カテゴリ:映画( 1187 )

ロビン・ウィリアムズやキルスティン・ダンストが出演していた往年の名作「ジュマンジ」が、TVゲームとして帰ってきた。

スペンサーはゲームオタクの高校生だ。
小さいころに仲の良かった幼馴染のフリッジはアメフト部の有力選手となり、今はあまり仲が良くない。
それでも昔ながらの付き合いで、スペンサーはフリッジの課題を彼の代わり作成するのだが、学校に見破られて呼び出しを受けてしまう。
ベサニーはSNSで自分をかわいく見せることを何よりも大切としており、試験中にTV電話で親友と話しているところを見つかり、やはり呼び出しを受ける。
マーサは勉強はできるが運動は苦手、体育の教師に向かって「体育に力を入れても大学には受からない」と言い放ってしまい、こちらも呼び出しを受けることになた。
ペナルティを課せられた4人は、地下の部屋でTVゲームを見つける。
そしてスイッチを入れると、TVゲームの中に吸い込まれてしまった。

ゲームの中はジャングルだった。
スペンサーは無敵のマッチョ博士ブレイブストーンに、フリッジは戦闘能力が滅茶苦茶低く、ブレイブストーンの助手的存在のスモルダーに、マーサは女性ながら格闘技の天才ルビーに、そしてベサニーは小太りのシェリー博士になっていた。
訳のわからない4人はゲーム内の敵に追われて逃げている最中に、案内人のナイジェルと出会う。
ナイジェルはプログラムされた言葉しかしゃべれないが、彼によるとジュマンジの世界は呪われており、その呪いを解くために宝石をジャガーの像に戻さなければならないと言う。
4人は仕方なく、宝石をジャガーの像に戻す旅に出る。

前作の「ジュマンジ」はすごろくゲームだった。
そのため舞台の基本は現代のアメリカ、そこにジャングルの生き物が現れパニックになるという設定で、普通に生活している人たちも巻き込まれるという面白さがあった。
そのジュマンジが、1996年の世界で自らをTVゲームのカセットに変更する、という設定は面白かった。
だがそのため、プレイヤーはジュマンジの世界の中で行動する事になる。
前作では家の中に突然ジャングルの動物が現れたり、道路を動物の大群が疾走するなどの面白さがあったが、今回の作品にはそれはない。
万能型、攻撃型、守備型などゲーム中のプレイヤーの個性と、ジュマンジの世界に閉じ込められたという部分をうまく使い、アクション部分がかなり作りこんだ冒険活劇作品になっている。
前作と比べてどちらが面白いかと問われれば、個人的には前作の方が笑える部分は多かった気もする。
しかしそれは単純にどちらが好きかという話であって、こういう冒険活劇の方が面白いという人もいるだろう。
ラストのまとめ方も教科書通りといえばそうかもしれないが、うまい落としどころにしている。

同じ原作者の「ザスーラ」も非常に面白かったので、できればこちらも現代版を作ってほしいと思う。


58.ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル


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元SMAPの稲垣吾郎、香取慎吾、草彅剛がそれぞれ1話ずつ主役となり、最後に3話がまとまるオムニバス映画である。
最近の日本のオムニバス作品としては、よくある展開の映画であった。

第一話では、稲垣吾郎が天才ピアニストゴローとなっている。
ある日ゴローは謎の女フジコ(馬場ふみか)と出会い、彼女はゴローに夢中になる。
そして、私と会いたくなったらこれを打ち上げてとゴローに花火を手渡した。
数日後、なぜかフジコの事が気になって仕方がないゴローは花火を打ち上げてしまう。
フジコはその時ヤクザのマッドドッグこと大門(浅野忠信)の女となっていたのだが、花火を見て喜び勇んでゴローの元に駆け付けようとする。

第二話は香取慎吾がアーティストとなる。
ある日謎の少女が現れるのだが、彼女は人の歌を食べる「歌喰い」(中島セナ)で、彼女に食われると誰もが歌を歌えなくなり、パニックになってしまう。
慎吾は彼女と暮らし始めるが、歌だけではなく絵画まで食べられてしまう。

第三話は、草彅剛が元ヤクザ役で出演している。
妻(尾野真千子)との仲は冷え切っているのだが、その原因は一人息子を亡くしたことだ。
ヤクザ時代に草彅が家族を顧みなかったため、妻は息子を溺愛していた。
しかし息子は死んでしまう。
息子は死後、その手を誰かに移植していた。
妻は移植された息子の手を探すと言い、草彅も彼女に付き合い旅を始める。

最後に、池田成志がショーの司会を務めるクラブで3つの話がまとまる。

どの話も異なる監督がテーマを持って制作し、最後にその話が集約する。
テレビ東京の深夜枠で展開するドラマのようでもある。
最近では「下北沢ダイハード」に近いかもしれない。

そしてどの話も面白い。
ただ、ハッキリ言ってしまうと、それ以上でも以下でもない。

映画やドラマ、演劇が好きな人、あるいは元SMAPの3人が好きな人なら楽しめると思う。
しかしフラットな視線で一つの映画作品として考えた場合は、特に目新しいものはない。
「クソ野郎と美しき世界」というタイトルも、どういう意図でつけられたのかもわからない。
2週間限定公開になっているのも、ファン向けに作られた作品だからかもしれない。


58.クソ野郎と美しき世界


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原作は直木賞候補にもなった石田江良の小説である。
石田江良と言えば、「池袋ウエストゲートパーク」や「4TEEN」のように若者に訴えかける作品が多いのかと思っていたが、この作品はかなりエログロの要素が多い作品であった。

大学生のリョウ(松坂桃李)はアルバイトでバーテンをしていた。
生きることに醒めていて、女性を抱いてもSEXに価値を求めることができなかった。
ある夜、幼馴染のホストシンヤ(小柳友)が御堂静香(真飛聖)という女性を連れてきた。
静香はリョウに興味を持ち、自分が経営する女性向けのデートクラブにホストとして登録しないかと誘ってきた。

リョウは迷ったが、静香に言われる通り客を取ることになる。
顧客は普通の主婦、エリートOL、夫が不能になった夫婦などさまざまであった。
また、リョウとともにVIP向けのホストとして登録されているアズマ(猪塚健太)も、異常な性癖を持っていた。
リョウはいろいろな顧客と向き合ううちに、自分にとってのSEXの意味を理解していくことになる。

元々は、松坂桃李主演で舞台にもなったようである。
生の舞台でどれだけの露出があったのかはわからないが、映画はかなり激しいSEXシーンが続く。
そのためレーティングはR18+だ。
静香の娘の咲良役は元AKB研究生の冨手麻妙だが、彼女をはじめ真飛聖以外の出演女優が激しいSEXシーンを演じている。
脱いでこそないが、御年75歳の江波杏子も絶頂に達する演技をしている。
正直、映画館で観ているとやや引いてしまうシーンも多い。

原作の持ち味を損なわないために、あえてSEXシーンは過激に攻めたのだと思う。
ただ、そちらが際立っているがために、ストーリー展開がやや淡泊に感じてしまった。
もう少し、リョウの内面を浮き彫りにする展開の方がよかったと思う。


57.娼年


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実際にインドの女子レスリング代表になった姉妹と、その指導者の父親を描いた作品である。

マハヴィルはかつてインドのレスリング全国大会で優勝した。
しかし父親から家族のために働けと言われ、泣く泣くレスリングの道を諦めていた。
そして自分の夢を、息子に託そうと考えていた。
しかしマハヴィルの子どもは、4人とも女の子だった。
さすがに4人目の子どもが女の子だった時には、マハヴィルは子どもをレスリング選手にすることを諦めかけた。
しかし長女のギータと次女のバビータは、男勝りでケンカも強かった。
そこでマハヴィルは、娘二人をレスリング選手にしようと考える。

娘二人は、最初は父親の言うことを聞いていたが、トレーニングのキツさにレスリングを辞めたいと考え続けていた。
だが父親は強硬で、妻にも1年間は口出ししないでくれと告げる。
娘は頭も丸刈りにされ我慢の限界に達するのだが、友達から「私は女の子だから14歳になったら口減らしで会ったこともない人と結婚させられる。あなたたちの父親はあなたたちの将来を考えてくれていてうらやましい」と言われ、そこから考えを変える。

マハヴィルは娘二人を土のリングの草試合に出場させる。
最初はバカにされるが、二人はメキメキと強くなり、やがて男相手でも負けなくなる。
そしてマットでの競技レスリングを教わると、長女のギータは全国大会でも優勝、ナショナルチームのトレーニングに参加することになった。
しかしそこで父親の方針と異なる教えを受けたギータは、意見の相違からマハヴィルとぶつかってしまうことになる。

実話をベースにしているだけに、ストーリーはよくある展開になっている。
だが、頑固一徹のマハヴィルのキャラにブレがないので、最後まで面白く観ることができる。
さらに、甥っ子のオムカルがお笑いキャラとなっているため、メリハリも効いている。
上映時間が140分とやや長いが、「巨人の星」的なスポ根親子愛が好きな人なら楽しめるだろう。


56.ダンガル きっと、つよくなる


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列車内を舞台にしたサスペンスである。
ややわかりづらい部分もあるものの、主役が追い込まれる設定がしっかりしているのでなかなか面白い作品に仕上がっていた。

マイケル(リーアム・ニーソン)は60歳で、かつては警官であったがここ10年は保険会社で営業を行っていた。
だがある日突然リストラにあってしまう。
子どもが学費の高い私立大学に進学予定であった事もあり、家族にどう話そうか悩んでいた。
そして帰りの電車に乗り込む際に、携帯電話もすられてしまう。
散々な目にあったマイケルの前に、見知らぬ女が現れた。
彼女は、この電車のトイレに2万5000ドル隠されている、そして列車が終点に到着するまでに鞄を持ったある人物を探せば、さらに7万5000ドルが支払われると言う。
女が列車を降りた後、マイケルが半信半疑でトイレを探すと、そこで2万5000ドルが入った封筒を発見した。
マイケルはそれを手に列車を降りようとするが、少年が乗り込んできてマイケルにミッションを遂行するように通告する。
そしてその少年は、マイケルに妻の指輪を手渡した。

リストラにあって喉から手が出るほどカネが欲しいマイケルが、次第に追いつめられていく様子がなかなか秀逸だ。
最初は携帯を奪われ、そして妻の指を手渡される。
さらに通勤時の顔馴染みの人物が、列車を降りた途端に交通事故に遭う。
途中からカネではなく家族の安否で縛られることになるので、マイケルも必死で対応しなければならなくなるが、以前は警察官であったと言う設定を巧く使い、正義感のためにミッションをそのまま遂行することもできない。
このジレンマの描き方や、列車内と言う密室空間の使い方が巧い。

ストーリー全体の起承転結は平凡なので、途中でおおよその結末は予想できる。
だがそれでも、追い込まれていくマイケルに感情移入がしやすい演出になっているので、最後まで飽きることなく見ることができた。
この手のアクション・サスペンス物が好きな人なら、十分楽しめるだろう。


55.トレイン・ミッション


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ウォーターゲート事件でスクープを連発したワシントン・ポスト紙が、それ以前に4代にわたる大統領が隠ぺいした秘密文書を公開した事件をテーマにしている。

1960年代、ベトナム戦争が硬直していた頃、当時国防次官補であったマクノートンは戦況視察にベトナムを訪れていた。
追加の軍を投入したものの戦況は良化せず、同行したダニエル・エルズバーグもマクノートンにそのように報告していた。
にも関わらず、マクノートンはメディアに戦況は良化していると発表、しかし報告書「ペンタゴン・ペーパーズ」には悪化している戦況をそのまま記載した。

1971年、夫の死後ワシントン・ポストの社主になったキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は、傾いた会社の経営を立て直すべく株式公開を行おうとしていた。
株式公開の準備は順調に進んでいたが、ポスト紙の編集主幹ベン(トム・ハンクス)は、ライバル紙ニューヨーク・タイムズの記者ニール・シーハンが取材に現れないことを不審に思う。
ベンの予想は的中し、シーハンはエルズバーグからペンタゴン・ペーパーズのコピーを入手し、その内容をスクープしたのだ。
水を開けられたベンは、編集部一丸となってペンタゴン・ペーパーズの行方を追う。
だがそれ以前の話として、政府がニューヨーク・タイムズの記事差し止めを行う動きを見せた。
もしポストが記事を掲載し、かつ記事差し止めの措置を受けた場合、株式公開に影響が出ることは間違いない。
ポストの重役は株式公開を考えて記事掲載をやめた方がいいと言うが、ベンは政府に立ち向かってこそ販売部数を伸ばすことができると主張する。
板挟みとなり戸惑うキャサリン。
しかもポストの社主であるグラハム家は、歴代大統領を含む政府関係者とプライベートでも仲が良かった。
ペンタゴン・ペーパーズを記事にすれば、旧知の友人を裏切ることになるかもしれない。

そんな状況でも、現場の陣頭指揮を執るベンは取材を進める。
そしてエルズバーグから7000ページにも及ぶペンタゴン・ペーパーズを入手し、記事の作成を始めてしまった。
活版が用意され、ゴーサインさえ出れば翌日の朝刊にスクープが載る。
キャサリンは社主として選択を迫られていた。

これまでは強い女役が多かったメリル・ストリープが、板挟みで悩む役どころとなっている。
だがそれもうじうじと悩んではおらず、社主として育ちの良さが垣間見えるような悩み方である。
そのあたりはメリル・ストリープの力量だろう。
ガリガリと取材を進めるトム・ハンクスのベンも良かった。
事実を基にしているので脚色ではないと思うが、ちょうど同時期に株式公開が重なったことで、よりドラマティックな展開になっている。

ウォーターゲート事件は日本でもよく報道されているが、このペンタゴン・ペーパーズは日本ではあまり知られていない。
そういう意味でも、なかなか興味深い作品であった。


54.ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書


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「ハンガー・ゲーム」以来のフランシス・ローレンス監督、ジェニファー・ローレンス主演となる映画だ。
ジェニファー・ローレンスが惜しげもなく豊満なボディを披露している。

バレリーナのドミニカ・エゴロワは、痴呆症が見られる母と二人で暮らしていた。
しかしある日、プリマドンナのドミニカに嫉妬した同僚によって、上演中に足を骨折してしまう。
そのことを叔父のワーニャから教えてもらったドミニカは、同僚二人をボッコボコにする。
叔父はロシアの諜報機関の役人であったが、ドミニカを救うという名目で、彼女を諜報部員養成所の第四学校に送った。
第四学校は男女とも、相手を誘惑して情報を引き出す諜報部員を養成する機関だ。
そこではSEXの技術や相手を口説くための心理術までも叩き込まれる。
ドミニカやほかの養成員たちは、プライドをズタズタにされながら教育を受けていた。

一方、ワーニャはアメリカに情報を流しているモグラを探していた。
偶然情報の現場を訪れたパトカーが、麻薬密売人と思ってモグラとアメリカのCIA諜報部員ナッシュに声を掛けようとしたのだが、ナッシュはモグラを逃がすために発砲し、警官を自分に引き寄せて逃亡した。
モグラもナッシュも無事逃げおおせ、ナッシュはアメリカに帰還したのだが、危険を感じたモグラはその後連絡を取ってくることはなかった。
ナッシュはアメリカ国内勤務になるのだが、モグラを信頼しているのは自分だけで、後任に引き継ぐにも自分からモグラに連絡をしなければならないという。
CIAの上官はナッシュをブダペストに派遣、モグラからの連絡を待たせることにした。
このことを掴んだワーニャは、ドミニカを第四学校から呼び寄せブダペストに派遣。
ナッシュからモグラの名前を聞き出すよう命令した。

原作者が元CIA勤務という事もあってか、よくあるアクション主体のスパイ映画と異なり、心理戦の要素がかなり強くなっている。
特に、本当にいるのかどうかわからないが、相手をSEXで口説き落とすのがメイン戦術と言うスパイの設定は面白い。
ドミニカとナッシュ、どちらがどちらを本当に好きになっているかがストーリー展開を左右するのだが、好き、嫌いと言う本当の感情は映画の演技上ではわかりづらく、結末が読みづらい効果を出している。
結論から言えば、ラストもそれほど大きなどんでん返しはなく、途中で想像できるいくつかの結末のうちの一つに落ち着くのだが、それでもどちらに転ぶのか、最後の最後までわからない展開になっていた。

観る前は、女スパイ物でタイトルも似ているので、昨年の秋に公開された「アトミック・ブロンド」とごちゃごちゃになってしまうかなと思ったが、テイストがまったく異なるのでそういうこともなく楽しめた。
SEXで口説き落とすスパイと言うテーマ的に、続編を作るのもそう簡単ではないかもしれないが、個人的にはシリーズ化してほしいと思う作品であった。


53.レッド・スパロー


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リュック・ベッソンのSF映画という事で、「フィフス・エレメント」的な作品かと思っていた。
SFXを多用した予告編も、逆に中味が薄いからSFXでごまかしているのかな、とも思った。
しかし実際には、きちんと作りこまれたSF作品だった。

西暦2020年、地球は軌道上に宇宙ステーション「アルファ」を設立、各国から新設コロニーが増設されアルファはどんどん大きくなった。
そして月日が流れるにつれ、アルファには全宇宙から多種多様な種族が参加、巨大化したステーションを地球の軌道上で支えることができなくなり、アルファは外宇宙に旅立つことになった。
アルファには全宇宙のすべての種族が参加し、一つの惑星に近い巨大なコロニー群として宇宙を漂っていた。

そこから数百年が経過、美しい自然の惑星ミュールにはパール人が平和に暮らしていた。
彼らが海から採取する真珠には巨大なパワーが収められており、この真珠を変換機(コンバータ)と呼ばれる小動物でいくつも複製し、それを惑星にも変換して生活していた。
しかしある日、空から大型の宇宙船がいくつも墜落してきたため、ミュールは死の惑星となってしまう。
さらにパール人の王の娘が、その事故で犠牲になってしまう。
王の娘は死の直前、自分の想いを時空を超えて宇宙に放った。

アルファ政府の特別捜査官のヴァレリアン少佐は、ローレリーヌ三曹と共に任務に就いていた。
惑星間航行をしている際に、ミュールで起きた悲劇の夢を見る。
そしてその夢は、自分が王の娘の想いを受けてしまった事ではないかと予想する。
その後二人は闇市場に赴き、現地スタッフと共に闇取引されそうになっていた最後の変換機(コンバータ)を回収する。
その現場で変換機(コンバータ)を購入しようとしていたのはパール人であった。

ヴァレリアンとローレリーヌはアルファに赴き、司令官と合流する。
アルファの内部に放射能帯が発生し、その対応のために人型種族間での協議を行わなければならなかった。
ヴァレリアンとローレリーヌは司令官の護衛として協議についていく。
だがそこに滅亡したはずのパール人たちが現れ、司令官を連れ去ってしまった。
ヴァレリアンはパール人を追うが、そこで惑星ミュール消滅に関する秘密を知ることになる。

宇宙中から全種族が集まるとなると、かなり「なんでもアリ」の世界観になってしまう。
人型の種族のほかに、水棲生物の種族や機械のような種族もいる。
そうなると、ストーリーかなり都合のいい展開をして作品全体が大味になってしまってもおかしくないのだが、それほどとんでもない展開はない。
後からWikiで調べたのだが、そもそも原作があるらしく、きちんとしたストーリー展開になっているのはそれゆえかもしれない。
ただ、それを考慮にいれたとしてもまずまずの作品だ。
「なんでもアリ」の部分を巧く笑いや驚きとして取り入れている。
全体のストーリーは、スペースオペラとしては割とありがちな展開かもしれない。
しかし、有能だが女に手が早いというヴァレリアンと、良くも悪くも直情的ですぐ暴力をふるうローレリーヌと言うかなり個性の強いコンビを巧く使っているため、ストーリー全体にメリハリが効いている。

SF好きには、悪くない作品ではないかと思う。


52.ヴァレリアン 千の惑星の救世主


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タイトルを見てナチスが降伏するまでの、第二次世界大戦中のチャーチルをずっと追い続けた作品かと思ったが、実際にはナチスによる西方電撃戦からおよそ1か月を描いた作品だった。

1940年5月10日、ナチスドイツはベルギー、オランダへの侵攻を開始、そして機械化装甲部隊はその勢いのまま一気にフランスまで進撃した。
すでに北欧戦で手痛い敗北を受けていたイギリスは、現首相のチェンバレンの支持率が低下し次の首相探しをしている状態だった。
対話による戦争の終結を目指していたチェンバレンは、自分の後釜にハリファックス卿を推そうとした。
しかしハリファックス卿自身が、貴族である自分が首相になること好ましくないと辞退。
対ドイツ強硬派のチャーチルが首相に就任することになった。

だが戦況はイギリスにとって好ましくない状況だった。
ドイツの機械化装甲部隊は旧態依然の英仏両軍を蹴散らし、ドーバー海峡に面するダンケルクとカレーの港以外はすべて制圧されてしまった。
イギリス軍は30万の陸軍兵士を撤退しなければならないが、軍艦が足りない。
援助のための空軍航空機も足りないので、チャーチルは盟友のルーズベルトに助けを求める。
しかしアメリカでは中立法が成立してしまったので、イギリスを助けることはできないと断られた。

チャーチルはカレーの守備隊にダンケルク守備を命じるのだが、それはカレー守備隊に全滅しろと言っているに等しかった。
チャーチル自身もそのことは理解していたが、命令しないわけにはいかないのだ。
チャーチルは苦肉の策として、民間船にもダンケルクからの撤退の手助けを依頼した(ダイナモ作戦)。

それでも、その後の戦局の見通しに明るい材料はない。
チェンバレン、ハリファックス卿をはじめとした宥和派は、イタリアを介在とした講和の道を模索し始める。
そしてハリファックス卿と親しい国王ジョージ6世も、講和派へと傾き始める。
強硬派で知られるチャーチルも、このまま戦争を続けてよいかどうか迷い始めていた。

ダイナモ作戦については、昨年のクリストファー・ノーラン作品「ダンケルク」で初めて詳細を知った。
日本人にはあまり馴染みのない史実で、おそらく私のように映画で初めて詳細を知った人も少なくないだろう。
そしてこの映画では、このダンケルクのダイナモ作戦までのイギリス、そしてチャーチルの苦悩が描かれている。

原題は「Darkest Hour」で、チャーチルと言う文字もヒトラーと言う文字も入っていない。
この時チャーチルがドイツと休戦しなかったことが、ヒトラーから世界を救ったことになったのかと言うと、史実から考えてそうではないと思う。
日本では、アメリカ軍がノルマンディーに上陸した「D-DAY」が第二次世界大戦のターニングポイントと考えている人も多いが、世界的に見ればターニングポイントはスターリングラードの攻防戦だ。
ある意味ヒトラーから世界を救ったのは、ソ連軍と言えるかもしれない。
(ただしソ連軍はそのあとナチス軍に勝るとも劣らぬ暴挙を、東欧と極東で行っている)

この映画も、チャーチルがヒトラー相手に大活躍すると思って観に行くと、期待はずれかもしれない。
ただし、アカデミー賞を受賞したゲイリー・オールドマンのチャーチルは素晴らしく、結果を知っていても、チャーチルの苦悩に思いっきり感情移入してしまう。
歴史好きには悪くない作品だと思う。


51.ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男


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「-上の句-」「-下の句-」も良かったが、今回の「-結び-」にも心震わされた。
まさに青春映画の金字塔と言っていいだろう。

クイーン戦の決勝戦は若宮詩暢(松岡茉優)と我妻伊織(清原果耶)が戦っていた。
千早(広瀬すず)は挑戦者決定戦で伊織に敗れていたのだ。
そして名人戦は、4期連続の名人周防(賀来賢人)に府中白波会の原田(國村隼)が挑んでいた。
結果は若宮詩暢と周防が連覇、周防は永世名人となったためかるた引退を考えていた。
しかしその場に新(新田真剣佑)が現れ、来年は自分が挑戦するのでそれまで辞めないで欲しいと周防に懇願する。
そしてそのあと、新は千早に「好きだ」と告げる。

春が来て、千早たちは高校三年生となっていた。
瑞沢高校競技かるた部は前年全国3位で今年は悲願の全国制覇を目指していたが、その後に新入部員が一人も入っていなかった。
春に新入生の勧誘を行うと、太一(野村周平)目当ての菫(優希美青)、そしてかるた経験者でなかなか腕の立つ筑波(佐野勇斗)が入部してきた。
一方新も藤岡東高校で、新入生として入学してきた幼馴染の伊織をはじめとした、福井南雲会のメンバーを集めてかるた部を創設した。

瑞沢高校は選手層が厚くなったが、一方で東大医学部を目指す太一は部活に参加する機会が少なくなっていた。
太一目当ての菫はなんとか太一に近づきたいと考えていたが、千早と奏(上白石萌音)が、新が千早に告白したことがいろいろなかるた会で噂になっていると言う話を立ち聞きしてしまう。
太一の気持ちに気付いていた奏は千早に、太一に気付かれないようにと話すが、菫はこのことを太一に報告してしまった。
太一はショックを受け、受験勉強を理由にかるた部を退部する。
そして太一の代わりにレギュラーに入った筑波は、そこそこかるたの腕があるだけに先輩たちになめた態度を取っていた。
その事が東京都予選決勝リーグの時に影響してしまい、4チーム中2チームが全国大会進出と言う条件の中で、瑞沢高校は1勝2敗と言う結果になってしまう。

原作は読んだことがないが、今でも連載継続中なので、ストーリーは映画と大きく異なるのだろう。
実際、我妻伊織は原作には登場していないようだ。
だが、この映画は単体として成立している、しかも非常に高い完成度でだ。

「-上の句-」「-下の句-」でも、西田(矢本悠馬)、奏、駒野(森永悠希)、そして若宮詩暢の4人の脇役が強烈に機能していた。
今回はそこに、永世名人の周防と言うさらに強烈なインパクトのキャラが加わってくる。
この、賀来賢人の周防が本当に素晴らしいの一言だ。
音が出る前の空気の動きで札を読むという超人技で5連覇しながら、東大に7年在籍しているという変わり者で、ぼそぼそとしたしゃべり方で迷っている太一に鮮烈な言葉を与え続ける。
そして最後の頂門の一針を突く一言が、太一の迷いを吹き飛ばしてしまう。

さらに今回は、千早、新、太一の三角関係がストーリーの軸になるのだが、その三角関係も百人一首の歌に取り込んでいる。
そしてその歌の解説をするのが奏だ。
奏は余計なことをしてしまったと落ち込む菫を温かく慰めるなど、今回はかなり重要なキーパーソンとなっている。
その菫に優希美青、新に憧れる伊織に清原果耶を配している部分も素晴らしいキャスティングだと思う。
東京都大会の決勝で筑波が起こした問題を、クライマックスシーンの伏線としている点も見事の一言。
宮内(松田美由紀)先生の「チャンスの扉にはドアノブがない」と言うセリフが「-上の句-」の出会いのシーンに掛かっていると言うのもにくい演出である。
途中とラストに差し込まれるアニメのテイスト、極度に低い迫力あるローアングル、そして全編に流れる音楽も、センスの良さが光る。
役者を含めた製作者全体から、この作品への強い愛情が感じ取れた。
非常に完成度の高い映画と言っていいだろう。

今回は団体戦がメインになっているので、個人的には松岡茉優の若宮詩暢のかるたシーンが少ないのはやや残念だった。
続編として、「-下の句-」のラストにあったクイーン戦の決勝を見てみたい気もする。
だが、それは蛇足なのだろう。
「友情、努力、勝利」の団体戦をテーマにしているからこそ、この映画が青春映画として際立っているのだ。
もし作るのであれば、主要メンバーを一新して高校かるた部を舞台にしたリブート作品にすべきだろう。


50.ちはやふる-結び-


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