人気ブログランキング |

「マルティニークからの祈り」

小憎らしいくらいに巧く作られた映画だ。
ややあざとい作りの部分もあるが、役者の素晴らしい演技もあり観た後は深い感動に包まれた。

ジョンヨン(チョン・ドヨン)は夫ジョンベ(コ・ス)の経営する自動車工場を手伝っていた。
一人娘にも恵まれ幸せな人生だと思っていたのだが、夫が旧友の連帯保証人になっていたことがわかり、3千万円近い借金を背負ってしまう。
夫はさらに別の旧友の誘いで、怪しい仕事をしようとする。
ジョンヨンがそれを止めると、夫は怒って家を飛び出してしまった。
仕方なく、その仕事を受けるジョンヨン。
仕事は金の原石を密輸する仕事だった。

言われたとおりにパリのオルセー空港に降り立つジョンヨン。
しかし挙動の怪しさから税関で審査を受けることになってしまう。
荷物から出てきたのは大量のコカインだった。
拘束されたジョンヨンは、必死に無実を主張するが在フランスの韓国領事館はまったく協力してくれない。
それどころか国の恥と言って、ジョンヨンを突き離してしまう。

一方ジョンベは、何も知らずに韓国で妻の帰りを待っていた。
やがて妻がパリで拘束されたことを知る。
仕事を紹介した旧友を必死に探すが、彼は行方をくらましたままだ。
韓国の検察もまったく仕事をしてくれない。
幼い一人娘を抱えたジョンベは途方に暮れる。

やがてパリで拘束されていたジョンヨンが、別の刑務所に移送される。
カリブ海に浮かぶマルティニーク島の刑務所だ。
言葉が通じず、刑務官の言っている事も弁護士の言っている事も理解できないジョンヨンは、自分が移送された理由がそこに管轄の裁判所があるからだと知るのは、拘束されてから1年近く経過してからだった。
刑務官はドSで、他の囚人からも嫌がらせを受ける。
そんなジョンヨンの心のよりどころは、同じ部屋の囚人であった。
彼女に励まされながらフランス語を覚え、早く韓国に帰ろうと努力するジョンヨン。
ジョンヨンがマルティニークに移されてから1年が経過すると、仮釈放となり刑務所を出て弁護士の保護観察下で暮らすことになる。
しかし生活費もないため、刑務所にいるよりも酷い生活になってしまった。

事実を元にしているという事がだが、どこまで事実に忠実なのかわからない。
だが、悲劇の連鎖がとても自然で、観ていてどんどんストーリーにのめり込まされてしまう。
希望が見えかけると、さらなる困難が発生すると言う展開も巧みだ。
在フランスの韓国領事館の職員が、あまりにもとんでもないスットコドッコイ野郎たちなので、この辺りはさすがにフィクションだろうとは思う。
また韓国の検察も自分達の面子が何よりも重要で、これもフィクションだろうと思う。
とは言え、韓国社会は体面を重んじると聞いているので、ひょっとしたら結構事実に近いのかなとも思う。

事実にどれだけ忠実かは別として、いずれにしろ、スットコドッコイ野郎たちのふざけた仕事のせいでジョンヨンがどんどん窮地に追い込まれて行くという構成が非常に巧い。
なんとか妻を帰国させようとするジョンベの行動も、やや無理があるものの必死さが伝わってくる。
そして、どんどん生気を失っていくジョンヨン。
体力だけではなく、気力すらそがれ続けているのだ。

冒頭は背負わされた借金の事でケンカをする夫婦。
しかしラストでは、きちんと家族が再生される。

ジョンヨン役のチョン・ドヨンとジョンベ役のコ・スの演技は文句なく素晴らしく、子役の演技も過剰すぎずにちょうどいい感じだ。
スットコドッコイ役の領事館職員も、腹立たしい演技が見事である。

脚本も良く演出もいい、そして役者の演技も文句ない、かなり完成度の高い映画である。
期待して観に行ったが、その期待をまったく裏切らなかった。

今のところ今年観た映画で1番の映画である。


120.マルティニークからの祈り



※こんな本書いてみました。
よろしかったらご購読ください



●放射能ヒステリックビジネス

http://www.amazon.co.jp/%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%83%92%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9-%E4%BD%90%E8%97%A4%E7%9D%A3%E8%AA%8C-ebook/dp/B00DFZ4IR8/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1404017694&sr=8-1&keywords=%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%83%92%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9
by ksato1 | 2014-09-08 07:10 | 映画 | Comments(0)