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「麦子さんと」

吉田恵輔監督と言う事で期待して観に行ったが、期待通りの良作だった。
この監督はいい作品を作っているのだが、なぜかそれほど話題になっていない不思議な監督である。

麦子(堀北真希)は父の死後、兄の憲男(松田龍平)と二人で暮らしている。
そんなところに、いきなり父と離婚した母赤池彩子(余貴美子)がやってきて、同居を始めた。
憲男はすぐに彼女と同棲を始め、麦子は母と二人暮らしになってしまう。
記憶がない頃に生き別れになっていたため、麦子は母とどう接していいかわからない。
そんな状況の中、母は急死してしまう。
麦子は仕方なく、母の生まれ故郷に納骨に向かう。

母の生まれ故郷についた麦子は、若い頃の母そっくりだと街中に騒動を起こしてしまう。
母は当時街のアイドルで、彼女に憧れていた男がごまんといたのだ。

母の事をまったく知らずに育った麦子が、母の愛情をうまく受け入れることができずに戸惑う。
そしてそうこうしているうちに、母が死んでしまう。
そして母の故郷では、母がいかに美しくてみんなに人気だったかをどこでも聞かされる。
母の若いころの話を聞かされれば聞かされるほど、麦子はどんどん戸惑って行く。

前半は麦子と憲男、そして母彩子との3人劇である。
憲男は麦子に内緒で彩子から援助を受けていながら、彩子を邪険に扱う。
麦子も自分を捨てた彩子を、巧く受け入れられない。

そして後半は、彩子に憧れていたタクシー運転手の井本(温水洋一)と彩子の友人だったミチル(麻生祐未)、麦子との3人劇である。
麦子は母を許すことができないが、母の過去を知るみんなは母の事を決して悪く言わない。
その事で麦子は、井本と彩子に酔っぱらって絡んでしまう。

この前後半に登場する5人の他にも、民宿を経営するガダルカナル・タカとふせえりの夫婦とその子供の岡山天音がいい味を出している。
細かい笑いの取り方も完璧で、脚本、演出、演技、展開、音楽、すべてにおいて手堅くまとめられた良作だ。
そして松田聖子の「赤いスイートピー」が心に沁みる。

吉田恵輔監督作品は「純喫茶磯辺」と「さんかく」を観ているが、個人的にはこの作品が一番好きだ。
次回作は3月公開の「銀の匙 Silver Spoon」との事なので、今年一気にブレイクするかもしれない。



6.麦子さんと



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by ksato1 | 2014-01-12 10:54 | 映画 | Comments(0)