破壊力十分の末脚か、強烈な先行力のスタミナ
ところが最近は、菊花賞を勝った馬はそのまま引退しちゃったり、その後伸び悩む事が多い。
逆にダービー馬は、その後も活躍する馬が多かったりする。
その事も踏まえると、ダービーを勝つ馬は「一番運のいい馬」と言っても、その前に「実力に加えて」という言葉を付けなければならないだろう。
今日もここ20年のダービー勝ち馬のデータを出す。
年度 勝ち馬名 馬場 上3F 上3F順 差
2010 エイシンフラッシュ 良 32.7 1
2009 ロジユニヴァース 不良 39.2 3 -0.2
2008 ディープスカイ 良 34.2 1
2007 ウオッカ 良 33.0 1
2006 メイショウサムソン 稍重 35.1 2 -0.2
2005 ディープインパクト 良 33.4 1
2004 キングカメハメハ 良 35.4 4 -0.9
2003 ネオユニヴァース 重 35.3 1
2002 タニノギムレット 良 34.7 1
2001 ジャングルポケット 重 35.6 1
2000 アグネスフライト 重 35.4 1
1999 アドマイヤベガ 良 34.4 1
1998 スペシャルウィーク 稍重 35.3 1
1997 サニーブライアン 良 35.1 7 -0.9
1996 フサイチコンコルド 良 34.9 1
1995 タヤスツヨシ 良 34.5 1
1994 ナリタブライアン 良 36.2 1
1993 ウイニングチケット 良 36.2 2 -0.2
1992 ミホノブルボン 稍重 37.1 2 -0.1
1991 トウカイテイオー 良 36.0 2 -0.1
「上3F」とは上がり3Fのタイム、「上3F順」とはそのレースで上がり3Fが何番目に速かったか、「差」は上がり最速の馬との秒差である。
これを見ると、過去20年のダービー勝ち馬のうち、馬場状態に関係なく実に13頭がレース最速の上がりを記録している。
ダービーだけにジョッキーの駆け引きもかなりのもので、前がなかなか開かないなど展開のアヤもあるだろう。
しかし抜け出してからキッチリ駆け抜けるだけの力量がなければ、ダービーを制する事はできないのだ。
ちなみにこの中では、キングカメハメハが最速馬と0.9秒差付けられているのがちょっと意外である。
ただしこれは、ハーツクライが一頭だけ次元の違う34.3と言うタイムで追い込んだからだ。
他の馬はみな、35秒台で上がっている。
またサニーブライアンとミホノブルボンは、終始先頭を走っているだけに仕方がない。
メイショウサムソンとロジユニヴァースも終始前目で競馬をして、3角ですでに3番手に付けている。
トウカイテイオーのレースはTVCMで流れているが、3馬身千切っているのでもうゴール前では追う必要がなかったのかもしれない。
ウイニングチケットは1/2馬身差でギリギリの勝利だが、負かした相手がビワハヤヒデとナリタタイシンだからレースのレベルが高かったと言えるだろう。
結論から言えば、ダービーを勝つには破壊力十分の末脚か、強烈な先行力を持ちかつラストも伸びるスタミナが必要と言う事になる。
明日の天気を考えれば、重要視するのは後者だろう。
だがどうしても気になるのが、一昨年のロジユニヴァースだ。
この馬は、どこをどうみても長距離の血統とは思えない。
いろいろと調べたのだが、この世代は6歳でまだ活躍していてもおかしくない世代なのに、2000m以上を主戦場にしている活躍馬はこの時のダービーで4着だったナカヤマフェスタくらいである(ちなみにナカヤマフェスタは、このレースで上がり3F1位を記録している)。
そうなるとロジユニヴァースは、ナカヤマフェスタが本格化する前に完成度と重馬場適正で押し切ったと見るべきなのかもしれない。
2着のリーチザクラウンも、今はマイル路線に活路を求めいるしね。
サダムパテックは追い切りも絶好調、道悪もたぶん不得意じゃなく枠も内枠に入ったが、やはり血統的に重い印を打つか迷うところだ。
陣営は、体型的にBMSのエリシオの血が濃く出ているから距離も大丈夫と言ってはいるが、エリシオの血統もポップロック以外は2000m以上の活躍場が出ていない。
復調気配のオールアズワンも、ネオユニヴァース産駒だけに同様だ。
そうなると5番に入ったオルフェーブルが、やはりダービー制覇に一番近いと見るべきか。
最終結論は、明日の正午の天気予報を見て考える事にする。