映画館の作品紹介に「北欧史上最も物議を醸した連続殺人事件」と書いてあったので、ミステリーもしくはサスペンス作品かと思って観に行ったが、まったく異なる内容の映画だった。
舞台は第一次世界大戦中のコペンハーゲン。
夫が従軍して行方不明状態のカロリーネは、縫製工場で働くものの収入は乏しく、住んでいた部屋を追い出されることになった。
仕方なく暗く汚い部屋に移り住むが、生活の足しにすべく、工場のオーナーに寡婦手当申請の申し出をする。
しかし夫の安否は不明のため、手当は申請できないとオーナーに断られてしまう。
カロリーネは途方に暮れるが、オーナーが手を差し伸べてくれた。
カロリーネはオーナーの子を妊娠し、結婚の約束をする。
その時、ちょうど戦争が終わったためカロリーネの夫が帰ってきた。
夫は戦争で顔の半分を失い、仮面をかぶっている。
カロリーネはそんな夫を追い出し、オーナーと結婚することを選んだ。
だがオーナーの母親がカロリーネとの結婚を認めず、工場もクビになってしまう。
再び途方に暮れたカロリーネは、公衆浴場で下腹部に編み棒を差して堕胎しようとする。
浴槽の中で苦しんでいるカロリーネを助けたのは、小さい娘を連れた中年女だった。
中年女は困ったら訪ねてくるようにと、砂糖菓子の店を教えてくれる。
カロリーネはサーカスの見世物として働く夫と再会する。
二人は暮らし始め、やがて子供が生まれると、夫は大喜びしてくれた。
しかしカロリーネは浴槽であった中年女の砂糖菓子の店に、娘を連れていく。
そこで中年女に生まれたばかりの娘を預け、養子縁組を依頼した。
ストーリーはこの後、カロリーネが殺人事件に巻き込まれる展開となる。
ただ猟奇殺人などではなく、その頃の時代背景を考えると実際に起こっても不思議はない事件で、謳い文句にある「北欧史上最も物議を醸した連続殺人事件」だったのかは、ちょっと疑問が残る。
その一方で、演出はかなりグロい描写が続く。
夫の半分失われた顔、カロリーネの公衆浴場での堕胎シーンなどは、見ていてかなり引く演出だ。
ここまでわかりやすい演出にする必要性が、本当にあったのだろうか。
カロリーネは不幸が重なり追い詰められていくのだが、その追い詰められ方もどこかで見たような、既視感の強いエピソードばかりだった。
実際の事件をモチーフにしており、どこまでが事実に近いのかはわからないが、これでもかと不幸を被せてくるストーリー展開は、逆にちょっとリアリティを薄めてしまっているようにも思える。
ラストは感動を引き出そうと言う見せ方なのだが、観終わった後は嫌な気分が残る作品だった。
67.ガール・ウィズ・ニードル
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by ksato1
| 2025-06-14 18:00
| 映画
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