「愚行録」

原作は貫井徳郎で、直木賞候補になった作品だ。
すでに劇場公開されているが、私が観たのは試写会だった。

田中武志(妻夫木聡)は週刊誌の取材記者だ。
妹の光子(満島ひかり)は幼児虐待で収監されており、被害者となる姪は重体で入院中だった。
武志と光子は母に棄てられて父親に育てられたのだが、彼らも父親から虐待を受けていたのだ。
二人は一生懸命に生きようと努力したのだが、光子は精神的に耐えきる事ができず、収監後もカウンセラーによる診察を受けていた。

そんな状態の田中は、1年前に起きた一家3人惨殺事件を追っていた。
上司からは、あまり新鮮味がないからといい顔をされなかったが、田中はその事件を追い続けた。

まず田中がアプローチしたのは、被害者家族の夫であった。
被害者の夫は女性の気持ちを考えないタイプの人間であった。
さらに上昇志向が強く、学生時代に付き合ってきた彼女を踏み台にして就職活動をした過去も持っていた。
ハッキリ言って、女性から恨みを買っていても何の不思議もない人間である。

さらに田中は、妻の過去も探った。
妻は一見品行方正のよう見えるが、非常にプライドが高く周りの友人を自分より下に見る傾向があった。
友人の彼を奪うが、それも本当に彼が好きだったわけではなく、友人より自分の方が上だと言う事を証明するためだけに、彼を奪ったりしていた。

田中は少しずつ、被害者夫婦の真相に迫りつつあった。
しかしその時、光子の弁護士から光子が自殺した知らせを受ける。
カウンセリングの医師から、入院中の娘が死亡した事を知らされたためだった。

最初から最後まで、非常に重苦しいシーンの連続だ。
登場人物のほとんどが、人間の醜い部分をこれでもかと見せつけてくる。
それも過剰な部分はなく、すべて人間の本音をぶちまけるエピソードばかりなので、非常にリアリティがある。
そしてその醜い部分の表現の仕方も、また秀逸だ。
実力派の役者を揃え、かつその演技力を引き出す演出も巧いと思う。
ただ内容が内容だけに、観ていて本当に重い気持ちにさせられてしまった。

ラストはややご都合主義の強引感がなくもないのだが、田中が始めから犯人に気付いてこの事件にこだわりがあったと考えれば、その部分も解消する。

この映画を面白いと言っていいかどうかは微妙だが、完成度が高い作品である事は間違いないと思う。


27.愚行録


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by ksato1 | 2017-02-20 23:25 | Comments(0)

「サバイバルファミリー」

サラリーマンの父(小日向文世)と専業主婦の母(深津絵里)、大学生の息子(泉澤祐希)と高校生の娘(葵わかな)、郊外の高層マンションに住む典型的な家族が鈴木家だった。

ある朝家族が起きてみると、停電になっていた。
しかもただの停電ではなく、電池も使用できない。
取りあえず支度をして外に出てみると、停電は鈴木家の部屋だけではなくマンション全体、いや街全体が停電になっていた。
しかもなぜか、車のバッテリーもプラグが点火しないためエンジンも掛らない。
人々の交通手段は徒歩か自転車だけだった。

誰もがすぐに復帰すると思ってできるだけ日常の生活を送ろうとしていたが、いつまで経っても復旧しない。
やがて電源がないため上水道の供給もなくなり、人々は戸惑い始める。
意識の高い者は水が確保しやすいキャンプ場などに移動するが、一般人は取りあえず空港などに向かうだけだった。
鈴木家はもちろん後者で、母の実家のある鹿児島に向かうため自転車で羽田に向かった。
しかし当然羽田空港は封鎖されている。
そのため自転車で鹿児島に向かう事を、父が決断した。

電気、水、交通機関などのライフラインが断たれた場合、都会に住む者がどういう行動を取れるのか。
こういう状態になると、便利な生活に慣れた都会人にできることがほとんどない事を、おもしろおかしく描いた映画である。
小日向文世のダメな父親役が巧くハマっており、葵わかなのイマドキのJKっぷりも良かった。
サバイバルに不向きなこの二人の設定がきちんと機能しているので、家族の道中のドタバタぶりも無理なく展開する。
そしてバラバラだった家族がサバイバルで団結することで絆が結ばれていくのだが、その見せ方は矢口史靖ならではの巧さだ。

ただ、どうしても家族以外の部分に違和感を感じる。
ライフラインがストップしてかなりの時間が経ち、普通に考えれば完全に非常事態になっているのに、街の中に警官や役所の人間の姿がほとんど見られない。
画面に登場するのは水道局、空港警備の警官、高速道路を更新する自衛隊のみである。
街中にはゴミがあふれているものの、商品目当てに商店や自動販売機が襲われた形跡もない。
あまり治安が悪くなさそうなので、ひょっとするとライフラインが復旧して正常に機能している地域もあるのかと思いきや、家族がいくら進んでもサバイバル状態は解消されない。

そして一番違和感を感じたのは、家族以外の人々の数だ。
家族は東名高速を自転車で西下するのだが、最初は家族と共に西に向かう人々がかなりいた。
大阪ではライフラインが復旧している、と言う噂が流れていたからだ。
途中のSAでは多くの人がテントを張るなどして野宿しており、一家もそこでシートを敷いて寝てたりしていた。
しかし日本坂トンネルに差し掛かったところで、いきなり家族以外で西下する人がいなくなってしまう。
日本坂トンネルを超えた後は、もうほとんど人に出会わない。
あまりにも突然に周囲の人が消えるので、これは何かの伏線かと思いきや、そうではなかった。
他に西下する人がいなくなったら不安になるんじゃないかと思うのだが、家族はそんな事には構わず黙々と西に向かって進んで行く。
はぐれた家族が再会するエピソードもかなり強引だ。

それでも養豚業の大地康雄が家族を助けてくれる部分など、感動するシーンも多く、総合的にはまずまずの作品だと思う。
ただ、やはりライフラインがストップするというテーマがかなり大きいだけに、細部をもうちょっときちんと詰めて、完成度を上げるべきだったんじゃないかとも思った。


26.サバイバルファミリー


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by ksato1 | 2017-02-19 20:16 | 映画 | Comments(0)

フェブラリーS

今年のフェブラリーSはかなり混戦だ。
ディフェンディングチャンピオンのモーニンは、昨年このレースを勝った後低迷、その他の馬も含めて前走勝利しているのがカフジテイクしかいない。
いい意味でも悪い意味でも実力伯仲しているため、抜けた馬がいないのだ。

その中で本命は、4歳馬のゴールドドリームにする。
前走のチャンピオンズCは出遅れたため12着だったが、それ以外の戦績は4.2.1.0である。
東京コースも2.1.0.0で血統も申し分なく、鞍上のデムーロも前走のような失敗はしないだろう。
急逝した父ゴールドアリュールに、勝ってG1の勲章を捧げる。

対抗は昨年の覇者モーニンだ。
昨年このレースを勝ったあとの4戦のうち2戦は小回りの地方競馬、武蔵野Sは斤量が59kgと敗因はハッキリしている。
前走のチャンピオンズSもスタート直後に他馬にぶつけられてチグハグな競馬になったもので、度外視していい。
今週の追い切りは自己最高のタイムを叩き出しており、体調が上昇しているのは間違いない。
鞍上に世界のムーアを迎えた点でも心強い。

三番手はノンコノユメにする。
一昨年のチャンピオンCと昨年のこのレースで2着し、その後も勝ち鞍はない。
その間に去勢手術を受けて、このレースが4戦目だ。
通算でも東京コースは4.1.1.0ともっとも得意のコースとしており、今回が一番実力を出せる条件にある。

四番手はベストウォーリアだ。
昨年このレースを4着の後は勝ち鞍こそないものの、0.4.1.0と安定した成績を残している。
前走はゴール前でカフジテイクに差されてしまったが、斤量差が2kgあって距離も伸びることを考えれば、今回はこの馬の方が上と見る。
唯一の不安は、このレースで過去10年勝ち馬が出ていない7歳馬である事。
しかし連下であれば十分可能性はあるだろう。

五番手はカフジテイク。
前走の根岸Sは最後方から鮮やかに差し切って、前日発売では堂々の一番人気である。
ただしこの馬は1600mは昨年の武蔵野Sしか走った事がなく、結果は3着だった。
1800mのチャンピオンズCも4着で、1600mのG1は勝ちきるまでは難しいと見てこの評価にした。

最後は非常に迷った。
チャンピオンズCの覇者サウンドトゥルーは、近6走で4着以下がなく堅実な成績を残している。
しかしこの馬は芝スタートを苦手としており、それを理由に昨年もこのレースをスキップした。
今回最内枠で芝を走る距離も短いが、主戦の大野が乗れなくなったので今回は上位争いは難しいのではないか。

デニムアンドルビーは初ダートだが、近親にサイレントディールやトゥザヴィクトリーがおり、ダート適性があっても不思議はない。
しかしこのレースは過去10年牝馬は3着にも入っておらず、かつ7歳馬という点でも今回は無印とする。

コパノリッキーは過去このレースを2勝しているが、この馬も7歳馬でかつ過去1年は地方競馬でしか勝ち鞍がない。
アスカノロマンは昨年このレースで3着だが1600m以下ではこの3着しかなく、ちょっと距離が短い。

であれば、エイシンバッケンを推したい。
昨秋オープン馬になったばかりでまだ重賞実績はないが、前走の根岸Sは前が何度も詰まりながら3着に食い込んで来た。
1600m戦は1.0.0.4で実績がないが、最後に1600mを走ったのは一昨年の秋で、すべて本格化する前の成績だ。
鞍上岩田との相性は2.0.1.0と抜群であり、人気がない今回は馬券妙味もある。


◎ゴールドドリーム
○モーニン
▲ノンコノユメ
△ベストウォーリア
×カフジテイク
×エイシンバッケン


馬券は◎○1着、◎○▲△2着、◎○▲△×3着の、3連単24点で勝負。

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by ksato1 | 2017-02-19 07:53 | 競馬 | Comments(0)

「マリアンヌ」

原題は「Allied」で、「同盟国」とか「親戚」という意味らしい。
なかなかいいネーミングだと思うが日本人には馴染みの薄い単語で、邦題を「マリアンヌ」にしたのは正解だったと思う。

1942年のカサブランカ。
カナダから連合軍に参加しているマックス・ヴァンタン大佐(ブラッド・ピット)は、在モロッコのドイツ大使暗殺のミッションを受けていた。
現地にいた元フランスレジスタンスのマリアンヌ(マリオン・コティヤール)と協力し、見事に難しいミッションを成し遂げる。
ミッションの期間中二人はお互いに惹かれあい、決して「吊り橋効果」ではなく恋に落ちた。
そしてイギリスに戻った後に二人は結婚、娘にも恵まれて幸せな日々を送っていた。

しかしある日、マックスは上官から呼び出しを受け、マリアンヌがドイツのスパイだと知らされる。
本物のマリアンヌ・ボーセジュールはパリでレジスタンスとして活動中に死亡、すり替わった彼女が、誰も知る者のいないモロッコに送られたのだと言う。
マックスは当然信じられず、二人でドイツ大使を殺害したと反論するが、そもそもそのドイツ大使は反体制派でヒトラーが暗殺の指令を出していたのだと言う。
そして上官は、マリアンヌに偽の情報を流し、その情報がドイツに送られるかどうかテストをすると言う。
もしテストの結果、マリアンヌがスパイだと判明した場合は、規則に従いマックスが彼女を処刑しなければならない。
マックスが処刑を拒否すれば、反逆罪で二人とも処刑となってしまう。

スパイ映画のサスペンス要素に見事にラブストーリーが組み込まれ、さすがロバート・ゼメキスとうならされる映画だ。
カサブランカでの不可能に近いミッションを準備する間も、二人の距離感は少しずつ縮まって行くのだが、成功後にイギリスに戻って緊張が解けた後は一気に近くなる。
そして大戦終了後には、マックスは故郷に戻って幸せな牧場経営を夢見ていた。

しかし一転、マリアンヌにスパイ容疑が掛けられる。
一度弛緩した緊張感はこれまでに以上に強い物となり、観ている者をスクリーンに引き込んでいく。
マリアンヌが、上官の仕掛けた罠のテストにはまってスパイと認定されてしまうのか。
マックスの不安と焦燥の表現が非常に巧く、かつマリアンヌの行動も、スパイかどうかギリギリの線で疑わしい。
本当にマリアンヌはスパイなのか、思わず握りこぶしに力が入ってしまった。
そして、マックスが牧場を経営しているラストシーンは感動的で、劇場内ではすすり上げる声も聞こえていた。

バレンタイン~ホワイトデシーズンという事もあり、カップルで観に行くにはちょうどいい作品だと言えるだろう。


25.マリアンヌ


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by ksato1 | 2017-02-18 00:40 | 映画 | Comments(0)

「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」

良くも悪くもティム・バートンワールド全開の作品だった。

フロリダの高校生ジェイクは、バイト先に父から連絡が入ったため祖父の家に向かっていた。
ジェイクが到着した時には祖父のエイブは、両方の目玉がくりぬかれた状態で倒れていた。
エイブは最後に「島へ行き、1943年9月3日のループに入れ。鳥が全てを教えてくれる」と伝えて死んでしまった。
ジェイクはエイブからとてもかわいがられており、強いショックを受け精神科に通う事になった。
そして祖父の荷物を処理している時、ある絵葉書を発見する。
その絵葉書は、幼少の頃エイブから聞いた冒険譚に出てくるミス・ペレグリンから送られた物だった。

エイブの話に良く出てくるのは、エイブが第二次大戦中に疎開したウェールズの小さい島の話だった。
そこにはミス・ペレグリンと子どもたちが住む施設があり、子どもたちはみな不思議な能力を持っていた。
ジェイクは祖父の話を信じていたが、両親をはじめ誰もが祖父の作り話と真に受けてくれなかった。
ジェイクは絵葉書が発送された島に、行ってみたいと両親に告げる。
両親は渋ったものの、精神科の医師が治療に効果があるかもしれないと言ったため、ジェイクは父とともに島に行く事となった。

島は非常に小さく、住民は100人にも満たなかった。
ジェイクと父は島に1軒のホテルに泊まる。
父が野鳥観察に行っている間に、ジェイクはペレグリンたちが住む施設を訪れた。
しかし施設は、ナチスが行った1943年9月3日の夜間空襲で焼けてしまい、廃墟となっていた。
ジェイクが廃墟の中を回っていると、そこに少女が現れた。
少女はエマと言い、空気よりも軽い体で鉛の靴を履いていないと宙に浮いてしまう。
エイブの話に出てきたエマその人だった。
驚いたジェイクは走って宿に戻るが、ジェイクが宿を出た時と様子が異なっていた。
時間を遡り1943年に来てしまっていたのだ。

施設の子どもたちに連れられ再び施設に戻ったジェイクは、そこでミス・ペレグリンと会う。
ペレグリンは「インブリン」と呼ばれ、時間を閉じ込める特殊な能力を持っていた。
インブリンたちはループする空間を作り、そこで異能な能力を持った子どもたちを世話しており、ペレグリンも1943年9月3日をループする空間を作っていた。
閉ざされた空間では誰も年を取らないのだと言う。
しかしある時ペレグリンたちと同じように異能な能力を持つ科学者のうち何人かが、インブリンの特殊能力を利用して自らを不死の体にしようと言う実験を行った。
実験は失敗、科学者たちはホローガストと呼ばれる異形のモンスターになってしまった。
だが科学者のリーダーだったバロンは、能力を持つ子どもたちの目玉を食べれば人間に戻れる事を発見、何人もの子供たちが犠牲になってしまった。
残されたインブリンは、ホローガストから子どもたちを護るため戦っていた。
実はエイブも、インブリンに協力をしてホローガスト狩りをしていたのだ。
しかしバロンと戦って破れ、ホローガストに目玉を取られてしまった。

ペレグリンと子どもたちは、ジェイクに施設に残って欲しいと頼むのだが、ループの中に入ってしまうとそう簡単には元の世界には戻れないので、ジェイクは両親の事を想って逡巡していた。
そんな時、バロンがホローガストを連れて現れた。
再びインブリンを集め、不死の体を作ろうと企んでおり、エイブを監視しジェイクを尾行してペレグリンのループにまんまと忍び込んだのだ。
油断していたジェイクは人質となってしまい、その身代わりにペレグリンは捕らわれてしまう。
バロンはペレグリンを連れその場を立ち去り、代わりに子どもたちの目を狙ってホローガストが現れた。

この映画の見所は、後半のバロンたちとのバトルである。
子どもたちが奇妙な能力を使い、力を合わせてバロンとホローガストに立ち向かう。
その他にもガイコツ軍団が登場するなど、ティム・バートンならではのファンタジックなバトルになっている。
前半はこのバトルのための設定説明的な役割になっているのだが、映画の予告編やCMなどでは前半部の映像しか流れない。
そのため「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅」のように、不思議な世界を映像美で見せるだけの単調な作品のように思えてしまった。

目玉や心臓など、やや悪趣味な部分はある。
だがダーク・ファンタジーと言うほどダークではなく、ティム・バートン作品の中ではライトな感じである。
子どもが力を合わせて戦うという部分を考えても、ティム・バートン的にはむしろ子ども向けに作った作品なのかな、とも思った。
であるのならば、前半のエイブがジェイクに冒険譚を語るシーンを明るくし、バロン達が現れた後の緊迫したシーンとのメリハリを付ければもっとわかりやすくなったんじゃないかとも思う。
だが、それをしないのもまた、ティム・バートンなのだろう。


24.ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち


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by ksato1 | 2017-02-16 23:22 | 映画 | Comments(0)

「王様のためのホログラム」

トム・ハンクスがリストラされかけている中年営業マンを演じていると聞き、かなり共感が持てるかと思って観に行ったが、実際には思っていたのとはやや違った内容の映画であった。

家族も車も家も無くした男クレイ(トム・ハンクス)は、再就職したIT会社のミッションでサウジアラビアに行く事になった。
若いころに王子と知り合いだった伝手を使って、国王に3Dホログラムシステムを売り込むのが目的だった。
向かったのは新たにIT都市として計画されている海岸の街だったが、まだ開発はほとんど進んでおらず、ポツンポツンと建物が見える程度だった。
クレイと彼のチームに与えられたスペースは砂漠に張られたテント、空調もすぐ壊れWi-Fiの電波もかなり弱かった。
待遇改善も含めて、クレイは責任者にアポを取ろうとするが、受付の女性は担当者は不在で明日にならないと来ない、代わりに話ができる者はいないと断られる。
翌日も受付嬢から突然予定が変わって担当者は不在と門前払いを食らいそうになるが、クレイが受付を強行突破して担当セクションを訪ねると、そこには担当者の代理の女性でクレイの話を聞いている者がちゃんといた。
その日以外も、代理の女性を訪ねて行くと不在だが、今度は長期不在のはずの担当者がいるなど、いい加減な仕事の進め方にクレイは振り回されてしまう。

そんな状況であっても、アメリカ本社は国王への売り込みの進捗状況を厳しく確認してくる。
クレイは最善を尽くそうとするが、適応障害になりつつあった。
そして以前から彼の背中にあるコブを見て、このコブが悪の元凶で切り取れば物事は好転すると思いこむ。
シャワー中にナイフでコブを切り取ろうとするが、出血するだけで巧く行かない。
翌日もクレイは通常通りに仕事をしようとするが、出血を見かねたタクシー運転手から病院に行く事を薦められる。
やむなくクレイが病院に行くと、そこにはアラブ社会には珍しい女医がいた。
女医の診断では、コブは脂肪によるものでその病院で切断する事も可能との事だった。
なんとなく女医が気になったクレイは、その場で切除出術の申込をした。

映画を観る前は、習慣の違いに加え、人によって言っている事が異なるためにクレイが振り回されるコメディかと思っていた。
実際映画の2/3位はその通りの展開なのだが、残り1/3くらいからクレイの恋愛エピソードの方が主題になってしまう。
途中までのクレイの振り回され部分の出来が良く、ラストに期待をするところで恋愛エピソードになってしまうので、観終わった後はやや肩透かし感を感じてしまった。

クレイはかつて大手自転車会社の取締役であったが、彼自身が行ったリストラが裏目に出て会社を追われてしまう過去を持っている。
そしてその結果、娘の学費すら払えない状態になっていた。
愛する娘とのメールが彼の心の支えで、それをモチベーションにして仕事を成し遂げ、家族が再生されるのかと思いきや、そうではない。
そしてクレイの相手となる女性が、ハッキリ言って日本人から見てそれほど魅力的な女性に見えない。
だから娘→恋人へのクレイの切り替わりに対して、「えっ、娘よりそっち?」と言う半端ない唐突感を感じてしまった。

テンポ良くまとめられ途中までは非常に面白かっただけに、やや残念な感じになってしまった。


23.王様のためのホログラム



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by ksato1 | 2017-02-15 23:17 | 映画 | Comments(0)

「ルパン三世 カリオストロの城 MX4D」

ちょっと前にTV放送の録画を見たばかりだが、どうしても我慢ができなくて「カリオストロの城」のMX4Dを観に行ってしまった。
MX4Dの「カリオストロ」にも興味があったが、それ以上に、「カリオストロの城」を映画館のスクリーンで観る機会は、もうこれで最後かもしれないと思った事が最大の要因である。
そしてやはり、観に行って良かったと思った。

MX4D上映と謳っているが、画面は2Dのままだった。
座席の動きと肘かけからの風、霧、そして劇場内の光や煙の演出だけである。
光の演出はあまり効果がなかったが、煙に関してはルパンと銭型が地下の偽札工場に火を付けて脱出するシーンだったため、まずまずの演出となっていた。
また、座席の動きもなかなか良く、冒頭のカーチェイス、ラストの時計台内のシーンも悪くなかった。

しかしそれ以上に、やはり大画面で観る「カリオストロの城」は良かった。
前回TV版で発見した車のナンバーの間違いや、時計台の時刻などもチェックしたが、やはり修正などはされていなかった。
それはそれで一興である。

ただ時刻に関しては、ちょっと私の認識が間違っていた。

ルパンと次元が初めてカリオストロ城に到着した時、時計台はちょうど19時の鐘を鳴らしている。
しかし周囲はまだかなり明るい。
また、ルパンとカリオストロ侯爵が対峙するラストシーンでは、時計の針は2時45分を指しているが、すでに夜明け間近で遠くの山間が明るくなり始めている。
ちょっと昼間の時間が長すぎないだろうか。
昼間と夜の時間の差がこれだけ大きいと、カリオストロ公国はかなり高い緯度に位置していると言う事になってしまう。

だが、作品中の背景を見ると城は山間部、おそらくはアルプス山脈に囲まれており、公用語がフランス語、エンドロール後にルパンと銭型の車が地中海と思われる海に向かって走っている事を考えると、国の場所はスイスに近い場所で、南フランス、もしくは北イタリアに近い場所だと思う。
祖先がゴート族で、湖に沈んでいたのが古代ローマ風の建造物である事を考えても、スイス以北である事は考えられない。
そこで実際に調べてみたのだが、スイスのベルンは北緯47度あたりである。
北海道の最北端宗谷岬が北緯45度31分で、夏至の日の出は3時45分、日の入り19時25分、ベルンと宗谷岬の緯度差を考えると、もし夏至であれば映画の日照時間は不自然ではない事になる。

しかし、ルパンが重傷を負ってかくまわれている時、不二子が窓の隙間から投げ込んだ新聞記事の日付はたしか9月だった。
と言う事は、日の出はもっと遅く、日の入りはもっと早くならなければならない。

だがもう少し踏み込んで考えると、9月の秋分の日は全世界中で昼と夜が同じ時間になる。
だからそもそも、昼の時間が夜の時間よりも長いという事はあり得ないのだ。
となると、不二子の投げ込んだ新聞の日付が車のナンバーのように間違いで、実際には夏至の頃の設定だったと考えた方が自然である。
実際、背景のグリーンも初夏のように見える。
それですべての辻褄が合う。
夜中の0時を過ぎても城内のパーティが活況だったりするが、結婚式も0時を回ってから始まっているので、夜が遅いのもカリオストロ公国では常識だとしても、不思議ではない。

宮崎駿は「アルプスの少女ハイジ」を制作する際にスイスにロケハンに行っているそうだが、その時の資料を基にして、綿密な設定を作り上げていたのかもしれない。


22.ルパン三世 カリオストロの城 MX4D

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by ksato1 | 2017-02-08 23:46 | Comments(0)

「LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門」

ルパンシリーズの新作と言う事で取りあえず観に行ったが、よくわからない部分が多かった。
後から調べたのだが、深夜に放送されていた「LUPIN the Third -峰不二子という女-」の流れを汲む作品で、間に「LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標」という作品があるらしい。
TVシリーズの方はすべて見ていたが、「次元大介の墓標」の方は公開されていた事も知らなかった。

鉄竜会の用心棒としてワラジを脱いでいた五エ門は、鉄竜会がしきる賭博船の中にいた。
ルパンと次元はまだ五エ門と仲間になっておらず、賭博船内の札束を狙っていたが、彼らとは別に札束を狙っていた不二子に遭遇する。
ルパンと不二子は手を組む事にして札束を運び出そうとするが、そこにホークというトマホーク2丁を武器にする大男が現れ賭博船を撃沈しようとした。
ホークの本当の目的はルパンたちの抹殺であったがルパンたちは札束を持って逃走、五ェ門とホークは戦うが決着はつかず、ホークもその場から逃走した。

翌日、炎上した賭博船の調査現場に公安警察の銭型が現れた。
銭型はホークを追っていたのだ。
一方五ェ門は、鉄竜会の組長を護れなかった責任を問われ、組員たちに仇を取る事を約束する。
ホークは隠れ家で祝杯を挙げていたルパンたちを急襲、ホークに対してまったく歯が立たないルパンたちは逃亡するが、追いつかれて絶体絶命の窮地に陥る。
そこに五ェ門が現れるが、ホークの前に返り討ちにされてしまった。

どうやら設定は、五ェ門がルパンの仲間になる前のようだ。
と言う事は、TVの1stシリーズの第5話「十三代五ヱ門登場」と第7話「狼は狼を呼ぶ」の間という事なるのだろう。
本作品の五ェ門は後の五ェ門と異なりやや短気で狂気的な側面があるが、たしかにルパンの仲間になる前の五ェ門はかなり短気であった。
そう言う意味では、ルパンIII世の設定を正しく引き継いだ作品と言えるだろう。
狂気の五ェ門は、タイトル通り血煙りを上げバンバン人を斬りまくる。
世界観もルパンシリーズによくあるやや明る目の世界観ではなく、押さえ目の色を多用して暗めの世界観にしていた。
作品全体が五ェ門をメインとしたスタイリッシュな雰囲気に仕上がっている。

ただ個人的には、あまり面白い作品とは思わなかった。
理由は、敵役のホークのキャラがよくわからなかったからだ。

まず、このホークが異常に強い。
敵だから強くてもいいのだが、なぜそれほど強いのかもほんとど説明されないのでちょっと興醒めする。
説明は「戦争中に敵兵2,000人を殺した」のみである。

そして作品の冒頭、ホークは謎の少女から3枚のメッセージを受け取る。
このメッセージを見てルパンの抹殺に向かうのだが、この意味がまったく明らかにされていない。
銭型が公安でホークを追っている事を考えると、おそらくこの後この設定を引き継いだ作品が作られる布石だとは思うが、それにしても説明が不足し過ぎだ。
予算の関係で次回作が確定しておらず、この後のエピソードを匂わせるような演出が入れられなかったのかもしれないが、であるならば、この作品単体としてある程度の収束が必要だったと思う。
まったくの尻切れトンボ作品だ。

上映時間は54分だが前編、後編分けられて作られたようであり、実際上映中に両方のタイトルが表示された。
元々TV放映用に作られたためだとは思うが、劇場公開に変更されたのならこの部分くらい作り直すべきである。

ルパンシリーズをきちんと踏襲した作品として作られているのはわかるが、基本的に映画作品として考えると非常に雑な作りだと、言わざるを得ない。



21.LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門


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by ksato1 | 2017-02-07 23:15 | 映画 | Comments(0)

今年2回目のギンレイの2本

もう終了してしまったが、今年2回目のギンレイの2本。

まず「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」。

社会科と美術史の教師ゲゲンは、規則が厳格なフランスの高校で、上のクラスの試験に落ちた者のクラス、いわゆる落ちこぼれクラスを担当していた。
人種、宗教は様々、しかし生徒に共通していたのは、世の中を斜めに見てやる気を失っている事だった。
ゲゲンはそんな生徒たちに、クラスで歴史コンクールに参加しようと持ちかける。
テーマはホロコースト。
歴史コンクール自体に興味がなく、さらにホロコーストと言うテーマに生徒たちは最初及び腰だった。
しかしゲゲンは根気よく生徒たちにグループ学習をさせ、ミュージアムを見学させたり実際にホロコーストを体験した人を招いて質問をさせるなどして、次第にやる気を引き出していった。
そして見事彼らの発表は歴史コンクールで優勝し、その後生徒たちはみな自分たちの希望の道を歩む事になった。

学校に来る意味すら疑問に感じているような生徒たちを、見事に導いた女教師の、実話を元にした映画である。
見どころは生徒たちの成長なのだが、正直日本人にはわかりづらい。
フランス人の中でマジョリティと思われるキリスト教徒、そしてイスラム教徒とユダヤ人の距離感など、現在のフランスでの人種問題が映画の前提となっているのだが、セリフによる説明が皆無なので、登場人物の細かい感情の機微が伝わってこない。
生徒達が自暴自棄に近いような態度で学校に通っているのも、この社会問題が大きな要因になっていると思われるが、そのスタート部分がハッキリしないので、生徒たちの成長と言われてもピンとこない。
学習に興味のなかった生徒たちが少しずつやる気を出した、という上っ面の部分しか見えてこないのだ。

また日本では、こういう学校からはみ出した生徒の再生物語は、「金八先生」以降数多く題材にされてきた。
さらに戦争をテーマにして学習をさせると言う作品も、日本では非常に多い。
生徒たちがやる気を出すきっかけに関しても、作品中では特に教師が特別な何かをした訳ではなく、おそらく日本の教員免許を持っている教師だったら誰でもするだろうな、レベルである(映画ではなく実際の学校では特別な事をしていたのかもしれないが)。
生徒たちがお互いを「寛容」するようになったことで連帯を深めた、という部分はよく描けていると思うが、そのきっかけがいま一つわかりづらいので、映画を観て感動する、と言う事はなかった。

続いて「グッバイ、サマー」。

ダニエルはブロンドの長髪とかわいらしい顔立ち、華奢な体格のため、女の子と間違われる事が多かった。
男子生徒とつるむより、思いを寄せるローラたちとつるんでいる事が多かったのもその一因だった。
ダニエルは美術的な才能はあったが、パンクバンドを組んでいる兄とは異なり性格も内向的で、自分で描いた女体を見ながらマスターベーションする事もあった。

そんなある日、クラスに目立ちたがり屋のテオが転校してくる。
テオの親は骨董品店を営んでおり、子どもの頃からガラクタに触れていたテオは手先が器用で、いろいろな物を作り出す事ができた。
またテオは目立ちたがり屋で、転校初日も自ら改造した無駄に派手な自転車にで登校していた。
いきなり変な自転車に乗っているテオはクラスメートから疎んじられるが、元々クラス内で浮いていたダニエルとは馬が合った。
二人は放課後もつるんで遊ぶようになり、夏休みになるとテオが制作したエンジン付きの動くログハウスで旅に出るのだった。

カテゴリーで言えば、冒険心にあふれた少年たちのひと夏のロードムービーだ。
彼らの目的地は、風船並みの巨大なバストを持ったウエイトレスがいる、キャンプ場のレストランだ。
動くログハウスは最初は軽快に進むが、やがてさまざまなアクシデントが二人に起こる。
力を合わせたり喧嘩したり、背伸びした少年たちの奮闘ぶりが面白い。
ストーリー展開はだいたい想像の範囲内で、特筆すべき点はない。
だが、彼らが乗り込む動くログハウスと言う発想の段階で、もう勝利していると言っていいだろう。
まったくスピードの出ないこの乗り物が、二人の珍道中を巧く演出している。

男性だったら自分の少年時代を思い出して、楽しめるのではないかと思う。


19.奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ
20.グッバイ、サマー


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by ksato1 | 2017-02-06 23:24 | 映画 | Comments(0)

「ザ・コンサルタント」<自由部門>

「ザ・コンサルタント」と言うタイトルと、会計士が企業の不正会計を暴くと言うストーリーから、企業モノをイメージしていたのだが、想像とはまったく異なる正当派アクション・ムービーだった。

財務省の長官レイモンド・キング(J・K・シモンズ)は、部下のメディナ(シンシア・アダイ=ロビンソン)を呼び出し謎の会計士を調査するように命ずる。
その会計士はこれまでマフィアや武器商人の取引に顔を出す事が多く、非合法の会計処理に何度も加担している可能性が高かった。
しかし巧妙に素性を隠し、レイモンドも正体を突き止める事ができないでいたのだ。

会計士の名前はクリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)、非合法の会計で多額の収入を得ており、それを自らマネーロンダリングしていた。
非合法の取引は身を危険にさらす場合も多いため、彼の助手がたまには安全な仕事をしてみるべきだと言い、ロボティックス社と言う義足や義肢の開発をしている企業の依頼を紹介した。

ロボティクス社が不正会計をしている可能性を発見したのは、会計担当のディナ(アナ・ケンドリック)だった。
クリスは社長のラマー、その妹のリタ、ラマーの友人のCFOのエドと面会をするが、自ら依頼をしたのに重役たちはクリスに対して露骨に不快感を示す。
クリスはお構いなしに、過去15年分の会計帳簿の閲覧を要求した。
ディナが15年分の帳簿は膨大で一人で確認するのは無理だと言うが、クリスは超人的なスピードで15年分の帳簿を調べ、原価帳簿に不正が隠されている事を付きとめる。
クリスがその事をラマーに告げようとすると、ラマーからエドが自殺した事を知らされ、これ以上の調査は不要だと言われた。

クリスは生まれつきの自閉症で、記憶力や計算力などには超人的な能力を発揮する一方、コミュニケーション障害を持ち光の点滅や大音量には激しい不快感を示した。
また作業を途中で中断される事にも、耐えがたいストレスを感じるのだった。
クリスは今回の調査の中断にも激しいストレスを感じ、そのストレスを得意の射撃で解消しようと知り合いの農場を訪れていた。
クリスは射撃能力もまた、超人的な能力を持っていたのだが、それは彼の父が心理戦の軍人で、クリスと弟が将来自分の身を護れるように、さまざまな護身術を叩きこんでいたためだった。
クリスが射撃の準備をしている最中に、何者かが送り込んだ殺し屋がクリスを狙ってきた。
クリスはこの殺し屋を撃退、雇い主を聞き出そうとすると、雇い主ではなくクリスとディナを殺すように指示されたと白状した。

DCコミックスがマーベルに対抗すべく映画化を始めた「ジャスティス・リーグ」シリーズで、バットマンを演じるベン・アフレックが主演である。
バットマンの時も自らを悪役と呼びながら正義のために戦っていたが、今回も決して善とは言えない立場に身を置きながら悪と戦っている。
その姿がベン・アフレックにピッタリ合っている。

設定も素晴らしく、クリスの生い立ち、そしてレイモンドとの関係、レイモンドを継ぐメディナの生い立ちなど、この後も深堀りすればどんどん面白くなりそうな要素が満載である。
今回はスタート作品という事で、クリスの生い立ちを少しずつ明らかにするシーンのはめ込み方があまりこなれておらず、最後にセリフで説明されるまでよくわからない部分が多かった。
しかし今回ラストできちんと整理されたので、次回作が作られた時はすんなりストーリーに入り込めるだろう。
非常にオッサン向けの作品だと思うので、ぜひ次回作も制作してもらいたい。

ただ、唯一の欠点は「ザ・コンサルタント」というタイトルだ。
原題は「ザ・アカウント」だが、会計士だともっとわかりづらいので日本ではコンサルタントにしたのだろう。
どちらにしても内容が把握しづらく、この手の映画が好きなオッサンに届いていないように思え、もったいない感じになっている。
アメリカでもオッサンに届いていないのではないだろうか。
次回作は正当派アクション・ムービーである事もわかりやすいようなタイトルにして欲しい。


18.ザ・コンサルタント


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第一回プラチナブロガーコンテスト
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by ksato1 | 2017-02-03 23:36 | 映画 | Comments(0)