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「紙の月」

原作は未読だが、原田知世が主演だったTV版の方は見た。
原田知世がどのシーンでもほぼ常ににこやかな表情だったのに比べ、宮沢りえは客先以外は常に思いつめたような表情だったのが印象的だ。

梅澤梨花(宮沢りえ)は地方銀行でパートをしていたが、功績を認められ契約社員となっていた。
彼女はその美貌ときめ細やかな対応で、高齢者の顧客から大口の預金を集めていた。
ある日顧客の一人である平林(石橋蓮司)の家で、彼の孫光太(池松壮亮)と出会う。
後日街中で出会った二人は、どちらからともなく惹かれあい、不倫を始めるのであった。

梨花は一流企業に勤務する夫がいたが、彼は仕事が大事で梨花の気持ちを理解しようとはしなかった。
梨花が不倫に堕ちたのは、そのあたりに原因があった。
梨花は光太と密会を続けるうち、彼が消費者金融から100万を超える借金をしている事に気付く。
理由は大学の学費で、偏屈者の祖父である平林は1銭もカネを出してくれないとの事だった。
梨花はかつて、顧客から預かった預金を数時間拝借して化粧品を購入した事があった。
そもそも光太は平林の孫なのだから、平林の預金を流用して光太が少しずつ返済すれば問題ないと梨花は考えた。
預金証書を偽造して、平林の預金を光太に渡す梨花。
しかしそれから先は感覚がマヒし、梨花は顧客の預金を次々と横領するのだった。

普通の主婦が、どんどん堕ちて行く物語である。
それまでの梨花の孤独感、客のカネに手を付けるきっかけなどの描き方が巧い。
ただ、上映時間の関係もあるのだろうが、光太と梨花が不倫関係になるプロセスがちょっと淡泊過ぎる気がする。
ガツガツした大学生が人妻に憧れるのはわかるし、夫の気持ちが自分に向いていない事に梨花が寂しさを感じている事はわかるが、わずか数回すれ違っただけに近い出会いで、いきなり不倫に堕ちるのはちょっと強引かなという気がする。

ただ、監督が吉田大八だけに、やはり演出は巧い。
宮沢りえの表情のアップや、証書偽造のために荒れ果てた室内など、梨花がどんどん堕ちて行く状況が的確に表現されている。
ラブシーンも予想以上で、ちょっとドキドキした。

吉田大八と宮沢りえの巧さが光る作品だった。


159.紙の月


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by ksato1 | 2014-12-03 22:03 | 映画 | Comments(0)