「マンハント」

久しぶりのジョン・ウー作品という事で大きな期待を持って映画館に向かった。
そしてオープニングテロップで「音楽:岩代太郎」「美術:種田陽平」と表示されたので、これは間違いなく面白い映画だと確信した。
しかし劇場の椅子から転げ落ちそうになるくらい酷い作品だった。
これだけ酷い作品に映画館でお目に掛かるのはそう簡単ではない、そのレベルの作品である。

国際弁護士のドゥ・チウ( チャン・ハンユー)は天神製薬の顧問弁護士で、会社のNY市場上場に大きく貢献した。
しかし上司の指示で天神製薬の担当を外れることになった。
天神製薬社長の酒井義廣(國村隼)は、守秘義務があるもののドゥが担当を外れて会社の秘密が外に漏れることを恐れていた。
そこで女を使ってドゥが担当に残るよう説得しようとする。
酒井の指示を受けた女は、ドゥの部屋に先回りして彼の帰りを待った。
しかし別の何者かが現れてオンンは殺害されてしまう。
何も知らないドゥが自宅に戻ると、いつもと雰囲気が違う。
おかしいと気付いて振り向こうとした瞬間、ドゥは殴打され気を失ってしまう。
そして次に気付いたとき夜が明け、ドゥは女の死体とともに自分のベッドに横たわっていた。

すぐに警察が駆け付けるが、刑事の浅野(トクナガクニハル)はドゥを連行しようとする。
しかし部屋から庭に出た瞬間、浅野は同僚の警官を撃ち、さらにドゥも撃って無理やり逃走させる。
ドゥはその場から立ち去るが、大阪府全体にドゥの緊急手配がなされる。
別の立てこもり事件を追っていた刑事の矢村(福山雅治)は、事件を解決し後若手の百田(桜庭ななみ)と合流、彼女の車でドゥの足取りを追った。

ここまでがストーリーの序盤なのだが、これ以上の事を書いてもあまり意味がない。
ハッキリ言って、ストーリーは完全に破綻しているのだ。
この後、日本と中国のハーフである遠波真由美(チー・ウェイ)が話に加わってきて、彼女の婚約者の死と天神製薬の新薬についての疑惑がストーリーの軸となる。
しかしドゥ自身は、この新薬の疑惑とはまったく無関係だ。
映画はドゥの逃走劇なのだが、途中からドゥの部屋で起きた殺人事件はあまり重要な意味をなさなくなってしまうのだ。
ストーリーは突っ込みどころ満載をはるかに通り越しており、高校生が学園祭で作った自主制作映画の方がまだマシなのでは、と思ってしまうレベルである。

だが、ストーリー以上に陳腐だったのは、天神製薬の研究所のシーンだ。
ホームレスを使った秘密の人体実験が行われている設定なのだが、この研究所内のデザインと人体実験のシーンが、仮面ライダーシリーズレベルのお粗末さである。
脳波を操作すると思われる、頭に巻いたヘッドバンドも、とてもプロの仕事は思えないチャちさだ。正直、大人が見る作品のレベルではない。
また冒頭の天神製薬のパーティーシーンも、かなり安っぽい会場のうえ、日本人が絶対に踊りそうにない謎のダンスをしている。
本当に種田洋平が美術を担当したのかと、疑問が湧いてしまった。
ひょっとすると種田洋平ではなく種田羊平と言う別人じゃないかと思ったが、調べてみるとやはり種田洋平が美術担当だった。

一応、アクションシーンは見所がある。
ガンアクションはさすがジョン・ウーと言えるレベルだし、水上バイクやカーアクションもそれほど悪くない。
しかしアクションシーンのレベルが高ければ高いほど、その他のシーンの粗が目立つ。
セリフは同時録音ではなく後からアフレコしたのだと思うが、口の動きがまったく合っていない。
本職の声優が見たら「仕事をなめるな!」と怒り出すレベルだろう。

「君よ憤怒の河を渉れ」のリメイクらしいが、自分が「君よ憤怒の河を渉れ」を観ていないので比較ができない。
本当に「君よ憤怒の河を渉れ」とはこんな酷い映画だったのだろうか。
いずれにしろ、今後ジョン・ウーの新作が公開されたとしても、もう観ることはないだろう。


23.マンハント


※こんな本書いてみました。
よろしかったらご購読ください



●放射能ヒステリックビジネス


https://www.amazon.co.jp/%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%83%92%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9-ebook/dp/B00DFZ4IR8/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1371517543&sr=8-1&keywords=%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%83%92%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF
スカパー!

冬の5大テーマ祭り「映画」をもっと見る

[PR]
by ksato1 | 2018-02-19 00:05 | 映画 | Comments(0)