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<   2019年 01月 ( 12 )   > この月の画像一覧

人気アニメシリーズ「PSYCHO-PASS」の映画化第二弾だ。
映画化第一弾は、その後の狡噛慎也を登場させるだけの作品で、ハッキリ言って見所はなかった。
今回は1話60分の3部作構成にしたためか、まずまずまとまった作品であった。

2117年、都内で暴走していた車の運転手が検挙された。
運転手の女性は犯罪係数が基準値を超えており、何かの薬物中毒でまともな会話ができない状態であった。
調査の結果、名前は夜坂泉で、青森の潜在犯隔離施設「サンクチュアリ」で心理カウンセラーをしていることがわかった。
なぜ青森からわざわざ東京まで逃げ延びてきたのか。
監視官の霜月美佳が調査をしようとすると、どこかからか夜坂泉を「サンクチュアリ」に戻せと言う横槍が入る。
上からの命令だという公安局局長に対し、常守朱は再度の脱走がないように「サンクチュアリ」内の警備体制を確認したいと申し出て、これが受け入れられる。
霜月は確認には自分が行くと主張し、常守はこれを了承、自分は東京に残ってなぜ夜坂泉が東京に向かったのかを調査することにした。

霜月は宜野座、六合塚を連れ「サンクチュアリ」に夜坂泉を連行する。
そこの職員たちはいかにも霜月たちを歓迎していない態度を取り、さらに現地の潜在犯に聞き取り調査を試みるも、全員が何かに洗脳されたような対応を取っていた。
そして職員たちは、その異常な雰囲気を隠そうともしない。
違和感を感じながらまったく調査が進まない中、夜坂泉が隙を見てまた逃げ出してしまい、夜坂泉を逃がした事で六合塚が捕われてしまった。
霜月と宜野座は六合塚を案じつつも、逃げた夜坂泉を追いかけた。

ストーリー的には可もなく不可もなく、と言ったところか。
前作は海外逃亡した狡噛慎也を登場させるためだけに、シビュラシステムを海外に輸出するという強引な設定で展開した。
輸出して悪用される可能性があればテーマはなんでもよく、シリーズのキモであるシビュラシステムである必要性がないため、特に後半はかなりグズグズなストーリーになってしまった。
しかし今回は、シビュラシステムをメインに据えた設定となっており、そこに霜月と宜野座をフィーチャーした作品になっている。
ただストーリー全体としては、途中で結末がわかってしまい、あまり深みがない。
一応前作よりは、シビュラシステムありきの設定になってはいるものの、これが絶対に他のテーマに置き換え不可能かと言えば、必ずしもそうではない。
そういう意味では、観終わった後ややモヤモヤした部分も残る。
だが、3部作の第1部と考えればまずまずの出来と言っていいだろう。

とりあえず、第2部、第3部に期待することとしたい。


9.PSYCHO-PASS SS Case.1「罪と罰」



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噛まれると伝染するという、典型的なゾンビ映画である。
しかも女子高生が学校に閉じ込められるという設定は「セーラーゾンビ」と一緒だが、原作はこちらの方が先にスタートしたようだ。
ただいずれにしろ既視感は免れられない。
それでもなぜ、今この映画を製作したのか不思議だったのだが、どうやら秋元康企画のアイドル番組出身者を出演させる事ありきで制作されたようだ。

巡ヶ丘学院高等学校に通うくるみ(阿部菜々実)は陸上部に所属し、OBの先輩に憧れていた。
ある日ケガのため保健室で手当をしてもらっている時、保険医の佐倉慈(さくらめぐみ、おのののか)に先輩について相談をした。
その時ベッドで授業をサボっていたゆき(長月翠)がくるみの恋バナを盗み聞きしていたのだが、その事で二人は仲良くなる。
また慈は園芸部の顧問をしており、そこの部長のゆうり(間島和奏)も含め、「学園生活部」を作り学校で生活を始めた。
朝起きてから屋上の農園で収穫をし、みんなで朝食を食べる。
授業を受けて放課後はそれぞれ別の部活にも参加していた。
しかしそれはゆきの妄想であった。

学校周辺はなぞのウィルスに襲われ、教師も生徒も次々とゾンビになっていった。
ゆきはその状況を受け入れることができず、妄想の世界に逃げ込んでいた。
くるみとゆうりもそんなゆきに合わせていたのだ。

ゾンビは音に敏感だが、通常は攻撃的ではなくウロウロしているだけだ。
3人は身を護るエリアと食料や生活物資を確保していたが、新たに物資を捜索している時に、別の棟で一人で生き延びていたみきを救出する。
みきは3人に合流するものの、妄想に逃げ込んでいるゆきの状況を理解できなかった。
そしてこのままではいずれ食料も尽きるのだから、学校外に逃げた方がいいと主張する。
くるみとゆうりは、ラジオもインターネットも不通の状態で、どこまでウィルスが蔓延しているかわからないから、食料があるうちは学校に留まった方がいいと主張する。
しかしみきは職員室で教員が使っていた車の鍵を発見すると、一人でその車で脱出しようと表に出る。
何もわかっていないゆきも、みきの後を追って校舎の外に出るが、ゾンビに見つかって二人は窮地に陥ってしまう。

ズバリ言って、完全なC級映画である。
映画館で観るというよりは、ファンがDVDで観るべき映画と言った方がいいだろう。
ストーリーも目新しい部分はまるでない。
ただ、TOHOシネマズで出演者の舞台挨拶もあったので、出演者は人気があるのかもしれない。
そして低予算、かつ広げることが難しいストーリー展開の中で、演技と演出はそこそこ頑張っていたと思う。
妄想に逃げ込むムードメーカーのゆき、皆を護る立場のくるみ、皆を気遣うリーダーのゆうり、最後に加わる下級生のみきと、4人のキャラクターをきちんと描き分け、かつ演じていた。
荒廃した学校の描き方も丁寧だったし、エキストラのゾンビの動きも素人臭くはなかった。
とは言え、やはりC級レベル以上ではない。
「セーラーゾンビ」のように深夜のTVドラマで放送していたら、そこそこ評価されたのではないかと思う。


8.がっこうぐらし!


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今回のギンレイは中東で制作された2本。
レバノンが舞台の「判決、ふたつの希望」はすでに観ているのでスルー。
イスラエルが舞台の「運命は踊る」だけ観た。

来客の対応のため、家のドアを開けた妻のダフナがいきなりその場で倒れた。
ミハエルが様子を見に行くと軍の関係者が立っていて、従軍している息子のヨナタンが戦死したと告げる。
ミハエルは動揺しながらも、入院中の母にも報告に行く。
妻は立ち直る気配も見せず、ミハエルは軍の人間から事務的に葬儀のダンドリを伝えられるが、悲しみを抑えることはできない。
ところがそんな時、戦死したのは息子ではないことがわかる。
一瞬安堵したものの、夫婦は誤報に怒り、すぐに息子をテルアビブに戻すよう要求する。

ヨナタンが着任していたのは、裏さびれた街道の検問だった。
同じ年頃の若者4人で通行人のチェックをするのだが、身分証の写真をチェックする機械は旧式、そもそも検問を通過する人間は1日数人だけ、まるで緊張感のない現場だった。
4人が寝起きするコンテナも傾き始め、いずれひっくり返りそうだ。
とても従軍の任務とは思えない状況のなか、4人の若者は同じ毎日を繰り返していた。

監督はデビュー作で評価をされ、この作品は2作目だそうだ。
しかしハッキリ言って、退屈以外の何物でもない作品だった。

上映時間は112分だが、内容的には60分で十分だろう。
特に前半の、息子の戦死の報を受けたミハエルが、自分を見失うシーンが不必要に長い。
トイレのシーンを真上から撮影するなど、あまり意味のない技法も目立った。
ミハエルが母親(ヨナタンの祖母)に報告に行くシーンも、それ以前のミハエルと母親の関係が語られていないため、意味なく長く思える。

おそらく中盤の、着任地で何もすることがないヨナタンの描写と対比させたかったのだろう。
だが私は逆だと思う。
自分を見失うミハエルをテンポよく激しく描いた方が、着任地のヨナタンの時間が止まったような空間が、より引き立ったと思う。
ストーリーも監督の実体験をベースに作られたらしいが、これまでの映画でもよくあるパターンで特筆すべき点はない。
唯一の見所はヨナタンが勤務する退屈な検問所のシーンなのだが、それだけであれば前後のストーリーを含めて60分で十分だったと思う。

後半は持ち直すものの、とにかく前半がダラダラと長すぎてその時点で飽きてしまった。


7.運命は踊る


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第42回日本アカデミー賞の優秀賞が発表された。
今年もオレ的最優秀賞予想をしてみたいと思う。

まず作品賞だ。

◎「カメラを止めるな!」
 「北の桜守」
 「孤狼の血」
 「空飛ぶタイヤ」
○「万引き家族」

観たのは「空飛ぶタイヤ」を除く4本で、普通に考えれば「万引き家族」だろう。
日本アカデミー賞は海外の賞を受賞した作品が、圧倒的に強い傾向がある。
個人的には、外国人が持つ日本人観によって受賞した映画が必ずしも面白いとは思わないが、この「万引き家族」は日本人でも面白いと思わせる映画であった。
ただ、ラストがあまりにも現実的過ぎて、逆にちょっと攻めすぎたかな、と言う気がしないでもない。
フィクションにありがちの、「ありきたりの未来の希望」が見えないという点がこの映画の良いところでもある。
しかし映画全体に厳しい現実が見え隠れしてているので、まとめ方が甘いという評価が出ることも覚悟の上で、ラストはわずかでも希望的な光を入れて欲しかったなと、個人的には思う。
一方「カメラを止めるな!」は完全なエンターテイメント作品で、やや粗削りな部分はあるものの、役者の演技力も含めて、低予算の中でここまで作り込んだという勢いは評価できる。
制作方法も含め、まったくカテゴリーの異なる作品で、どちらが最優秀賞をとってもおかしくない。
そうなると「どちらが好きか」と言う判断になるため、予想も難しくなるのだが、個人的には「カメラを止めるな!」の方が好きなのでこちらを本命とする。
ちなみに「孤狼の血」も非常に完成度の高い作品ではあるが、内容がかなりハードなため最優秀賞には選ばれないだろう。


続いて監督賞。

 上田慎一郎:「カメラを止めるな!」
◎是枝裕和:「万引き家族」
▲白石和彌:「孤狼の血」
 滝田洋二郎:「北の桜守」
 本木克英:「空飛ぶタイヤ」

優秀賞は作品賞と同じ顔並びである。
作品としては「カメラを止めるな!」の方が面白いと思うが、やっぱり粗削りな部分は否めない。
発想と低予算で作り上げた勢いの部分が評価されるかもしれないが、個人的には作品の作り込みという点でこちらは是枝裕和が本命。
完成度の高さと言う部分では、「孤狼の血」の白石和彌が選ばれる可能性もゼロではないかなと思う。


脚本賞も作品賞、監督賞とまったく同じ顔ぶれだ。

 池上純哉:「孤狼の血」
 上田慎一郎:「カメラを止めるな!」
◎是枝裕和:「万引き家族」
 那須真知子:「北の桜守」
 林民夫:「空飛ぶタイヤ」

この3賞がまったく同じ顔ぶれと言うのは、ちょっと記憶にない。
個人的には「勝手にふるえてろ」や「日日是好日」が入ってきても良かったんじゃないかな、と言う気もする。
とは言え、いずれにしろこちらもきっちりまとめ上げている是枝裕和が最優秀賞だろう。
「カメラを止めるな!」は勢いの映画なので、監督賞はあっても脚本賞の最優秀賞はちょっと難しいと思う。


次に優秀主演男優賞

 岡田准一:「散り椿」
 舘ひろし:「終わった人」
 濱津隆之:「カメラを止めるな!」
◎役所広司:「孤狼の血」
○リリー・フランキー:「万引き家族」

「終わった人」以外の4作品は観ているが、この中では役所広司が有力だと思う。
演技力と言う点では、リリー・フランキーがこの作品で最優秀主演男優賞をとってもまったくおかしくないのだが、果たして「万引き家族」の中でリリー・フランキーが主役と言えるかどうかは、やや疑問だ。
「万引き家族」は家族全員が主役のようで、脇役のようでもある。
一方「孤狼の血」では、役所広司が壮絶な生き方の主人公を演じていた。
主役のインパクトで言えば、断然役所広司である。


続いて優秀主演女優賞

 安藤サクラ:「万引き家族」
◎黒木華:「日日是好日」
 篠原涼子:「人魚の眠る家」
○松岡茉優:「勝手にふるえてろ」
 吉永小百合:「北の桜守」

この部門は5作品すべて観ている、そして普通に考えれば安藤サクラだろう。
だがこちらも、安藤サクラが主役と言えるかどうかは少々微妙だ。
リリー・フランキーよりは主役と言えるとは思うが、やはりちょっと弱いと思う。
一方、「日日是好日」の黒木華は良かった。
20歳から40代までを演じていて、まったく無理がない。
黒木華の演技力を見せつけられた作品だ。
「勝手にふるえてろ」の松岡茉優も、個人的には良かったと思う。
こじらせ系女子の演技が絶妙だった。
最優秀賞は、できればこの二人のどちらかに取ってほしいと思う。
ちなみに篠原涼子が「人魚の眠る家」で優秀主演女優賞を受賞しているが、個人的には「SUNNY 強い気持ち・強い愛」の方が良かったようにも思う。


続いて優秀助演男優賞。

 岸部一徳:「北の桜守」
 ディーン・フジオカ:「空飛ぶタイヤ」
 西島秀俊:「散り椿」
 二宮和也:「検察側の罪人」
◎松坂桃李:「孤狼の血」

「空飛ぶタイヤ」は観ていないが、松坂桃李で鉄板だ。
主役の役所広司に負けずとも劣らぬ演技を見せていた。
この部門は対抗もなしとする。


続いて優秀助演女優賞。

○樹木希林:「日日是好日」
◎樹木希林:「万引き家族」
 篠原涼子:「北の桜守」
 深田恭子:「空飛ぶタイヤ」
 真木よう子:「孤狼の血」
 松岡茉優:「万引き家族」

この部門は樹木希林で鉄板なのだが、どちらの賞で受賞するかはやや難しい。
「日日是好日」のお茶の先生はいかにも樹木希林らしい役で、劇中のセリフがすべて樹木希林自身の言葉ではないかと思えるほど、含蓄があった。
だが、映画の中での存在感と言う面では、やはり「万引き家族」か。
樹木希林は、撮影した日時の時系列で言えば、ドイツ人監督の作品が遺作となるはずだが日本では公開日が決まっていないようだ。
そうなると昨年の冬に最後のシーンを撮影した「万引き家族」が遺作となる。
その部分も含めて「万引き家族」本命が妥当な線だろう。


次に優秀アニメーション作品賞。

 「ドラゴンボール超(スーパー) ブロリー」
◎「ペンギン・ハイウェイ」
 「未来のミライ」
 「名探偵コナン ゼロの執行人(しっこうにん)」
 「若おかみは小学生!」

観ているのは「ペンギン・ハイウェイ」と「未来のミライ」。
細田守はこれまで手がけた長編作品で、日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞受賞率100%(第一回作品の「ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島」の時は、まだ日本アカデミー賞にアニメーション作品賞部門がなかった)であり、普通に考えれば「未来のミライ」だろう。
実際、ここ数年の細田作品の中では悪くない出来だった。
ただタイトルと内容のギャップが大きく、個人的には観終わった後にやや肩透かしを食らったような感触を覚えた。
この作品の主役は間違いなく「くんちゃん」で、ミライは完全に脇役である。
脇役の名前がタイトルの映画と言うのは、どうもしっくり来なかった。
一方「ペンギン・ハイウェイ」は、先日「熱帯」が直木賞候補になった森見登美彦が原作だ。
私は森見作品を一作も読んだことがないのだが、独特の世界観でアニメと言えども映像化はかなり難しいのではないかと思われる。
実際「夜は短し歩けよ乙女」は、すでに森見作品をアニメ化した実績がある湯浅政明が監督し、やはり森見作品の実績があるヨーロッパ企画の上田誠が脚本を担当したにも関わらず、かなりグダグダの作品になってしまっている。
しかし「ペンギン・ハイウェイ」はグダグダ感なくきちんとまとめられており、おそらく原作の持ち味をかなり生かしたファンタジー作品になっていた。
個人的には、「ペンギン・ハイウェイ」の方が完成度が上だと思うので、期待を込めて対抗なしの本命にする。


最後は優秀外国作品賞。

 「グレイテスト・ショーマン」
 「シェイプ・オブ・ウォーター」
◎「スリー・ビルボード」
○「ボヘミアン・ラプソディ」
 「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」

興行収入から考えれば「ボヘミアン・ラプソディ」で決まりだ。
2018年のうちに、「グレイテスト・ショーマン」を抜いて2018年公開洋画の興行収入ランキング2位になっている。
実際完成度も高く素晴らしい映画だった。
だが個人的にはやはり「スリー・ビルボード」を推したい。
ストーリーはやや重めであるが、人間の感情の機微の描き方が秀逸だ。
映画好きならこちらを選ぶのではないかと思う。


例年通り、新人俳優賞は最優秀がない。

上白石萌歌:「羊と鋼の森」
趣里:「生きてるだけで、愛。」
平手友梨奈:「響-HIBIKI-」
芳根京子:「累 -かさね-」「散り椿」
伊藤健太郎:「コーヒーが冷めないうちに」
中川大志:「坂道のアポロン」「覚悟はいいかそこの女子。」
成田凌:「スマホを落としただけなのに」「ビブリア古書堂の事件手帖」
吉沢亮:「リバーズ・エッジ」

ただこの中では、やはり欅坂46の平手友梨奈に注目だ。
その他の顔ぶれは、すでに役者としてかなり評価されている中、アイドルとして芸能界にデビューし、これだけの演技力を見せたことを個人的には評価したい。
今後どの道に進むのかわからないが、女優の道に進むのであれば期待が持てる。

最優秀賞の発表は3月1日。
結局「万引き家族」にもほとんど対抗の○印を打ってしまったので、おそらくほぼ当たるとは思う。
今年はあまり攻めた予想ができなかったが、作品賞、監督賞、脚本賞の5作品がすべて同じ顔並びという事を考えても、2018年は邦画がイマイチだった年とも言えるだろう。


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映画ファン待望の「ミレニアム」シリーズの最新作だ。
原作者の急逝で3部作で完結かと思っていたが、無事に第4部が発行され、第5部も出版予定、そしてまさかの第6部も計画されているらしい。

映画の方はスウェーデン版が3部まで公開され、ハリウッドリメイクもされ、こちらも3部作の計画だったようだが1作目以降は制作されていない。
ハリウッド版が1作で終了した原因は、おそらくスウェーデン版のノオミ・パラスのリスベットが強烈で、ハリウッド版のルーニー・マーラが今いちピンと来なかったためだろう。
実際私もそうだった。

新作は、リスベットをクレア・フォイが演じている。
ミカエルも含めて出演者は総とっかえなのだが、新作のためかハリウッド版ほどの違和感はなかった。
そのため非常に面白く観ることができた。

天才ハッカーのリスベットは前シリーズの後指名手配を受けていたが、得意のハッキング能力でストックホルム市内に潜伏をしていた。
そして相変わらず、女性の敵と思われる男たちに容赦ない制裁を加え続けていた。
そんなある日、リスベットの元に、NSA(アメリカ国家安全保障局)のサーバに潜入してあるプログラムを盗むと言う依頼が来る。
依頼者はプログラム開発者のフランス・バルデル博士。
プログラムは世界各国の核兵器発射コードにアクセスできる「ファイア・フォール」と言うプログラムだった。
バルデル博士はこのプログラムをNSAに渡したものの、事の重要性に気づき取り返すべきだと考えたのだ。

リスベットは早速NSAにアクセスしてプログラムを盗みに掛かる。
NSAのセキュリティ担当は、やはりかつて天才ハッカーであったカザレスだ。
リスベットの侵入に気付いたカザレスは必死に防御を試みるが、一瞬の差でリスベットにプログラムを盗まれてしまう。
カザレスはすぐにサーバの追跡を行い、プログラムを盗んだハッカーがストックホルムにいることを突き止めた。

一方プログラムを盗んだリスベットは、好奇心からプログラムを起動しようとする。
しかし当然パスワードが掛かっており起動できない。
そんな時、リスベットのアジトが突然何者かに襲われた。
リスベットはケガを追い、プログラムは盗まれてしまう。
アジトにいる事もできなくなったリスベットは、3年ぶりにミカエルに連絡を取った。

その後リスベットは、盟友のプレイグのもとに身を寄せる。
そこからバルデル博士がスウェーデン公安に匿まわれていることを突き止める。
パスワードを解除できるのはバルデル博士だけなので、彼を見張っていればプログラムを盗んだ者たちと接触できると考えた。

その頃、NSAのカザレスはストックホルムに降り立っていた。
しかしそこでスウェーデン公安にマークされ、勝手な行動をとれば逮捕すると警告されてしまう。
またミカエルは、防犯カメラに映った男たちが蜘蛛の巣の入れ墨をしていたことから、この一団がスパイダーズと名乗っていることを突き止める。
スパイダーズは逆らう者に容赦しない凶暴な集団で、その後ろにはロシア人がいることもわかった。
そこでミカエルは、リスベットの父親がかつてロシアのスパイであった事を思い出す。

前3部作は、第一部がミステリー、第二部がサスペンス、第三部が法廷劇と、それぞれカテゴリーが異なるという珍しい3部作であった。
そしてどの作品も、リスベットのキャラを前面に押し出して見応えのある作品になっていた。
今作品もリスベットを前面に押し出しているが、カテゴリーはアクション映画である。
リスベットが乗るドゥカッティはもちろん、ランボルギーニのカーアクションや格闘シーンなどもかなり見応えがあった。
ただ、ちょっとスパイ映画色が前面に出すぎているかな、と言う気もした。
まず、キーとなるのが核兵器にアクセスできるプログラムである。
「M:I」シリーズにも出てきそうなテーマで、ちょっと大味な感じもした。

とは言え、レギュラー陣のミカエル、プレイグに加え、バルデル博士とその息子アウグスト、カザレス、そして双子の妹カミラの使い方が巧い。
カミラは前シリーズの映画版には登場しておらず、映画を観ていた時には「おいおい双子の妹もいたのかよ」と、ちょっと強引な展開ではないかと思った。
しかし実は原作の第3部でリスベットの弁護士として登場しており、映画版には登場していなかっただけであった。
そして今作品ではカミラが、前シリーズの映画版に登場していなかった部分を巧く利用している。
逆に、原作の第四部では映画版のカミラの役をどう処理しているのか不思議に思った。

元々は原作者は5部構想で考えていたのだが、3部の執筆中に急逝してしまっている。
それでも原作は3部まで発行され、その後別の執筆者により5部まで発行されることが発表された(現在は6部まで予定されているらしい)
それを考えると映画もおそらく5部までは制作されるのだろう。
ただし、ハリウッド資本で制作されると、今回以上にスパイ映画色が強くなることも懸念される。
ここのところ「アトミック・ブロンド」や「アンロック/陰謀のコード」など女性エージェント物が多くなっているので、できればスパイ色を濃くせず、ミステリーかサスペンスに寄せた作品にしてもらいたい。


6.蜘蛛の巣を払う女


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「ロッキー」のスピンオフである「クリード」の最新作だ。
前作は日本では2015年の年末公開、2016年はここ数年の中でもずば抜けて素晴らしい作品が多い当たり年であったが、その中でオレ的ランクが3位だった。
ちなみに「この世界の片隅に」「君の名は」「シン・ゴジラ」などよりもランクは上である。
では新作はどうであったかと言うと、少々微妙な感じであった。

前作でチャンピオンのコンランに敗れたドニー(マイケル・B・ジョーダン)は、その後もフィラデルフィアにとどまりロッキー(シルヴェスター・スタローン)の指導の元、見事チャンピオンとなる。
そして恋人のビアンカ(テッサ・トンプソン)に求婚する。

そんな時、プロモーターがウクライナからあるボクサーを呼び寄せた。
クリードの父アポロを、かつて試合中に殺したイワン・ドラゴの息子、ヴィクター・ドラゴだった。
プロモーターはドニーにもロッキーにも知らせずにいきなり、ドラゴがドニーのベルトに挑戦を希望していると記者会見した。
動揺するドニーを、ロッキーは挑発に乗るなと諌める。
しかし父を殺した宿敵の親子からの挑戦を、ドニーは見過ごすことができなかった。
ロッキーに断られたドニーは、練習拠点をカリフォルニアに移し、かつて父が所属したジムでトレーニングを開始する。
そしてタイトルマッチに挑むのだが、見るからに体格差のあるドラゴから、ドニーは滅多打ちでボコボコにされてしまう。
ドニー同様血気盛んで試合に挑んでいたドラゴが、ダウンしたドニーにパンチを見舞ったため試合はドニーの反則勝ちとなったものの、ドニーはろっ骨を折られ腎臓も損傷して病院送り、試合は完全にドラゴの勝利だった。

「ロッキー」シリーズで一番ポイントとなるのが、ロッキーが試合に挑むモチベーションである。
「1」「2」はアポロとの対戦という大きなモチベーションがあったが、チャンピオンとなった「3」あたりから苦しくなってくる。
「4」ではアポロを殺してなんとか体裁を整えるものの、「5」は完全にグダグダ状態だった。
そこから「ファイナル」では、愛する家族を失い自分探しのためにリングに上がるという、カネでも名誉でもないモチベーションが用意され、これは成功した。

そして前作の「クリード」は、ドニーの出生とアポロの妻メアリー・アンの深い愛情を利用し、非常に巧くドニーのモチベーションを表現していた。
自分を快く養子に受け入れてくれた母に深く感謝し、そして母が心から愛した父親の活躍を知るごとに父親への敬愛も深まり、同時にボクシングへの断ち切りがたい魅力を感じていく。
ドニーのモチベーションにはまったく無理がなかった。
だが本作は、前作ほどこのモチベーションが巧く機能していない。

以前のロッキー同様チャンピオンになったクリードは、迷いながらも母親のいるカリフォルニアに拠点を移す。
そしてビアンカと結婚し、子供ができる。
父を殺した親子が登場することで、ドニーのモチベーションは一気に上がるものの、それはボクシングへのモチベーションではなく父親の敵討ちというモチベーションだ。
頭に血が上った状態で試合に挑むもののドラゴにボコボコにされ、モチベーションは一気にしぼんでしまう。
この時の、ドニーの迷いは非常に巧く描けていると思う。
しかし逆に、このドニーの迷いがやや教科書的であり、その後の展開も容易に想像ができてしまった。
次の展開がわかっていも感動が生まれるのが「ロッキー」シリーズなのだが、ドニーがあまりにも優等生なので、のめり込んでの感情移入ができない。
一言で言うと、脚本を綺麗に作り過ぎているような気がする。
ドニーが自棄になってビアンカや母親に暴言を吐いたりするようなちょっとダメなキャラであれば、再びトレーニングに向かう姿にもっと感情移入しやすかっただろう。
しかしドニーの行動を見ていると、たぶん自分の立ち位置に自分で気付いてトレーニングを開始するんだろうな、この男なら、と思わせてしまう。
後半のロッキーとのトレーニングシーンは非常にハードで見応えもあるのだが、ドニーなら当然耐え抜くよね、とも思えてしまった。

それでも、ラストもきちんとまとめられ、映画としては完成された作品ではある。
普通に満足する人も多いだろう。
ちょっと私が観に行く前にハードルを上げ過ぎてしまったのかな、とも思う。


5.クリード 炎の宿敵


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年の初めに放送された「ナウシカ」を録画して見る。
すでに何十回も書いているが、「カリオストロの城」「ナウシカ」「ラピュタ」がTV放送された時は、どんな状況であっても録画して見ることにしている。

もう何度見たかもわからないほど見ているナウシカだが、何度見ても見飽きることはない。
この映画が公開されたのは1984年夏、今から35年近くも前だが、ストーリーも作画もまったく古いと思わせない。
むしろ構図や音楽などは、今もってこの映画を上回る作品はそれほど多いとは言えない。

音楽は言わずと知れた久石譲だ。
宮崎作品の常連もこの作品が初参加らしい。
楽器にはそれほど詳しくないが、舞台となる中央アジアから東欧をイメージする曲調と、それに合わせた楽器が用いられて臨場感を高めている。

そして今回初めて知ったのだが、「金田パース」という独特の作画法でマニアには人気だった金田伊功と言う人が作画を担当している。
たしかに、壮大な腐海の奥行や疾走する王蟲の迫力、そしてメーヴェが乗る風さえも見えてくるような見事な構図が、この作品の魅力でもある。
この金田と言う人は「もののけ姫」までジブリ作品を担当したらしいが、たしかにその後の「千と千尋の神隠し」から、いきなり構図にスピード感と迫力がなくなったようにも思える。

また色遣いも素晴らしい。
王蟲の目を攻撃色の赤と正常時の青に描き分け、青はそのまま腐海の静謐さ、赤はクライマックスの戦闘シーンの象徴となっている。
そしてラストは黄金の草原だ。
宮崎駿が意識したとは思えないが、その色遣いは補色を好んで多用したゴッホのそれにも似ている。
アルルの明るい太陽の赤、静謐な星月夜の青、そしてひまわりや麦畑の黄色、どれもこの作品の色遣いに近しく感じる。

宮崎作品には欠かせない、強いリーダシップを発揮する女性キャラが前面に出ている点も人気の要員だろう。
もちろんナウシカではなくクシャナだ。
宮崎作品の中では「ラピュタ」のドーラ、「もののけ姫」のエボシ御前と並ぶ、三大カリスマ女性キャラである。
抜群の頭脳を使い、従う者を決して裏切らない卓越した決断力、そしてその行動原理の根底にはブレない「彼女なり」の正義がある。
ちなみにクシャナの声を演じているのは、後に「Zガンダム」でハマーン・カーン役を演じる榊原良子だ。

一説によると、今回放送した「金曜ロードSHOW!」枠では、前身の「金曜ロードショー」まで含むと18回目の放送で、最多放送回数となるらしい。
それでも視聴率は10.4%だった。

今年の年末には、原作版を基にした新作歌舞伎も上演されるらしい。
50年を超える人生で歌舞伎は一度も観たことがないが、これは非常に興味深い。
宮崎駿亡き後に原作版が新作アニメ化されるという実しやかな噂が何十年も流れているが、もし本当に制作されたとしても、この映画を制作したスタッフも多くが鬼籍に入り、当時のクォリティを再現することはできないと思うので、むしろ歌舞伎版を観た方が楽しめるんじゃないかと言う気もする。


4.風の谷のナウシカ(再)

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前作はそこそこ面白かったので、今回もその程度の期待で観に行った。
だが予想を大幅に上回る面白さだった。

リトワクの経営するゲームセンターは、古いゲームも多いが地元の子供には人気だった。
ゲームのキャラは電源コードを使って行き来をし、交流も生まれ楽しく暮らしていた。
特に「ドンキー・コング」型ゲームの悪役キャラのラルフと、レーシングゲームのプリンセスであるヴァネロペは前作から大親友になっていた。

ある日、自分のレースコースに飽きたというヴァネロペのために、ラルフは新しいコースを作るのだが、それが原因でゲームのハンドルが壊れてしまう。
生産したメーカーはすでに倒産し、取り寄せることができない。
オークションで検索しても200ドルもするため、リトワクは修理を諦めてしまった。
このままではゲームは廃棄され、ヴァネロぺたちは行き場をなくしてしまう。
ラルフとヴァネロぺはインターネット回線に入り込み、そこでゲームのハンドルを捜すことにした。
だが二人はこれまでゲームセンターで暮らしたことしかなく、インターネットの世界では完全に御上りさんだった。
なんとかハンドルを捜してオークションに参加するものの、良くわからず27000ドルと言うとんでもない価格で落札してしまった。
24時間以内に入金しないとオークションは無効になってしまう。
二人は仕方なく、オンラインの世界で賞金を稼ぐ事にした。

ヴァネロぺが選んだのは、「スローターレース」と言うゲームのカリスマキャラ、シャンクが所有するレーシングカーを盗む事だった。
シャンクのレーシングカーは所在を捜しあてるのさえ難しく、さらにそこからシャンクとのレースで勝たないと手に入れることができない。
ヴァネロぺは持ち前のレーシングテクニックで見事盗み出しそうになるのだが、ゲームから抜け出る一歩手前でシャンクにつかまってしまう。
しかしヴァネロぺのレーシングテクニックに一目置いたシャンクは二人を許し、さらにラルクのおもしろ動画でオンライン内で稼ぐ方法を教えてくれた。
そして二人に、動画をバズらせる達人バズ・チューブも紹介してくれる。
ラルクはバズ・チューブに言われる通り動画を作り、コツコツ稼いで資金を貯めるのだが、その一方でヴァネロぺは「スローターレース」の魅力が忘れられなくなっていた。

前作はゲームを主題としており、「ストII」や「パックマン」など懐かしのゲームキャラがふんだんに登場し、楽しませてくれた。
そして今回は舞台をオンラインの中に移しているのだが、このオンラインの世界観の擬人化が秀逸だ。
まず、なんでも教えてくれる検索エンジン「ノウズモア」が登場する。
「ハンドル」を捜していると伝えようとして「ハン」と告げるだけで、予想入力で頭に「ハン」が付く単語を次々に叫びだす。
検索エンジンの予想入力は時にはウザいだけだったりするのだが、そのちょっとウザい感じの表現が巧みで笑ってしまった。
その他、バナー広告やオークションサイトからの告知メールの擬人化、動画サイトの「いいね」の集め方など、非常にわかりやすく表現されている。

また、ディズニー・プリンセスのイジり方にも笑った。
突然歌いだすプリンセスを見てヴァネロぺが上を見上げ、「なんで突然あの人にスポットライトが当たるの?」と聞くと「それがディズニー・プリンセスでしょ」と言う答えが返ってくる。
そして何人もいるディズニー・プリンセスの中で、メリダだけがやや他のキャラと異なるリアクションを取ると「あの娘は制作スタジオが違うから」と言われてしまう。
ちなみにディズニー・プリセンスはこれまでの吹き替えをそのまま揃えており、メリダは大島優子、ラプンツェルは中川翔子、アナは神田沙也加でエルサは松たか子だった。
ちなみにディズニー・プリンセス以外も、バズ・ライトイヤーは所ジョージでC-3POもEP1~3と同じ声優だった。

google、e-bay、Amazonなど、実際の企業名とロゴがそのまま使用されており、よく怒られなかったなと言う部分もある。
かなり笑えるシーンも多く、老若男女におすすめできる映画である。


3.シュガー・ラッシュ:オンライン


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月刊誌だった「ぴあ」が隔週刊になった1980年代前半、毎号購入してINDEXページを見ると、必ず都内のどこかの名画座で上映されていたのが「スタア誕生」だ。
その「スタア誕生」のリメイクである。
調べてみると、前作が2回目のリメイクで今回は3回目、つまり4回目の映画化という事になる。
「ぴあ」では「スタア誕生」と表記されていたが、3作目は「スター誕生」で今回も「ア」ではなく「ー」の表記になっている。
ひょっとすると私が「ぴあ」のINDEXで見たのは1もしくは2作目だったのかもしれないが、今となってはわからない。
そのタイトルはゲップが出るほど見ていたが、実際の映画は観たことがなかった。
ストーリーは元々映画スターを目指す女優の話だったものが、3回目から歌手の物語に変更されたとの事だ。
今回はその主役をレディ・ガガが演じている。

アリー(レディー・ガガ)はホテルのレストランに勤務し、それと並行してオカマの経営するバーでドラァグ・クィーンと一緒に歌を歌っていた。
歌手を目指しているものの、厳格な父親はそんな夢がかなう訳がないと否定的だ。
ある晩、カントリー歌手のジャクソン(ブラッドリー・クーパー)が公演終了後にバーに行くと、偶然ステージで歌っていたアリーを見かける。
アリーの歌唱力にほれ込んだジャクソンは彼女をスカウト、次の自分のライブのステージで彼女と一緒に歌う事にした。
アリーはとまどうもののステージは大成功、その後もジャクソンはツアーにアリーを同行させ、アリーは一躍スターダムに昇りつめた。

その後二人は結婚するのだが、ジャクソンには酒による持病があった。
元々は兄を目指してミュージシャンとなったのだが、その兄は今は自分のマネージャーとなり関係はギクシャクしている。
そして自分たちが育ち、父親の墓がある土地の管理を兄に任せていたのだが、兄がその土地を無断で売却していたことを知り、兄弟の仲は完全に亀裂が入ってしまった。
さらにアニーの人気が上がり、カントリーではなくポップシンガーとして独り立ちすることにいらだちを感じ始めていた。
ジャクソンの酒量はさらに上がり、歌えないどころか施設に入ることになってしまう。
アリーはそんなジャクソンが心配でならないのだが、周囲は二人を引き離そうとした。

映画を観る前は、アリーがスターになるサクセスストーリーかと思ったが、実際にはそうではなかった。
一言で言えば、深い愛情のラブストーリーである。
前作は高い評価を得たようだが、個人的にはこの作品は今一つ感情移入ができなかった。

まず、レディー・ガガの顔が濃すぎて、冒頭のバーで歌っているシーンでは、実はアリーもドラァグ・クィーンなのではないかと思ってしまった。
そのためそこそこ中盤まで、アリーが叶わぬ恋心を抱くストーリーなのかと勘違いしてしまった。
そして、ツアーやコンサートのシーンは「さすがレディー・ガガ」と言う圧巻の歌唱力なのだが、逆にそのシーンの印象が強すぎてしまう。
魂の行き着く場所をなくし、どんどん追い込まれるジャクソンに感情移入できそうな展開なのだが、レディー・ガガのインパクトが強くてすんなり感情移入することができなかった。

歌が堪能できるという意味では、レディー・ガガのファンにはおススメできる作品だ。


2.アリー/スター誕生


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今年初の映画は「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」。
実話を基にしている作品という事だが、観ていてちょっと微妙かなと思った。

喫茶店でバイトをする美咲(高畑充希)には、いずれ実家の病院を継ぐ予定の医大生田中(三浦春馬)と言う恋人がいた。
しかし田中はボランティアが忙しく、なかなか会ってくれない。
美咲がボランティアの現場に行くと、田中は筋ジストロフィーを発症し、24時間介護が必要な鹿野(大泉洋)の面倒を見ていた。
鹿野は一人暮らしをしており、数人のボランティアグループが交代で彼の面倒を見ていた。
しかも鹿野は介護をしてもらう立場なのにわがまま放題、たまたま田中の様子を見に来た美咲を気に入ると、勝手にボランティアメンバーに組み入れてしまう。
田中から頼まれ、美咲は渋々ボランティアに参加するのだが、鹿野のあまりにも横暴な態度にブチ切れてしまう。
美咲を一方的に気に入っていた鹿野は、田中に仲直りを依頼する。
田中、美咲、鹿野、そして古くからのボランティアメンバーの高村(萩原聖人)でジンギスカンのBBQに行くのだが、そこで鹿野は大便をもらしてしまう。
美咲の前で粗相をしてしまい落ち込む鹿野だが、美咲はそんな鹿野の人間らしさにひかれ始める。

その後は、美咲も鹿野の介護に参加する。
そしてある日、田中の家に遊びに行く話が持ち上がるが、田中に対して自分が教育大生とウソをついていたことを打ち明ける。
突然の告白に田中は驚き、二人の間に溝ができてしまう。
一方鹿野は、美咲と田中が付き合っていることに気付かず、少しずつ美咲への思いを強くしていく。
美咲は鹿野に対して恋愛感情がある訳ではないが、彼が母親の重荷になりたくないが故にボランティアに依存している事、彼の母親が鹿野を丈夫に生めず自責の念を感じ、ボランティアに対して非常に感謝していることなどを知り、生活を鹿野のボランティア中心に変えていく。
そんな中、二人きりの時に美咲は鹿野が隠し持っていたAVを見つけ、微妙な空気になってしまう。
その事を鹿野が田中に、「もう少しでベッドインできたかも」と告げたため、美咲と田中はさらに微妙な関係になってしまう。

鹿野はその後も自由に生活をするのだが、病状は少しずつ悪化し、呼吸器を付けなければならない状況になってしまう。
呼吸器を付けると喉を切開することになり、会話もできなくなる。
会話力だけが強みである鹿野にとって、呼吸器を付けることは受け入れがたい。
田中が実家の病院に頼みこみ、鹿野は呼吸器以外の方法で入院をするのだが、目標である英語検定の試験を強硬に受験するため、田中の実家の病院を飛び出してしまう。
だがその事が裏目に出て、鹿野は呼吸器を付けることになってしまった。

筋ジストロフィーを発症した実際の人物を取材した、ノンフィクションが原作である。
おそらくこの作品も、ほぼ事実が基になっているのだと思う。
鹿野は残りの人生が少ないため、とにかく自分の希望を実現しようとする。
ボランティアもその彼の望みをかなえようと必死だ。

事実を基にしているのだから、そこに意図的なものは存在しないのだとは思う。
ただ観ていて、この映画が素晴らしい社会の目標だと勘違いしてしまう人もいる可能性があり、それはかなり危険だなと思った。

この物語の主人公の人となりは、演じる大泉洋の演技でしか知り得ることができない。
映画を観る限り、おそらく魅力的な人物なのだろう。
しかし障害者がすべて、魅力的な人柄であるとは限らない。
教員養成系の大学に通っていたため、障害者のボランティアについてはいろいろと耳にする機会も多かったが、障害を持ったことで、単純にわがままになる人も少なくないと言う。
大学入学時に意欲を持ってボランティアを始めたものの、自分が描いていた想像とのギャップに苦しみ、ボランティアを辞めたという友人も、一人や二人ではなかった。
この映画でも少々触れられているが、特に性欲の処理に関しては非常に難しい問題だと聞く。
障害者を介護するボランティアは、綺麗ごとでは済まされない世界なのだ。

この映画自体も、教条的に障害者のボランティアを称賛している訳ではなく、そう見えないように気を使って作られていることもわかったが、それでも障害者のボランティアを良く知らない人にとっては、勘違いしてしまう要素がかなり多かったと思う。

大泉洋と高畑充希の演技が素晴らしく、映画としてはまずまず面白い作品であったが、反面生々しいエピソードも少なくなく、観ている者が勘違いをするんじゃないかと少々心配になってしまった。


1.こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話


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