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ジブリ作品2本

忙しくて感想をアップしそびれていたが、地上波で放送されたジブリ2作品を録画して見た。

まず「ハウルの動く城」。
最初から最後まで見るのは、映画館で観た時以来かもしれない。
そして改めて見直すと、なんだかいろいろととんでもない作品だ。

ハウルは子どもの頃、火の悪魔カルシファーと契約して悪魔の力を手に入れる。
そして師匠のマダム・サリマンの元を離れて単独行動を行っていた。
別の悪魔と契約した荒れ地の魔女は、ハウルの心臓を狙って彼に近づく。
だが、マダム・サリマンに悪魔の力を無効にされてしまい、その後はソフィーに連れられてハウルの城に身を寄せる事になる。
ハウルは城にいる仲間を戦争から守るため戦いに行くが、そこで魔力を使いすぎて力尽き掛ける。
一方城に残った荒れ地の魔女は、カルシファーがハウルの心臓を持っていることに気付き、カルシファーに水を掛けてハウルの心臓を奪おうとする。
カルシファーの力が弱ったため城は崩れてしまい、谷底に落ちたソフィーは色々な場所に通じる扉を開け、時空を超えて子どもの頃のハウルとカルシファーが契約した場面に遭遇する。
そこでソフィーは、カルシファーが持つ心臓をハウルに戻せば、二人の契約が終了する事を知る。
扉を抜けて現代に戻ったソフィーは、荒れ地の魔女からハウルの心臓を返してもらい、ハウルの胸に戻す。
ハウルとカルシファーの契約は終了し、ソフィーも元の姿に戻る。
そんなみんなの姿を見たマダム・サリマンは、国王に停戦を進言する。

児童文学だから仕方ないが、細かい部分の整合性がよくわからない。
まず、なぜ戦争が起こっているのか。
ラストでサリマンがあっさり国王に停戦を進言しているが、だったらハウルの動向に関係なくもっと早く停戦を進言すればいいのに、と思ってしまう。
サリマンが戦争にこだわって、さらにハウルの力を利用しようとした意味がよくわからない。
戦争を続けていた方が、ハウルの尻尾を掴みやすかったからか。
だとしたらサリマンは、ハウルを悪魔から取り戻したいという個人的な都合で、戦争が継続させていたことになる。

また、カルシファーはなぜ、ハウルと契約したのか。
ハウルとカルシファーの契約において、カルシファーのメリットが見当たらない。
それどころかこき使われて、ずっとぶつぶつ文句を言っている。
カルシファーはハウルが自分の力を使って魔王になってくれると思ったのかもしれないが、ハウルが魔王になるとカルシファーにどんなメリットがあるのかもわからずじまいだった。

まあ、ハウルとソフィーの「boy meets girl」ストーリーだから、そういう細かいことを考えても仕方ないのかもしれない。
とは言え改めて見直すと、興行収入的には成功しているものの映画としては大して面白い作品ではないと言う事を、再認識した。


続いて「思い出のマーニー」。
こちらはかなり好きな作品だ。

養母とうまく行っていない杏奈が、夏休みを利用して養母の親類夫婦の家に逗留する。
近くに湖のある田舎町だが、杏奈は湖の向こうに建つ洋館に引き付けられた。
そこには外人の少女マーニーが住んでおり、杏奈はたびたびマーニーと一緒に時間を過ごすようになる。
しかしマーニーが現れるのは1日のうちの数時間で、それ以外の時間に杏奈が洋館に行ってみても、洋館は廃墟にしか見えない。
やがて廃墟の洋館がリフォームされ、東京から来た家族が住むことになった。
新しい家族の一員、彩香が杏奈を見つけ、話しかけてくる。
彩香は杏奈がマーニーだと思ったのだ。

身の置き所のない思春期の少女の葛藤が、透明感を持って非常によく描かれた作品だと思う。
杏奈の葛藤は生々しく、ともすればドロドロし過ぎてしまう可能性もあったが、絵柄、色合い、マーニーの無邪気な振舞い方などが、それらの臭みをすべて取り去ってくれた。
また、杏奈が身を寄せる大岩夫妻の人間の大きさも、安心感を与えてくれた。

ラストがややこじつけっぽい感じもするが、杏奈とマーニーの友情のはかなさが切なく、ストーリーに引き込まれてしまう。

世間的には「ハウルの動く城」の方が評価は高いが、個人的には「思い出のマーニー」の方が断然面白い映画だと思う。


114.ハウルの動く城(再)
115.思い出のマーニー(再)

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by ksato1 | 2015-10-21 17:05 | 映画 | Comments(0)