2011年有馬記念回顧
まず展開。
あり得ないくらいのスローペースで、最初の100mのラップが6.8秒、その後も残り4Hになるまで1Hあたり12秒を切っていない。
しかもあろう事か100m+5H目はなんと14.4秒、100m+6H目も14.3秒である。
現場でターフビジョンを見ていたが、実際2コーナーを回る時にはどの馬もあまりにもゆったり走っているので思わず「これじゃレースじゃなくてキャンターだよ!」と叫んでしまった。
帰宅した後に中継のVTRを見て、このあたりの様子はよくわかった。
まずスタートでオルフェーヴルが出遅れる。
外からアーネストリーが先行するものの、なぜか佐藤哲三は3~4コーナーにかけて馬場の5分どころを回っている。
先行しているのにコースロスを承知で内を空けて、他の馬に行ってもらうつもりだったのだろう。
しかしどの馬も行かないので、しかたなく1週目の直線からそのままアーネストリーが先行した。
アーネストリーはこれまで、ハイピッチで逃げて後続になし崩しに脚を使わせる戦法で勝ってきた。
実際宝塚記念も、最初の3Hを33.6と言うハイペースで逃げたナムラククレセントを追走し、その後2Hは息を入れるもののすぐにペースを上げ、12秒前後のラップを刻んでブエナビスタの追撃を振り切っている。
だから今回も、タメ逃げしないでラップを刻めば良かったのだ。
しかし、勝ちを意識するあまりついつい最後の脚を貯めたくなってしまい、落とせるだけペースを落としてしまった。
タップダンスシチーで何度も重賞を逃げ勝っている佐藤哲三をして、判断を誤まらせた。
トーセンジョーダンのウイリアムスは、レース後に展開が予想と違っていたと話している。
おそらくアーネストリーが、少なくとも平均以上のペースで引っ張ると考えたのだろう。
しかしアーネストリーは行こうとしない。
これも結果論だが、トーセンジョーダンも思い切っていけば2着はあったかもしれない。
だがウイリアムスの頭には、ピンナで勝った天皇賞秋があったのだろう。
最後の切れ味勝負になっても、あの時の脚が使えれば勝てる、と。
だが天皇賞秋は、逆に近年稀にみるハイペースだった。
他の馬がみなスタミナ切れで脚が上がってしまう中、スタミナ自慢のトーセンジョーダンにはリザーブタンクのスタミナが残っており、それゆえ切れる脚が使えたのだ。
だがスローペースで直線ヨーイドンでは、他の馬にも切れる脚が残ってしまう。
単純な切れ味勝負はトーセンジョーダンには不利だ。
冷静に考えればすぐに思いつくのだろうが、アーネストリー、ヴィクトワールピサ、ブエナビスタが周りにいる状況では、そこまで瞬時に判断ができなかったのだろう。
ヴィクトワールピサにとっては、理想的な展開だったはずだ。
向こう正面あたりで鞍上のデムーロは、連覇を確信していただろう。
しかし4角で沈んでしまった。
やはり体調が万全ではなかった事に加え、あまりにもペースが遅すぎる事に馬がストレスを感じ、徐々にスタミナを消耗して行ったのかもしれない。
ブエナビスタも同様だ。
スタートを決めてすぐに好位を取りに行った。
ヴィクトワールピサやヒルノダムールに内を締められ、直線で閉じ込められる事を防ぐためだ。
しかしこれがやはり仇になる。
勢いよく出たのにいきなりペースはスローに落ちる。
ブエナビスタの闘志に火が付いてしまい、レース後の岩田の話では道中ずっとハミを噛みっぱなしで外すことがなかったらしい。
ヴィクトワールピサ同様、スローペースゆえにストレスでスタミナを消耗してしまったのだろう。
ブエナビスタの上がりタイムは34.1。
前が詰まった訳ではないのにこのタイムと言うのは、それ以外の理由は考えられない。
これも本当に結果論であるが、スタートをソロっと出して1週目のゴール前で外目を取る戦法を取っていれば、結果はまったく変わっていただろう。
ちなみにこのスローペースの一番の被害者はローズキングダムだ。
1週目のゴール前ではすでに思いっきり掛かってしまい、鞍上の後藤が立ちあがるくらいに引っ張っていた。
もちろんそれでレースは終了。
ではオルフェーヴルはどうだったかと言うと、やはり掛かっていたようだ。
だが現場のターフビジョンでも中継のVTRを見ても、後方を回っておりそれほど引っ張っているようには見えなかった。
向こう正面の時にはこのままではアーネストリー逃げ切られてしまうと思い、思わず「池添追っかけろ!」と声が出たが、その時すでにオルフェーヴルは動いていた。
そしてオルフェーヴルが動くと同時に一気にペースも上がる。
直線勝負に掛けていた馬が、どんどん前に取り付こうと上がってくる。
直線に入ってオルフェーヴルは、掛かりながらも外を回って王道の競馬をした。
その段階ではもう、先行していた有力馬のジョッキーがどれだけ懸命に手綱をしごいても、そこから伸びてくる馬はいなかった。
後は道中無理をしなかった馬が、オルフェーヴルと一緒に脚を伸ばすだけだ。
佐藤哲三も岩田もデムーロもウイリアムスも、ゴール後はみな「しまった」と思ったに違いない。
まあ仕方がない、それが競馬だ。
それにしてもオルフェーヴルは強かった。
着差は3/4馬身だが、どれだけ走ってもこの差が詰まる気がしない。
岡部がシンボリルドルフに騎乗していた時、ここから行こうと合図を送ったら「何を焦っているんだ、まだ早い」とばかりにルドルフが動かず、直線に向いたら自分からギアを上げたと言う。
しかしオルフェーヴルに至っては、池添がなだめようと何しようと「とにかく勝てばいいんだろ!」とばかりに、自由奔放に走っている気がする。
もしこのまま強くなったら、本当に凱旋門賞を制するかもしれない。
ただ、春も秋もオルフェーヴルが海外遠征しちゃったら、日本の競馬はだいぶさびしくなっちゃうかな。
オルフェーヴルが留守の間に、これまたとんでもなく強い馬が出現してほしいものだね。
コメントどうもありがとうございます。
有馬記念と宝塚記念はファン投票ですね。
とは言え、最近は香港行ったり上位馬でも出走回避が多いので、登録していれば結構出られたりしますけど。
今回も、登録していたシャドウゲイトがそのまま出走していれば、また展開も変わったんじゃないかと思いますけどね~(^_^;;

