今回の予想のポイントは、キタサンブラックを負かす馬がいるかどうか。
ここ10年宝塚記念で1番人気の馬は2頭しかいない。
春の天皇賞のあと、梅雨時のレースに向けての調整の難しさという事だろう。
そしてキタサンブラック自体、グランプリレースで勝ったことがない。
これは、その前のレースで圧勝したことによりマークがきつくなっている事が理由と思われる。
今回天皇賞春をレースレコードで勝っており、蓄積された疲労が残っている可能性も十分ある。

だが、週中の追切の動きは万全で、かつ馬体重も前走増えていた。
という事は、調子落ちという事はあり得ないだろう。
マークされる点も、外枠に回ったことがむしろ有利に働き、外々を回って自由イン動けるだろう。
競馬に絶対はないが、今回はキタサンブラックを1着固定に考える。

では、キタサンに続く馬はどう考えるか。
元々残りは10頭しかいないので、できるだけ点数を絞りたい。
先行して粘れそうなゴールドアクター、道悪でも着実に差してくれるミッキークイーン、道悪の方がよさそうなサトノクラウン、まだ底を見せていないシャケトラまでか。

シュヴァルグランは、長距離場によくあるタイプで夏場に弱いのではないかと考える。
福永は昨日5勝をあげて絶好調、ハーツクライ産駒も道悪にも強いし成長力もあるが、今回は無印にする。

◎キタサンブラック
△ゴールドアクター
△ミッキークイーン
△サトノクラウン
△シャケトラ

馬券は◎1着固定、2~3着△4頭のボックスで、三連単12点勝負。


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予告編を見た時には「未知との遭遇」に近い映画かと思ったが、イメージとはかなり異なる作品だった。

ルイーズ(エイミー・アダムス)は大学で教鞭をとる言語学者だ。
彼女は独身だったが、時折自分の娘が難病で死亡すると言う幻覚を見ていた。
ある日ルイーズが授業を始めようとすると、世界中に謎の物体が飛来したと言うニュースが入る。
世間はこのニュースで持ちきりとなりパニックになった。
そんな時、ルイーズの元に米軍のウェバー大佐(フォレスト・ウィテカー)が訪れる。
彼はICレコーダの音声を聞かせて理解できるかと質問をするが、ルイーズはそれだけではわからないと答える。
一度はその場を去るウェバー大佐だが、夜中にルイーズを迎えに来て飛行物体の現場に連れて行った。

現場には物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)が来ており、彼と二人で飛行物体の中に入り、そこにいた生物体とコンタクトを試みる事になった。
飛行物体は全世界で12体飛来しており、各々を回線でつないで情報交換をしていた。

各国が生物体とのコンタクトにてこずっている中、ルイーズは文字を使ってのコンタクトを試みた。
この試みは見事に成功し、少しずつ生物体と意思を共有できるようになった。
その結果、生物体が地球人に「兵器」を与えに来た、と意思表示するようになった。
その他の国でも同じ情報が共有されていたのだが、民衆が不安で暴動を起こしかねない状況の中、この「兵器」と言う言葉に各国は過敏に反応した。
そして中国とロシアが、各国との回線をシャットダウンし、飛行隊に宣戦布告をしようと画策を始める。
やがてその他の国々も中国とロシアに追随して回線をシャットダウン、宣戦布告の準備に入った。
ルイーズとイアンは再度生物体と遭遇、彼らの最後のメッセージを受け取り、その意味を解読しようとする。

異星人との遭遇という意味では「未知との遭遇」のようなのだが、単純に遭遇するだけではなく、生物体が与える「兵器」に重要な意味が隠されている。
しかしその意味が非常に分かりづらい。
実際、生物体のメッセージを解読したルイーズはその「兵器」の力を見に付ける事になるのだが、なぜ解読しただけで力を身に付けられるのかが意味不明だ。
解読できれば力を身に付けられるのであれば、イアンをはじめその他の人々も力を身に付けてもおかしくないはずだが、ストーリー展開を見るとそういう訳でもなさそうである。
この部分が釈然としないので、ラストシーンもちんぷんかんぷんのまま終わってしまう。

異星人との接近遭遇と言う事で、「エイリアン」や「プレデター」のような危険な接近なのか、あるいは「未知との遭遇」のような友好的な接近なのか、かなり期待をして観に行ったのだが丸っきりの肩すかしだった。
原作もかなり難解な作品のようで、実写映画化には少々無理があったのではないかとも思う。



74.メッセージ



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韓国映画のリバイバルと言う事でそれほど期待していなかったが、構成の巧さと役者の演技力でかなりいい作品に仕上がっていた。

刑事の牧村(伊藤英明)は22年前、ある連続殺人事件を追っていた。
犯人は被害者を後ろからロープなどで絞殺、その姿を必ず被害者の近しい人に見せると言う猟奇的な殺人だった。
警察が張った罠に対して犯人は姿を見せるが、逮捕まで至らず逆に牧村は口を鋭利な刃物で切られてしまう。
さらに犯人は逆に牧村の住んでいた部屋に爆発物のトラップを仕掛け、当時の牧村の上司である滝(平田満)を殺害した。
その15年後、日本は刑法を改正して死刑が予測される犯罪に関しては時効を廃止する。
しかし一連の事件は、15年前に滝が殺害された最後の日が改正の1日前だったため、時効を迎えてしまった。

その時効から7年後のある日、この一連の事件の犯人を名乗る男が現れた。
男の名は曽根崎雅人(藤原竜也)。
彼は事件関係者しか知り得ない事実を含んで、事件のすべてを本にして出版した。
当然、残された事件の被害者家族たちは怒りを隠しきれない。
さらに曽根崎は、牧村や被害者家族達に会って挑発をしようとする。
世間は曽根崎に翻弄された。

そんな中、22年前にこの事件をジャーナリストして追い、現在はニュースキャスターとなっていた仙堂(仲村トオル)が、事件を自分の番組内でセンセーショナルに取り上げようとする。
仙堂は曽根崎を自分の番組に呼び、彼が本当の犯人かどうかを暴こうとした。
仙堂は番組内で、この事件には3人の被害者と刑事の滝の計4人のほかに、知られざる5人目の被害者がいたのではないか、しかし曽根崎は本の中でその事に触れていない、と告げる。
一瞬、曽根崎の顔色が変わる。
さらに仙堂は、番組開始前にネットにアップされた動画を紹介、それは遠景で撮られた牧村の部屋で、滝が殺害された爆発が映っていた。
そしてその動画には、牧村の妹里香(石橋杏奈)も映っていた。
牧村は妹が事件以降行方不明である事は、近しい者以外には教えていなかった。
放送された動画を見て驚愕する牧村。

妹の里香は、かつて神戸で看護師をしていたが、阪神淡路大震災で住むところを失い、当時一緒に暮らしていた小野寺拓巳(野村周平)とともに兄を頼って上京していた。
そんな折、爆発事件が起きる。
拓巳と里香は上京後に婚約をしていたのだが、里香が行方不明となり事件が時効を迎えた7年前、絶望した拓巳は牧村の目の前でビルの屋上から飛び降りてしまった。

その後、仙堂が番組内でさらなる挑発をした結果、ネットに動画をアップした真犯人が番組に生出演すると連絡をしてきた。
その条件は、曽根崎と牧村を一緒に番組に出演させる事だった。
牧村は退職願を上司に預け、曽根崎、そして真犯人を名乗る男と番組に出演する。
真犯人を名乗る男は最後にスタジオ入りするが、その際に、犯人が撮影したと思われる殺人現場のDVDを持参していた。

ここまでで、おおよそ上映時間の2/3くらいである。
そしてそこから、ストーリーは大きく展開する。
この番組までのストーリーの組み立て方が非常に巧みだ。
伏線が巧妙に張られ、全体のからくりが明らかになった時には、その意外な展開にかなり驚かされた。
映画を観終わった後、思わず劇場に貼られていたポスターを見返してしまったほどだ。
ただ逆に言えば、ここまでの構成があまりにも素晴らしすぎるので、最後の真犯人にたどりつくまでの展開がやや稚拙に感じられてしまった。
落とし所としてはこの結末になるのだろうが、ちょっと強引過ぎる感じもした。

それでも藤原竜也、伊藤英明をはじめ、石橋杏奈と野村周平、仲村トオル、さらに被害者家族の夏帆、岩城滉一、岩松了ら役者陣の演技も素晴らしいため、見応えのある作品になっている。
特に、生放送までの藤原竜也の抑えた演技は秀逸だ。
藤原竜也が主役なのか脇役なのかわからないが、映画賞の候補になる事は間違いないだろう。


73.22年目の告白 -私が殺人犯です-



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劇場での予告編も流れておらず、監督の篠原哲雄の過去の作品も個人的にはいま一つに感じていた。
主演が野村萬斎だからまあ観ておくかな、程度であまり期待しないで観に行ったが、非常に骨太で大人な作品に仕上がっていた。

織田信長(中井貴一)が飛ぶ鳥を落とす勢いだった天正元年、池坊専好(野村萬斎)は一門の中でもやや変わり者の扱いを受けていた。
師匠から信長のために花を生けてこいという指示を受けた時も、信長の気性を知っていた師匠が、専好だったらなんとかできるんじゃないか、と考えたうえで専好を選んでいた。
実際、専好は信長の前で失態を演じるのだが、その時末席に名を連ねていた秀吉(市川猿之助)の機転でなんとか難を逃れる。

時は流れ、信長は本能寺の変で光秀に討たれ、時代は秀吉の天下になっていた。
師匠亡きあと、専好は兄弟子が旅から戻らないと言う理由で、一門の長となっていた。
しかし変わり者の専好に取って、一門の長と言う地位はあまり気持ちのいいものではなかった。

そんなある日、専好は河原で一人の少女を保護する。
何も喋らない少女に蓮(森川葵)と言う名前を付け、彼女が欲するがままに画を描かせていた。
また別の日に、専好は利休(佐藤浩市)からの招きを受ける。
専好の生け花を見た利休が自分の茶室に招き、そこから二人の交友がはじまった。

利休はその当時、秀吉から黄金の茶室を作るように命じられていた。
利休は、秀吉が天下を取ってから人間性を大きく変えた事を危惧し、なんとか諌めたいと思っていた。
しかし秀吉は利休の言葉に耳を貸そうとしない。
そして利休が黄金の茶室を作ると、秀吉は北野大茶湯を開催、自ら人々を茶でもてなすのであった。
ところがその北野大茶湯では秀吉以外にも様々な人間が茶を振る舞っており、その中に利休も野点で参加をしていた。
利休は自らの野点を花で彩ってほしいと専好に依頼、専好は見事に自然と調和した彩りを完成させた。
その利休の野点を見てへそを曲げたのが秀吉だった。
秀吉は北野大茶湯を1日で中止してしまう。

この一件から、秀吉は露骨に利休を毛嫌いするようになる。
やがて秀吉は大徳寺山門に設置された利休の木造を理由に、利休に切腹を申し付けようとする。
その気配を察知した前田利家(佐々木蔵之介)は、秀吉に詫びを入れるように、なんとか利休を説得してくれと専好に命じた。
戸惑いながらも利休の説得に向かう専好。
しかし自分の矜持を貫き通す利休を、説得する事はできなかった。
そして利休は切腹を命じられるのだが、河原にさらされた利休のクビを見て、ショックを受けた専好はしばらく花を生ける事ができなくなってしまった。
そんな専好の姿を見て、親友の吉右衛門(高橋克実)が利休の四十九日を花で飾る事を提案する。
この四十九日で専好は花を生ける心を取り戻すのだが、三成に四十九日の現場を目撃されてしまう。

利休の切腹以降も、秀吉は一般民衆にも暴挙をふるうようになっており、民衆からも秀吉を非難する声が上がっていた。
秀吉は息子鶴松が急死した事もあり、民衆の非難にさらに怒り狂い、半ば暴君と化してしまった。
専好は利休の意思を継ぎ、生け花で秀吉を諌めようとする。

秀吉が利休の人気に嫉妬し、利休を切腹に追い込んだのは有名なエピソードだ。
本作はさらに、そこから華道の専好にスポットを当てている。
その専好に野村萬斎をキャスティングした点が、この映画最大のヒットとも言える。
野村萬斎は「のぼうの城」でも変わり者の城主を好演していたが、今回のちょっととぼけた専好の役もピッタリであった。
その他の役者の演技も文句はなく、脚本も良かったし、生け花の演出も素晴らしかった。
テーマが地味ではあるが、歴史好きにはたまらない作品に仕上がっている。
渋い落ち着いた映画が観たい方にはオススメである。


72.花戦さ



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監督が「八日目の蝉」、「ソロモンの偽証」の成島出という事でかなり期待して観に行ったのだが、期待ほどの作品ではなかった。

青山隆(工藤阿須加)は就職活動がうまくいかず、とりあえず内定が出た小さな広告製作会社に就職する。
しかしそこは、完全なブラック企業だった。
部長の山上(吉田鋼太郎)は部下を人間と思っておらず、常に業績を上げるために怒声を上げている。
毎朝人権を無視した標語を唱和させられ、オフィス内は重苦しい雰囲気に包まれていた。
それでも隆はなんとか成績を上げようとするが、まったくうまく行かない。
精神的に追い詰められた隆は発作的に電車に飛び込もうとするが、その瞬間をヤマモト(福士蒼汰)に助けられた。

隆はヤマモトの事をまったく覚えていなかったが、途中で転校したと言われ、なんとなくその存在を思い出した。
その後もヤマモトは何度も隆を誘い出し、一緒に行動するようになった。
だがそのうち、隆が記憶していたヤマモトはまったくの別人だと言う事がわかる。
隆はヤマモトに誰なのかと問いかけるが、ヤマモトはしれっと、隆の友達とは赤の他人だと言う。
最初に出会って飲みに行った時にその事に気付いていたが、その時は言いだしづらくなってしまった、そしてこれから友だちになればいいじゃないか、とヤマモトは言った。
隆はヤマモトの言葉に納得し、その後もヤマモトと友人関係を続けようと思う。

しかしその一方で、ヤマモトが誰なのかという部分も気になった。
そしてネットでヤマモトを検索すると、3年前に激務で自殺した男のニュースがヒットした。
その自殺した男がヤマモトだった。

ブラック企業で悩みながら働く若者をテーマにしている。
原作はKADOKAWAの電撃小説メディワークス文庫賞を受賞しているとの事なので、カテゴリーとしてはライトノベルなのだろう。
そのためか、ストーリーにやや深みが欠ける。
ヤマモトがいったい誰なのか、そしてなぜ隆を救ったのか、このあたりの疑問は想像していた通りであった。
まあ普通に考えれば、この結末に行きつくだろうな、という結末である。
全体的に爽やかな作りになっており、ラストの舞台をバヌアツにしている点なども好感が持てる。
役者の演技も悪くない。
しかし予想通りの展開が予想通りに淡々と続くだけなので、個人的にはあまり評価できない作品であった。

71.ちょっと今から仕事やめてくる


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原作は三島由紀夫で、発表されたのが1962年で私が生まれる前だ。
この作品をどう映画化するのかと思ったが、監督の吉田大八が見事に現代風にアレンジしていた。

気象予報士の大杉重一郎(リリー・フランキー)は、テレビにも出る人気者でアシスタントと不倫をしていた。
ある晩、深夜にアシスタントを車で送る途中不思議な光に包まれ意識を失い、気付くと夜は明けていて車はまったく見覚えのない田んぼに突っ込んでいた。
何が何やらわからない状態の重一郎は、テレビ局の屋上である男の話を聞く。
その男はUFOを探していて、日本にも多数のUFOが飛来していると言う。
重一郎は、昨夜の出来事がUFOによるもので、自分は火星人であると信じ込んでしまう。

重一郎の長男の一雄(亀梨和也)はメッセンジャーをしていたが、ふとしたきっかけで代議士の鷹森と知り合う事となる。
鷹森から誘われ事務所で働く事になった一雄だが、ある日自宅で不思議な光を浴び、その翌日鷹森と自分が殺されると言う光景を、何度も繰り返し体験するのであった。
その体験から、一雄は自分が水星人だと思い込む。

長女の暁子(橋本愛)は大学に通っていたが、自分の美しさにやや嫌気がさしていた。
ある日路上にいたミュージシャンに興味を持ち、彼を追いかけて金沢まで行く。
そして金沢の砂浜で光を浴び、自分は金星人だと思い込むようになる。

この3人がおかしな行動を取り始める。
特にテレビに出演している重一郎は、番組内で勝手に地球温暖化の危惧について語り出すようになってしまう。

原作との一番大きな違いは、母の伊余子(中嶋朋子)が宇宙人と思いこんでいない事である。
バラバラの家族の中、ただ一人まともであった母だが、会員商法で水の販売を始めてしまう。
その他、重一郎の職業を気象予報士にするなど、うまく現代社会にマッチさせている。

ただ、作品全体が何を表現したいのか、やや分かりづらくなっている。
原作は時代背景もあり、核戦争を起こそうとしている人類の愚かさを哲学的に揶揄しているのだと思うが、この映画では、単純に大杉一家だけが愚かであるように見えてしまう。
ある意味、典型的な現代社会の家族をモチーフに、どんな人間でもあっという間に狂気に落ち込んでしまうという事を表現したかったのかもしれないが、そうであったとしても、ややありきたりの展開になってしまっている。

監督、脚本が吉田大八と言う事でちょっと期待が大きかっただけに、もう少し捻りのきいた作品に仕上げて欲しかった


70.美しい星


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美佐子(水崎綾女)は故郷に母親を置き、映画に視覚障害者のための音声ガイドを付ける仕事をしていた。
音声ガイドは、実際に視覚障害者数人の前で、映画に合わせて音声ガイドを朗読して作成される。
しかしなかなかうまくガイドをする事ができずに、苛立つ日々が続いていた。
そんな時美佐子は、視覚障害者の一人で元カメラマンだった中森(永瀬正敏)の作品を目にする。
中森は優秀なカメラマンで、部屋に飾られた写真を見て美佐子は感動を覚えた。
そして美佐子は、カメラマンが視力を奪われる意味を想像して、中森に強い興味を抱くのであった。

監督、脚本は河瀬直美だ。
前作の「あん」もそうであったが、ストーリー自体は何気ないのだが、独特のアングルと間で独自の世界観を作り上げる。
今回も水崎綾女のアップ、それも顔の中央しかフレームに入っていないようなアップを多用し、彼女の内面を表現していた。

ただ個人的には、美佐子と中森の関係がやや淡泊だったかな、と言う気もする。
全体を通して物語が静かに流れて行くので、そのテイストを壊したくなかったのかもしれないが、美佐子をはじめ他人を寄せ付けなかった中森に対し、美佐子がもっと激しく感情をぶつけた方が、中森の心情変化がわかりやすかったんじゃないかと言う気もする。

ちょっと綺麗に作り過ぎたかな、と個人的には思った。


69.光


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モーリスとミッキーアイルがいなくなったため混戦状態のマイル路線。
G1馬3頭がエントリーし、なかなか面白いメンバー構成となった。

一番人気はルメール騎乗のイスラボニータ。
ルメールは4週連続G1制覇という記録が掛かるが、おそらくプレッシャーは感じていないだろう。
むしろ絶好調で乗れていると見た方が良さそうだ。
肝心の馬の方も、前走のマイラーズCを完勝。
昨秋はマイルチャンピオンシップを含めて重賞3戦連続2着しており、今回も間違いなく勝ち負けである。
人気ではあるが本命で仕方がない。

対抗も人気どころだがエアスピネルだ。
強い4歳勢の中でも、昨年はクラシック路線で主役を張ってきた。
今年からマイルに路線を決め打ちしてきたが、もともと1600mの距離では3.2.2.0で4着以下になったことがない。
58kgを背負うのが初めてという点は不安が残るが、名手武豊ならそのあたりもきっちり含んで騎乗するだろう。

三番手はステファノスにする。
前走の大阪杯はキタサンブラックに3/4馬身差まで迫った。
1600mを走るのは2年半降り以上になるが、大外に回った分逆にスタミナを利して外差しを決めやすくなったはずだ。
今回は戸崎に乗り替わっているが、昨年の今頃まで騎乗していたので問題はないだろう。

四番手はロゴタイプ。
昨年の覇者だが、あまり人気がない。
その原因は、2月の中山記念から直行というローテのためだろう。
昨年は中山記念の後にダービー卿CTを挟んで勝利した。
元々叩き良化型だけに、3か月ぶりと言う部分はやはり不安が残る。
しかし週中の追切では抜群の動きを見せており、状態はいい意味で平行線と見ていいだろう。
道中の位置取り次第では、昨年の再現も十分あり得る。

五番手はアンビシャスだ。
この馬の戦績は、ステファノスに似ている。
実際、似たようなローテーションで勝ったり負けたりしている。
能力的にはステファノスと遜色ないのだが、1600m戦を走ったのが2歳の新馬戦と条件戦しかない。
横山ノリならそのあたりも巧く騎乗するかもしれないが、勝負所で一瞬反応が遅れる可能性もあるのでやや評価を下げた。

ラストはやや迷った。
中でもグレーターロンドンは最大の惑星馬である。
母が桜花賞2着のロンドンブリッジ、姉はオークス馬ダイワエルシエーロという超良血。
蹄が薄くて不安が残るためにここまで出世が遅れたが、6.1.0.0の成績のうえ5連勝している上り馬だ。
しかも、本格的に復帰した昨秋から4戦連続で上がり最速の脚を記録している。
一気に突き抜ける可能性もあるのだが、G1どころか重賞初挑戦で鞍上の福永もテン乗り。
いくらなんでもここは家賃が高いだろう。

その他では香港馬2頭もやや怖いが、来日後の調教の動きに目立つものがなかった。
昨秋のスプリンターズS馬のレッドファルクスは、血統的に府中の1600mは厳しいだろう。
ブラックスピネルは今回と同じ距離の東京新聞杯を逃げて勝っているが、今回はマークが厳しくなり、かつ松山に乗り替わってしまった。
となると残るはサトノアラジンだ。
前走の京王杯SCは重馬場に泣かされたもので参考外。
それ以外のレースを見ると、オープン入りした2年前から6着以下に沈んだのは海外遠征だった2回の香港Cのみで、どのレースでも上位争いに食い込んでいる。
良馬場であれば、ここでも上位に食い込んでくるに違いない。


◎イスラボニータ
〇エアスピネル
▲ステファノス
△ロゴタイプ
×アンビシャス
×サトノアラジン

馬券は◎○1着、◎○▲△2着、◎○▲△×3着の、3連単24点で勝負。

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今年の米アカデミー賞で、主演男優賞と脚本賞を受賞している。
個人的には主人公が年代的に自分と近いためか、かなり感情移入した。
「ラ・ラ・ランド」には及ばないものの、「ムーンライト」よりは断然面白い作品であった。

ボストンで便利屋をしていたリー・チャンドラーは、ある日兄が死んだという知らせを受け、急いで故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに向かう。
リーが病院に到着した時には兄のジョーはすでに他界していた。
そしてリーは、兄が自分を甥の後見人に指定していたことを知る。

甥のパトリックはまだ高校生である。
この年頃特有の根拠のない自信過剰な状態という事もあり、父の死を現実として受け入れられていないようだった。
自分の欲望を優先し、非現実的な事ばかり言うパトリック。
彼の面倒を見るためには、パトリックがボストンに来るか、リーがマンチェスターに引っ越さなければならない。
パトリックの母は、兄と甥を捨てて他の男の元にいたのだ。
しかしリーにとって、マンチェスターに戻ることは耐え難いことだった。

かつてリーは、マンチェスターで家族とともに暮らしていた。
しかしリーが夜中に暖炉に薪をくべて酒を買いに外出した時、家は火事となり3人の子供たちを焼死させてしまった。
1Fで寝ていた妻は助かったものの、これが原因でリーは精神的におかしくなり妻とも離婚する。
傷心のリーは故郷を離れ、ボストンで自暴自棄の生活を送っていた。

そのリーを親身になって気遣ってくれたのが、兄のジョーだった。
ジョーがいなければ、リーは社会復帰できなかったかもしれない。
ジョーは当時まだ少年だったパトリックを連れ、何かあるたびにリーの元を訪れていた。
リーは自分を救ってくれたジョーを敬愛しており、兄の遺した想いになんとかこたえたかった。
しかしどうしてもマンチェスターに戻る決断ができない。

リーが逡巡しているある日、パトリックが冷凍肉を見てパニックとなる。
冬季で墓地の地面が凍結しているために穴を掘ることができず、ジョーを埋葬できずにしばらく冷凍することになったからだ。
強がっているようで、パトリックが内心は傷ついていることに気づくリー。
なんとかパトリック中心の生活が送れるよう、最大限の努力を始める。

まず、自分の不注意から幸せな家族を無くしてしまうリーの描き方が巧い。
映画の冒頭部分、リーが非常に暴力的に描かれているのだが、その理由が少しずつ説明される。
その際の、リーと兄ジョーの関係描き方に、心震わされた。
自分が二人兄弟という事もあるのかもしれない。
兄も妻に逃げられ、パトリックを抱えて大変な状況なのに、ともすれば自殺しかねないリーを気遣っている。
そこに兄弟の強い信頼関係を感じた。

リーとパトリック、そしてリーの妻だったランディ。
心に傷を負った人たちは、自分を護るためにさらに傷付いていく。
そのリアリティが非常に巧く表現されていた。

時系列がかなり細かく入れ替わり、その説明も少ないため最初はとまどうのだが、ストーリーの大筋を理解できてからは、ラストまで心が締め付けられるようだった。
同年代の人であれば、少なからず共感できる部分が多い作品である。


69.マンチェスター・バイ・ザ・シー



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この春「夜は短し歩けよ乙女」が公開されたものの評価が低かった湯浅政明。
オリジナルのこの作品で捲土重来なるかと思ったが、この作品でも思いっきり外してしまった。

人魚伝説のある鄙びた田舎の漁港、日無町。
人々は漁業関連か傘づくりで生計を立てていた。
中学生のカイは、水産加工業の会社に勤める父、傘作りの祖父と暮らしていた。
DTMが得意で打ち込んだ音楽をネットに上げる毎日だったが、同級生の国男と遊歩にバンドに誘われる。
社交的ではないカイはあまり気が進まないでいたが、練習場所の人魚島で練習をしていると、音楽とともに人魚のルーが現れた。
ルーの歌を聴いていると、不思議と人々は踊りだしてしまう。
内向的なカイも楽しい気分になれた。

カイはバンド活動にも力を入れ、3人は灯籠祭でライブをすることになる。
するとルーはそこでも歌って踊りだし、灯籠祭に来ていた観客もルーと一緒に踊りだした。
そしてその動画がネットにアップされてしまう。
人魚が現れたという事で、日無町は一躍有名な町になってしまった。

遊歩の祖父は水産加工会社の会長であったが、若いころに人魚ランドを作って大失敗、大きな借金を抱えていた。
ルーの動画を見て、人魚ランドを復活させようと目論む遊歩の祖父。
カイたちを説得し、オープニングイベントでルーとバンド演奏のライブを行うのだが、光を怖がるルーがパニックになってしまう。
さらに、カイたちのバンドはルーを登場させるためのフェイクで、実際にはプロのバンドが演奏をしていた。
ライブ会場は大混乱に陥り、さらに大きな災いが町を襲うことになる。

まず、主人公が人魚の少女という部分で、かなり「崖の上のポニョ」と被っている。
キャラ設定を変えればまた違った雰囲気になったのかもしれないが、純粋無垢なキャラも丸被りだ。
そしてストーリー構成も、盛り上がりに欠け、かつ強引である。
ルーが現れたドタバタに人魚伝説を組み込みたかったのだと思うが、クライマックスで町を襲う災いの描き方が中途半端で、緊迫感がまるでない。
さらに人魚伝説のネタ証しもかなり強引。
いろいろと盛り込もうと思って、結局何一つ描けてない状態になってしまった。

アニメの作りは湯浅政明らしくて面白い。
この3DCG全盛の時代にかなりベタな、しかも原色中心の色使いで描かれている。
ダンスシーンの動きは50年代のディズニーアニメを思わせるようだが、逆に今見るととてもポップで斬新だ。
だが、このアニメの良さがまるで生かされていない。
ストーリーのぎこちなさが、すべてを台無しにしてしまっている。

見どころはダンスシーンとエンディングの斉藤和義の「歌うたいのバラッド」だけと言っても過言ではない。
期待が大きかっただけに、落胆も大きかった作品だった。


67.夜明け告げるルーのうた



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