2018年 03月 05日 ( 1 )

岡崎京子原作の「リバース・エッジ」の実写映画だ。
二階堂ふみがフルヌードを披露している割にはあまり話題にならず、かつTOHOシネマズでは1か月持たずに上映終了が決定したので、慌てて観に行った。

若草ハルナ(二階堂ふみ)は母親と二人暮らしで高校に通っている。
カレである観音崎(上杉柊平)は学校の中でもかなりヤンチャな男で、ドラッグにも手を出したりしていた。
ある冬の日、ハルナは観音崎の友人の高橋から、観音崎が同級生の山田一郎(吉沢亮)をボコボコにし、全裸で旧校舎のロッカーに閉じ込めたと聞く。
急いで一郎を救出するハルナ。
一郎は美少年だが一見おとなしく、誰ともほとんどしゃべらずややミステリアスな面を持っていた。
ハルナに救出された一郎は心を開き、自分の宝物をハルナに見せることにした。
それは河川敷のセイタカアワダチソウに隠された、白骨化した人の遺体だった。
一郎は昨秋その死体を発見し、時折ながめに来ていたのだ。
そして偶然、同じ高校の後輩である吉川こずえ(SUMIRE)が同じようにこの死体を発見し、一郎と同じように時折死体をながめに来ていることを知る。

吉川こずえは雑誌の表紙を飾ったり、TVCMにも出演する人気モデルだった。
元々両親が芸能関係の仕事をしていたこともあり、子役時代から芸能界で仕事をしていた。
そのため達観した世界観を持ち、かつ拒食症で大量の食べ物を摂取しては吐くという行為を繰り返していた。
少し変わった面を持つ一郎とこずえだが、ハルナは二人となじんで少しずつ親しくなっていった。

そんなハルナの行為を、観音崎は疑いだした。
しかし実際には一郎は同学年の田島カンナ(森川葵)と付き合っていて、かつ本当はゲイで好きな男がおり、カンナとの付き合いも世間から疑われないためのフェイクであった。
一郎とは何もないというハルナの言葉をいったんは信じるものの、観音崎はハルナの友人のルミ(土居志央梨)を部屋に誘う。

ルミは高校生だが化粧もし、男好きのする容姿だった。
彼は38歳で妻子持ち、ズバリ言って愛人に近い関係であった。
彼以外にも、簡単に体を許して誰とでも関係を持ってしまう。
ルミには年の近い姉がいたが、ルミと異なりかなり太っていてBLの同人誌を作製していた。

そしてある日、死体のある河原に誰かの隠したカネが埋まっているという噂が流れる。
男子生徒が大挙して河原に向かう中、一郎は必死に男子生徒たちを止めようとしてボコボコにされてしまう。
その日は死体が見つかることはなかったが、一郎、ハルナ、こずえは3人で死体を埋めることにした。

ハルナはさらに一郎に共感して距離を縮めて行くのだが、今度はカンナが一郎とハルナの仲を疑いだす。
そしてハルナにしつようなストーキング行為を始めた。
またそれとは別に、ルミが妊娠していることが判明する。
誰の子どもかは正確にはわからないが、ルミは観音崎に中絶費用を出すように迫る。
突然のルミの告白に観音崎は動揺し、誰の子どもかわからないとルミに言うが、ルミから罵声を浴びせられ逆上してしまう。
そしてルミの首を絞めてしまうのだった。

普通の高校にいる、普通とはちょっと異なる高校生のストーリーだ。
ハルカ以外の4人の登場人物は、高校生活に違和感を感じながら生きている。

元々の原作も良いのだろうが、途中で各キャラクターにインタビュー形式で自分のバックグラウンドを語らせるなど、見せ方も巧い。
原作が発表されたのが1994年で、PHSが世に出始めた頃でメールと言う通信手段もほとんどなかった時代だ。
この映画でも携帯電話は登場せず、電話ボックスや固定電話への無言電話が効果的に使われている。
画面もまるでブラウン管テレビのように、横幅が小さいサイズで撮影されていて、レトロ感を強くしていた。
冒頭にも書いたが、二階堂ふみがフルヌードの濡れ場を演じており、もっと話題になってもよさそうな作品だ。
脚本も演出も良く、かつ役者陣は若いが素晴らしい演技を見せている。
それでいて話題にならず、劇場公開もあっという間に終わろうとしている。
その要因は、やはり内容が現在の若者に共感されなかった事か。

1990年代であれば、観音崎やルミのような高校生はごく稀で、一郎やこずえのようなタイプもあまり普通の高校には存在しなかった。
だが2018年の現在では、10歳以上年上の社会人と付き合う女子高生は珍しくなくなり、高校生がドラッグを使用するニュースを聞いてもあまり驚かなくなってしまった。
AKBをはじめとするアイドル量産時代になったため、学校に芸能人がいるのも普通になった。
原作が発表された当時は、この物語が描く「普通の中の異端」が共感されやすかったのだと思うが、現在では観音崎やルミの存在が「異端」とは言えなくなってしまっている。
そのため観客も、登場人物たちが感じる「違和感」に共感できないのだろう。

もしこの映画が20世紀中に公開されていたら、かなり反響を呼んだと思われる。
ただ、たまたま今の時代にマッチしなかっただけで、作品としての完成度は高いので、後からじわじわ評価を上げてくる作品だと思う。


26.リバーズ・エッジ


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