人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「自衛隊だけが撮った0311」

3.11から1年が過ぎ、先週はどのテレビ局も東日本大震災関連の特番を放送していた。
しかしどの番組も、地震、津波の映像と当事者の証言、現在の現地の状況を伝えるだけで代わり映えがしない。
正直言って、この1年いろいろと放送されてきた震災関連番組の、総集編を見ているかのようだった。
その中で秀逸だったのが、フジテレビが金曜日に放送した「自衛隊だけが撮った0311-そこにある命を救いたい-」と、NHKスペシャルの「もっと高いところへ~高台移転 南三陸町の苦闘」、「<3.11 あの日から1年> 調査報告 原発マネー ~“3兆円”は地域をどう変えたのか~」の3番組であった。

フジの「自衛隊だけ~」については、ネットでは評判が悪い。
放送したのがフジテレビというのもあるだろうし、内容的にも、「自衛隊はこれだけ活躍したんだよ」というプロパガンダ的な部分もあったためだろう。
ただ、1年後の今映像を見るとプロパガンダ的に見えなくもないが、おそらく1年前にあの映像を見たら誰もがそうは思わなかったと思う。
津波によって連絡が途絶えた仲間を探しに行きたいと上官に報告すると、「今さら探しに行っても遅いに決まっているだろう!」と一喝される。
別の人が何日か後でやや落ちついた時に、自分の部下たちにも避難所に家族の安否確認に行かせたいと告げると、「当てもなくただ避難所を回って何の意味があるんだ!」とやはり一喝される。

これ以外にも生々しい話がいくつもあった。
航空自衛隊松島基地では、天候悪化で視界が悪くなったために航空機を飛ばす事ができなかった。
そのためすべての航空機、ヘリコプターが津波に飲まれるのをただ見ているほかなかった。
陸上自衛隊多賀城駐屯地では、地震のあとすぐに救出部隊を編成し、今まさに出動という状態で津波警報がなった。
隊員たちは屋上に避難し、こちらも500台近くの車両が流されて行くのをただ見ているほかなかった。

また、日本各地から応援部隊が救助、あるいは行方不明者の捜索に訪れていたのだが、そのほとんどの隊員が自分の親族を含めて、遺体を見た事がない者ばかりだった。
高地からきた若い隊員は、初めて発見した遺体が少女だったためかなりショックを受けたそうだ。

言ってしまえば、それが彼らの仕事である。
税金から給料をもらっている以上、仕事はしてもらなわければならない。
ただ、今まさに自分の出番とばかりに準備していた時、自然の猛威でその準備を根こそぎ持って行かれた無念の気持ちは伝わってきた。
そしてたぶん、震災当時に何もできないと言う無念はたくさんの一般人も感じていてのだろうが、救出を生業としている自衛隊員の方がその思いを強く感じていたのだと思う。

先日どこかが発表したアンケートでは、現在自衛官に悪いイメージを持つ人はかなりの少数派のようだ。
昨年の東日本大震災や台風災害時の活動で、イメージはかなり変わっただろうからね。
日教組に毒された人たちはいまだに自衛隊に嫌悪感を持つ人も多いけど、ただ、もし自衛隊を軍隊と規定した場合、世界中の軍隊で殺した人間の数より救助した人間の数の方が多いのは、自衛隊以外にはあり得ない。
その事を考えると、少なくとも自衛官各個人には感謝をしてもいいんじゃないかと思う。

NHKスペシャルについてはさらに長くなるので、また後日。
by ksato1 | 2012-03-12 20:30 | 日記 | Comments(0)