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「平清盛」クライマックス間近

「平清盛」が撮了したそうだ。
その会見が開かれたが、当然低視聴率に関する質問が出た。
それに対して松山ケンイチは、「いい加減じゃなく、一生懸命やった結果低視聴率なら誇りに思う」的な発言をしている。
まさにその通りだと思う。

過去にも2回日記に書いたが、「平清盛」はここ数年の大河ドラマの中でも珠玉の出来である。


●「平清盛」はハンパなく面白い
http://ksato.exblog.jp/15451084/


●「平清盛」がいよいよ面白くなってきた
http://ksato.exblog.jp/15775265/



そもそも視聴率が悪いのは、このドラマの出来が悪かったからではない。
日本人は戦国時代と幕末が好きで、それ以外はあまり興味をもたれないのが原因である。
しかも、平安末期の源平の争いについては非常にわかりづらい部分もあり、そこそこ歴史の知識の下地がないと、番組を追い切れなくなってしまう。

そういう題材を大河ドラマにする事自体の是非を問うというのは、話としてはあるだろう。
あるいは「坂の上の雲」のように、イレギュラーなスペシャルドラマとして放送していたら、もっと評価は高かったかもしれない。
ちなみに「坂の上の雲」も、視聴率自体はそれほど高くはないが、ドラマとしての評価はとても高い。
そして「平清盛」も、内容は非常に素晴らしいものになっている。

以前の日記でも触れたが、とにかくキャスティングが素晴らしい。
清盛、忠盛(中井貴一)、忠正(豊原功補)、重盛(窪田正孝)など平家一門は言わずもがな、それ以外でも特に王家は全員、この人しかいないんじゃないかというほどのハマり役である。

まず白河法皇の伊東四朗。
出演は最初の2回までだがこの人が、清盛のモチベーションとなる「貴族主導の腐った世を変えなければ」という動機付け役を見事なまでに演じている。
まさに「怪物」であった。

次に、鳥羽法皇の三上博史と崇徳上皇の井浦新。
二人は白河法皇が原因を作った皇室内の混乱の被害者であるが、二人とも困惑、嫉妬、悲哀の感情を、激しいまでに訴えかけてくる。
三上博史と井浦新の倒錯した演技は、巧いと言うほかなかった。

そして松田翔太の後白河法皇だ。
この人は本当に演技に幅がある。
「アフロ田中」も巧かったが、白河法皇に匹敵するほどの野心家である後白河法皇は、本当にこんな人だったんじゃないかと思う。
また、声も良く歌も巧い、所作も雰囲気たっぷりだ。

それと滋子の成海璃子だ。
正直、「LOVE まさお君が行く!」の頃はもっと痩せていたと思う。
太ったのがこの滋子役のためだとしたら大したものだ。
姉である深キョンよりもよっぽど貫録があった(見た目の横幅と言う意味ではなくて)。
平氏から宮中に輿入し、平家繁栄のきっかけを作って後白河法皇との橋渡し役になっていたが、妖しさのオーラを放ちまくっていた。
演出の妙もあっただろうが、演技の巧さも光る。
それに比べると深キョンの時子は最近目立たないんだけど、見せ場はやっぱり壇ノ浦まで取ってあるんだろうね。

そして、こういうストーリーのメリハリの付け方も巧い。
9月くらいから義経(神木隆之介)をチラチラと登場させ、治承・寿永の乱(源平合戦)の胎動を予感させている。
この時代に書かれたいろいろな物語、文献などのいいとこ取りして、さらに清盛、重盛と続く叔父から棟梁として認められない因縁などを巧みに取り込んでいる。
森田剛の平時忠の憎たらしさもいいよね~。
たしか義経は時忠の娘を嫁にもらう事によって頼朝との決裂が決定的になるんだけど、そういう部分を鑑みても、あまり一般に知られていない時忠を憎たらしく描く事は正しいと思う。

物語は「鹿ケ谷の陰謀」まで来ており、この後重盛は妻の兄である藤原成親(吉沢悠)を守る事ができず、失意のまま弟に棟梁を譲ることになる。
そして病死するのだが、思慮深く大局観も持ち合わせていたにもかかわらず、結果的に父親の残した功績に追いつく事ができない形になってしまった。
重盛さえ生きていれば、平氏の世ももうちょっと続いたのではと思わせる展開になっている。

北条時政の遠藤憲一、政子の杏、弁慶の青木崇高、源頼政の宇梶剛士など、この後活躍すると思われる源氏方の役者にも期待が持てるよね。
壇ノ浦の深キョン、二階堂ふみの徳子の演技も楽しみだ。

今期は面白いドラマが多いんだけど、やっぱり「平清盛」からは目が離せない。

【追記】
その後の日記はこちら

●「平清盛」終了
http://ksato.exblog.jp/17043354/



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by ksato1 | 2012-11-02 21:59 | 日記 | Comments(0)