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「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」

原案が岩井俊二、脚本が大根仁、制作総指揮が河村元気、と聞けばかなり期待してしまう。
だが、期待したほどの出来ではなかった。

花火大会の日、中学1年の典道(菅田将暉)は祐介(宮野真守)とプールの掃除当番であった。
プールに行くとそこには同級生のなずな(広瀬すず)がいる。
典道と祐介は、なずなにほのかな恋心を抱いていた。
祐介が典道にレースを持ちかけ、勝ったらなずなに告白すると言いだした。
それを聞いた典道が慌てている所に、プールサイドの向こうからなずなが来て、レースをするなら自分も入れてくれと言う。
3人で泳ぎ始めるが、1位でゴールしたのはなずな、典道はターンに失敗して足をケガして最下位だった。
先にプールから上がっていたなずなは、祐介がゴールするのを待って、一緒に花火大会に行こうと持ちかける。
なずなは、夕方祐介の家に行くので必ず自宅にいるように言った。
祐介はその話を典道にも内緒にしていた。

なずなは母親が再婚するため、夏休み後に転校する事になっていた。
しかしその事を受けいれられず、典道と祐介、レースで勝った方と駆け落ちする事を考えていたのだ。

典道と祐介が教室に戻ると仲間たちが、打ち上げ花火を横から見ると丸く見えるか、平べったく見えるかで言い争いをしていた。
ちょうど花火大会の日なので、みんなで灯台に登って横から見ようと言う話でまとまる。
行きがかり上、典道と祐介も参加する事になった。

典道が学校から戻ると、無人の自宅に祐介が忍び込んで、典道の部屋でゲームをしていた。
みんなとの待ち合わせ時間の5時が迫った時、祐介は典道の足のケガを見て、医者である自分の父に診てもらうように勧め、自分は先にみんなとの待ち合わせ場所に行くと告げた。
祐介の言うとおり、典道の自宅の病院に行く典道。
治療を受けて待合室に戻ると、そこには荷物を持ったなずながいた。
祐介を待っているなずなに典道が、祐介はみんなと灯台に行ったと告げると、なずなは淋しそうに病院を出て行った。
気になった典道がなずなを追いかけると、なずなの母親がなずなを追いかけ始めた。
荷物は散乱し、無理矢理連れ戻されてしまうなずな。
そこに祐介が仲間と一緒に典道の様子を見に来た。
典道は祐介がなずなとの約束を破った事に怒って、祐介に殴りかかる。
みんなが典道を止めるが、収まらない典道はなずなの荷物にあった球をみんなに投げつける。
その球がみんなの後ろの掲示板に当たろうとした瞬間、時間が巻き戻り、典道と祐介はプールサイドにいた。

岩井俊二版は未見なのだが、元々が「If もしも」というテーマで放送された単発のTVドラマシリーズの1話だそうだ。
そのため、典道が球を投げるたびに時間が撒き戻り、違う選択肢のストーリーが展開する。
ちょっと前にバカリズムが脚本を担当したドラマ「素敵な選TAXI」に近いかもしれない。

設定としては面白いのだが、個人的には全体的にちょっと間延びしているかな、と感じた。
元々が45分の作品だった物を、90分にしているので仕方ないかもしれない。
ただそれ以外にも、絵柄的になずなが中学1年生に見えなかったり、典道と祐介以外のクラスメートのキャラがイマイチ見えて来なかったりと、違和感を感じる部分が多かった。

岩井俊二版は、典道、祐介、なずなが小学6年生の設定だったようだ。
親の言う事を聞かなければならない、と言う部分がより強調されるので、なずなが背伸びして駆け落ちをする、と言う部分にも説得力が出てくる。
一方このアニメ版ではなずなが大人っぽく見えるため、逆に駆け落ちの部分の説得力が薄くなってしまっている。
だったら年齢設定を高校生に上げて、菅田将暉と広瀬すずの実写版を見てみたかった気もする。

期待して観に行っただけに、ちょっと中途半端な感じでモヤモヤ感が残ってしまった。



99.打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?



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by ksato1 | 2017-08-28 21:32 | 映画 | Comments(0)