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「ウホッホ探検隊」

年末年始を控えているのに、レコーダのHDDがパンパン状態。
そのため必死で在庫整理をしているのだが、その一環で見たのが「ウホッホ探検隊」だ。

榎本和也(田中邦衛)は食品会社に勤める研究者で、地方の研究施設に単身赴任している。
妻登起子(十朱幸代)と2人の息子の3人は、瀟洒な一軒家で暮らしていた。
中学生の長男はおしゃれで、父親のお下がりのジャケットを愛用していた。
小学生の次男はまだ子どもでロボットのおもちゃに夢中である。

ある日、和也が帰宅して家族4人でピクニックに行ったのだが、その翌日登起子はと和也から愛人がいる事を告げられる。
突然の告白に戸惑う登起子。
彼女もインタビュアーの仕事をしていたが、愛人の事が気になって仕方がない。
しかも和也は登起子に、愛人に会いに来いと言う。
すべてを登起子に打ち明けないと、気が済まないと言うのだ。
気が進まないものの、登起子は愛人に会う事にした。

愛人の美際良子(藤真利子)は気が強く、登起子に向かって和也に愛されているのは自分だ、言い放つ。
和也はこの状況を登起子にも認識して欲しいというばかりだ。
東京に戻っても混乱する登起子は、一時的にインタビュアーの仕事を辞めて家事に専念する事にする。
ところが、急に生活のパターンが変わったため子どもからも鬱陶しがられてしまう。

そんな時、以前インタビューをしたロックスター定岡勉(陣内孝則)の妻(斉藤慶子)から、自宅に来てくれと言う電話が入った。
深夜に定岡宅に向かう登起子。
そこでは定岡が自宅に愛人を連れ込んで、修羅場と化していた。
登起子は定岡の妻を自宅に連れ帰って泊める事にした。

その後登起子は、息子たちと話し合って和也と離婚する事を決意する。
仕事に一生懸命な登起子を、二人の息子たちも支えてくれた。
登起子と子どもたちの新しい生活がスタートした時、和也が戻ってきて美際良子とは別れたと告げた。

原作が発表されたのが1984年バブル初期の頃だ。
戦後40年がたち「女性の社会進出」が当たり前となって、この2年後の1986年に男女雇用機会均等法が施行される。
原作者の干刈あがたが、家族に関する小説を発表し続けた人なので、こういう作品になったのかもしれない。

だが、ハッキリ言って退屈な映画だ。
まず、和也の行動が謎である。
なぜ愛人がいる事を登起子に告白したかったのか、動機がまったくわからない。
離婚して美際良子と一緒になりたかった訳でもなく、ただ「この状況を君にも知っていて欲しかった」と告げるだけだ。
そこに何の意味があるのだろうか。
ある意味和也はスッキリするかもしれないが、そんな事をすれば登起子から離婚を切り出されるかもしれない(実際離婚している)。
しかしラストシーンにもあるように、美際良子と一緒になるために離婚すると言う意思は、和也自身にはなかったように思われる。

さらに、愛人がいる事を和也に告げられた登起子の心情が、まったくわからない。
怒っているのではあるが、こちらもいきなり離婚を思い立つ訳ではない。
離婚をしないのは、世間体や子どものためなのかと言うと、そう言う事でもなさそうだ。
和也に対して怒りを感じているのなら、それを和也にぶつければいいのに、そういう仕草もない。
夫婦がこれまで歩んできた道のりもほとんど表現されていないので、家族の結び付きと言われても、非常に薄っぺらい話に見えてしまう。

ストーリーに抑揚が少なく、淡々と流れて行く作風になっているのは、脚本の森田芳光と監督の根岸吉太郎が狙った部分ではあるだろう。
しかし登場人物のキャラ設定に深みがなく、かつストーリーも淡泊に展開するので、まるで見どころのない映画になってしまっている。
タイトルの「ウホッホ」に関しても、映画の冒頭で和也がわざとらしく何回か「ウホッホ」と咳をするだけで、物語の後半ではまったく忘れられた存在になっている。

ズバリ言ってしまうと、個人的にはまったく評価できない作品だ。



167.ウホッホ探検隊


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by ksato1 | 2014-12-16 07:34 | 映画 | Comments(0)