読書のお作法
ほとんどがトンデモライターばかりなのだが、その中でブックレビューを担当している杉江松恋のコラムだけは、毎回骨太で中身が濃い。
今回のコラムはこれ。
●年収800万が嫌いな著者1位は勝間和代!?「プレジデント」の読書特集がすごい!
http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20120418/E1334674206432.html?_p=1
「プレジデント」誌が年収500万、800万、1500万のビジネスマンにアンケートして、どんな本を読んでいるかを調査した。
その結果を日本マイクロソフトの社長だった成毛眞(なつかしー!)と、土井英司(こちらはどんな人か知らない・・・)の二人が論評しているのだが、その対談を杉江松恋が論評している。
で、杉江松恋によると、面白いのは「年収800万が嫌いな著者1位は勝間和代」と表紙にまでタイトルを入れているのに、この二人はこの部分にはまるっきり触れていないらしい。
企画も大胆だが、構成も大胆だ。
ビビりの私だったら、そんな事できんわな(^_^;;
また、この二人は終始「ビジネスマンが本を読む」と言う視点から物事を語っており、論調としては現実逃避するような小説やマンガばっかり読んでいるヤツは、時代を動かすビジネスマンにはなれねーよ、と言う事を言っているようだ。
デキるビジネスマンは基本はビジネス書しか読まないし、小説を読むにしても現代の問題点と対峙している本しか読まないんだって。
そして、読書は情報収集チャネルの一つだから他人を出し抜くためにはできるだけ早く情報を収集しなければならない、だから図書館やBOOK OFFでちんたら本を探しているヤツは、これまたダメビジネスマンと言う事になるらしい。
この二人は、年収500万の人が読んでいる小説の中身をほとんど知らないのにけなしている事を、杉江松恋は軽く突っ込みながら論評し、最後に慇懃無礼に彼らを嘲笑している。
これが痛快。
「そんな苦しい思いをしてまで本なんて読まないでいいよね」とか「『本なんか読む暇もないほど忙しい』のなら止めて、『本でも読むかと思うぐらい暇』になったら読んだらいいんじゃないかな」とか。
「そういう忙しすぎる人たちになんとか読んでもらえる本を作るというのは大事なこと」、「だって、漫画読んでると低収入になっちゃう世界なんだぜ。そういう忙しすぎる人たち人が時間を犠牲にしてまで読んでくれる本なんて、絶対につまらなかったらダメだ」とも。
成毛眞なんて、普通に考えれば「成功者」の部類だよね。
今も投資コンサルティング会社を経営していて、講演とか対談とかも多いだろうし、常に上から目線になっても仕方ないだろう。
でも、いくら成功してステータスがあっても、アドバイスと価値観の押し付けの区別が付いてない人間にはなりたくないな、少なくとも私は。
ちなみに成毛眞は自分のブログで、4/18に以下の記事をエントリーしている。
●成毛眞ブログ:「芸術新潮2012年4月号」大友克洋特集
http://d.hatena.ne.jp/founder/20120418/1334714534
「ボクはほとんどマンガを読まないのだが、大友作品だけは美術書として、本として買っている」だって。
大友克洋は画力だけではなく、ストーリーテラーとしても超一流なんだけども、その部分は理解できないんだね。
ちょっとかわいそうな人だな。