「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」

さて、「3」でダメダメになってしまった「踊る」が、「THE FINAL」でどうなったか。
結論から言うと面白かった。
クライマックスのカーアクションや結末を含め、相変わらず強引な展開もあるのだが、ある意味それもこのシリーズの面白さでもある。
これまでのシリーズで蓄積したカードをすべて使いきった形で、「THE FINAL」と言うサブタイトル通り集大成の作品になっている。

「3」では「織田裕二と柳葉敏郎がちょっと和解したんでやっと映画が作れるようになったけど、さて何を作ろうか」という迷いが出てしまった感があり、何が言いたいのかよく分からない展開になってしまった。
キョンキョンの日向真奈美とTVシリーズの犯人を引っ張り出したきたものの、シリーズ全体のファンを喜ばせるために媚びているようにさえ見えた。
青島と室井はまったく連携がなくそれぞれ別々の案件で悩んでいるし、正直言って「これだったら『踊る』にしなくても良かったよね?」という内容だった。
おそらくそのあたりが不人気の原因だったと思うが、今回はきちんと解消している。

前回で中途半端な役どころになっていた鳥飼(小栗旬)を、今回は巧く使いきった。
これなら小栗旬を配した意味がある。
「3」から「THE FINAL」にかけてのつなぎとして、やはりTVスペシャルの「THE LAST TV」も必要だったのだろう。
この番組でもさりげなく鳥飼の変化を表現していた。
そして意外と言っては失礼だが、小泉孝太郎の役どころが光った。

若干ネタばれの話になってしまうが、それほど目立つポジションではないのだが、小泉孝太郎の小池交渉課長のアツい刑事魂が、最後の最後でストーリー全体のインパクトになっている。
そもそもが真下が作った交渉課だが、交渉課が成立以前の「交渉人 真下正義」の時は真下も輝いていた。
小池も最初は真下に憧れていた部分もあったのだろうが、組織の中で真下がだんだん輝きを失うとともに、小池の中でも何かが変わっていたのだと思われる。
そして最後のトリガーで、小池は完全に壊れてしまったのだろう。

実際、湾岸署長になった真下は本当にダメダメである。
かつては真下自身がスリーアミーゴズに呆れかえっていたのに、今や自分がほとんど同じ事をしている。
真下のダメダメ振りはコミカルな部分として描かれているのだが、実は小池の絶望の部分にもつながっており、このあたりは自然な流れを巧く作っている。
小池は、青島たち所轄が持っているアツい刑事魂を持っており、もし今回が「THE FINAL」じゃなかったら、ちょっともったいない使い方だったかもしれない。

余談だが、小泉孝太郎は今シーズンのTVドラマ「毒」の第一話でも、非常に巧い演技を見せていた。
今までは親の七光だとばかり思っていたが、実力を認めざるを得ないだろう。
犯人役の香取慎吾は、セリフが少ない役なのでちょっと評価が難しい。
もう少し正義感に燃えるシーンを入れておいた方が、香取慎吾を使った意味が出たんじゃないかとも思う。

全体としては本当に悪くないのだが、青島が偉くなった事による矛盾はやはり残った。
今回は青島自身が走りまくって犯人を捜す、だがその半面、部下の活躍がまったく見られない。
唯一そこそこ活躍したのは伊藤淳史の和久伸次郎くらいで、それ以外は見せ場がなかった。
そう考えると、やはり今回が「THE FINAL」でいいのかな。
ラスト付近で青島の「正義って言うのは胸に秘めておくくらいがちょうどいいんだ」という名セリフがあるんだけど、なんかかつての和久さんみたいで、青島もその粋に達したように思う。
だから15年後くらいに、室井が警察庁長官、沖田が警察庁次長、新城が警察行政人事院の執行官で真下が警視庁長官、そして湾岸署は魚住が署長ですみれさんが副署長、和久が刑事課長で青島は係長のまま、なんて役職で、新しい若いメンバーが現場で走り回る「新踊る」シリーズを作ったら面白そうだけどね。

それと、今回水野美紀がめでたく出演できて本当によかった。
最初は電話の声だけの予定だったようだが、各方面の調整がなされて無事画面にも登場している。
そして水野美紀のセリフが本当に笑ったよ。
あれをアドリブで入れたとしたら、水野美紀とユースケサンタマリアは本当の名コンビだ。

どうでもいいけど、北品川署にいた婦警の野添久美子って小橋めぐみだったんだね。
10代の頃からちょっとつりあがった大きな目が印象的だったけど、久しぶりに見たらエライ綺麗になっていた。
存在感があるので、今後はいろいろな作品で活躍するんじゃないかな。


99.踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望


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by ksato1 | 2012-11-01 19:18 | 映画 | Comments(0)