未解決事件file.2「オウム真理教」
あらかじめ言っておくが、これはいい意味でと言う事だ。
テレビ番組表を見ていて偶然、先週土曜日の深夜にBSで「未解決事件」のfile.2が放送される事を知った。
「未解決事件」シリーズは、未解決の事件や未解明の部分や謎を残した事件を、ドラマとドキュメンタリーで取り上げる番組だ。
file.1は昨年秋に放送された「グリコ・森永事件」だ。
当時捜査本部は「キツネ目の男」を何度も目の前まで追いつめたものの、証拠が少なくて職質の決断ができなかったり、合同本部と県警の連携が巧く取れずに逃してしまっている。
当事者の証言から客観的に検証をするドキュメンタリーと、それを基にして制作されたドラマの2つの構成だが、どちらも迫力満点だった。
今回のfile.2は「オウム真理教」である。
file.1の放送後に、地下鉄サリン事件の遺族からオウム事件を取り上げて欲しい、と言うリクエストが届いたからだ。
NHKは、村井秀夫や早川紀代秀よりも古参の信者への取材を重ね、オウム真理教がどのようにして犯罪者集団へと変異したのか、検証を試みた。
今回はドラマバージョンで、NHK記者を萩原聖人が演じ、女性の古参信者を冨樫真、その信者と一緒にオウムを離脱した男性を羽場裕一が演じていた。
取材によって明らかにされた事実は、5月末に放送予定のドキュメンタリー編でさらに詳しく伝えられるだろうが、ドラマ版でもいろいろとわかった事がある。
まず、最初にオウム真理教が目指していたのは宗教法人になる事であった。
この段階で、麻原彰晃がどこまで妄想を拡大していたのかはわからないが、宗教法人の認可直前に修行で命を落とした信者が出た。
このままでは認可が下りないと危惧した幹部が、この信者の遺体を火葬して処理してしまった。
ドラマでは、ここからオウムの「隠ぺい体質」が生まれ、宗教団体から「団体を大きくする」という目的を持った企業的集団に変貌して行ったのではないかと推測している。
また、男性の元信者が「誰もサリンなんて本当に作れるとは思っていなかったのに、土谷さんが入ってきたらサリンができてしまった。遠藤さんだけだったらサリンは作れなかった」と言っている点にも驚いた。
もし土谷正実が入信していなければ、一連のサリン事件は起こっていなかったのだ。
土谷正実には死刑判決が出ている。
教団に命令されるがままに毒物を生成していたのなら「未必の故意」の可能性もあるだろうが、彼以外には生成できずに、しかもその事を本人が知っていたのならば、やはりその責任は重いだろう。
で、冒頭の「NHKは本当にバカである」だが、一時期は日本中が恐れていた事件であり、誰もが関心を持っている話なのに、なんでほとんど番宣もしないでひっそりと夜中にBSだけ放送するのだろうか。
震災関連の番組なども多かったと思うが、きちんと番宣をしてNHKスペシャル枠で放送すべきだったと思う。
私も危うく見逃すところだった。
ドキュメンタリー編が放送されるときに、なんでドラマ編を1カ月以上先に、しかも誰も気づかない時間帯に放送するんだという苦情が殺到するんじゃないかな。
それぐらい見応えのある番組だったし、ドキュメンタリー編もとても待ち遠しい。
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