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「ゲティ家の身代金」

1973年に実際にローマで起きた誘拐事件をモチーフにした作品だ。
事実に脚色を加えているらしいが、リドリー・スコットらしいスリリングな作品になっていた。

第二次世界大戦直後、ジャン・ポール・ゲティはサウジアラビアの油田採掘権を手に入れた。
当時、砂漠から石油を運び出すことは不可能だと誰もが考えていたが、ゲティは巨大なタンカーを建造して石油の輸出に成功、一躍世界一の億万長者となった。
ゲティは家族を顧みず、ビジネスに没頭していた。
そのため息子家族ともほとんど連絡を取っていなかった。

ゲティJr.は美しい妻、子供たちとアメリカで暮らしていたが、仕事がなかった。
妻は父から仕事をもらえばと言うが、Jr.は石油関係の仕事に就きたいと思っていなかった。
しかしゲティからローマに来るようにと連絡を受け、家族を連れてローマに行くと、石油会社の副社長およびヨーロッパエリアの責任者の仕事を任されることになってしまう。
だがJr.はプレッシャーに押しつぶされ、数年でアルコール依存症になってしまった。

Jr.の妻ゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)は夫との離婚を決意し、財産は放棄するので子供たちの保護権を主張する。
しかしゲティはゲイルの主張を受け入れようとしない。
そんな中、長男のゲティ3世のポールが誘拐されてしまう。
犯人グループは身代金として1700万ドルを要求するが、到底ゲイルに支払える額ではない。
ゲイルはゲティに身代金の支払いを頼みに行くが、ゲティはゲイルと会おうともしない。
それどころか待ち受ける記者たちの前で、「身代金は一切払うつもりはない」と断言してしまう。
ゲイルはショックを受けていら立つが、彼女の前にゲイルから送られた元FBIの交渉人チェイスが現れた。

チェイスはさまざまな情報網を駆使して、ポールが左翼のグループとつるんでいたことを突き止める。
そして彼らと狂言誘拐を計画し、祖父から身代金を巻き上げようとしていたことも掴む。
しかし左翼グループのリーダーは、誘拐したのは自分たちではない、ポールは別のグループと手を組んだのだろうと告げる。
チェイスから狂言誘拐の可能性を聞いたゲティは、さらに身代金を払おうとしなくなる。
だがポールは狂言ではなく、本当に誘拐されていた。

ゲイルとゲティの駆け引き、間に入るチェイス、そして犯人とゲイル、チェイスの駆け引きなど、ドラマティックなストーリーが展開する。
さらに犯人がポールをマフィアに売り飛ばし、そこから必死で逃げようとするポール。
希望と絶望のメリハリのつけ方がうまく、実際に起きた話がベースとは思えないほどの面白さだ。
そしてその面白さを引き出しているのが、ミシェル・ウィリアムズの演技力である。

あまり話題になっていないのでもう公開も終了してしまいそうだが、サスペンス好きならどこかで押さえておきたい作品だ。


73.ゲティ家の身代金


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by ksato1 | 2018-06-15 23:02 | 映画 | Comments(0)