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スジ屋

イクラとかカッパ巻きではない。
それはスシ屋だ。

火曜日に放送されたNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見た。
今回は「スジ屋」と呼ばれる牛田貢平さん。

http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/100202/index.html

スジ屋とは時刻表を作成する人の事だ。
とはいっても「時刻表」と言う本を作る人ではない。
鉄道会社に所属して、ダイヤを編成する人だ。

「交渉人 真下正義」ではこのダイヤ編成者を「線引き屋」と称して、金田龍之介が演じていた。
当時マイミクのぬかみそさんにその話をしたところ、「いや、ダイヤの編成者は通常『スジ屋』と呼ばれているはずだけどねぇ」と言っていた。
おおっ、さすがぬかみそさん!

話は戻ってこの牛田さん、現在は東京メトロの東西線を担当している。
そしてこの牛田さんが担当するようになってから、東西線の遅延は非常に少なくなり、苦情も1/10に減ったそうだ。
その秘訣は「現場百遍」だ。

東西線は東京メトロの中でも一番乗降客数が多い。
さらにその両端はJR、および東葉高速鉄道に乗り入れている。
ダイヤ編成も非常に困難を極める。
通勤ラッシュ時は5秒単位のダイヤで編成され、もちろん乗降客数に応じて各駅の停車時間も決まっている。

しかし牛田さんは、朝実際に各駅に足を運んで停車時間を測定、机上の計算ではじき出した停車時間と実際に必要な停車時間がわずかに違う事を発見した。
その各駅ごとの数値を修正する事により、電車の遅延を格段に減らしたのだ。

番組中牛田さんは「時刻表は会議室で作るんじゃない、現場で作るんだ」と冗談で言っていたが、まさしく真理である。
そう、本当の仕事とは、机の上で行うものではなく現場で行うものなのだ。

大晦日の臨時ダイヤ編成の時にも、この牛田さんのこだわりを感じた。
いつもと同じ電車なのに、乗客に乗り換えをさせたくない。
さらに、折り返し電車がいつもの何倍もの時間ホームで停車すると、お客さんが間違って乗ってしまうかもしれない。
他にも細かい気遣いをして、何時間もかけて完全なダイヤを編成する。
おそらく、ほとんどの乗客はそこまで望んでないと思うし、ひょっとしたらありがたくも思ってないかもしれない。
それでもプロとしてこだわるところに、カッコ良さを感じた。

完璧主義者とも思える牛田さんだが、自分で提案したこの春のダイヤの微修正を途中で取り下げている。
理由は、いろいろと調べると、他にも少しずつ修正をするべき箇所が見つかったから。
今回急いで1箇所微修正するよりも、もう一度全体を見渡して最良の修正を行った方がいいと考えた。
ある意味、これも完璧主義者だと言えるかもしれないが、自分の満足度を満たすためだけに修正行わなかったところが、凡百の完璧主義者とは異なるところだ。
お客さんにとって最良の修正が、本当に行うべき修正なのだ。

誰かに自慢するわけでもないし、敬服されたいわけでもない。
それでも黙々と、納得の行くダイヤを編成し続ける牛田さんこそが、本当のプロフェッショナルだと思った。

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by ksato1 | 2010-02-05 00:33 | 日記 | Comments(0)