今年のゴールデングローブ賞で、作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)、主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門)、脚本賞の3部門を受賞した作品だ。
もちろん、アカデミー賞でも各部門で有力候補となっている。
そして監督は、「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナーだ。
NHKの「あさイチ」や「キャッチ 世界のトップニュース」でも取り上げられていたので、かなり期待をして観に行った。
しかしかなり難解な映画で、期待が大きかっただけに思いっきり肩透かしをくらってしまった。
舞台は1923年のアイルランドの孤島イニシェリン島。
パードリックはそこで牛飼いをしており、妹のシボーンと二人暮らしだ。
唯一の楽しみは、昼過ぎから親友のコルムとパブでビールを飲むことである。
対岸の本土では内戦が続いているが、島は時が止まったかのように平和であった。
その日もパードリックは、コルムを誘ってパブに行こうとしていた。
しかしパードリックが声を掛けても、コルムは無視をする。
先にパブに行くと告げ、パードリックはコルムの家を後にした。
パブでコルムの分までビールを頼むが、いつまで経ってもコルムは来ない。
パードリックはもう一度コルムの家に向かうが、コルムは家を出てパブに向かっていた。
パードリックがパブでコルムに声を掛けるが、コルムはパードリックを避ける。
昨日までの親友が突然つれない態度を取った事でパードリックは戸惑うが、コルムは質問に対して「お前が嫌いになった」としか言わない。
この後、島一番の才女のシボーン、変わり者の警察官ビーダーとその息子でやっぱり変わり者のドミニクなどが、二人の関係に絡んでくる。
しかしコルムの考えは変わらない。
まず、この映画を難解にしているのは、パードリックとコルムの以前の関係があまり描かれていない点だ。
少々ネタバレになるが、ストーリーは時系列通りに進み、過去のエピソードを振り返るシーンなどはない。
そのため、長年親友だったと言うパードリックとコルムの距離感が、よくわからないままストーリーが進行する。
結構いい歳の二人だが、いつくらいから親友となりどのくらいの長さの付き合いないのか、そこがハッキリしないため、コルムがどれだけ本気でパードリックを嫌いになっているのかも想像が付きにくい。
細かい話で言えば、コルムはバイオリンを弾いているが何で生計を立てているのかも、よくわからない。
「スリー・ビルボード」はかなり好きで、その年の「オレ的映画ベスト10」の1位に選んだ。
しかし今回の作品は評価以前の作品で、個人的にはなぜ各映画賞を受賞したりノミネートされたりしているのかも、まったく理解できない。
13.イニシェリン島の精霊