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「劇場版 SPEC~結~ 漸ノ篇、爻ノ篇」(再)

「秋の『SPEC』祭り」と称して放送された、「劇場版 SPEC~結~ 漸ノ篇、爻ノ篇」を続けて見た。
劇場でも1日で続けて観ていたため、だいたい内容を把握して観る事ができたが、録画してじっくり見ると、いい点と悪い点がよくわかった。
いい点は、これまでのキャラクターを存分にいかして感動的な部分を盛り上げている事。
悪い部分は風呂敷を広げ過ぎて収集が付かなくなり、結局パラレルワールドですか、という結末になっている事。
シリーズを愛している人しか映画を観ないと思うので、これはこれでいいのかもしれないが、映画としての完成度と言う点ではかなり低いと言わざるを得ない。

前作「天」で、通常の人類と特殊能力を持つSPECホルダーの存続を掛けた争い、という構図が出来上がっていた。
そしてラストに、謎のキャラクターであるセカイ(向井理)が登場する。
このセカイが誰なのかと言うと、現在の人類が誕生する以前、太古の昔から地球に住んでいた先人類であると言う。
ただしSPECホルダーすべてがこの先人類という訳ではない。
当麻(戸田恵梨香)たちは、先人類以外のSPECホルダーという事になるらしい。

先人類以外のSPECホルダーは、世界各国の大国にその能力を利用され、新たなるパワーバランスの基準になりかけていた。
しかし先人類のSPECホルダーは彼ら以外のSPECホルダーを抹殺し、さらに人類すべても抹殺して地球を有史以前に自分たちだけが住んでいた世界に戻そうと企んでいた。
ただし、パラレルワールドをつないで過去の人物を蘇らせる当麻の能力は、先人類のSPECを復活させるために必要であり、セカイは当麻を利用しようとおびき寄せた。
そこで最終決戦が始まる。

ズバリ言って、先人類のセカイを登場させてしまった事が、映画として破綻した原因だろう。
手かざしでなんでも消してしまうセカイの能力はオールマイティカードで、その後のストーリーも「なんでもアリ」状態になってしまう。
だから当麻をはじめ、これまでの主要なSPECホルダーが登場して抵抗しても、正直かなり無理がある展開になってしまった。
一十(にのまえ)こと陽太(神木隆之介)が時間を止めてマダム陽(浅野ゆう子)が起爆装置を凍結したと言っても、そもそもセカイは陽太が止める時間の中でも動ける設定だった。
だから陽太が時間を止めても、それに気付かないはずがない。

さらに、卑弥呼として北大路欣也を登場させているが、これもまったく機能していない。
機能していないどころか、敵か味方かもあやふやだし、セカイと比較して能力がどれほどのものなのかまったく解説がないので、観ている者を混乱させる要因にもなっている。

ただ、戸田恵梨香の当麻と加瀬亮の瀬文のキャラはブレていない。
ここがまったくブレていないから、TVシリーズからのファンも、もやもやしたものを抱えながらある程度満足感を得られるのだ。
さらに、竜雷太の野々村光太郎のアツき刑事魂が、「漸ノ篇」から「爻ノ篇」にかけて物語を引き締めている。

このシリーズに関しては、すでに前日譚である「SPEC~零~」まで制作されてしまっているので、もうこれ以上作品を作るのは不可能だろう。
実際作られたとしても、「結」の終わり方を考えると今後の作品が面白くなる要素はない。

あるとすれば、当麻以外のSPECホルダーが主役のスピンオフ作品くらいか。
真野恵里菜のサトリを主役にした作品だったら、作れそうな気もする。


107.劇場版 SPEC~結~ 漸ノ篇(再)
108.劇場版 SPEC~結~ 爻ノ篇(再)


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