原爆の父
NHKの「映像の世紀 バタフライエフェクト」で、オッペンハイマーが取り上げられた。
来月末、日本でも映画が公開される事も関係しているのかもしれない。
オッペンハイマーについては、原爆開発を後悔していた、という認識だった。
第二次世界大戦終了後、政府と一部の弟子が水爆開発を提唱していたが、オッペンハイマーはそれを否定している。
その事もあって、マッカーシズム(赤狩り)の対象となり公職を追われた。
今回の放送ではその部分も深堀りされている。
戦争終了後、オッペンハイマーがトルーマンと会見した時に「自分の手は血塗られている」と言ったところ、トルーマンは血塗られているのは私の手だから安心するように伝えたらしい。
そしてその後、トルーマンはオッペンハイマーを「泣き虫」扱いしたそうだ。
もし、大戦中にルーズベルトが死去せず大統領のままだったら、あるいは日本に原爆は落とされなかったかもしれない。
大学の政治学の講義で学んだのは、トルーマンはアメリカが現在の学校制度になった後では、唯一大学に通っていない大統領で、ルーズベルトから副大統領候補に誘われたときもかなり嫌がったらしい。
それはそうだろう、もし大統領に何かあった時には副大統領が大統領となるのだが、ルーズベルトは重度の身体障害を持っており、かつ戦時中という事で、自分にお鉢が回ってくる可能性も十分あった。
そして実際、ルーズベルトはナチスドイツの降伏直前、静養先の別荘で脳卒中によりこの世を去っている。
その後、トルーマンはほとんど外交経験がないまま、終戦に向けてイギリス、ソ連などと交渉をしなければならなかった。
原爆投下の書類にサインをしているものの、それがどれだけ後の世に影響を与える物なのか、おそらく正確には理解できていなかったのではないか。
話を「映像の世紀」に戻そう。
オッペンハイマーは日本も訪問しているが、その時も含めて、原爆を開発したことを後悔しているか、と問われれば必ず「NO」と答えていた。
しかし広島、長崎には訪問をしていない。
そして番組のラストで、亡くなる2年前のインタビューで以下のように答えている。
私たちには大義があったと信じています
しかし私たちの心は完全に楽になってはいけないと思うのです
自然について研究してその真実を学ぶことから逸脱し
人類の歴史の流れを変えてしまったのですから
私は今になっても
あの時もっと良い道があったと言える自身がありません
私にはよい答えがないのです
おそらく、自分中での整合性を保つためには、原爆開発を否定することはできなかったのだろう。
「原爆開発を後悔しているか」という質問に対しては「NO」と答えても、「原爆開発は正しかったか」という質問には「YES」とは答えなかったかもしれない。
歴史を検証する上では必要な質問で、そのことをオッペンハイマー自身も理解していたとは思うが、彼にとってはこのうえなく過酷な質問であっただろう。
「映像の世紀」は取り上げる題材、切り口が素晴らしく、歴史好きなら「英雄たちの選択」とともに必ずチェックしている番組だ。
過去には、現代中国に大きな影響を与えた宋家の三姉妹やパレスチナ問題、RBGことルース・ベンダー・ギレンバーグなどをテーマにしており、特に映像が記録されるようになってからの近現代史を知る上では重要な番組だ。
今回の番組が面白かったので、来月公開する映画もさらに楽しみになった。
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by ksato1
| 2024-02-22 00:05
| 日記
|
Comments(2)
オッペンハイマー、機内で観ました。
音声が良くなくて聞き取りにくい場面もありましたが、オッペンハイマーの学者としての探究心と、人間としての苦悩と煩悶がよく表されていました。
私は、彼が研究していたバークレーの研究室のすぐ近くに長年住んでいて、当時の夫も大学に居ましたので、非常に臨場感を感じ、息苦しいほどでした。
音声が良くなくて聞き取りにくい場面もありましたが、オッペンハイマーの学者としての探究心と、人間としての苦悩と煩悶がよく表されていました。
私は、彼が研究していたバークレーの研究室のすぐ近くに長年住んでいて、当時の夫も大学に居ましたので、非常に臨場感を感じ、息苦しいほどでした。
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> BBpinevalley さん
コメント誠にありがとうございます。
「オッペンハイマー」期待して良さそうですね。
当時の雰囲気をご存知との事、うらやましい限りです。
「映像の世紀」でもオッペンハイマーの映像が何度も流れましたが、すべてこわばった表情でした。
期待のハードルを上げて、映画を観に行く事にいたします。
コメント誠にありがとうございます。
「オッペンハイマー」期待して良さそうですね。
当時の雰囲気をご存知との事、うらやましい限りです。
「映像の世紀」でもオッペンハイマーの映像が何度も流れましたが、すべてこわばった表情でした。
期待のハードルを上げて、映画を観に行く事にいたします。

