2010年 05月 31日 ( 1 )

もう24時間近く経過するが、昨夜のイングランド戦は久しぶりに見ていてワクワクする試合だった。
選手のアツい気持ちが画面から伝わってくるようだった。
わずか1週間で、なぜここまで変わったのだろうか。

要因はいろいろあるだろうが、一番大きいのは選手間の信頼関係が強くなったことではないだろうか。
TVの中継でも「阿部が機能している」と再三伝えられていたが、阿部が機能していたのは、やはり後ろのDFを信頼できていたからだろう。
フォーメーションだけ観ると、韓国戦から闘莉王が入って左右のSBが入れ替わっただけだが、この信頼関係がスピーディなプレイを生んだに違いない。

韓国戦では阿部だけではなく、どの選手もキョロキョロ周りを見渡していた。
それは相手選手だけではなく、味方の位置の確認もしていたように見えた。
つまり、仲間の位置取りが理解できていなかったのだ。
今回はみなボールに集中し、相手を確認する事なくパスを出していた。
だからパス出しがやたらと早い。
この1週間で選手のミーティングを相当行ったらしいが、それが効を奏したのだろう。

その昔「フィフティーン・ラブ」という漫画で、テニスには3つの「C」、「Concentration」「Combination」「Control」が必要で、さらに4つ目の「Confidence(自信)」が一番重要だと言っていた。
サッカーも同じだろう。
特に4つ目は「自信」とともに「信頼」とも置き換えられる。

そしてサッカーにも独自の3つの「S」がある。
「Speed」「Stamina」「Skill」だ。
だがサッカーも4つ目が一番大切ではないかと思う。
「Spirit」だ。
昨日の試合には魂がこもっていた。

結局は1-2で負けたではないか、と言う人もいるだろう。
だが、コンディションは良くなかったとはいえ、優勝候補にもあげられるイングランドを本気にさせた。
本調子ではないジェラードを後半の頭から投入したところに、イングランドの焦りが見られた。
イングランドは本番前の最後のテストマッチなので、本来であれば後半20分くらいからジェラードを出場させて試合感を付けさせたかっただろう。
ここでケガなどされたら元も子もないからだ。

それが後半頭に一気に5人変えてきた。
前半の日本の頑張りで、カペッロ監督も不安になったからに違いない。

イングランドのコンディションが悪かっただけだろ、という人もいるかもしれない。
しかしヨーロッパ各国のリーグはほぼ同日程で終了しているので、その他の国だってイングランドと変わらない可能性もある。
アフリカも含めて、ほとんどの有力国の有力選手は、ヨーロッパのリーグに所属しているのだから。

インタビューでは闘莉王は笑っていて本田は悔しそうだった。
これも対照的だが思っている事は同じだろう。
闘莉王は、まだ修正できる部分はあった、だから本番ではもっといい試合ができるはずと思って笑い、本田はまだ修正できる部分はあった、だからこの試合も勝てたはずだと悔しがったのだ。
その考えた方の違いは、単純にDFとFWに近いMFというポジションの違いのような気もする。

そして最後に映し出された俊輔が象徴的だった。
みんな引き上げて誰もいなくなったピッチで、一人でダッシュを繰り返していた。
俊輔の気持ちもスイッチが入ったのだろう。
試合後のインタビューの途中でこのシーンを抜いたNHKは、いい仕事をした。

だが俊輔にはあまり焦って欲しくない。
ハナから1次リーグ敗退が前提になっているような感もあるが、もし日本が本当にベスト4を目指すのであれば、7試合闘う事になるのだ。
俊輔は腹をくくって決勝トーナメントに向けて調整し、他のメンバーは俊輔を試合に出すために1次リーグを突破する、くらいの気持ちで挑めば、結果が付いてくるような気もする。

日韓大会の時も、風呂場で選手が激論を交わしてからチームがまとまったという。
なので今回も、韓国戦の惨敗を機にチームがまとまってくれれば、ひょっとすれば光が見えるかもしれない。

ところで、俊輔を映していい仕事をしたNHKのカメラであるが、以前にもとてもいい仕事をした事がある。
1999年のJリーグ最終戦、浦和レッズは福田のVゴールで勝利を収めたものの、延長戦に入る段階ですでにJ2落ちが決定していた。
Vゴールで勝った後、カメラは福田を追い続けたのだが、福田は喜んで駆け寄るチームメートを振り払い、数メートル歩いて脛当てを外そうとしゃがんだ瞬間、こらえていた涙が堰を切って流れ出し、号泣した。
カメラは泣き続ける「ミスターレッズ」を映し続けていた。
あのシーンは今でも忘れられない。

今回のW杯でも、あのときのようなアツいシーンを見せてもらいたい。

今回は声を大にして言おう!

ガンバレ、日本!



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