「いぬやしき」

原作は「GANTZ」の奥浩哉だ。
物理的な矛盾を無視した、圧倒的にスタイリッシュな機械化された犬屋敷と獅子神は、いかにも奥浩哉のデザインという感じだ。

もうすぐ定年の冴えないサラリーマン犬屋敷(木梨憲武)は、ローンを組んで一軒家を購入するも、健康診断の再検査で余命3か月を宣告される。
だが、彼を案じる家族はいない。
家族からは疎まれ、特に高校生の長女からは、犬屋敷の見た目が更けていることもあり毛嫌いされていた。

そんな犬屋敷のもとに、ある日犬が迷い込んできた。
妻に責められ、その犬を捨てようと夜中に出かけると、犬屋敷は不思議な光に包まれて気を失う。
犬屋敷が目覚めると、体全体が機械化されていた。
そして道端で瀕死のハトを手に取った時、ハトが息を吹き返して元気に飛び立ったのを見る。
犬屋敷はこの自分の力を、病気で苦しむ人たちのために使うことにした。

犬屋敷と一緒に光を浴びた高校生がいた。
獅子神皓(佐藤健)である。
獅子神は手を銃のような形にし、目的物に向かって「パン」というだけで、銃撃できる力を得ていた。
力を得た獅子神は、不登校の親友アンチョク(本郷奏多)を登校させ、いじめようとする同級生たちからアンチョクを守るのだった。

獅子神の両親は離婚し、彼は母親(斉藤由貴)と暮らしていた。
時折父のところにも行くのだが、父は新しい家族と幸せそうに暮らしている。
父の家族は獅子神も暖かく迎えてくれるのだが、そうされればされるほど、母を捨てた父へいら立ちを覚えた。
そして父親の家からの帰り道、幸せそうに暮らしている家族を力で惨殺してしまう。
襲われる家族の声をキャッチした犬屋敷は現場に向かうが、獅子神に倒されてしまう。
獅子神が去った後、犬屋敷は襲われた家族を回復させようとするが、死亡してしまうと力では回復できないことを知った。

獅子神は力を使って銀行口座の預金を増やすなど、破戒的な行為を行うようになった。
アンチョクは彼を制止しようとするが、力を得ることによって考えを変えてしまった獅子神を止めることはできなかった。
やがて、家族惨殺事件の捜査をしている警察が、獅子神にたどり着く。
獅子神は逃走をするのだが、母親がマスコミにさらされてしまう。
そして世間から中傷を受けた獅子神の母は、自ら命を絶った。
獅子神はこのことに激怒、母親をマスコミにさらした人間をネット上から一人ひとり狙撃し始めた。
獅子神は、彼に想いを寄せていた同級生しおん(二階堂ふみ)にかくまわれるのだが、SATの急襲を受けしおんと彼女の祖母が犠牲となってしまう。
獅子神の怒りは頂点に達し、彼は日本全体に対して戦争をしかけると宣言した。

犬屋敷と獅子神がなぜ機械化されたのか、いっさい説明なく物語は進行する。
しかしスピーディな展開に引き込まれ、そのほかの小さい矛盾も含めて、気づかないまま最後まで観てしまう。
そのあたりが奥浩哉の力量だろう。
身近な話からどんどん話が大きくなっていくのも、この作者特有の世界観だ。
「GANTZ」では「カタストロフィ編」になってから話がグズグズになってしまうのだが、この映画に関してはきちんと起承転結がまとまっていた。
ただ、原作では映画のストーリーの後に、隕石が地球に接近するというかなり大味な展開があるようだ。
そこまで話を続けず、ちょうどキリのいいところで終わらせている部分は、脚本家のファインプレーと言えるかもしれない。
同じ監督作品だが、映画版「GANTZ」のようなラストのガッカリ感はなかった。

また、木梨憲武の犬屋敷と佐藤健の獅子神は非常にはまっていた
特に佐藤健は現在の「半分、青い」のような好青年役も多いが、こういう悪役を演じさせても巧い。
「龍馬伝」の「人斬り以蔵」の演技も素晴らしかった。
犬屋敷の家族は出さず、犬屋敷、獅子神、そしてアンチョクの3人だけ引き継いで、原作とは別のバトルシーンだけの続編を作っても面白いかもしれない。

62.いぬやしき


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by ksato1 | 2018-05-04 09:07 | 映画 | Comments(0)