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「プリズナーズ」

ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールが主演している割には、日本ではあまり話題になっていない。
監督が「灼熱の魂」のドゥニ・ヴィルヌーヴで、今回もテーマがかなり重い事が原因かもしれない。

ケラー・ドーヴァー(ヒュー・ジャックマン)は愛する妻と息子、娘に囲まれて幸せに暮らしていた。
感謝祭の日に家族ぐるみで付き合いのある近所のバーチ家に遊びに行くのだが、家にホイッスルを探しに戻った娘とバーチ家の下の娘が行方不明になってしまう。
息子とバーチ家の姉の証言により不審なキャンピングカーが停車していた事がわかり、その所有者のアレックス・ジョーンズ(ポール・ダノ)が容疑者として逮捕された。
しかしアレックスは10歳程度の知能しかなく、容疑不十分で釈放されてしまった。

だがケラーは、アレックスの言動から彼が絶対に犯人であると確信する。
アレックスを拉致し、今は使われていないドーヴァーの父が所有していた家に監禁、娘たちの居場所をしゃべらせるため拷問を始めた。

一方、この事件の担当となった刑事のロキ(ジェイク・ギレンホール)は、過去の犯罪履歴を調べてある神父にたどり着く。
神父の家の地下室を探ると、娘たちではなくミイラ化した遺体が発見された。
神父によると、神への挑戦として子どもを誘拐し、虐待をしていたと告解する男を、殺してしまったと言う。

事件は振りだしに戻ってしまうが、少女二人の無事を祈るため地域住民が実施したキャンドルナイトの夜に、ロキは怪しい男を目撃する。
警察はこの男を重要人物と考えTVで公開捜査を開始するのだが、ケラーは相変わらずアレックスが犯人だと信じ続け、毎晩のように彼に拷問を加えていた。

アメリカで大きな問題となっている、子どもの行方不明事件がテーマだ。
事件は中盤まで謎ばかりで、クライマックスでそのすべての謎が一つに集約する。
ミステリーとしては、非常によく考えられた結末である。


しかし、中盤までの謎が次々とばら撒かれてくるので、途中で混乱してストーリーがよくわからなくなる場面がある。
ケラーやロキという名前をはじめ、ここそこにキリスト教を連想させるキーワードが埋め込まれており、アメリカ人が観た場合は、ストーリーには直接関係なくとも巧妙に真犯人を隠したり暗示している布石となるのだろうが、日本人にはこのあたりがわかりづらい。
例えば、ケラーが万一に備えて地下室に備蓄品をびっしり揃えているのだが、それがストーリーに対してどのような意味をなしているのかわからない(たぶん何かしらの暗示なのだろう)
さらに、舞台となる街がどれだけの規模なのかわからないが、謎解きにつながる重要なエピソードの部分でかなり偶然が重なりあっている。
この監督は「灼熱の魂」でもちょっと強引な偶然をストーリーの軸に置いていたが、今回も若干強引な気がしないでもない。
結末に関しても、アレックスが最初の容疑者になった時、なぜ警察は少女二人はすぐに見つからなかったのかなど、無理が大きい部分もある。
それらすべてが、日本人にはあまりウケなかった要素なのかもしれない。

とは言え、娘のために暴走するヒュー・ジャックマン、そして冷静に捜査を進めるジェイク・ギレンホールの対比が、とても巧く描かれている作品だ。
アレックスへの暴行シーンもちょっと長いような気がするので、そのあたりを巧く編集していたら、日本人にももっと評価されていたかもしれない。


69.プリズナーズ


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by ksato1 | 2014-05-17 10:20 | 映画 | Comments(0)