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「女王陛下のお気に入り」

ステュアート朝最後の君主であったアン王女(オリヴィア・コールマン)の側近のサラ(レイチェル・ワイズ)、そしてサラの従妹のアビゲイル(エマ・ストーン)の権力闘争の物語だ。

サラは少女の頃にヨーク公ジェームズ家の女官となり、そこでヨーク公の次女アンと親しくなる。
その後アンはイングランド、スコットランド、アイルランドの統一王女となるのだが、サラはアンに取り立てられ実質的に王国を仕切る立場となっていた。
その頃王国は、スペイン継承戦争でフランスと戦争をしていた。
王国の司令官は、サラの夫であるマールバラ公であった。
マールバラ公はフランスとの戦いに一度は勝利するのだが、軍がイギリスに引き上げた後フランスが反撃を開始する。
すでに戦争で大金を消費していたため、イギリス議会の野党は再度の出兵をせず、フランスと和平交渉をするべきだと主張。
しかし与党とサラは、より有利な条件を引き出すために再度の遠征を決定し、アン王女もこれを了承した。

その頃アビゲイルは、父が没落したため居場所を失い、従妹のサラを頼って宮殿にやってきた。
サラはアビゲイルと面識もなかったため、最初は他の女官達と一緒に下働きをしていた。
しかしアン王女の痛風の痛みを薬草で和らげると、サラに認められサラの女官に地位を上げる。
サラはアビゲイルに厳しく接するもかわいがり、宮廷内で生き残る術を教えようとする。
そしてアビゲイル自身も、サラの女官に甘んじる事無く、軍人であるマシャム大佐の妻になろうと考えていた。
そのためにはアン王女に気に入られる必要がある。
一方野党のリーダーのハーレーは、なんとかサラを失脚させようと考え、アビゲイルにスパイになるよう命令した。
アビゲイルは最初は拒否しようとするが、アン王女とサラの秘密の関係を偶然知り、ハーレーを上手く利用してマシャム大佐の妻になることを画策する。
ここからアン王女の寵愛をめぐって、サラとアビゲイルは壮絶な権力闘争を始める。

米アカデミーでは、アン王女役のオリヴィア・コールマンが主演女優賞を受賞している。
だが個人的には、主演はサラとアビゲイルなんじゃないかと思う。
とにかくこの二人の関係がすごい。
一度はバクチの借金のかたとして父親に売られるまで身を落としたアビゲイルは上昇志向が激しく、なんとしてでも上流社会に戻ろうと考えている。
一方サラは、自分はアン王女に唯一意見できる人間で、自分が王国を動かしていると言う自負がある。
しかしそれは私利私欲のためではない。
アン王女が戦争の祝勝として、マールバラ公とサラに宮殿をプレゼントしようとするが、税金の無駄遣いだとアン王女をたしなめる。
王女でありながら知性に欠けるアン王女を、親友としてサポートしていたのだ。
アビゲイルを自分の女官として取り立てたのも、アビゲイルがいずれアン王女と王国の役に立つと考えたためだ。
そのためアビゲイルを厳しく指導している。
最初は主従関係だった二人が、あるきっかけで激しく火花を散らす権力を争いを始めるのだが、この争いが凄まじい。
それゆえ、アン王女ではなくこの二人が主人公に見えてしまう。

「ラ・ラ・ランド」ではキュートなミアを演じていたエマ・ストーンだが、今回のアビゲイルはかなり激しい役で、彼女の引出しの多さを認識させられた。
アビゲイルをアン王女の寝室付き女官にしたのはサラだったなど、史実とはやや異なる部分も多いようだ。
だが、二人のドロドロの戦いが非常にうまく描かれており、完成度の高い作品だと思った。


29.女王陛下のお気に入り


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by ksato1 | 2019-03-06 22:20 | 映画 | Comments(0)