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「GODZILLA 怪獣惑星」

ゴジラシリーズ初のアニメだ。
予告編を観た限りでは作画はかなり頑張っているようなので観に行ったが、時間がない中で強引に作ったような雰囲気で、かなりダメダメな作品であった。

20世紀末から地球は、各所で巨大生物による襲撃を受けるようになる。
何頭かの生物は駆逐することができたが、その中でも最強のゴジラに関しては打つ手がなく、半世紀近く破壊されるがままの状態になっていた。
その頃、地球の状況を見た2種の異星人が相次いでコンタクトを取ってくる。
宗教の元に統治され独自の数式「ゲマトロン演算」を駆使する種族エクシフと、優れた科学力を持つ種族ビルサルドだった。
ビルサルドが対ゴジラ兵器メカゴジラを設計するも、制作途中に襲撃されてしまう。
人類はやむなく、エクシフ、ビルサルドの3種族の中から選ばれたメンバーを宇宙船に乗せ、他の惑星に移住させる事にした。

20年後、宇宙船は目的の星に到達したが、とても着陸できるような環境でなかった。
ハルオ・サカキ大尉は着陸に強硬に反対するものの、宇宙船での生活に疲れた老人たちは自ら着陸船に乗り込み、星への着陸を志願した。
しかし着陸船は星の大気圏で爆発、着陸は不可能となる。
本船に残ったリーダーたちは選択を迫られた。
新たに移民に適する惑星を探すか、ゴジラがすでに死滅していることに賭けて地球に戻るか。
「ゲマトロン演算」ではじき出した答えは、今後20年で新たに移民に適する惑星が見つかる確率はほぼゼロ、本船に残った者たちは地球に戻る選択をする。

その頃、着陸に反対したサカキ大尉は拘束されていたのだが、彼の理解者でありエクシフの中佐であったメトフィエスからゴジラに関する資料を提供してもらい、ゴジラの生態を研究していた。
そしてゴジラは体内のどこかに増幅装置となる機能を有していて、そこを攻撃すれば攻略できると考えた。
リーダーたちも、たとえゴジラがまだ生存していたとしても、駆逐して地球に戻ることを選択肢の一つとした。

資源が乏しくなった宇宙船は、リスクを冒して長距離亜空間航行を実施、地球へと帰還する。
放射性元素の測定で、宇宙船が地球を去ってからおよそ2万年の時間が経過したことがわかったが、やはりそこにはまだゴジラが存在していた。
移民団は上陸兵団を結成、5つのグループに分かれて地球に着陸する。
しかしすでに地球の水および大気は、人間が生存できる成分ではなかった。
ゴジラ探索を中止して退避が検討される中、上陸兵団の1グループが翼竜のような形態の謎の生物の襲撃を受け、退避が困難になってしまう。
すべてのグループが結集して退避せざるを得ない状況の中、ゴジラが生息すると思われるエリアを各グループが移動を始める。

まず、この映画がどういう意図で作成されたのかわからないが、設定がボロボロすぎる。
地球が巨大生物に襲われている際に2種の宇宙人がコンタクトをしてくるのだが、この2種が自分たちの地球への移住を条件に巨大生物駆逐を約束するのに、まったくの役立たずとなっている。
エクシフの「ゲマトロン演算」とビルサルドの亜空間航行の技術がなければ移民船を飛ばすこともできなかったのだが、そのためにだけに2種の宇宙人を登場させる意味があったのかと思った。
共通の大きな敵を目の前にした場合、種族間の諍いもなくなる可能性はあるのだが、それにしても宇宙船内の3種族がやたら仲が良すぎるのも違和感を感じる。
現在の地球上でも肌の色、宗教によってこれだけもめ事が起こっているのだから、いきなり現れた異星人との間にまったくわだかまりがないのは、いくらなんでも無理がある。
ただしシリーズが3部作らしいので、そのあたりはこの後の作品で語られるのかもしれない。

また、この宇宙人たちの見た目が地球人にそっくりなので、各キャラクターの区別付きづらい。
区別がつくのはそれぞれ、エクシフのメトフィエス、ビルサルドのムルエルだけだ。
それ以外の2つの種族がどれだけ移民船に乗っているのか、上陸兵団に加わっているのかもまったくわからない。
兵団は種族ごとに分かれているのか、あるいは混成なのか、各種族の属性は設定されているものの、それがストーリーにまったく生かされていない。
そして、これらの宇宙人の説明が冒頭の15分で一気に語られ、かつセリフがメインで映像ではよくわからないため、非常に違和感を抱えたままストーリーが進んでいく。

さらに、ゴジラを駆逐しようというモチベーションも、非常に安易だ。
地球は人類が生息するのに適した環境ではないので、ゴジラとは接触せず月面に拠点を作って資源だけ地球から調達しよう、というまともな意見が出ているのに、サカキのゴジラを倒したいという願望だけで、兵団全員がゴジラを倒そうと結束してしまう。
たしかに攻略する弱点は見つかっているものの、かつて150発もの熱核爆弾の攻撃に耐えたゴジラに対し、ほとんど攻撃用火力がないのによく全員が賛成するものだ。

作画もかなり頑張っているし、索敵によりゴジラの弱点が明らかになり、最終決戦でゴジラに挑むシーンはとても迫力がありいいシーンだと思う。
しかしそれ以外の設定が、本当にグズグズになってしまっている。

脚本と全体のシリーズ構成を担当しているのは、虚淵玄という人だ。
TV版の「PSYCHO-PASS」も担当しているし、「魔法少女まどか☆マギカ」も担当しているようなので、本来であれば力量はあるのだろう。
しかしこの作品は、評価できない。
たぶん、自分で長年シリーズ構想を温めたのではなく、人から投げられて頑張って作ってみました、なのではないかと思う。
だとしてもこの作品は、あまりにも酷い。

現在2作目を制作中だと思うが、もう少しきめの細かい作品に仕上げてもらいたい。


131.GODZILLA 怪獣惑星


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by ksato1 | 2017-11-24 21:53 | 映画 | Comments(0)