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「ギャングース」

原作は「モーニング」で連載されたピカレスク作品だ。
遠い昔の青春時代に阿佐田哲也作品にハマって以降、この手の作品は大好きなのだが、まずまずの出来と言っていい仕上がりになっていた。

少年院で知り合ったサイケ(高杉真宙)、カズキ(加藤諒)、タケオ(渡辺大知)の3人は、まともな職に就くこともできず、廃車となったバスで暮らしタタキ(強盗)を生業として暮らしていた。
しかもただのタタキではなく、狙うのは悪党専門。
その方があがりが大きく、被害を受けた方もスネに傷があるため警察に通報されない。
とは言え、むしろバレたときには問答無用で命を狙われる可能性が高く、決してラクな仕事ではなかった。

3人は情報屋の高田(林遣都)から情報を仕入れて仕事を行っていたが、運が向かずになかなか儲けることができない。
ある時、盗品工具をさばいている一味の根城に忍び込んで工具を盗むのだが、そこで見張りをしていた少女ヒカリを抱え込んでしまう。
修理担当のカズキは、かつて母親が幼い妹に売春させており、その客を殺して少年院に入っていた。
妹はその後養護施設に入って消息不明、ヒカリに妹の影を重ねて放っておけなかったのだ。
だがそのヒカリが持っていたSDカードには、何回も騙されるている詐欺被害者の名簿が入っていた。
カネを持っていて何度も騙される被害者は、詐欺グループにとっては太い客だ。
3人はこのSDカードの所有者がかなり儲けていると考え、そのグループをタタく事を考えた。
そして首尾よく被害者から詐欺グループにたどり着き、見張りの隙を縫ってあがりをタタく。
その後も3人は次々といろいろなグループをタタいてあがりを上げた。
目標は3000万円。
それを元手にまっとうな仕事を始める予定だった。

しかしある時、サイケとカズキは昼キャバでかつての少年院仲間と遭遇する。
その一味は少年院を出た後、加藤(金子ノブアキ)が取り仕切る詐欺グループに所属していた。
加藤のグループもSDカードのリストを使って詐欺を重ねていたのだが、3人がSDカードを持っていることが一味にバレてしまう。
それまで稼いだ金もすべて取り上げられ、その後も月に100万円上納金を収めることを約束させられる3人。
このままでは骨の髄までしゃぶられて殺されると考えた3人は、加藤の詐欺グループをタタこうと計画する。
高田に頼んで加藤のバックを調べてもらったのだが、そのバックはここ数年で一気にのし上がった半グレグループ六龍天と、そのリーダー安達(MIYAVI)がいることがわかった。

原作は未読だが、映画とはかなりストーリーが異なるようだ。
だが映画は映画としてきちんと完結している。
ピカレスク作品だけにやや強引な部分はあるが、裏社会の描き方は巧いと思う。
特に、社会から爪弾きにされ、行き場をなくした3人のもがき方がいい。
サイケ役の高杉真宙はやや美形すぎる気もしたが、長髪にしてちょうどいいヨゴレ加減であった。
加藤の金子ノブアキは言わずもがな、川合役の勝矢もいい感じで、安達のMIYABIも予想以上にハマっており、キャスティング面でも成功していた。
そしてヒカリ役の伊東蒼は「湯を沸かすほどの熱い愛」で鮎子を演じていたが、子役なのにもう哀愁漂う演技が板についている。
この先が楽しみだ。
ピカレスク作品が好きな人にはお勧めである。


143.ギャングース


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by ksato1 | 2018-12-06 00:09 | 映画 | Comments(0)