2018年 04月 02日 ( 1 )

タイトルを見てナチスが降伏するまでの、第二次世界大戦中のチャーチルをずっと追い続けた作品かと思ったが、実際にはナチスによる西方電撃戦からおよそ1か月を描いた作品だった。

1940年5月10日、ナチスドイツはベルギー、オランダへの侵攻を開始、そして機械化装甲部隊はその勢いのまま一気にフランスまで進撃した。
すでに北欧戦で手痛い敗北を受けていたイギリスは、現首相のチェンバレンの支持率が低下し次の首相探しをしている状態だった。
対話による戦争の終結を目指していたチェンバレンは、自分の後釜にハリファックス卿を推そうとした。
しかしハリファックス卿自身が、貴族である自分が首相になること好ましくないと辞退。
対ドイツ強硬派のチャーチルが首相に就任することになった。

だが戦況はイギリスにとって好ましくない状況だった。
ドイツの機械化装甲部隊は旧態依然の英仏両軍を蹴散らし、ドーバー海峡に面するダンケルクとカレーの港以外はすべて制圧されてしまった。
イギリス軍は30万の陸軍兵士を撤退しなければならないが、軍艦が足りない。
援助のための空軍航空機も足りないので、チャーチルは盟友のルーズベルトに助けを求める。
しかしアメリカでは中立法が成立してしまったので、イギリスを助けることはできないと断られた。

チャーチルはカレーの守備隊にダンケルク守備を命じるのだが、それはカレー守備隊に全滅しろと言っているに等しかった。
チャーチル自身もそのことは理解していたが、命令しないわけにはいかないのだ。
チャーチルは苦肉の策として、民間船にもダンケルクからの撤退の手助けを依頼した(ダイナモ作戦)。

それでも、その後の戦局の見通しに明るい材料はない。
チェンバレン、ハリファックス卿をはじめとした宥和派は、イタリアを介在とした講和の道を模索し始める。
そしてハリファックス卿と親しい国王ジョージ6世も、講和派へと傾き始める。
強硬派で知られるチャーチルも、このまま戦争を続けてよいかどうか迷い始めていた。

ダイナモ作戦については、昨年のクリストファー・ノーラン作品「ダンケルク」で初めて詳細を知った。
日本人にはあまり馴染みのない史実で、おそらく私のように映画で初めて詳細を知った人も少なくないだろう。
そしてこの映画では、このダンケルクのダイナモ作戦までのイギリス、そしてチャーチルの苦悩が描かれている。

原題は「Darkest Hour」で、チャーチルと言う文字もヒトラーと言う文字も入っていない。
この時チャーチルがドイツと休戦しなかったことが、ヒトラーから世界を救ったことになったのかと言うと、史実から考えてそうではないと思う。
日本では、アメリカ軍がノルマンディーに上陸した「D-DAY」が第二次世界大戦のターニングポイントと考えている人も多いが、世界的に見ればターニングポイントはスターリングラードの攻防戦だ。
ある意味ヒトラーから世界を救ったのは、ソ連軍と言えるかもしれない。
(ただしソ連軍はそのあとナチス軍に勝るとも劣らぬ暴挙を、東欧と極東で行っている)

この映画も、チャーチルがヒトラー相手に大活躍すると思って観に行くと、期待はずれかもしれない。
ただし、アカデミー賞を受賞したゲイリー・オールドマンのチャーチルは素晴らしく、結果を知っていても、チャーチルの苦悩に思いっきり感情移入してしまう。
歴史好きには悪くない作品だと思う。


51.ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男


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