出来不出来のブレ幅がかなり大きい内田英治の最新作だが、今回はかなりガッカリする作品であった。
風間組の熊城(椎名)は敵対する組の組長である本条(石橋蓮司)を狙っていた。
しかし本条はなかなか姿を現さず、仕留めたと思ってもそれは常に替え玉であった。
組長の風間(六平直政)に必ず本条を仕留めると約束した熊城は、子分から本条は孫娘が出場するダンス大会の決勝に必ず現れると言う情報を得る。
そこで熊城は、ダンス経験のあるフリーの殺し屋を集めてダンス大会に参加し、そこで本条を仕留める計画を立てた。
ダイヤ(佐久間大介)、桐生(中本悠太)、シン(青柳翔)の3人は、熊城に呼び出された廃墟でいきなり撃ち合いを始めてしまう。
そこで熊城から3人を集めた理由がダンス経験者だからだと言われ、3人はいったんその場を去る。
しかしダイヤは、手伝っている児童養護施設が閉鎖の危機にあったため、報酬目当てで熊城の提案を受け入れることにした。
その際ダイヤは、熊城もダンスに参加することを条件にする。
4人はダンス教室に入ろうとするが、どこでももめ事を起こして断られてしまう。
するとダイヤが手伝っている児童養護施設の少女明香が、ダンスは得意だから自分が教えてあげると言い出す。
明香は公民館の一部を借り、そこでダンスの練習を始めた。
明香はグループ名を「スペシャルズ」とし、さらにフォーメーションを組むためにもう1人メンバーが必要だと言い出した。
そこで熊城は、服役中に仲が良くなった村雨(小沢仁志)に声を掛ける。
とにもかくにも、設定と脚本がグズグズだ。
まず、ダイヤがクラシックバレエ、桐生はヒップホップ、シンはフォークダンス、村雨は盆踊りと、それぞれの得意分野が異なる設定になっているが、これがまったく生きていない。
桐生以外はそのダンスが異常に得意、という設定の方がストーリーの幅が広がると思うが、ダイヤ以外は一般人と同レベルである。
ダイヤもどれだけバレエが得意なのかははっきり描かれておらず、かつ演じる佐久間大介はダンスは巧いがバレエはそれほど巧くないため、一般人とは言わないが得意にしているというレベルではない。
この時点で、グズグズ感がかなり強くなっている。
脚本も、ダイヤは「殺しはもうやらない」と宣言しているのに熊城の呼び出しに応じたり、中盤でダイヤを追う組織の襲撃を受け、無関係の人間が立ち入る可能性があるクラブの厨房らしき場所で激しい殺し合いが行われているのに、警察は一切出てこない。
ネタバレになるのであまり詳しく書けないが、ダイヤを追う組織についても出しっぱなしで終わるし、クライマックスのどんでん返しも高校生が学園祭で制作する映画のようで、「この脚本で劇場公開してはいけない」と止める者はいなかったのかと思うほどのレベルの低さだ。
アクションもお粗末で、せいぜいが大学生の自主製作映画のレベルである。
笑いの部分もスベりっぱなし、熊城が「センチメンタル・ジャーニー」で、そして「フライデー・チャイナタウン」で全員がアフロ姿で踊るシーンは、観ていて痛々しかった。
ラストも含めて、この映画に関してはいいところが一つもなかったと言わざるを得ない。
内田英治作品は、この後控えている「TOKYO BURST-犯罪都市-」に期待したい。
44.スペシャルズ