「判決、ふたつの希望」

レバノン出身のジアド・ドゥエイリ監督による作品だ。
日本人にはわかりづらい部分もあるのだが、逆に中東問題を良く知らない日本人だからこそ、この映画を楽しめると言えるのかもしれない。

レバノンにはパレスチナ難民が多数押し寄せ、キリスト教右派の政党は過激に難民を攻撃していた。
自動車工場を経営するトニーも熱心なキリスト教右派の支持者で、身重の妻がやや引くほどの熱狂ぶりである。
そんなトニーが住むマンションの前に、復興のためのビルが建設された。
その現場主任はパレスチナ難民のヤーセルだったが、トニーの部屋のベランダから漏れる水が現場に降りかかっていることを、トニーに注意しに行った。
トニーはけんもほろろにヤーセルを追い返したが、ヤーセルは工事に支障がでるので勝手にトニーのベランダの水漏れを工事してしまった。
怒って修理された排水管を壊すトニー。
ヤーセルはトニーに罵声を浴びせてその場を立ち去るが、怒ったトニーは工事会社に連絡し、ヤーセルの謝罪を要求する。
会社の社長はヤーセルに謝罪するように言うが、ヤーセルは気が進まない。
渋々社長に連れられて、日曜日に謝罪に行くのだが、そこでトニーが政党の演説を聞いており、それを聞いたヤーセルは謝罪の気持ちを失くしてしまう。
さらにトニーに浴びされらた言葉に逆上し、トニーを殴ってしまった。

トニーは警察署に被害届を出すが、難民キャンプに暮らすヤーセルは逮捕できないと言われる。
しかたなく民事裁判に持ち込むのだが、トニーには政党の大物弁護士が、ヤーセルには難民を支持する弁護士が付く。
やがて裁判は二人の意志を飛び越え、レバノン全体の政治問題にまで波及してしまった。

映画のストーリーの軸は 些細なもめ事が国全体を動かす大事になってしまう、である。
レバノン国内の政治問題が絡んでくるため、細かい駆け引きなど理解できない部分もあるのだが、それでもストーリーの流れは理解できる。
さらに、問題が大きくなって戸惑いながらも、厳格なイスラム教徒であるヤーセルと、政党支持のトニーがまったくぶれないと言う演出も巧い。
二人はお互いを憎んでいるのではなく、自分の信念を貫き通したいだけなのだ。
そしてラストはご都合主義的ではなく、極めて現実的な結末を迎える。
その結末も、本当に実現できるかどうかは別として、非常に希望に満ちたものだ。
中東問題に疎い日本人からすれば、この映画こそが中東問題解決につながるのでは、とお気楽に考えてしまう。

もっと重いテーマで日本人には理解しづらい映画かと思って観に行ったのだが、むしろ日本人こそ観るべき映画なのではないかと思った。


104.判決、ふたつの希望


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by ksato1 | 2018-09-06 00:05 | 映画 | Comments(0)