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「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」

今年初の映画は「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」。
実話を基にしている作品という事だが、観ていてちょっと微妙かなと思った。

喫茶店でバイトをする美咲(高畑充希)には、いずれ実家の病院を継ぐ予定の医大生田中(三浦春馬)と言う恋人がいた。
しかし田中はボランティアが忙しく、なかなか会ってくれない。
美咲がボランティアの現場に行くと、田中は筋ジストロフィーを発症し、24時間介護が必要な鹿野(大泉洋)の面倒を見ていた。
鹿野は一人暮らしをしており、数人のボランティアグループが交代で彼の面倒を見ていた。
しかも鹿野は介護をしてもらう立場なのにわがまま放題、たまたま田中の様子を見に来た美咲を気に入ると、勝手にボランティアメンバーに組み入れてしまう。
田中から頼まれ、美咲は渋々ボランティアに参加するのだが、鹿野のあまりにも横暴な態度にブチ切れてしまう。
美咲を一方的に気に入っていた鹿野は、田中に仲直りを依頼する。
田中、美咲、鹿野、そして古くからのボランティアメンバーの高村(萩原聖人)でジンギスカンのBBQに行くのだが、そこで鹿野は大便をもらしてしまう。
美咲の前で粗相をしてしまい落ち込む鹿野だが、美咲はそんな鹿野の人間らしさにひかれ始める。

その後は、美咲も鹿野の介護に参加する。
そしてある日、田中の家に遊びに行く話が持ち上がるが、田中に対して自分が教育大生とウソをついていたことを打ち明ける。
突然の告白に田中は驚き、二人の間に溝ができてしまう。
一方鹿野は、美咲と田中が付き合っていることに気付かず、少しずつ美咲への思いを強くしていく。
美咲は鹿野に対して恋愛感情がある訳ではないが、彼が母親の重荷になりたくないが故にボランティアに依存している事、彼の母親が鹿野を丈夫に生めず自責の念を感じ、ボランティアに対して非常に感謝していることなどを知り、生活を鹿野のボランティア中心に変えていく。
そんな中、二人きりの時に美咲は鹿野が隠し持っていたAVを見つけ、微妙な空気になってしまう。
その事を鹿野が田中に、「もう少しでベッドインできたかも」と告げたため、美咲と田中はさらに微妙な関係になってしまう。

鹿野はその後も自由に生活をするのだが、病状は少しずつ悪化し、呼吸器を付けなければならない状況になってしまう。
呼吸器を付けると喉を切開することになり、会話もできなくなる。
会話力だけが強みである鹿野にとって、呼吸器を付けることは受け入れがたい。
田中が実家の病院に頼みこみ、鹿野は呼吸器以外の方法で入院をするのだが、目標である英語検定の試験を強硬に受験するため、田中の実家の病院を飛び出してしまう。
だがその事が裏目に出て、鹿野は呼吸器を付けることになってしまった。

筋ジストロフィーを発症した実際の人物を取材した、ノンフィクションが原作である。
おそらくこの作品も、ほぼ事実が基になっているのだと思う。
鹿野は残りの人生が少ないため、とにかく自分の希望を実現しようとする。
ボランティアもその彼の望みをかなえようと必死だ。

事実を基にしているのだから、そこに意図的なものは存在しないのだとは思う。
ただ観ていて、この映画が素晴らしい社会の目標だと勘違いしてしまう人もいる可能性があり、それはかなり危険だなと思った。

この物語の主人公の人となりは、演じる大泉洋の演技でしか知り得ることができない。
映画を観る限り、おそらく魅力的な人物なのだろう。
しかし障害者がすべて、魅力的な人柄であるとは限らない。
教員養成系の大学に通っていたため、障害者のボランティアについてはいろいろと耳にする機会も多かったが、障害を持ったことで、単純にわがままになる人も少なくないと言う。
大学入学時に意欲を持ってボランティアを始めたものの、自分が描いていた想像とのギャップに苦しみ、ボランティアを辞めたという友人も、一人や二人ではなかった。
この映画でも少々触れられているが、特に性欲の処理に関しては非常に難しい問題だと聞く。
障害者を介護するボランティアは、綺麗ごとでは済まされない世界なのだ。

この映画自体も、教条的に障害者のボランティアを称賛している訳ではなく、そう見えないように気を使って作られていることもわかったが、それでも障害者のボランティアを良く知らない人にとっては、勘違いしてしまう要素がかなり多かったと思う。

大泉洋と高畑充希の演技が素晴らしく、映画としてはまずまず面白い作品であったが、反面生々しいエピソードも少なくなく、観ている者が勘違いをするんじゃないかと少々心配になってしまった。


1.こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話


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by ksato1 | 2019-01-06 00:05 | 映画 | Trackback | Comments(0)
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