし昇平は今度は「家に帰る」と言い出してしまう。
その後自宅に戻り、昇平が家の近所を放浪しているとき、昇平を捜している芙美は小学校の同級生の道彦(中村倫也)と出会う。
バツイチの道彦と仲良くなった芙美は同棲を始め、仕事も彼の実家のレストランを手伝い始める。

このあたりまでは、割とよくあるストーリー構成である。
そしてここから先は、昇平を軸に置きながら、麻里、芙美、そして妻の曜子が人を愛する事、家族を愛する事について考える事になるのだが、3人に対して答えを出すのは、自分が誰かさえもわからない昇平だ。

監督は、商業用長編デビュー作の「湯を沸かすほどの熱い愛」でいきなり日本アカデミー賞優秀作品賞、優秀監督賞、優秀脚本賞を受賞した中野量太だ。
その他にも数々の映画賞を受賞している。
ちなみに主演の宮沢りえと助演の杉咲花も、日本アカデミー賞での最優秀主演女優賞と最優秀助演女優賞を受賞したのをはじめ、数々の映画賞を受賞した。

役者の演技力を引き出すことに長けている監督だと思うが、今回も出演者の力量を最高に引き出した作品になっている。
主役が誰なのかわかりづらいが、まず芙美役の蒼井優が素晴らしい。
特に、道彦とうまく行かなくなり、縁側で昇平と会話する時の表情が魅力的だった。
アメリカになじめない麻里の竹内結子も良かったし、入院中の松原智恵子は74歳とは思えぬかわいらしさだった。
そしてやはり山﨑努だ。
認知症と言う難しい役どころで、セリフも多くはない。
しかし見事に行間を演じきっている。
しかもロングショットではあるが、大便を漏らして糞尿だらけになった姿までさらしている。

10年近い長い物語なので、ストーリー中のメリハリはやや少なめだ。
だが遊園地のエピソードなど、この監督は人の心を優しく鷲づかみにするのがとても巧い。
「湯を沸かすほどの熱い愛」の強い感動はないが、ジワジワと心に染み入る作品である。


59.長いお別れ


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14:30段階でアーモンドアイが1.6倍の断然人気。
まあそれも仕方がないだろう。
アーモンドアイがもし負けるとすれば今回だという人も多い。
海外遠征帰りの初戦はであり、牝馬である事を考えれば見えない疲労が蓄積している可能性もある。
そして桜花賞以来のマイル戦で、今回はマイルのスペシャリストもそろった。
高速馬場の速い時計に対応できるかと言う危惧もある。

だが、それらはすべて杞憂だろう。
陣営は当初課からこのレースを狙っていたのではなく、他に適当なプログラムがないからここを選んできた。
体調に問題があれば休養に入っていたはずで、レースを使える状態だから出走してきたのだろう。
高速馬場も、昨年のJCを世界レコードで駆け抜けた馬だ。
マイルと言う部分では出遅れの心配もなくはないが、逆に他馬より早くロングスパートがかけられる分有利ではないか。

もちろん競馬に絶対はないし、実際先週のダービーは3強がそろって負けた。
同期のダノンプレミアムとも初対決で、まだ勝負付けは済んでいない。
とは言え、ダノンプレミアムを含め他馬がアーモンドアイを負かす確率と配当を考えると、期待値が悪すぎる。
それならば、ダノンプレミアムが2着を外す馬券の方が期待値が良さそうだ。
特に今回は、2枠に入ったアエロリットがハナを切るだろう。
昨年2着に逃げ粘ったように、この馬はマイペースで逃がすとうるさい。
前走のヴィクトリアマイルもすいすい逃げて5着に粘っている。
ダノンプレミアムがアーモンドアイの末脚を意識して、早めにアエロリット潰しに行った場合、最後の最後で直線の末脚に掛けた馬に差される可能性もある。
先週のダービーで、先に仕掛けたサートゥルナーリアが最後にヴェロックスに差し返されたように、だ。

ダノンプレミアムは2着候補だが、ダノンプレミアムに先着しそうな馬を探す。
まず候補筆頭はアエロリット。
すでに書いた通り、短期で気持ちよく逃がした場合、まさかの逃げ切りまで考えられる。
鞍上の戸崎もこの春はもうちょっとでG1に手が届かないレースが続いてるだけに、先週のロジャーバロースを参考にしての絶妙な逃げを打つ可能性もある。

またこの安田記念も、ヴィクトリアマイル同様リピーターの多いレースだ。
人気はないが昨年の勝ち馬モズアスコット、5着のサングレーザーも候補にあがる。
東京新聞杯を1.31.9の好タイムで勝利したインディチャンプも狙ってみたい。
そのほかではマイルG1勝ちのあるステルヴィオとペルシアンナイト、昨年の富士Sを1.31.7で勝ったロジクライあたりか。
しかしステルヴィオとペルシアンナイトは前走の大阪杯でともに二桁着順。
叩いて調子が上がっているようだが、ちょっと狙いづらい。
ロジクライは大外に回ってしまい、こちらもやや狙いづらいか。

それならば、ここ3戦で上り最速の脚を使っているスマートオーディンの方が面白そうだ。
走りにムラがあるが、実績としては重賞4勝馬である。
最近はかかり癖が収まってきたようだし、今回はアエロリットが引っ張るのでレースも流れそうだ。
位置取り次第だが、ここ一発の脚で上位に食い込んできてもおかしくない。


◎アーモンドアイ
〇ダノンプレミアム
▲アエロリット
△サングレーザー
△モズアスコット
×スマートオーディン

◎を1着固定、〇~×までを2、3着固定の3連単ボックスで、トリガミにならないよう多少の濃淡をつけて勝負。


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とっくの昔に終わってしまっているが、ギンレイで観た2本。

まず「日日是好日」。
2018年のオレ的ランキングでは15位だった作品だ。
黒木華が主人公の典子を、茶道を習い始めた20歳から40代半ばまでを演じている。
茶道がテーマだけに、ゆったりと時間が流れる世界観が素晴らしい。
先生役の樹木希林も、樹木希林以外には考えられないほどハマった役どころだ。
監督の大森立嗣は、「まほろ駅前」シリーズや「さよなら渓谷」など、コミカルからシリアスまで幅広く手がける引き出しの多い監督だ。
この作品はコミカルでもシリアスでもない、静かな世界を構築している。

続いて「モリのいる場所」。
豊島区の自宅から30年間外出しなかった伝説の画家熊谷守一を描いたオリジナル作品だ。
熊谷守一を描いたと言っても、その1日だけを切り取っている。
1日中自宅の庭を観察し、写生を行っていた熊谷守一のある日の1日だが、その日はいろいろな来客があり、その来客たちが織り成すエピソードで構成されている。
信州で温泉宿を営む男は宿の看板を書いてくれと依頼するが、モリは宿名ではなく「無一物」(むいちぶつ)と書いてしまう。
その他にも、モリの写真を撮り続けるカメラマンとその助手、近くでマンション建設をしている業者など、さまざまな人物が訪れる。
また、文化勲章の受賞の連絡があるが「これ以上人がやってくるのは困る」と言う理由で拒否したりもする。
他人に頓着しない熊谷守一の正確を、1日の中で描こうという作品だ。

だが、個人的な感想で言えば、ちょっと無理があったかなと思う。
監督は「南極料理人」「キツツキと雨」「モヒカン故郷に帰る」の沖田修一。
独特の間で笑いを演出する名手である。
ややファンタジーな部分や、お昼を食べながらドリフの話題をしているときに天井から金ダライ落ちてくるなど、この監督ならではの手法もあったが、熊谷守一よりもその周りの人々の方が目立ってしまった印象だ。
版権の関係か、絵画作品にはまったく触れられていない。
代表作の「猫」など、印象派のようなキュビズムのような独特の表現方法を用いた熊谷守一の、画家としての一面にもっと触れてもらいたいと思った。
なおこの作品にも、熊谷守一の妻役で樹木希林が出演していた。


57.日日是好日(再)
58.モリのいる場所


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