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「アバウト・タイム ~愛おしい時間について~」

派手さはないものの、笑って泣けて非常にセンスのいい作品だ。

ティム・レイク(ドーナル・グリーソン)はイギリスの田舎町で生まれ、両親と妹、叔父と一緒に暮らしている。
家族はとても仲が良く、毎日海岸でピクニックを楽しんでいた。
そんなティムの悩みは、女性とうまく付き合えない事。
しかし21歳の誕生日を迎えた日、父から「レイク家の男子はタイムスリップができる」と聞かされる。
そしてティムはその能力を利用して、楽しい人生を送ろうと画策する。
ある夏、妹の彼氏の従兄弟がティムの家に長期滞在する事になったが、タイムスリップの力を使っても彼女との距離を縮める事ができなかった。
その後ティムは一人でロンドンで暮らし始め、タ能力を利用して幸せな人生を送ろうと努力する。

ストーリーはタイムスリップ物であるが、歴史を変える、などという大それたテーマはない。
そもそもこの映画におけるタイムスリップは、自分が過去に経験した時間、場所にしか戻る事ができない。
その小さな超能力を何に利用するか、という部分がこの映画の主題となっている。
劇中に具体例は出てこないが、これまでレイク家ではこの能力を利用して身を持ち崩した人間も多いらしい。
父親もその事を忠告するが、ティムは最初から大金持ちになろうとか、有名人になろうなどという野望は持っていない。
とにかく、自分や家族がが幸せに暮らす事を目標にしている。
その段階で、ティムがとてもいい人間であることがわかる。

ティムは、せっかく彼女と上手く行っているのに、世話になっている脚本家のために時間を遡ってしまう。
その結果、彼女との出会いを別の方法でやり直さなければならなくなる。
それでもティムは後悔しない。
能力を上手く使って、みんなが幸福になる方法を考えるのだ。
そしてこの映画には、悪人は出て来ない。
唯一それっぽいのは、妹の彼氏。
だが彼も極悪人というよりは単なるダメ人間で、ダメ人間から離れられない妹に責任があると言えなくもない。
ティムを困らせるハプニングもほとんどが小さな物なのだが、それがタイムスリップがテーマの映画に巧くマッチしてリアリティをもたらしている。

この映画を観ていると、幸せに暮らすと言う事は考えれば考えるほど難しいが、実践すると意外に簡単であると思わせてくれる。
ちょっとした発想の転換、勇気、そして少しの寛容ささえあれば、人間は誰だって幸せになれるのである。

そして品行方正、毒にも薬にもならないストーリーになりそうなところを、クセのあるキャラクターを登場させて面白可笑しく仕上げている。
脚本、演出、そして役者の力量を感じさせる。

あまり話題になっていないものの、かなりおススメな作品である。


139.アバウト・タイム ~愛おしい時間について~


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by ksato1 | 2014-10-17 22:39 | 映画 | Comments(0)