「焼肉ドラゴン」

演劇で評判だったと聞いてそこそこ期待して観に行ったが、正直内容はイマイチだった。

1969年、時生は伊丹空港近くの韓国人街に家族と住んでいた。
韓国人街と言ってもほとんどの家はバラックの掘っ立て小屋で、空港の土木作業員として日雇い仕事をしている人が多かった。
時生の父は焼肉屋を営んでいたが、第二次世界大戦に従軍して左腕を失くしている。
母は韓国の動乱で済州島から逃げてきていた。
姉が3人いたが、長姉の静花(真木よう子)と次姉の梨花(井上真央)は父の先妻の子で、すぐ上の姉の美花(桜庭ななみ)は母の連れ子である。
これからも日本で生きなければならない、と言う父の信念の元、時生は私立の進学校に通っていたが、韓国人と言う事でいじめにあい失語症になっていた。

梨花は店の馴染みの哲男(大泉洋)と結婚したのだが、哲男は役所に書類の不備を指摘されたことを怒り、結婚届けを破り捨ててしまう。
結婚初日から一悶着あった二人だが、実はそれよりも根深い問題があった。
哲男は静花と同級生であったが、子どもの頃から静花に想いを寄せていた。
だが哲男と一緒に空港に忍び込んだ時に犬に噛まれた傷が、今でも後遺症として残っていることを気にして、静花は哲男の想いを受け入れなかった。
そんな中で哲男を梨花は結婚をしていたが、二人の仲は冷え切るばかりで、梨花は韓国から日本に来たばかりの呉と付き合うようになってしまう。
梨花と哲男の間を案じた静花は、常連となった尹と付き合い始めるが、哲男は北朝鮮への帰国を申し込んだので、一緒に北に行ってくれと、静花へ想いをぶちまける。

一方美花はナイトクラブで働いていたが、そこの支配人の長谷川と付き合っていた。
しかし長谷川はクラブのママと結婚しており、美花はママと店で大喧嘩をしてしまう。
そんな中、国有地を不法占拠していると言われ、家族は立ち退きを要求される。
また時生は学校の欠席日数が多くなり、進級できない状態になっていた。
時生の母は進学校を辞めることを提言するが、父は頑なにそれを認めようとしない。
時生は追いつめられてしまう。

時代に翻弄された在日韓国人の一家の物語、と言う触れ込みだが、あまり時代に翻弄されていない。
家族が主に翻弄されているのは、静花、梨花、哲男の三角関係である。
この三角関係は時代に関係なく、さらに在日韓国人をテーマにしなければならないものでもない。
在日韓国人への差別と言う部分は若干表現されているものの、それも時生の学校問題のみである。
まともな仕事に就けない、と言う部分はセリフで処理されているだけだ。
ただ時生の父である龍吉役のキム・サンホと、母親役のイ・ジョンウンの演技は非常に良かった。
特にキム・サンホはセリフではなく、表情と仕草で耐える在日韓国人の悲哀と屈託を表現していた。
とは言え、やはりストーリー全体は何を表現したかったのか、今一つわかりづらい。
映画と言う事で差別的な部分を排除したのかもしれないが、その分感動も薄くなってしまった感じだ。


78.焼肉ドラゴン


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by ksato1 | 2018-07-02 22:03 | 映画 | Comments(0)