「億男」

今を時めく川村元気が原作で、2015年の本屋大賞でも第10位に入った作品だ。
そのためやや期待して観に行ったが、思ったほどの作品ではなかった。

大倉一男(佐藤健)は図書館の司書をしていたが、夜間はパン工場でバイトもしていた。
妻子とも別居しているのだが、その原因は兄の連帯保証人になったことだった。
先の見えぬ生活をしていた一男だが、ある日手に入れた宝くじが当選し、3億円を手に入れることになった。

一男がまっさきに相談したのは、大学時代に一緒に落研だった親友の古河九十九(高橋一生)だった。
九十九はフリーマーケットサイト「バイカム」を立ち上げてIT企業の社長になっていたのだ。
すると九十九は、まずカネを実感するために3億円すべてを持って来いと言う。
一男は言われたままに3億円を鞄に入れて持参したのだが、九十九は自宅で派手なパーティを開いていた。
そしてパーティが終わって一男が目を覚ますと、九十九と3億円は消えていた。

一男は九十九の行方を探すのだが、まず最初に頼ったのはパーティで知り合ったあきら(池田エライザ)だった。
あきらは様々なコネを使って金持ちと知り合い、金持ちを「億男」それ以外を「雑魚」と区分けしていた。
あきらから紹介されて会ったのは、かつてバイカムのシステムを組み上げた百瀬(北村一輝)だった。
一男は競馬場で百瀬から、カネとはどういうものかを聞かされるが、百瀬自身は現在は九十九とコンタクトを取っていなかった。

次に一男が会ったのは、やはりバイカムの立ち上げに加わった千住(藤原竜也)だ。
千住は怪しいマネーセミナーを主催していたが、やはり九十九の居場所を知らなかった。
そして一男は最後に安田十和子(沢尻エリカ)と会う。
十和子は、百瀬、千住とともにバイカムの株を売って億単位のカネを手に入れていたが、それを使わずに自宅に保管していた。
十和子は百瀬、千住とは異なり、カネにそれほどの価値を感じていなかったのだ。

九十九の行方がわからないまま、一男は大学時代の写真を見て九十九と知り合ったことを思い出す。
落研で合わせて100コンビと言われた九十九と一男は仲が良く、二人でモロッコに旅行に行った。
そこで一男の落ち度で骨董屋の品物を壊してしまうのだが、一男が気を失っている間に九十九はその代金を弁償していた。
数十万円もの代金は保険で賄うと九十九は言うのだが、そもそも九十九は株式で億単位の資産を築いていた。
その資金でバイコムを立ち上げるのだが、その頃から九十九はカネの価値について疑問を抱いていたのだ。

必死に九十九を探す一男を追いかけながら、百瀬、千住と、カネに囚われてしまった人々の生き様が描かれる。
その一方で、十和子はすでにカネにあまり価値を見出していない、正反対の生き方をしている。
冒頭の九十九主催のパーティ、そしてそのパーティに出席して億男を追いかけるあきらなど、カネに対する考え方次第で人生が大きく変わる、そういう部分を描いた作品だ。
言いたいことはわかるが、やや説得力に欠ける部分があるのは、キャスティングのためか。

このメンバーなら、一男役は藤原竜也の方がよかったかもしれない。
「カイジ」をはじめ、「インシテミル」「サンブンノイチ」など、追いつめられて苦悩するシーンを演じさせたら今やこの人の右に出る人はいないだろう。
何人ものモノマネ芸人が「うわぁぁぁ」とモノマネするほど、追いつめられ役が板に付いている。
一方佐藤健はクールすぎて、追いつめられ感が乏しかった。
佐藤健は「いぬやしき」の獅子神のようなクールな役が似合う。
百瀬の北村一輝も、北村一輝特有のクセの強いギラギラ感が出ておらずもったいなかったような気がする。

映画としては手堅くまとまっているものの、今一つパンチに欠けた感じで少々残念だった。


128.億男


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by ksato1 | 2018-11-06 00:05 | 映画 | Comments(0)