過去3年連続でディープ産駒が勝っている秋華賞。
内回りと言えども、やはり京都はディープ産駒が中心かと思いきや、今年はやや重馬場になってしまった。
今年出走のディープ産駒は4頭。
この中で一番取捨選択に迷うのがファンディーナだ。

ファンディーナはデビュー後3戦すべてのレースで上り最速を記録。
付けた着差は合計15馬身3/4だ。
そして春は皐月賞に挑戦して一番人気。
しかし結果は7着でその後休養に入った。
皐月賞は7着とは言え勝ったアルアインとは0.5秒差、秋は一叩きされ、今回は狙ってみようかと思っていた。
しかし調教の動きが今一つな上、外枠に回ってしまった。
鞍上の岩田は昨日府中牝馬Sを見事に逃げ切っているものの、今回はやや不利な条件が揃ってしまったの無印とする。

では何を本命にするか。
一番人気はNHKマイルCの勝ち馬アエロリットだ。
アエロリットの場合、前走のクイーンSで古馬を退け見事に逃げ勝っている。
斤量差があったとは言え、古馬相手に自分でハイペースを刻んで逃げ切った事は高く評価できる。
今回は絶好の一番枠を引いており、カワキタエンカを前に行かせたとしても、好位置キープで有利にレースを運べるだろう。
週中の調教も見事な動きだった。
だが、クロフネ産駒はG1で1600mまでしか勝利がない。
クイーンSは1800mだったとはいえ、G1でここ一番で底力の差がでる可能性もある。

そこで本命にするのはリスグラシューだ。
この馬の全成績は2.3.2.1、唯一4着以下に沈んだのはオークスだが、この時は馬群をさばくのに手間取ってしまった。
前走のローズSも後方から脚を伸ばしたが、ラビットランに切れ負けした。
ただ、春先のチューリップ賞と桜花賞は、好位から抜け出す競馬もしている。
鞍上は京都得意の名手武豊、クラシック戦線で常に上位争いをしたこの馬が、最後のタイトルに一番近いと見た。

対抗はアエロリット。

三番手も人気どころだがディアドラだ。
紫苑Sから駒を進めてきた馬は、この3年で2勝、昨年はワンツーだった。
今年は勝ったディアドラだけが目立っていたためレース自体のレベルを問う声も多かったが、この馬自身、桜花賞6着、オークス4着と、春のクラシックでも善戦していた。
ハービンジャー産駒であり、渋った馬場も問題はないだろう。
主戦の岩田に逃げられた点は気になるが、代わりにルメールを確保できているので問題はないだろう。
前日発売はラビットランと並んで4番人気だったのだが、昼を過ぎてから一気に2番人気になっている点でもこの馬を軽視できない。

四番手はレーヌミノルにする。
桜花賞場も、オークスが13着でローズSが9着だった。
そのためか昼過ぎの人気は11番人気。
だが2400mだったオークスはともかく、休み明けのローズSは力負けとは思えない。
父ダイワメジャーも天皇賞秋を勝ち、有馬記念で2度3着に入っているように、京都内回り2000mなら十分勝負になる。
やや重の桜花賞を勝っているように、この馬も馬場が渋れば有利になる。

五番手はカワキタエンカ。
前走のローズSは自らハイペースを刻んで2着粘っており、一番強いレースをしていた。
ただ、その時の鞍上だった横山ノリはアエロリットに騎乗、主戦の和田もラビットランに騎乗している。
馬の能力は認めるものの、テン乗りの北村友に前走と同じ乗り方ができるかどうか微妙なので、評価を下げた。
最後はモズカッチャンとミリッサで迷った。
シンハライトの妹のミリッサは、前々走で中京のレコードタイムを叩き出している。
オークス2着のモズカッチャンも、重馬場が良さそうなハービンジャー産駒。
どちらも甲乙付けがたいが、モズカッチャンの前走7着は入れ込んでしまったことが原因。
2回目のコンビとなったデムーロが、巧く御せれば前走のようなことはないだろう。
今回はモズカッチャンを上に取る。

ラビットランは、ローズSを見た段階では本命にしようと思っていた。
しかしこの馬場で切れ味が封じられる可能性がある。
そもそも、ダートであまり結果が出なかったため芝を走らせたら快走した、という馬である。
やはりあの脚を生かすためには、パンパンの良馬場が必要と見た。
今回は直線が短いこともあり無印にする。
重馬場が得意そうなメイショウオワラだが、ここに入るとさすがに家賃が高そうなのでこの馬も無印。


◎リスグラシュー
〇アエロリット
▲ディアドラ
△レーヌミノル
×カワキタエンカ
×モズカッチャン


馬券は◎○1着、◎○▲△2着、◎○▲△×3着の、3連単24点で勝負。


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原作は講談社の「good!アフタヌーン」に連載の人気作品だ。
監督は「踊る」シリーズの本広克行、役者陣も豪華な顔ぶれなので期待して観に行ったが、正直イマイチな感じだった。

死んでも生き返る亜人がアフリカで見つかってから、各国は亜人の研究を行うようになっていた。
日本ではこれまで2体が確認されていたが、研修医の永井圭(佐藤健)が交通事故死直後に蘇生したことで、3体目として確認された。
研究所に収容された永井は、過酷な人体実験を受けていた。
手足を切り取られた後「リセット」と称して絶命させられ、何度も生き返る。
亜人は死んでも生き返るものの、その時の痛みは常人と同様なので、地獄の苦しみを味わい続けていた。

そんな永井を救い出そうとしたのが佐藤(綾野剛)だ。
佐藤は日本で確認された最初の亜人で、佐藤自身も長い間人体実験を受けていた。
そして研究所を脱出した後、数年前に自分同様に人体実験を受けていた2体目の田中(城田優)を研究所から救出している。
今回も田中とともに永井を救い出しに来たのだ。

しかし永井は、長期間の人体実験により人を殺すことをなんとも思わなくなっていた佐藤に違和感を感じる。
救助される途中で永井を射撃し、生き残っていた警備員とともに脱出しようとした。
怒った佐藤は警備員もろとも永井を襲う。
警備員を助けることはできなかったが、永井はなんとか逃げ延びて山村に逃げ込んだ。

佐藤と田中は、今度は入院中の永井の妹の慧理子(浜辺美波)に狙いをつけた。
亜人管理委員会のトップ戸崎(玉山鉄二)は、永井と佐藤たちがともに行動していると思い、自分のボディガードの下村(川栄李奈)を慧理子に張り付かせることにした。
するとそこに田中が現れ、自分の分身を使って下村を襲撃する。
だが下村も亜人で、そこで分身同士の戦いが始まった。
騒ぎが大きくなったところで田中は身を引き、慧理子は一命を取り留める。
その後永井がひそかに病院に訪れ、自分が身を寄せていた山村の家に慧理子も連れ帰った。

佐藤と田中は、これまで厚生労働省が亜人に対して行っていた残虐な人体実験をネットで公開する。
当初世論は亜人擁護に動きかけたが、佐藤が日本に対して厚生労働省の解体を要求し、さらに厚生労働省のビルを破壊するという暴挙に出た。
亜人撃退に駆け付けたSAT30人を佐藤と田中は二人で殲滅、さらに日本に対し、東京を亜人自治区として開放するように要求した。
要求に応じない場合は、亜人を使って開発した毒ガスを散布すると宣言した佐藤を見て、世論も亜人がテロリストであると考え、政府は亜人対策部隊を編成することにした。

このニュースを見た永井は、佐藤を止めることができるのは自分しかいないと考える。
そして戸崎とコンタクトを取り、毒ガスを奪いに来た佐藤たちを捕獲しようと画策する。

原作と映画はかなり詳細が異なるようだが、映画を見た限りではかなり設定に破綻が生じている。
まず、亜人の生み出す「幽霊」と呼ばれる分身についてだ。
この分身は、JoJo」のスタンドに近いイメージである。
原作では、分身を生み出せるのは一部の亜人だけで、しかも1回に数十分だけ、回数も1日に2、3回が限度となっているらしい。
映画ではそれらの説明がほとんどない。
説明に近いのは、佐藤の「幽霊を連続で出せるのか」というセリフだけである。
そのため冒頭の永井救出の時から、佐藤と田中が銃器を持っている意味がわからない。
分身を使えば銃器など使わずに、簡単に永井を救出することができたはずだ。

そして一番意味がわからなくなってしまっているのが、亜人同士の戦いである。
亜人は絶命しても数秒で蘇生するので、銃器で撃たれても、ナイフで切り裂かれてもあまり意味がない。
亜人を沈黙させる唯一の方法は、強力な麻酔剤で眠らせる事だけだ。
亜人同士の戦闘シーンは何度もあるのだが、その際、麻酔剤を使っているのは政府側の永井と下村だけで、佐藤と田中は普通に殺傷しようとしている。
何度殺しても蘇生してしまうのだから、これでは戦いに決着がつかない。
佐藤と田中が、永井と下村を仲間にするために生け捕りしようとしているわけでもないので、戦闘シーンに迫力があっても「これってどう決着するの?」という疑問がわいてしまい、観ていて非常に違和感を感じた。

この設定以外についても若干矛盾点はあったが、全体を通してはまずまずのストーリーだったと思う。
人間に復讐するために常軌を大きく逸脱した佐藤や、佐藤にやや違和感を感じながら亜人として生きるには佐藤に従うしかないと割り切っている田中、そして過酷な人体実験を受けてもやはり人間を殺すことはできないと考える永井、この3人の心情がよく描かれている。
永井を医師の研修生という設定にしたのも、地味に説得感を増している。

それだけに、亜人という物語の軸となる設定について、もう少し詰めてほしかったと思った。


115.亜人



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「ワイルド・スピード」は最新作の「ICE BREAK」だけ観たので、シリーズ全体の面白さがよくわからなかった。
この「スクランブル」はかなり面白かったが、「ワイルド・スピード」に近い作品なのかもしれない。

アンドリュー(スコット・イーストウッド)とギャレット(フレディ・ソープ)は異母兄弟で、二人ともプレミアムカー専門の窃盗を行っていた。
運転技術もさることながら、車に関する歴史や知識も持ち合わせていた。

ある日二人は依頼により、世界に2台しかない1937年製のブガッティを盗み出す。
だが依頼人に車を引き渡そうとした瞬間、元の持ち主の襲撃にあってしまう。
元の持ち主はマルセイユを仕切るマフィアのモリエール。
二人は命を助けてもらう代わりに、敵対するドイツマフィアのクランプからフェラーリ250GTOを一週間以内に盗み出すことを約束させられてしまう。

二人には、もう一仲間のステファニー(アナ・デ・アルマス)がいた。
ステファニーはアンドリューの恋人だが、あまりにも危険なミッションのためアンドリューはステファニーの合流に難色を示す。
しかしステファニーは自分だけではなく、天才的スリのデビンまで仲間に引き入れてしまう。
さらに爆弾ヲタク、その他のドライバーたちが仲間に加わり、クランプから250GTOを盗み出す計画を立てる。

だがその間、アンドリューとギャレットたちはインターポールからもマークされていた。
ただでさえクランプは冷徹非情の男で、失敗すれば確実に殺されてしまう。
そのうえインターポールのマークも振り切られなければならず、チームは絶体絶命の状態になっていた。

アンドリューたちがなかなか作戦を前に進められないうちに約束の時間となってしまい、今度はステファニーがモリエールに拘束されてしまう。
モリエールは約束通り250GTOを盗み出せない場合は、ステファニーの顔を車のタイヤで削ると脅してきた。

冒頭のブガッティを盗むシーンから、アドレナリン全開のカーアクションである。
もちろん全編を通して流れるカーアクションシーンもこの映画の見所ではあるのだが、個人的にはこの映画の本当の見所はカーアクションというよりも、全体のストーリー展開だ。
ネタバレになってしまうので詳しくは書けないが、起承転結がきっちりと描かれており、かなり爽快なストーリーとなっている。
日本ではあまり話題になっていないが、カーアクション好きなら必ず押さえておきたい1本だ。

上映時間は94分と短め、饒舌な部分はなくスピーディーに展開して心地よい。
主演のスコット・イーストウッドをはじめ、悪役を含めたキャストもバッチリはまっている。
制作陣の名前はほとんど聞いたことがないが、非常にセンスを感じる作りで次回作にも期待したい。


114.スクランブル


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「スイス・アーミー・ナイフ」のように、サバイバルでいろいろと使える便利な男ということで、「スイス・アーミー・マン」と言うタイトルになっている。
かなりのおバカ映画かと思って期待して観に行ったが、思っていた内容とは異なっていた。

ハンク(ポール・ダノ)は航海中に遭難し、小さな無人島に流れ着いていた。
絶望して首をくくろうとした瞬間、波打ち際に人影を見かける。
慌てて駆け寄るものの、男(ダニエル・ラドクリフ)はすでに息絶えていた。
再び絶望して首をくくろうとするハンク。
しかしハンクの目の前で、死体は体内のガスを噴出しながら島を離れようとしていた。
おならのようにガスを噴出する死体に乗って、島を脱出するハンク。
そして二人は海岸に打ち上げあられた。

ハンクは死体を背負って海岸から森に進んだ。
そこで死体が水筒の代わりになる事を発見する。
さらに、体内からの空気の流れの関係で、死体がしゃべり始めた。
死体は自らを「メニー」と名乗った。

メニーはだんだんと、意志を持つような動きを始めた。
生前の記憶がないメニーに対し、ハンクはいろいろなことを教える。
ハンクはメニーを担いで、さらに森の中を進んだ。

メニーがアーミー・ナイフのように重宝する点については、なんの説明もない。
この部分は、非現実的な完全におバカ映画である。
個人的には、この部分を突き詰めて欲しかった。

しかしこの映画では、だんだんハンクがメニーの家庭教師のようになって行く。
自分の経験をメニーの経験のように教え込み、人生がいかに楽しいかを語るようになるのだ。
自殺を考えた人間が人生の素晴らしさを再認識するという点では、意味があるのかもしれない。
だが、メニーのためにハンクが映画館やバスの車内を再現するシーンはファンタジー色が強すぎて、おバカシーンとのメリハリになっていない。
非常に中途半端な感じになってしまっている。
ラスト近くでクマに襲われるシーンも、おバカシーンではなくかなりシリアスにまとめられているので、ちょっと引いてしまった。

ラストのまとめ方もありがちで、観終わった後に残るものはほとんどなかった。
ダニエル・ラドクリフの死体の演技だけが見所の映画であった。



113.スイス・アーミー・マン


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久しぶりのギンレイの2本。

まず「おとなの事情」。
これはかなりの「当たり作品」だった。

月食の夜、整形外科医のロッコとカウンセラーの妻エヴァは、ロッコの幼馴染を自宅に招待する。
タクシー運転手のコジモは結婚したばかりの若妻ビアンカを、弁護士事務所に勤めるレレは10年連れ添った妻カルロッタを連れてきたが、バツイチのペッペは一人でやってきた。
最近付き合いだした彼女を連れてくるはずだったのが、彼女が熱を出してしまったのだ。

ロッコとエヴァが料理を作りながら、会食は始まった。
そこで、食事中に携帯にかかってきた電話はすべて、みんなにも内容が聞こえるようにスピーカーフォンで対応、メールもすべて読み上げるというゲームが提案される。
ロッコは反対したが、その他のみんなが承諾したため、ゲームが始まってしまった。

ストーリーの90%以上が、ロッコとエヴァの自宅で繰り広げられる。
最初はみんな和やかに談笑しているのだが、携帯にかかってくる電話がいろいろな波紋を広げていく。
集まった7人のメンバーは、ビアンカを除けば全員40代で、ロッコとレレは夫婦生活が長い。
そうなるとだいたい、誰もが人に言えない秘密を抱えていたりする。
その秘密が、携帯にかかってきた電話やメールで少しずつ暴露されていくのだ。

しかも、この暴露の順番が秀逸。
最初はやや重要な問題であるものの、いきなり夫婦や友人の関係に亀裂が入るようなものではない。
しかし徐々にヘビーな秘密が明らかになっていき、その中には序盤のメールが大きな伏線になっていたりもする。
脚本の妙が生きた作品で、各映画賞の脚本賞も受賞しているらしい。
月食をキーワードに使った最後の落とし方も、なかなかシニカルでいい。
「大人」であれば一度は押さえておきたいおススメ作品だ。
時折こういう超掘り出し物作品が上映されるから、ギンレイを侮ることはできない。


続いて「午後8時の訪問者」。

女医のジェニーは、ある日小さな診療所で代理の診療を行っていた。
夜8時に診療所を閉め、次に勤務する病院の歓迎会に向かおうとしたとき、診療所の呼び鈴がなる。
対応しようとする研修医を「時間外」だからと言って止め、ジェニーはそのまま歓迎会に向かった。
すると翌日、警察がやってきて診療所の近くで少女の遺体が発見されたと告げる。
診療所の玄関の防犯カメラをチェックすると、そこには被害者の少女が映っていた。
もし昨夜ジェニーが診療所の扉を開けていたら、少女は犠牲にならなかったかもしれない。
罪悪感にかられたジェニーは新しい病院に勤めることをやめ、その診療所で勤務しながら少女の身元を探し始めた。

基本的にはサスペンスである。
ジェニーは警察官のように少女の身元を追い続け、やがてふとしたことから自分の患者が少女を知っていることがわかる。
そこからなんとか少女の身元を手繰ろうとするが、ジェニーが危険な目に遭ったりもする。

監督のダンデルヌ兄弟は、カンヌの常連でパルムドールも2度受賞しているらしい。
ただ、個人的には面白い作品とは思えなかった。
ジェニーが罪悪感にかられて行動すると言う部分はわかる。
だが一方で、警察だったらもっと簡単に少女の身元を判明することができたんじゃないかとも思う。
犠牲者の少女はアフリカ系で、あまり治安のよくない場所にいたらしい。
それゆえ、警察が事件を軽んじてまともに捜査をしていなかったのかもしれない。
そのあたりのフランスの事情がわからないためなんとも言えないが、ジェニーが一人で行動し続けることにかなり違和感を感じた。
またラストについても、盛り上がりに欠けちょっと淡泊すぎするように思えた。

1本目の「おとなの事情」が大当たりだっただけに、ちょっと落差にガッカリしてしまった。



111.おとなの事情
112.午後8時の訪問者



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リドリー・スコットが監督をしているのに、日本ではイマイチ盛り上がっていない。
原因は、だいたい想像できてしまう内容のため、観た後にそれほど満足感が得られないからかもしれない。

オープニングは、前作「プロメテウス」に登場したアンドロイドのデヴィットの誕生シーンだ。
デヴィットは自分の「創造主」はウェイランドだが、ウェイランドの「創造主」は誰かと尋ねる。
そして自分がウェイランドの「創造主」を探すと言った。

プロメテウス号が消息を絶ってから10年後、2014年に植民船コヴェナント号が移民先のオリガエ6を目指して飛行していた。
移民と乗組員は冷凍休眠しており、船をコントルールするのはアンドロイドのウォルターだった。
しかしある日突然、宇宙活動の衝撃波により宇宙船は大きな被害を受けてしまう。
故障の修繕の目途はたったものの、船長以下冷凍休眠中だった乗組員にも犠牲者が出てしまった。
生き残った乗組員が悲しみの中宇宙船を修繕しているとき、無線に謎の音声が割り込んできた。
それは近くの惑星から発信された信号で、明らかに地球の歌に聞こえた。
そして調査の結果、惑星は目的地のオリエガ6よりも地球に近い環境であることがわかった。
反対する者もいたが、船長代理のオラムの判断でその惑星を調査することにした。

調査隊は探査艇で惑星に降り立った。
メンバーは船長代理のオラム以下10名。
地表に降り立つとそこには麦が生えており、地球に酷似した環境だった。
しかし植物は生えているが、動物はまったく見当たらない。

調査隊は二班に分かれたが、オラムたちの隊は信号の発信源の宇宙船を発見する。
宇宙船は地球人が造ったものではなかった。
宇宙船の中には、かつてプロメテウス号の乗組員であったエリザベス・ショウの認識証が残され、他にも彼女が船内にいた痕跡があった。

同時期、オラムたちとは別に生物の調査をしていた班の一人レドワードが、休憩中に耳から異分子を取り込んでしまった。
レドワードはすぐに体調に異変を来たし、班のメンバーは探査艇に戻った。
しかし時すでに遅く、レドワードを寄生主として育った小さなエイリアンが、彼の体を食い破って外に出てきた。
一方、オラムたちの班のハレットも、レドワードと同じ異分子を取り込んでエイリアンに寄生されてしまう。
レドワードの隊から連絡を受けオラムたちは探査艇に戻るが、パニックになったほかのメンバーが銃を乱射したため探査艇は爆発してしまった。

オラムたちが母船に連絡を取ろうとしている間に、惑星は夜を迎えていた。
そしてハレットに寄生していたエイリアンも、彼の体を食い破って外に出てくる。
俊足に動くエイリアンに襲われて仲間が犠牲になり、絶体絶命となった時、照明弾でエイリアンを追い払う者が現れた。
エリザベスと共にプロメテウス号に乗船していたアンドロイド、デヴィットだった。
デヴィットはオラムたちを、彼が拠点としている研究所に案内した。

デヴィットは同型のアンドロイドであるウォルターを「兄弟」と呼び、彼にこれまでの経緯を打ち明けた。
デヴィットによると、エリザベスはこの惑星に着陸するときの事故で死亡、彼女を埋葬した後10年間、人類の限界と新たな命の研究をしており、ウォルターにも協力するように誘いかけてきた。
デヴィットの言動に不審を感じたウォルターは協力を拒否、するとデヴィットはウォルターを停止させてしまった。

その間、オラムたちは再び母船との交信を試みていた。
しかし強いイオン嵐のためまったく連絡が取れない。
そうこうしているうちに、メンバーの一人がエイリアンに襲われてしまう。
その現場を見たデヴィットは、エイリアンを手なづけようとした。
さらにデヴィットの後ろからその光景を見ていたオラムは、デヴィットの背後からエイリアンを射殺する。
デヴィットはオラムに、エイリアンは自分が作った「完全な生命体」である事を説明する。
そしてオラムを、フェイスハガーの卵が培養されている地下に案内した。

エイリアンがどうして誕生したのか、その謎が解明される映画だ。
前作の「プロメテウス」もエイリアンの誕生を予感させるラストシーンであったが、創造主といわれるエンジニアがどうやって人類を創世したかはイマイチはっきりしなかった。
そして今回も、その部分ははっきりしない。

この映画に最初に登場するエイリアンは胞子状の形態で、寄生主に宿った後さまざまな形態に変体する。
それが、デヴィットによって「完全なる生命体」に進化したのだ。
ほとんどネタバレに近いのだが、予告編を観ただけでこのあたりまではわかってしまうので問題ないだろう。

ではこの映画の見所はどこかと言うと、エイリアンを創世したデヴィットの狂気と、いつもながらのエイリアンVS人間のバトルシーンである。
デヴィットの狂気はかなり迫力がある。
プログラミングされたアンドロイドがこんな行動を取るのかという疑問も残るのだが、ウォルターと二役のマイケル・ファスベンダーが非常にいい演技をしている。
しかしバトルシーンは迫力はあるが、だいたいセオリー化しているので正直既視感が強い。
さらに、すでに続編の構想も発表されているが、ラストシーンも続編を匂わせる形となっていてややモヤモヤ感が残る。
バトルシーンの既視感に加え、このラストシーンのモヤモヤ感も、この作品があまり話題になっていない要因かもしれない。



110.エイリアン:コヴェナント


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私はもうこの春までで読むのをやめてしまったが、原作は「スピリッツ」で連載中の人気作品だ。
現在「スピリッツ」でもおそらく上位人気の作品だと思われる。
それほど読み応えのあるマンガだ。
そして映画は、原作ファンも納得できる作品になっていた。

東島旭(西野七瀬)は二ツ坂高校に入学し、運動部に入ろうと思っていた。
そして部活紹介の時に薙刀部のパフォーマンスを笑ったことがきっかけで、八十村将子(桜井玲香)、紺野さくら(松村沙友理)とともに薙刀部に入部することになる。
将子は剣道経験者で、さくらはぶりっ子でお嬢様ではあるものの、バレーボール経験者で背も高かった。
旭は中学時代美術部で運動経験はゼロ、背も低く完全なお荷物扱いであった。

しかし旭には憧れの人がいた。
薙刀部のエース宮路真春(白石麻衣)だ。
真春は小さいころから薙刀を習っており、2年生ながら団体戦のメンバー入り、そしてインターハイの個人戦でも全国大会に出場していた。
練習はきつかったが、旭は真春を目指して部活を続けた。

先輩が卒業し、2年生が最上級生になった。
2年生は真春のほか、部長の野上えり(伊藤万理華)、大倉文乃(富田望生)の3人で、全部員6人体制だ。
薙刀部は顧問の小林(中村倫也)の提案で、薙刀教士の寿慶(江口のりこ)がいる白滝院で夏休みに合宿を行うことにした。
地獄の合宿で部員たちは鍛え抜かれ、秋の新人戦に1、2年生それぞれ2チームで出場することになった。
だがそこで、絶対エースの真春がライバルである國陵高校の1年生エース一堂寧々(生田絵梨花)に敗れてしまう。
負けた真春よりも、ほかの部員が大きなショックを受けてしまった。
そして真春は部員たちとの練習では自分が上達しないと考え、部活に参加せず連盟に出稽古に出るようになる。
薙刀部がバラバラになってしまった事を憂慮する旭。
どうしても真春に薙刀部に戻ってもらうよう、真春を武道場に呼び出した。

運動が苦手だった旭が、努力で成長する物語である。
いい年をしてなんだが、こういう汗臭い、青臭いスポ根モノは大好きなので、原作も楽しみにして読んでいた。
ただ映画化の話が出た時に、主要キャストを乃木坂46で固めると聞いて、ちょっと不安になった。
単純なアイドル映画に成り下がってしまうのは、正直残念だったからだ。
しかし、いい意味で期待を裏切ってくれた。
旭の西野七瀬、真春の白石麻衣をはじめ、キャスティングがピタリとハマっていたのだ。
さすがに白石麻衣は知っていたが、西野七瀬という人はまったく知らなかった。
だが演技力はかなりあると思う。

そして、大倉文乃の富田望生、小林の中村倫也、寿慶の江口のりこのキャスティングが効いていた。
富田望生は「ソロモンの偽証」「チア☆ダン」でも存在感を示していたが、今回もかなりいい味を出していた。
さらに中村倫也のチャラい小林もよかった。
この小林役はむしろ原作以上の面白さで、緊迫感のあるシーンとのメリハリをきっちり付けていた。
夏合宿を誘う焼肉のシーンなどは、ほんとどが中村倫也のアドリブではないかと思った。
江口のりこの寿慶は言わずもがなだ。

監督の英勉は最近では「トリガール」も監督しており、笑いあり涙ありの青春スポ根モノは得意分野なのだろう。

原作は、脇役の成長も取り上げている点が、人気の要因にもなっている。
トラウマで剣道から逃げてきた将子、一時は薙刀部から逃げようとするもののやがて部長へと成長するさくら、部長としてみんなを引っ張るものの部内戦で1年に敗れて団体戦メンバーから外れてしまう野上えりなど、かなり深いエピソードが多い。
それ以外にも、國陵高校の一堂寧々のエピソードもかなり面白い。
今回の作品がまずまずいい出来だっただけに、続編にも期待したい。

映画を観た後、久しぶりに原作を1巻から読み返したい気にさせられた。


109.あさひなぐ



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原作は本屋大賞にもノミネートされ、出演者もかなり豪華なのに作品自体はあまり話題になっていない。
理由は、PG12指定になるほど、かなりハードな殺傷シーンがあるからかもしれない。

亮介(松坂桃李)は高原でレストランのオーナーをしており、従業員の千絵(清野菜名)と婚約をしていた。
だがある日突然、千絵は亮介の前から姿を消してしまう。
ショックで仕事にもあまり身が入らなくなってしまった亮介を気遣い、従業員たちはたびたび病の父の様子を見に行くように勧めてくれた。
亮介の父は高原近くの実家で一人暮らしをしていたのだが、ガンに侵されていたのだ。
亮介が実家に戻ると、父は不在で押入れの扉が空いていた。
何気なく亮介が押入れの中を見ると、そこには「ユリゴコロ」と書かれた大学ノートが入っていた。

大学ノートには、ある女性の告白が記されていた。
彼女(吉高由里子)は幼少から感情を表に出すことが苦手で、医師からは「ユリゴコロ」がないからだと言われていた。
「ユリゴコロ」とは幼少の彼女の聞き間違いで、おそらく「よりどころ」だったのだろう。
彼女が感情を表に出せるのは、生き物が死んだときだけだった。
最初は小学生の時、おぼれる友人が死ぬところをそのまま傍観してしまう。

そして中学生の時、妹の帽子を側溝から取ろうとしている少年を目撃する。
そこに大学生の男が通りかかり、重い側溝の蓋を持ち上げ、少年が帽子を取るのを手助けしようとしていた。
彼女はその大学生を手伝うふりをしながら、側溝の蓋を閉じてしまう。
ついに、彼女自らが殺人を行ってしまったのだ。

彼女は高校を卒業後、調理師の専門学校に進む。
そこでみつ子(佐津川愛美)と言う友人と知り合うのだが、みつ子は拒食症でリストカットの性癖があった。
これまでと異なり、みつ子の存在自体が彼女のユリゴコロとなりつつあった。
彼女はみつ子の拒食症を直し、リストカットもやめさせようとする。
二人で一緒に調理師学校を卒業し、北海道で暮らそう、それまでリストカットは我慢するように説得した。
しかしみつ子はどうしてもリストカットを我慢できない。
彼女はみつ子の了承のもと、みつ子の腕を深く切って絶命させた。

ノートにはその後も、彼女の凄惨な人生がつづられている。
亮介はノートの内容が小説なのか、あるいは事実なのかを考え続けずにはいられなかった。

そんなとき、細谷(木村多江)という女性が亮介を訪ねてきた。
細谷はかつて千絵と同じレストランで働いていた同僚で、偶然横浜で再開したという。
その時に亮介の話を聞き、理由があって亮介の元を去った事を伝えてほしいと告げられていた。

細谷はその後も千絵の消息を事細かに調べてくれた。
やがて千絵は暴力団員と結婚していて、そこから逃げて亮介の店で働いていたことがわかる。
しかし夫に居所がばれて連れ戻され、今は東京の暴力団事務所で監禁されているという。
亮介は細谷に、千絵の監禁されている場所を調べるよう、強く依頼した。

基本は大学ノートの内容が柱となった、ミステリーである。
そこに千絵の失踪が絡んでくる。

まず、前半のみつ子とのリストカットのシーンがエグイ。
鋭利な刃物が苦手な私には、直視できないシーンが連続した。
その上、佐津川愛美の倒錯した演技がすごい。
「素晴らしい」というよりも「すごい」という方が的確だろう。

その後彼女は、ノートの中で「アナタ」と表現する男(松山ケンイチ)と出会うのだが、そこからストーリーは純愛風に急転換する。
子どもを生んだ彼女がユリゴコロを得て、普通の生活を送るようになるのだが、この前半と後半のメリハリもうまく表現されている。
役者陣の巧みな演技もあり、なかなか見応えのある作品になっている。

しかしストーリーの構成が、かなりの確率の低い偶然がいくつも重なった上で、全体のストーリーが構築されている。
特に、千絵と細谷が偶然再会するという部分は、ちょっと無理があるように思える。
ちょっとネタバレになってしまうのだが、調べたところ原作では全体の設定が大きく異なり、この部分自体が存在していないようだ。
なぜストーリーに無理があるように設定を変えたのかわからないが、そこは変更しなかったほうが良かったようにも思う。
この設定変更がなければ、何かの映画賞を取っても不思議ではないくらいの出来であった。
非常に残念なだけに、変更された理由を知りたいとも思った。

108.ユリゴコロ


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明日は朝から出かけるので今日のうちに予想をアップ。

秋のG1戦線初戦だが、1200mのG1勝馬もいるものの、抜けた存在がいない難解なレースになった。
同じメンバーで10回走ったら、10回勝ち馬が変わる可能性もある。
展開を考えると、絶対にハナを奪わなければならない馬はいないものの、連勝中のワンスインナムーン、ダイアナヘイローなどが先行するので平均以上のペースで流れるものと思われる。
シュウジもここ数戦先行争いをして逃げバテしているので、大外に回ったこともあり無理に行かないと思われる。
平均ペースになると中段から好位抜け出しの馬に有利だが、平均よりやや早いペースとなり、ゴール前は後ろから来た馬が届きそうな気がする。
そこで今回は切れる馬を上位に考えていきたい。

本命は、大外に回ってしまったがダンスディレクターにする。
この馬は全22戦のうち、9回レース最速の上りを記録しており、直線着実に脚を伸ばしてくる。
セントウルSを叩いて挑むローテーションは昨年と一緒で、昨年はこのレースで15着だった。
しかし夏場の調教量が、今年昨年では雲泥の差である。
3着だったセントウルSを叩いて体調はさらに上昇、間違いなく昨年以上の出来にある。
大外に回ったことで、逆に包まれることがなくなったと考えるほうがいいだろう。

対抗はレッドファルクスだ。
昨年のこのレースの勝ち馬だが、前走戦を使えず安田記念から直行となってしまった。
しかし週中の調教では抜群の動きを見せており、体調自体は問題がないようだ。
デムーロがファインニードルではなくこちらを選んだ点でも、本気モードがプンプン匂う。

三番手は3歳馬のモンドキャンノにする。
昨年は京王杯2歳Sを制して朝日杯フューチュリティSは2着。
年明けのスプリングS、NHKマイルCを凡走したが、これはキンシャサノキセキ産駒ゆえ仕方ないだろう。
適距離に戻ったキーンランドCは、休み明けで古馬との初対決のため6着だったが、上りはメンバー中3位の脚を使っている。
タイム差も0.4秒なので着順ほど負けていない。
京王杯では後の桜花賞馬レーヌミノルを下しており、調子さえ取り戻せばここでも好勝負必至だ。

四番手はメラグラーナだ。
この馬も強烈な差し足を持っているが、勝利か凡走か、かなり極端な馬である。
ペースに左右されているわけでもないので、非常に掴みどころが難しい。
揉まれ弱そうなので、内枠に入ったら切ろうかと思っていたが、中途半端は5枠に入った。
中山は3戦3勝と言う相性の良さで四番手評価にした。

五番手は春のスプリント王のセイウンコウセイ。
1400m以下のレースに限れば13戦して6勝2着5回で、堅実な成績を残している。
先行しても2枚腰でしぶとい脚を使う。
ただ、4着と13着に沈んだ2回がいずれも休み明けと言う点が気になる。
今回は調教も動いていたようだが、前哨戦を使えなかったという事で評価を少し下げた。

最後はダイアナヘイローだ。
この馬も先行馬だが、直線でももう一度脚を使ってくる。
今年に入ってから1200mだけを8戦しているが、戦績は4.2.0.2で、武豊とのコンビならパーフェクト連対である。
1200mの全成績も武豊となら5.3.1.0だ。
この夏4連勝でメキメキと実力を付け駒を進めてきたので、侮ることはできない。

切れ味という事であればレッツゴードンキにも注目したいが、今回は調整が遅れているようなので無印にした。


◎ダンスディレクター
〇レッドファルクス
▲モンドキャンノ
△メラグラーナ
×セイウンコウセイ
×ダイアナヘイロー

馬券は◎○1着、◎○▲△2着、◎○▲△×3着の、3連単24点で勝負。


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「江戸のレンブラント」と称された画家を知っているだろうか。
画家の名は葛飾応為。
葛飾と言う雅号から北斎の門下生と想像できるが、実はただの門下生ではなく実の娘である。
しかも「北斎の影武者」とも言われているほどの腕前だ。

この夏、大英博物館で「The Great Wave」という特別展が行われ、大変な人気だった。
「The Great Wave」はもちろん「神奈川沖浪裏」の事で、あべのハルカス美術館と大英博物館の共同プロジェクトである。
日本では「北斎-富士を超えて-」というタイトルで10/6から11/19まで開催予定だが、残念ながら東京での開催は予定されていない。

この特別展に併せて、まずはNHKでいろいろな番組が放送された。
「歴史秘話ヒストリア」は2週に渡り、それぞれ北斎、応為を取り上げ、宮﨑あおい主演で「眩(くらら)~北斎の娘~」というドラマも放送された。
そこで初めて知ったのだが、葛飾応為という画家は、ある意味では北斎を超えた存在だったようである。

北斎は雅号を次々と変え、100回近く転居をしたことでも知られている。
しかしその家族についてはあまり語られていない。
北斎には二男四女の子供がいたそうだ。
その中で画家になったのは、三女のお栄、葛飾応為だけのようである。

上記のNHKの番組によると、北斎は弟子もたくさん取っており、仕事場はあたかも工房のようであったらしい。
北斎が絵を描き、彩色や仕上げは弟子たちが行っていたようだ。
そして晩年になると、応為が描いた作品に北斎の落款が押されたこともあったと言う。
偶然ではあるが、これはレンブラントが行っていたことと同じである。
レンブラントも多数の弟子を抱え、弟子の作品にレンブラントがサインを行っていたこともある。
これはすでに研究者によって、弟子の作品にレンブラントの直筆サインが描かれていることが証明されているので、都市伝説的な噂ではない。
北斎についても研究者によると、肉筆画の「菊図」を見ると、線のタッチが繊細で、その当時の北斎の他の絵とは明らかに異なっているらしい。
また、色の濃淡で光源を表現するなど、北斎ではなく応為の作品の特徴が出ているとも言われている。

応為が「江戸のレンブラント」と呼ばれているのは、この独特な光の表現法のためである。
応為の代表作「吉原格子先図(よしわら こうしさきのず)」「春夜美人図(しゅんや びじんず)」では、当時の浮世絵にはなかった光の表現が用いられている。
そして応為がこの光の表現法を身に着けたのは、北斎がシーボルトから依頼された洋画作成を行った時であるらしい。
性格もずぼらで家事は何一つできず、嫁いだ画家の家から離縁された応為も、絵を描くことに関してだけは貪欲だったようだ。
女性ながら、依頼された春画も何枚も描いたらしい。
父北斎の画力に心酔しながらも、それを超える絵を描こうとしていたのかもしれない。

特別展開催中は、このほかにも特別番組が放送されるだろう。
なんとか特別展にも行きたいのだが、期間が1か月半しかないことを考えると、ちょっと難しそうだ・・・。


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