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NHKの地上波で放送されたので録画して見る。
NHKが放映権を獲得したのであれば、しばらくは毎年8/6付近に放送されることになるのだろう。
非常に完成度が高い作品だけに、うれしい事である。

この作品の素晴らしさを知るには、映画を観る前に原作を読んでおくことをお勧めする。
原作も単純なコミックではなく、回によっていろいろと趣向を凝らした見せ方をしているのだが、映画ではアニメにしかできな手法を使って、原作をさらに膨らませる見せ方にしている。
例えば、すずが水原哲の代わりに絵を仕上げたときの波のウサギの見せ方や、時限式の爆弾に巻き込まれてから目を覚ますまでのシーンなどだ。
この作品の完成度の高さを表す象徴的なシーンで、作品に奥行きを生み出している。

一方で、原作にあった周作とリンのエピソードは割愛されている。
ノートの裏表紙の一部がなぜ切り取られているのかとか、微妙にわかりづらくなっている部分もあるのだが、本編に大きな影響が出ている訳ではなく、逆にこの事で子どもにも見やすい作品となった。
2019年11月に公開予定の「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」では、周作とリンのエピソードも復活するのかもしれない。

教条的に戦争反対を訴えるのではなく、当時の人が何を感じ、どのように生きていたかを切々と語って戦争の悲惨さを訴える作品である。
公開された2016年は、アニメでは「君の名は。」、実写では「シン・ゴジラ」「湯を沸かすほどの熱い愛」「永い言い訳」「リップヴァンウィンクルの花嫁」など、近年まれにみる邦画の超当たり年であった。
しかしこの作品はそれらの作品を押さえて、日本アカデミー賞の最優秀アニメーション作品賞や、キネマ旬報の日本映画ベストテンと読者選出日本映画ベスト・テンの両方で1位となるなど、数々の映画賞を受賞している。

一時期終戦時期に「火垂るの墓」が日テレ系で隔年放送されていたが、最近は不定期放送になってしまった。
そういう事情もあるので、この作品だけは毎年8月上旬に地上波で放送してもらいたいと思う。


87.この世界の片隅に(再)



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蜷川実花監督作品だ。
今回で3作目となるが、蜷川実花らしいアヴァンギャルドな映像となっていた

小学校の頃にいじめにあったオオバカナコ(玉城ティナ)は人が信じられなくなり、自分も信じられなくなった。
目的もなく暮らしていたカナコだが、ある日カラフルなメキシコの景色に心を奪われ、旅行資金を稼ぐために危ないバイトに手を出す。
そのバイトはイカれた二人組が組織のカネに手を出す手伝いだったのだが、目論見は見事失敗し、3人は組織にとらわれてしまう。
カナコは必至の思いで命乞いをして気を失い、不思議なレストランで目を覚ました。

レストランの主人はボンベロ(藤原竜也)。
かつてはスゴ腕の殺し屋だったが、今は引退して組織のボスがオーナーのレストランで腕を振るっていた。
レストランの客は殺し屋ばかりで、気に入らないとウエイトレスを次々と殺してしまう。
カナコはそんなレストランにウエイトレスとして送り込まれたのだ。

怯えながらボンベロの指示に従うカナコだが、すぐにミスをしてボンベロに殺されそうになってしまう。
だがその時ボンベロが金庫に隠していた、ダイヤモンドで漉された時価1億円を超える酒を見つけ、店のどこかに隠してしまう。
カナコは、自分を殺して酒を捜してもきっと見つけるときに落として器を割ってしまう、だから自分を殺さない方がいいと、ボンベロを脅す。
酒の在り処がわからないボンベロは、仕方なくカナコをそのまま働かせる事にした。

店に来る殺し屋は、さらにイカれたヤツばかりで、客同士で殺し合いを始めたりする。
カナコに手を出そうとして、ボンベロに殺される客もいた。

そんな時、ボンベロは暫定的に組織を仕切っているコフィ(奥田瑛二)から連絡を受ける。
1年前に死亡したボスのデルモニコ(蜷川幸雄、井手らっきょ)の代わりのボスを決める会議をすると言うのだ。
会議の出席者はコフィのほかは、マテバ(小栗旬)、マリア(土屋アンナ)、無礼図(ブレイズ、真矢ミキ)の3人。
だがこのうちマテバは、デルモニコはコフィに殺されたと推測し、手下のスキン(窪田正孝)に証拠集めをさせていた。
スキンはその証拠を押さえてボンベロにも共有しようとしたが、厄介ごとに巻き込まれたくないボンベロはそれを拒否した。
そして会議の直前、マテバが何者かに殺されてしまう。

前半はとにかくイカレ野郎のオンパレードだ。
最初にカナコを雇った二人組である斎藤工と佐藤江梨子、殺し屋チームのリーダー武田真治、自ら手足を切って子供に扮している本郷奏多など、見た目、演技ともかなりのイカレっぷりである。
このあたりの演出も蜷川実花っぽい。
一方ストーリーは冒頭からラストまで筋が通っており、後半は映像よりもストーリー重視の演出となっている。
作品としてのメリハリがきちんと付いている格好だ。

蜷川実花のセンスが際立っており、他の監督が普通に映画化してもそれほど面白くなかったのではないかと思わせる作品だった。


86.Diner ダイナー


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説明不要、新海誠の最新作だ。
ボーイ・ミーツ・ガールの構成にファンタジーを組み合わせているが、ファンタジー部分よりも登場人物の心理描写に重心を置いており、前作の「君の名は。」とは異なった趣きの作品になっている。

高校1年の森嶋帆高は家出をして島を抜け出し、フェリーで東京に向かった。
しかし身分証のない帆高はまともなバイトに付けず、フェリーの船中で知り合ったライターの須賀のところに転がり込む。
須賀は姪の奈津美と一緒に編集プロダクションを運営しており、帆高は須賀の見習いとして、身の回りの世話や取材の手伝いを始めた。
須賀がメインのクライアントとしていたのは、スピリチュアル系の老舗雑誌「ムー」だった。
そこで都市伝説系の話題を取り上げ、噂を取材して記事を書いていたのだ。
その流れで帆高は、どんな雨でも必ず晴れにする「100%の晴れ女」の噂を取材することになった。

天野陽菜はマクドナルドでバイトをしていたが、そこで須賀のところに転がり込む前の帆高と知り合っていた。
毎日同じハンバーガーだけで何時間も粘る穂高に、陽菜がハンバーガーをご馳走したのだ。
帆高は取材の途中で、怪しげな男に連れ込まれそうな陽菜を目撃する。
帆高は陽菜を助け出すために、バイト探し中に偶然拾ったモデルガンで男たちを脅そうとするが、そのモデルガンは本物の銃で騒ぎが大きくなる。
男たちから陽菜を救う事はできたのだが、実は陽菜はマクドナルドをクビになり、経済的に困っていたため覚悟をして高級なバイトを始めようとしていた事がわかった。
帆高は結果的に陽菜のバイトをダメにしてしまうのだが、その時同時に陽菜が祈るだけで晴れ間を作る晴れ女という事を知る。
陽菜の弟の凪と3人で、穂高たちは陽菜の能力を使った晴れビジネスを開始した。
折しも東京は、観測史上例のない長雨が続いていた事もあり、この晴れビジネスは人気を呼んだ。
そのため噂を聞いたテレビ番組が、陽菜が空に向かって祈っている姿を撮影して放映してしまう。
すると晴れビジネスはさらに人気となり、依頼を受ける事ができなくなって、一時期休業することとなった。

その頃、穂高を追っている刑事たちがいた。
正確には刑事たちは穂高が撃った銃を追っていたのだが、防犯カメラに穂高が銃を撃つシーンが撮影されており、かつ穂高は実家から家出人としての届けが出されていた。
さらに陽菜と凪も、保護者不在で二人暮らしをしていたため、児童相談所から保護施設に入るように説得されていた。
保護施設に入れば離れ離れになることがわかっていた陽菜と凪は、住んでいたアパートから逃げ出し、穂高も二人に同行する。

現代社会で片隅に追いやられた、少年と少女の切ないラブストーリーである。
それぞれ居場所を求めている最中で出会った二人は、ピュアな恋愛を始める。
しかし大人たちは二人の気持ちよりも社会のルールを守ることを優先し、二人に別々の場所に帰るように説得する。

天気と言うファンタジーの主題以外は、かなり現実に近い設定となっている。
いろいろなメーカーとタイアップすることで、リアリティが強まる演出だ。
メーカーとタイアップして商品名を全面に押し出すのは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズでも使われた手法だが、近未来の設定の「ヱヴァ」に対してこの作品は2年後(令和3年)の話なので、よりリアリティが強まる結果になっていた。

それらも含めて、全体の雰囲気は「君の名は。」と比べてかなり重い。
ずっと雨が降り続いているため、そもそも作画自体が暗めではあるのだが、雨イコール心理的な行き詰まりとして表現されているため、重い雰囲気がずっと続いていく。

そして少々ネタバレになるのだが、ラストはこの手のファンタジーによくある予定調和の完全ハッピーエンドにはならない。
かと言って、とても現実的な終わり方になるのかと言えばそうでもなく、ファンタジーとしての要素も残している。
この絶妙なバランスが、この監督の巧さと言えるだろう。

観終わった後に「君の名は。」のような爽快感は残らないため、評価としては前作以上にはならないかもしれない。
しかしこの監督はこの後も名作を生み出し続けていくに違いなく、こういう変化球を利かせた作品も、この監督の引き出しの多さを物語っていると言えるだろう。


85.天気の子


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原作は「ドラゴン桜」の三田紀房、主演が菅田将暉で監督が山崎貴ならもっと話題になりそうなものだが、今いち盛り上がっていない。
という事は内容がダメダメなのかと思って観に行ったが、まずまずの作品に仕上がっていた。

関東軍による満州国建国以降、日本は米英との関係を悪化させていた。
海軍少将の山本五十六(舘ひろし)は、これからは軍艦同士の戦闘ではなく航空機による機動戦の時代が来ると予測、上官の永野修身中将(國村隼)に航空母艦の建造を提案した。
そして永野中将、山本少将、藤岡造船少将の3名は、戦艦金剛の後継艦の会議で空母建造案を提出するが、嶋田少将(橋爪功)、平山造船中将(田中泯)は、超弩級戦艦の建造を提案する。
海軍大臣の大角(小林克也)は、空母より戦艦の方が建造費が安い事もあり、戦艦建造に傾いていた。
だが嶋田と平山が提案した超弩級戦艦の建造費が、空母より安いわけがない。
山本は、戦艦建造のために嶋田たちが偽りのコストを算出しているに違いないと考え、正確な製造コストを算出しようと考えた。
しかし決定会議まで2週間しかなく、藤岡造船少将は算出は無理だと言いだす。
そこで山本は、偶然料亭で出会った櫂直(かいただし、菅田将暉)にコスト算出を依頼する。

櫂は帝大数学科に在籍し、100年に一人の天才と言われていた男だった。
書生として財閥尾崎家に世話になり、その一人娘鏡子(浜辺美波)の家庭教師をしていたのだが、鏡子との仲を噂され尾崎家を追われ、帝大も退学させられてしまっていた。
山本はアメリカに留学する予定だった櫂を口説き落とし、海軍の少佐として迎え入れる。

渋々海軍にはいった櫂だが、いきなり軍艦の資料を何一つ閲覧できないという苦境に立たされる。
櫂は仕方なく、既存の戦艦のスケールから超弩級戦艦のサイズを推測し、綿密な設計図を引いた。
だが資材の単価や工数などは、これまでの資料がないと算出できない。
櫂は部下となった田中少尉(柄本佑)とともに、民間の造船会社に協力を申し出るが、海軍ににらまれる事を遅されてどの会社も協力をしてくれなかった。
するとそこに尾崎鏡子が現れ、かつて尾崎造船とケンカをした下請けの造船会社があると教えてくれる。
櫂と田中は藁にもすがる思いで、大阪の大里清(笑福亭鶴瓶)のもとに向かう。

山崎貴が監督という事で「永遠の0」のような教条的な反戦映画かと思い、正直あまり期待しないで観に行った。
しかし実際には、太平洋戦争前夜の本当の日本の状況を下敷きにした、かなり本質を突いた映画であった。

戦後日本では長らく、太平洋戦争は軍部が暴走し、国民は望まない戦争に突入した、と教えられてきた。
しかし実際には、軍部は暴走したものの、昭和天皇以下、当時の内閣、軍上層部のほとんどは、5倍以上の国力を持つアメリカと戦争をしても勝てるわけがないと思っていた。
しかし世界大恐慌以降、日本国内は経済の停滞から立ち直ることができず、国民は大陸での関東軍の活躍に狂喜乱舞し、日本の大陸進出に横槍を入れようとした米英に嫌悪感を抱いていた。

この映画は、そのような状況をうまくベースにしている。
少々ネタバレになってしまうが、嶋田と平山がなぜ戦艦建造にこだわったのか、それは単純に古い考えにとらわれているだけではなく、国民の期待となるフラグシップを建造する、という理由もあったからだ。
その部分に説得力があるので、映画全体に一本筋が通った形になった。
冒頭に、終戦間近に大和が撃沈されるシーンがあるのだが、このシーンのSFXは白組がきっちり仕上げているので見応えがあった。

唯一、クライマックスの建造艦決定会議からラストまでの流れがやや強引だった。
原作はまだ連載継続中であり、このラストまでの流れは映画オリジナルなのかもしれない。
しかし、この部分に櫂の葛藤をもう少し描いても良かったのではないかと思う。

とは言え、個人的には「永遠の0」より数倍面白い作品であった。


84.アルキメデスの大戦


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この夏最後のTOHOシネマズフリーパスポートを使うかもしれず、その場合は「ペット2」も観る事になりそうなので、地上波で放送された「ペット」を見る。
個人的にはイルミネーションの制作するアニメはあまり評価していないのだが、その中ではまだマシな方だった。

ケイティに飼われている室内犬のマックスは、毎日おとなしくケイティの帰りを待つのが日課だった。
それに引き替え、同じマンションや近隣のマンションの室内で暮らすペットたちは、飼い主が留守にしている間に好き勝手放題をしている。

ある日ケイティが、大型犬のデュークを保健所から引き取って帰ってきた。
デュークは部屋に来るとすぐに、体格差を利用してマックスから寝床やエサを奪いだした。
しかしマックスを知恵を使い、ケイティの留守中に部屋を荒らせば、犯人は新入りのデュークと思われるはずだと、デュークを脅していう事を聞かせることに成功する。
だがデュークは、ペットシッターに連れられて他のペットたちと一緒に散歩に出た時に、マックスを罠にかけて、路地裏に置き去りにしようと考えた。
しかし路地裏に巣くっていた野良猫軍団とトラブルになり、マックス、デュークとも首輪と鑑札を焼かれてしまう。
その結果2匹は、動物管理局の職員に捕獲されてしまった。
2匹が保健所に連行される最中、乗っていたバンを襲う一団が現れた。
ウサギのスノーボール率いる「元ペット団」だ。
スノーボールたちは人間に捨てられたことを恨み、復讐を考えていた。
スノーボールは一緒にバンに乗っていた仲間の犬を救い出すが、2匹は自分たちも檻から出してくれと頼む。
スノーボールに相手にされない2匹が、自分たちは飼い主を殺したとウソをつくと、スノーボールは2匹を仲間にしてアジトに連れて帰った。
だがアジトには、路地裏でもめた野良猫たちもいて、2匹がペットであることがバレてしまう。
さらに2匹がスノーボールの追及を逃れようとしているとき、元ペット団の大蛇が崩れてきたがれきの下敷きになり死んでしまう。
2匹は元ペット団から追われることになった。

一方、マックスたちの隣のマンションに住み、マックスを慕っていたポメラニアンのギジェットは、一緒に戻れなかったマックスを捜しに行こうと他のペット仲間に声を掛ける。
しかし仲間はなかなか賛同してくれない。
ギジェットは仕方なく、マンションの屋上で飼われていたタカのタイベリアスに捜索を依頼、マックスとデュークが元ペット団のアジトに行ったことを突き止める。
そしてペット仲間の長老を頼って、元ペット団のアジトにマックスたちを捜しに行くのだった。

冒頭にも書いたが、ディズニー&ピクサー系の作品と比較すると、イルミネーションは中途半端な作品が多い。
自分が観た中では、大泥棒グルーシリーズの3作品以外は、かなりレベルが低かった。
中でも「SING/シング」は酷かった。
どの作品にも共通して言えるのだが、必要以上にキャラが多過ぎて、その結果どのキャラもストーリーとのかかわりが希薄になってしまう。
細切れのエピソードが連なり、エピソード間のつながりも希薄なので、全体を通しての主題がよくわからなくなってしまう。

この作品であれば、マックスとデュークの出会いの争いのエピソードは不要だっただろう。
さらに野良猫たちのエピソードも不要だ。
デュークはケイティにもらわれてきたものの、以前の飼い主の事が忘れられずにマックスの制止を振り切り部屋を出てしまい、見捨てられないマックスがデュークと同行する、と言う設定の方が、わかりやすくてストーリー展開にも深みが出たはずだ。
またその設定だけで、今作品に用意されたエピソードを十分消化できたはずである。
にもかかわらず、意味のないエピソードを詰め込みすぎたため、本来一番重要なエピソードになるはずのデュークと以前の飼い主のエピソードが薄っぺらくなってしまった。

飼い主が留守の時ペットたちは何をしているか、と言うテーマについても、マックスとデュークを追う主要キャラ以外は冒頭とラストシーンしか登場していないし、逆にタカのタイベリアスについては主要キャラなのにこのエピソードには加われていない。
とてもプロが考えた設定、脚本とは思えない仕上がりだ。

それでも「ミニオンズ」「SING/シング」「グリンチ」あたりに比べればまだマシな方だったか。
もしフリーパスポートで観る事になっても、「ペット2」にはあまり期待しない方がよさそうだ。


83.ペット


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実写版の宣伝として地上波で放送された、アニメ版「ライオン・キング」を録画して見る。

プライド・ランドを統べるライオンの王ムファサに、シンバと言う息子が生まれた。
ムファサはシンバをかわいがるが、ムファサの実弟スカーはシンバの誕生を面白く思っていなかった。
ムサファは弟を一族の一員として期待していたが、小さい頃から何をやってもムサファに勝てないスカーはムサファを疎ましく思っていたのだ。
そしてある日、シンバをだましてハイエナたちが巣くう像の墓場に行くように仕向けてしまう。
純粋で冒険好きのシンバはスカーの言う通り、幼馴染のナラを連れて像の墓場に行き、ハイエナたちの襲撃を受けるのだが、間一髪で助けに現れたムファサに救われる。

スカーはハイエナたちとつながっており、さらにムファサとシンバを抹殺する計画を立てる。
そしてヌーの群れの暴走を利用して、ムファサを亡き者にしてしまった。
さらにシンバもそのままプライド・ランドを離れる。
スカーはまんまとプライド・ランドを支配することになった。

制作されたのは1994年でちょうど25年前、まだウォルト・ディズニー・ピクチャーズが単独で制作していた頃の作品だ。
色彩こそアフリカっぽく彩色されているが、スタティックな2Dが今では逆に新鮮に見えるほどベタな絵柄である。
ちなみに、ピクサーと組んだ最初の作品「トイ・ストーリー」はその翌年1995年に公開している。
先日その「トイ・ストーリー」の「4」を観たが、25年間でアニメも目を見張るほど進化した。
年を取るのも仕方がないと、妙な部分で感慨深く感じてしまった。


82.ライオン・キング(アニメ版)


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同名のエッセイが原作だ。
元々はブログに掲載していた弁当の日記をまとめたエッセイなのだが、それだけで1本の映画になるのかと思ったら、まずまず手堅くまとめられていた。

八丈島に住む持丸かおり(篠原涼子)は早くに夫を亡くし、いくつもの仕事を掛け持ち、さらに内職までして二人の娘を育てていた。
長女の若葉(松井玲奈)は高校を卒業した後近所で一人暮らしをしていたが、母と一緒にお土産物製造の会社に勤務していた。
次女の双葉(芳根京子)は中学を卒業して高校に入学しようとしていたが、母親に反抗する態度ばかりを取り、まともに会話もせず連絡はLINEという状態だった。
双葉の反抗期にどういう対応をしたらよいか迷ったかおりだが、双葉の態度に対抗するために、得意の料理の腕を生かして双葉が嫌がるキャラクター弁当を作ることにする。
そしてかおりは、いつもキャラ弁が上手にできるので、それをブログにアップすることにした。

都内に住むシングルファザーの岡野信介(佐藤隆太)は、ある日息子の健太郎(鳥越壮真)から、友達のお弁当はきれいで楽しそうだと言われる。
困った信介はカラフルな弁当を作ろうとするが、なかなか巧く行かない。
その時偶然かおりのブログを見つけ、弁当作りの参考にし始めた。
信介は上手に作るコツをかおりに質問することで、二人は交流を持つことになる。

進路や恋愛に悩む双葉を、かおりは一生懸命にキャラ弁で励ますのだが、かおりの気持ちがストレートに伝わらず、二人の仲はこじれることもよくあった。
また信介が作る弁当も、健太郎には気持ちが伝わっていなかった。

率直な感想は、キャラ弁の話だけでよく108分の映画にまとめたものだ、である。
正直、観る前はかなり内容の薄い映画ではないかと思っていたが、きっちりストーリーとして出来上がっていた。
もちろん、主題はキャラ弁なので、想像以上の展開ではない。
しかし、篠原涼子と芳根京子のキャラを巧く生かし、無理なく自然にエピソードを膨らませて映画に仕上げていた。

ただ、佐藤隆太のシングルファザーのエピソードはやや強引かな、とも思った。
ネタバレになるので詳しくは書かないが、あっさり弁当作りが巧くなってしまうという展開ではなく、最後まで弁当作りに苦心する、と言う設定の方が感動的で面白かったのではないかと思う。
また、いくらなんでもかおりがなんでもでき過ぎで、実際に家事を行っている人間から観たらちょっと引いてしまうかもしれない。
普通に考えたらいくら若くても、あの仕事量ならどこかで体を壊しているだろう。

映画じゃなくてSPのTVドラマっぽくも見えるが、親子の交流と意味ではそこそこの作品だと思う。


81.今日も嫌がらせ弁当


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「トイ・ストーリー」シリーズ、9年ぶりの新作である。
ウッディの「あばよ、相棒」の一言で、このシリーズも完結したかと思ったが、新展開で新作が作られた。
個人的にはディズニーの中でも一番好きなシリーズなので期待して観に行ったが、感想は「なんと!そう来たか!」であった。

9年前、アンディの妹モリーの部屋にあった、ランプと羊飼い人形のボー・ピープ、そしてボーの羊たちは、他の子供にもらわれて行きそうになる。
ボーと恋仲関係にあったウッディはボーたちを助け出そうとするが、これがおもちゃの運命と言って、ボーたちはそのままもらわれて行ってしまった。
そして月日がたち、ウッディたちもアンディからボニーへと持ち主が移っていた。
まだ幼いボニーはおもちゃたちをかわいがるのだが、女の子という事もありウッディはあまり遊んでもらえていない。
それでもウッディは腐らずに、元からボニーの持ち物だったぬいぐるみのドーリーとともに、ボニーのおもちゃとしての役割を果たそうとしていた。

ある日ボニーが幼稚園に通うことになった。
ボニーがお試し保育に行くのも渋っているのを見て心配になったウッディは、仲間の制止を振り切りこっそりボニーのリュックに忍び込んで幼稚園に同行してしまう。
ボニーは幼稚園に到着しても、ウッディの予想通り友達ができず、工作にも手を付けられずにいた。
そこでウッディはボニーが工作ができるように、ゴミ箱からクレヨンやゴミを拾って手助けをする。
するとボニーは、先割れスプーンなどを使ってフォーキーというおもちゃを作った。
ボニーはフォーキーをとても気に入るのだが、フォーキー本人は突然おもちゃとして命が与えられ、とまどうばかりだ。
自分はおもちゃではなく食事をするための道具で、使われた後は捨てられるゴミだと言って、おもちゃである事を認めようとしない。

週末、ボニーの家族はキャンプ場に遊びに行くことになり、おもちゃたちも同行することになった。
しかしどれだけウッディが説得しても、自分がおもちゃである事を認めたくないフォーキーは、真夜中に走行するキャンピングカーの窓から逃げ出してしまう。
慌ててフォーキーを追うウッディ。
フォーキーを見つけ、キャンプ場に向かう道すがら、ウッディはおもちゃが持ち主を楽しませるだけじゃなく勇気づける存在である事を、自分の体験談を交えて話す。
夜明け近く、キャンプ場に到着するころ、フォーキーはやっと自分がおもちゃである事を理解した。

ウッディとフォーキーがキャンプ場でボニーたちのキャンピングカーを探しているとき、ウッディはキャンプ場のタウンエリアにあるアンティークショップの前で脚を止める。
その店のショーウィンドウにあったのは、ボー・ピープとセットだったランプだった。
早くボニーのところに行こうと言うフォーキーを連れ、ウッディは早朝の店の中に入って行く。
ウッディは店の中でボーを探すのだが、現れたのはボーではなく、アンティークの大型人形ギャビー・ギャビーと腹話術人形の4体のベンソンだった。
ギャビー・ギャビーはボーのところへ案内してくれると言うが、どうも様子がおかしくウッディは用心していた。
ギャビー・ギャビーは、自分もウッディと同じ発声装置があるのだが、壊れていてうまく発声できない、自分が子供に相手にされないのはそのせいだ、と言い出す。
そしてウッディに、発声装置を交換して欲しい、言い出した。
ウッディは当然拒否をしてフォーキーとともに逃げ出そうとするが、ちょうど入店してきた店のオーナーの孫娘ハーモニーに見つけられてしまい、そのまま店の外に連れ出されてしまった。
ウッディは隙を見てハーモニーのもとから逃げ出し、フォーキーを助けに行こうとする。
そこで偶然出会ったのは、ボー・ピープだった。
ウッディは事の顛末を話し、ボーに一緒にフォーキーを救出に行って欲しいと頼む。
ギャビー・ギャビーの本性を知っているボーは最初は渋るのだが、ウッディに説得され一緒にフォーキーの救出に向かう。

予告編を見た限りでは、キーとなるキャラクターはフォーキーだと思っていた。
実際物語の1/3くらいは、ストーリーの軸はフォーキーなのだが、この物語の本当のキーパーソンはボーだ。
まだ公開してから間もないし、これ以上ネタバレするのは良くないと思うが、モリーの手から離れたボーはすぐにアンティークショップに売りに出され、その店を自力で抜け出していた。
そしてウッディが驚くほどの行動力を身に着けていた。

ウッディはシリーズを通して、常におもちゃたちに対してリーダーシップを発揮する。
おもちゃは持ち主ために存在する、と言う信念を決して崩さず、いつでも仲間たちを「諦めるんじゃない」と鼓舞し続けた。
それがこのシリーズの面白さである。
だがこの間苦労したボーは、やや青臭いウッディより、考え方も行動力も数段大人だった。
後先考えずに先走るウッディを戒め、ウッディも反論ができなかったりする。
そしてボーの協力でフォーキー救出作戦を実行するうちに、ウッディはどんどんボーに感化されていく。

この映画のキャッチコピーは『あなたはまだ-本当の「トイ・ストーリー」を知らない。』だが、「知らない」と言うよりも「想像しなかった」ラストを迎える。
正直、かなり意外な結末だった。
だが意外な結末ではあるものの、このまま終了しても、あるいはこの作品をリブートとして新しい展開があっても、どちらも違和感はない。
もちろん、リブートとして新しいシリーズ展開することを期待する。


80.トイ・ストーリー4


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今回のギンレイは、ギンレイらしい2本だった。

まず「家へ帰ろう」。
読みは「うちへかえろう」である。

ブエノスアイレスに住むアブラハムは90歳を目前にして右足を痛め、長年住んだ家から老人ホームに移り住むことになった。
家で暮らす最後の日、子どもと孫たちが集合するものの、子どもたちはアブラハムの目の前で財産分与の話でもめ、一緒に写真を撮ろうとした孫の一人が、写真に入る代わりにiPhoneをねだったりする。
そんな時、荷物の整理をしていた子供から、1着のスーツについての扱いを尋ねられる。
仕立て屋だったアブラハムが作ったスーツだが、それはある友人のために作ったものだった。
子どもと孫が帰った深夜、アブラハムはスーツを持って家を抜け出し、一人でポーランドに旅立つ。

その晩のうちにヨーロッパに渡りたかったアブラハムは、唯一チケットが取れたマドリードへと渡る。
そこからワルシャワを目指すのだが、右足の悪いアブラハムの旅は一筋縄では行かない。
列車に乗り遅れ、旅費を盗まれたりする。
そして旅の中で、なぜアブラハムがスーツを持ってワルシャワを目指したのか、彼のこれまでの人生が少しずつ語られることになる。

アルゼンチンでチケットを手配するあたりから、アブラハムがユダヤ人で、ホロコーストの被害者であったことがわかる。
ホロコーストからアブラハムが生き延びた部分がストーリーの軸になっているのだが、それ以外にも長年疎遠になっていた娘とのエピソードが組み込まれたりもしている。
主題のホロコーストの悲劇は、直接的な描写ではなく行間でソフトに語られており、映画はテンポよく進んでいく。
ある意味では、巧くロードムービーとして仕上げられていると言っていいだろう。

ただ、映画を観終わった後で全体を振り返ると、話がやや散漫な感じがする。
冒頭の孫娘、飛行機内で知り合った男、宿の女主人、末娘、文化人類学者、そして看護師。
これらのキャラがストーリーの中でアブラハムとかかわる事で、アブラハムの人となりが表現されるのだが、全員がいきなり登場して、余韻を残さぬまま次のシーンに移り変わってしまう。
感動的なストーリーになってはいるものの、もう一度観たいかと問われても「観たい」と言う答えにはならない。
コンパクトにまとめようとしたのかもしれないが、心に残るシーンが少ない、ちょっとあっさりしすぎた印象になってしまった。

続いて「ちいさな独裁者」。
映画のラストでわかったのだが、第二次世界大戦末期に実在した、ヴィリー・ヘロルトと言う実在の人物が起こした事件がベースになっているらしい。

ドイツの敗北が決定的になっていた1945年初春。
ドイツ軍は敗走を繰り返し、部隊を脱走する者が後を絶たなかった。
ヴィリー・ヘロルトはもその一人で、仲間の兵に追われていた。
なんとか逃げきったヘロルトは、農家のニワトリ小屋から玉子を盗もうとするが撃退される。
脱走兵による盗難やレイプが頻発していたため、農民たちも自警を強めていたのだ。

フラフラになりながら逃走を続けるヘロルトは偶然、道の脇で脱輪した軍用車を見つける。
人影はなく、車の中には空軍大尉の軍服が積まれていたため、ヘロルトはボロボロの軍服を脱いで着替えた。
そしてその場に、一人の兵士が現れる。
彼はヘロルトを本物の空軍大尉と勘違いし、部隊からはぐれた自分を同行させてほしいと願い出る。
ヘロルトは男を運転手とし、脱輪していた車で移動を開始した。
すると脱走兵と思われる3人組や、機関砲を引いて撤退中の2人組と出会い、全員を仲間にする。
やがて脱走兵狩りをしていた野戦憲兵隊とも出会うが、ヘロルトは自分はヒトラー総統から勅命を受け、脱走兵の略奪状況を調べる任務に就いていると嘘をつき、巧く駆け引きをして憲兵隊の信用を得る。

憲兵隊の隊長はその後、ヘロルトたちを脱走兵の収容所に案内する。
収容所では裁判待ちの脱走兵であふれ、物資も不足している状態だった。
そのため軍に所属する警備隊長は不満を募らせていたのだが、司法省から派遣された所長が裁判なき処刑を拒むため、二人は対立していた。
ヘロルトは身分がバレないようにふるまうのだが、その結果、憲兵隊長が要望する即決裁判を実行することになってしまう。
収容所長は職務違反と拒もうとするとが、勢いづいた警備隊長が策を弄したため、即決裁判が始まり、90名の脱走兵が処刑されることになった。

簡単に言うと、脱走兵だったヘロルトが、偶然や周囲の思惑でどんどん権力を得ていくという話だ。
途中、憲兵隊長との激しい駆け引きが合ったり、脱走兵のヘロルトを追っていた大尉と出会うなど、ヘロルトの身分がバレそうになったりする。
この描き方が巧い。
さらに途中からは、ヘロルト身分がバレるかどうかから、ヘロルトの暴走がどこまで続くのか、と言う方向に話の軸がシフトする。
そしてこのヘロルトの暴走行為の描き方も巧い。
だんだん、自分のしている事の判断もできないほど、ヘロルトの行為はエスカレートする。
事実をもとにした映画はストーリーのメリハリが薄くなることも多いが、この映画はノンフィクションを巧みにフィクションへと作り変えている。

主役のマックス・フーバッヒャーの演技も良かった。
冒頭では追手に怯える脱走兵だったのだが、嘘を重ねるたびにどんどん開き直っていき、最後は本当に自分が大尉であると信じて行動を行っている。
このヘロルトの変化を見事に演じていた。

明るいストーリーではないので誰にでもおススメするような映画ではないが、個人的には評価できる作品だと思った。


78.家(うち)へ帰ろう
79.ちいさな独裁者


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「メン・イン・ブラック」シリーズは、1、2はストーリー的にあまり深みがなかったものの、3はかなり面白かった。
今回は口コミでの評判が今一つで、どちらに転ぶかと思っていたが、悪い方に転がってしまった。

幼少時、モリー(テッサ・トンプソン)は偶然、MIBが宇宙人を探索している現場に遭遇する。
彼女の両親はニューラライザーで記憶を消されたが、建物の2階にいたモリーは影響を受けなかった。
そしてその時地球にやってきたエイリアンを救って、逃がしてしまう。
この事がきっかけで、モリーはMIBのメンバーとなることを夢見るのだが、組織に所属するどころか実際にMIBが活動している事さえなかなか確認ができない。
やっとのことでMIBのアジトに潜り込み、なんとか見習いとして採用してもらうことになった。

モリーはエージェントMとなり、まずロンドン支局に派遣される。
そこにはかつて、パリのエッフェル塔に現れた凶悪宇宙生物ハイヴを撃退した支局長のエージェント・ハイT(リーアム・ニーソン)とエージェントH(クリス・ヘムズワース)がいた。
MはHが命じられた、極秘で地球に来ていたVIPのヴァンガスの警護に同行する。
Hはヴァンガスと仲が良く、任務も問題なく遂行しそうであったが、一瞬の隙をついてヴァンガスはハイヴからの刺客である双子の兄弟に暗殺されてしまった。
ヴァンガスは死の間際、駆け寄ったMに水晶のような物体を渡す。

ヴァンガスを護れなかったことで、HとMは支局内で非難をされる。
Hはその非難に対し、ヴァンガスが地球に来ていたのはMIBの一部の人間しか知らない、という事はMIBの内部にスパイがいると主張。
そしてHとMは刺客のツインズを追い始める。
だが逆に、ツインズもMの持つ水晶を手に入れるため、地球に来ていたのだった。
その一方でMIBのロンドン支局も、Mがヴァンガスから水晶を受け取っていたことに気付く。
HとMは、ツインズとMIBから追われることになる。

ハッキリ言って、ストーリーはかなり大味である。
前作の「3」は、未来が見えるグリフィンと言うキャラを巧く使い、先が見えない展開でかなりハラハラさせてくれた。
だが今回は設定を大がかりにして内容の薄さをカバーしようとした感じが強く、観ていてかなり興醒めした。
面白かったのは冒頭のモリーがMIBに潜入しようとするシーンまでで、ハイヴとの戦いとなる本編はありきたりの内容だった。
ヨーロッパを舞台にモロッコまで展開するも、これだけで「インターナショナル」と謳うのはかなり安っぽい感じもする。

クリス・ヘムズワースとテッサ・トンプソンのコンビは悪くないので、次回作を作るのであればきちんとストーリーを作り込んだ作品にしてもらいたい。


77.メン・イン・ブラック インターナショナル



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