安部元首相の銃撃事件のため、放送が延長になった「竜とそばかすの姫」を録画して見る。
個人的にはあまり評価していない作品だが、中村佳穂の歌と声優としての演技、そして幾田りら声優としての演技をもう一度見たいと思ったからだ。
なぜ作品をあまり評価しないのかと言うと、全体の構成がかなり無理があるからだ。
「U」はオリジナルの登録者をデバイスでスキャンして、その能力を最大限に引き出すと言う設定で、そのためすずは、その歌唱力を増幅されBELLEとして「U」の中でスターとなる。
一方、竜は「U」の武道場で無敵のキャラと言う設定だが、この武道場での勝負はオリジナルの何が基準になっているのか最後まで不明だ。
そして竜は「U」の世界を護るジャスティスたちと戦うが、この戦いもオリジナルの能力との関係がまったく明らかにならない。
竜が「U」の中で無敵と言われても根拠がないため、竜のオリジナルが誰であるかも予測できないし、オリジナルが誰かわかっても、なぜそのキャラクターが「U」に登録して竜となったのか、きっかけがまったくわからない。
もう劇場公開から1年以上経過しているので多少ネタバレになってもいいと思うが、竜が誰なのか途中までわからないような展開にしている事もあり、竜のオリジナルが誰かわかっても「えっ? 誰、これ?」と大きな違和感を感じてしまう。
しかも、竜のオリジナルのバックグラウンドが重すぎるため、ファンタジーとしても楽しめない。
竜のオリジナルとすずが、過去に何かで関係していた、などの布石があればまだ良かったのかもしれない。
前半のファンタジーな展開と比較して、後半があまりにも生々しいため、結末がわかっていても、観終わった後に余韻に浸ることがまったくできなかった。
惜しむべくは、作品があまり評価されていないため、中村佳穂の歌と演技、そして幾田りらの演技は特筆すべきレベルなのに、あまり話題にならなかったという事だ。
99.竜とそばかすの姫(再)