人気ブログランキング | 話題のタグを見る

現在上映中のギンレイの2本

現在上映中のギンレイの2本。

まず「君を想って海をゆく」
クルド人の難民ビラルは、ロンドンにいる恋人ミナに会うため歩いてフランスまでたどり着く。
だが彼の目の前にはドーバー海峡が広がる。
港にいるのは、海峡越えができずに立ち往生する難民の集団と、彼らをサポートするボランティアたちだ。

ビラルは最初、トラックに潜入して密入航をはかろうとするが失敗する。
そこで考えたのが、ドーバー海峡を泳いで渡るという手段だ。
練習のため市民プールで泳いでいたときに、元水泳のメダリストであるシモンと知り合う。

シモンは難民のボランティアをする妻と、離婚の調停を行っている最中だった。
そんな事もあってか、ビラルに気をかけるようになる。
フランス国内では難民問題が深刻化しており、難民をサポートするものも犯罪者として当局から目を付けられていた。
シモンは、ドーバー海峡を泳ぐなんてできるわけないと説得していたのだが、ミナにあいたいと強く思うビラルの真っ直ぐさに心を動かされてしまい、自分が逮捕される危険を顧みずにウエットスーツを与えるなどビラルをサポートし始める。
妻から「警察が動くかもしれないからもうやめて」と注意されても、意に介さないシモン。

やがてシモンの家に警察が踏み込んでくる。
そこから逃げたビラルは、ドーバー海峡をロンドンへ向かって泳ぎ始めた。

フランスでは感動の名作としてかなり評判が高かったようだ。
ただ日本人にはちょっとわかりづらいかな。

難民問題にまったく関心を持たない事で、妻と離婚する事になるシモンの目の前に、難民のビラルが現れる。
その事によってシモンの心は大きく変わり、どうしてもビラルをロンドンに渡らせたいと思うようになる。
この話もキモはここなのだが、そもそも難民問題がフランスにおいてどれだけ深刻で、それが離婚という自体にまでなるのか、サッパリ見当もつかない。
そしてビラルが意外とカネを持っている事も不思議だった。

なんだか不思議な部分が多すぎて、ちょっと感情移入できなかった。


続いて「愛する人」
うーん、とても切ない映画だ。

37年前に14歳で娘を産んだ母親と、その娘の物語だ。
娘は誕生した日に養女に出されるが、10歳で養父を失い、今は養母とも疎遠だ。
17歳のときに自らエリザベスと言う名前を付け、現在まで一人で暮らしている。

一方母のカレンは、その母(エリザベスの祖母)と一緒に暮らしている。
こちらも結婚はしていない。
療法士の仕事をしているが、新しく仲間になったパゴと恋人関係になっていく。
そんな中、カレンの母が急死する。
カレンは許可なく子どもを連れて来る家政婦が好きではなかったが、母の死後、母がこの家政婦親子をかわいがっていたことを知る。
自分には何も言わなかった母が、家政婦に「カレンは自分が不幸にしてしまった」と告げていた事を聞き、強いショックを受ける。
その後は家政婦親子とも打ち解け、パゴの娘からの説得も受け、自分が生んだ娘を探そうと決意する。

エリザベスの職業は弁護士、それもかなり腕利きだった。
しかし彼女は一ヶ所に留まらず、キャリアアップのために地方都市に行っては、しばらくしてロスに戻ってくる事を繰り返していた。
それはロスが母の故郷だと言う事を知っていて、ここに戻ればいずれ母が探してくれるのではないかと考えていたからだ。

現在のボスと恋仲になりながらも、隣の夫婦の夫を誘惑するエリザベス。
その誘惑の仕方から、彼女が愛され方を知らないのだという事もよくわかる。
やがて自分が妊娠した事を知ると、エリザベスは今の職を離れ、一人で子どもを生む決心をする。

この親子の話とは別に、子どもができない黒人夫妻が養女をもらうエピソードが差し込まれる。
そしてクライマックスではこの黒人夫妻を含めた、親子の愛の結末が語られる。

言いたい事はよくわかる。
数奇な運命を辿る親子の、決して交わる事の無い愛の交流を描きたいのだろう。
原題は「Mother & Child」で、カレンとカレンの母、カレンとエリザベス、エリザベスとお腹の子ども、この4世代において、母と娘の心の交流と行き違いが表現されている。
黒人夫妻の養子縁組のサブストーリーも、同様だ。
でも、ちょっと切な過ぎる。
若干ネタバレになるが、あんまりハッピーエンドではない。
感動や希望もあるのだが、それ以上に悲しすぎるため、観終わった後ちょっと暗い気分になってしまった。


65.君を想って海をゆく
66.愛する人
by ksato1 | 2011-06-03 23:20 | 映画 | Comments(0)