<   2016年 07月 ( 8 )   > この月の画像一覧

「マネーモンスター」は経済的な要素よりも、歌ったり踊ったりとバラエティの要素が強い初心者向けの投資番組だ。
司会のリー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)の軽快なトークで人気を博していた。

その番組で数週間前に、リーがトリプルで推奨したアイビス社の株が、ある日大暴落をした。
ディレクターのパティ・フェン(ジュリア・ロバーツ)は、アイビス社のCEOウォルト・キャンビー(ドミニク・ウェスト)の生インタビューを設定するものの、ウォルトは専用機に乗ったまま連絡が取れない状態であった。
代わりに広報のダイアンがインタビューを受ける事になり、番組の準備が進んでいた。

そしてインタビューの中継に切り替わる直前、スタジオ内に銃を持った若い男が乱入してきた。
リーの言葉を信じてアイビス社の株を買い大損をした男だった。
アイビス社の株の暴落は、システムのバグが原因と公式発表されていたが、男はバグではなく仕組まれた暴落だと主張する。
リーは人質となり、最初は若い男が八つ当たりで逆切れしていると思っていたのだが、彼の話を聞くうちに興味を持つようになる。
同様に興味を持ったパティは、プロデューサーのロンをアイビス社に直行させる。
広報のダイアンは必死にウォルトの行方を探すが、その時にいろいろな事実を知る事になる。

スタジオジャックは全世界に中継されたが、そこから事件は思わぬ展開を見せる。

上映時間は99分。
スピーディにコンパクトにまとめられて、およそ15分くらいでスタジオジャックが始まった後は、一気にクライマックスで突き進む。
グダグダした展開がないのはいいが、ちょっと淡泊過ぎる印象も受けた。
ストーリーの半分くらいでほぼオチがわかってしまい、大きなどんでん返しはない。

ストーリー自体は面白かったので、どこかでもう一捻り入れればもっと評価が上がったんじゃないかとも思う。

55.マネーモンスター


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無差別殺人事件の加害者家族をテーマにした作品だ。
時系列の整理の仕方が巧く、映画としては手堅くまとまった作品である。

葛城清(三浦友和)は自宅の塀の落書きをペンキで消していた。
次男の稔(若葉竜也)が無差別殺人事件を起こしたため、非難をする落書きが後を絶たないのだ。
そして、次男と獄中結婚をすると言う女、星野順子(田中麗奈)が現れる。
彼女は死刑廃止を訴えており、稔とコミュニケーションを取ることにより、死刑が無意味であることを見い出そうとしているのだ。

清は、親から受け継いだ金物屋を営む平凡な男だった。
しかしやたらとプライドが高く、家族や周りの者に対して高圧的に接する事が多かった。
飲食店で出てきた料理にネチネチと因縁を付ける事もあった。

二人の子どものうち長男の保(新井浩文)は、さらに平凡に育って社会人となっていた。
だが営業成績が振るわず、二人目の子どもが生まれる時に会社をクビになってしまう。
保は妻にもその事を言いだせないでいた。

次男の稔はいわゆる中二病の引きこもりだった。
大学受験に失敗した事も、仕事が見つからない事も全部人のせいにして、家族や他人を見下し、自分は人生で一発逆転してやると言うのが口癖だった。

二人の子どもを育てた伸子(南果歩)は、夫と次男の仲が悪くなることを気に病んでいた。
高圧的な夫に対してはすでに愛情はなかったが、それでも家を出る勇気はなかった。
そんな状況が続き、伸子はついに稔と家を出る決意をする。
自分も仕事がないという状況の中、保は母と弟を探して居所を突き止め保に連絡をした。
連絡を受けて隠れ先に乗り込んだ清は、タオルで稔を絞め殺そうとする。
必死で伸子は止めるのだが、助かった稔は「別に俺は死んでも良かったんだけどね。まだこんな人生続けなきゃならないのかよ」とうそぶく。

そしてそのすぐ後、長男の保が自殺した。
通夜で自殺の事を噂する近所の手伝いの人たちに、「保は事故だったんだ、デマを広めるな」と高圧的に接する清。
誰にも相談せず高価な棺も発注していた。
通夜の祭壇に向かって稔は、「カッコわりー、俺はこんなカッコ悪い死にかたしないから」とつぶやいた。
伸子は保の妻を、なんで一緒に暮らしていたのに気付かなかったのかと責め、争いになる。

その後、稔は凶行に及んだ。

内容はかなり凄惨だ。

つまらない見栄ばかり張る父親、それについて何も言えず、さらに子どもにも何も言えない母親、父親同様にプライドばかり高く、結果が出ないことをすべて他人のせいにしてアイデンティティを保つ次男。
長男だけが唯一まともではあるが、リストラされて次の職を見つける事もできない。

一概に誰が悪いとは言えないが、稔が星野順子に自分の気持ちと思える部分を激白するシーンがある。
プライドはやたら高いのに十代、二十代で努力から逃げ、三十才手前で絶望して自暴自棄になり凶行に走る。
自分自身を冷静に分析しており、それで実際に凶行を行ったのであれば、親の責任ではなく本人の責任ではないかとも思う。
ただ、プライドが高くて他人を非難すると言うのは父親がずっと見せてきた態度であり、稔はその極みとも言える。
夫はともかくとして、子どもに甘くていいなりになっている母親も母親だ。

ストーリーは、大阪教育大学附属池田小事件を下敷きにしているらしい。
獄中の稔に反省の色がなく、終始自分の都合だけでわめき散らしているシーンを見ると、少なくとも稔のモデルは宅間守ではないかと思う。

被害者の目線は一切なく、加害者とその関係者の目線だけでまとめた作品という点では、これまでになかった作品と言えるだろう。
加害者の稔だけではなく、星野順子を含めた加害者の関係者もみんな、自分の都合しか考えていない。
そのため内容的にはまったく救いがない。

構成としてはまとまっているのだが、商業映画として評価していいかどうかは、判断が難しいところだ。


54.葛城事件



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宮藤官九郎ワールド大爆発、非常に面白い作品だった。

大助(神木隆之介)は同級生のひろ美(森川葵)が大好きで、彼女の気を引くためにバンド活動を始め、帰り道を待ち伏せするなどややストーカーチックな行動をしていた。
しかしひろ美もその事を悪く思ってなく、修学旅行のバス車中で大助が告白をして、ひろ美がOKをしたかのように思えた。
しかしその直後、バスは崖から転落、大助は一人地獄に堕ちて行った。

地獄で待ち受けていたのは鬼のキラーK(長瀬智也)。
地獄専属のロックバンド「地獄図(ヘルズ)」のボーカル兼ギターだった。
「地獄図(ヘルズ)」には他に、ギターの邪子(清野菜名)、ドラムのCOZY(桐谷健太)が所属していた。
キラーKは、週に1回の閻魔大王(古田新太)の前で楽器の演奏をし、彼に認められれば転生ができると教えてくれた。
しかし転生は、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道があり、人間道に転生できるのはほんの一握りの者だけだった。
さらに、残りの天国である天道には、地獄から転生した者はかつていない。
そして7回の転生が終了してまた地獄に戻ってくると、角が生えて鬼となり地獄道から脱出する事はできなくなる。
ちなみにキラーKはすでに7回の転生を終了しており、邪子とCOZYも残り1回を残すのみとなっていた。

大助はひろ美と再会するために人間道転生を目指し、キラーKの指導を受け何度も閻魔大王の前で演技をする。
しかし転生はすべて畜生道。
なんとなくひろ美っぽい人間を見かける事もできるのだが、何もできないまま毎回地獄に舞い戻っていた。
その間大助は、キラーKが人間界に残してきた妻なおみ(尾野真千子)とその息子と何度も出会う。
そしてキラーKが人間界に残してきた思いを知ると、転生の目的をひろ美との再会ではなく、キラーKの思いを家族に伝えることに切り替えるのだった。

最初から最後まで、ギャグの連発で笑わせてくれる。
細かいキャスティングも抜群で、事故の原因やひろ美の気持ちなどが少しずつわかっていく展開も素晴らしい。
かなり強引な展開ももちろんあるが、それすらも笑いとなっている。
役者陣が、宮藤官九郎が表現したい事をきちんと理解している上で、演技をしているからかもしれない。
笑いの中にも少しホロリとさせてくれる部分があり、まさにエンターテイメントの王道である。
エロ部分は少々キワドイので家族で観る、と言う訳にはいかないかもしれないが、大人にとっては非常に楽しめる作品である事は間違いない。


53.TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ



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イギリスのEU離脱のニュースが流れる中、非常に強烈な映画が公開されていた。

連合軍の侵攻により敗北を認めたヒトラーは、愛人エヴァとともに総統地下壕で自殺を図った。
しかしなぜか、彼は2015年のドイツにいた。
当初はヒトラーも、何が起こっているのかわからなかった。
しかしふらふらと立ち寄ったスタンド売店の新聞で、今自分が2015年にいることを知る。
理由はわからないものの、自分が置かれている現状を理解したヒトラーは、数々の知識を仕入れて対応しようとしていた。

一方、フリーのTVディレクターのザヴァツキーは、ベリーニとの権力争いに敗れたゼンゼンブリンクにより、経費削減で突然契約を解除されていた。
なんとか自分の取材ネタで復活をはかろうとしていたところ、VTRの中にヒトラーに似た人物が映っていた事に気付く。
早速ヒトラーにコンタクトを取ると、ヒトラーのように人から注目される見事な弁舌の持ち主だった。
ヒトラーのモノマネ芸人としてはかなり面白い。
ザヴァツキーは早速ヒトラーと一緒にドイツを回り、さまざまな人たちと会話をさせ、その模様をYouTubeにアップした。
たちまち話題となるヒトラー。
ザヴァツキーはTV局に掛け合い、ヒトラーをトーク番組に採用された。
番組中でも過激な発言をやめないヒトラーは、たちまち話題となる。
局長のベリーニは、ヒトラーを番組にどんどん出し続ける事にした。
しかしベリーニ追い落としを企むゼンゼンブリンクは、ヒトラーが旅の途中で犬を射撃した映像を流した。
犬殺しとしてヒトラーはTVから去り、ベリーニもTV局を追われた。

だがザヴァツキーはヒトラーに「帰ってきたヒトラー」という本を執筆させ、それが大ヒットとなり、ヒトラーは再び脚光を浴びるようになる。
ザヴァツキーはベリーニに「帰ってきたヒトラー」の映画化を持ちかけ、ベリーニもこの話に乗る。
とんとん拍子で再ブレイクし始めたヒトラーだが、ザヴァツキーは自分の撮影した映像を見返し、ヒトラーが本物である事に気付いた。

とにかく風刺の効いた作品だ。
現代によみがえったヒトラーはさすがに賢く、ユダヤ人の話はしない事と言われると、その部分については触れずに話をする。
ヒトラーが現代の常識を踏まえたうえで自分の持論を展開するため、称賛する者と否定する者が真っ二つに分かれる。
だがこれは、メディアに取っては一番ありがたいことである。
さらに、ヒトラーが細かい現代の常識を知らない部分も、天然ボケとなって人々にウケたりする。

しかし冷静に考えると、これは非常に危険状態とも言える。
ラストシーンも含めてこの映画の風刺はかなりキツく、面白いのにあまり話題になっていないのも、劇場が及び腰であまり上映館が増えないのが原因かもしれない。
ただ、単純に風刺をしているだけではなく、ドキュメンタリー風の構図やカメラワークとドラマ部分を巧みに織り交ぜるなど、制作者のセンスの良さも強く感じた。

きちんと常識のわかる大人におススメの映画である。


52.帰ってきたヒトラー



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監督は、NHKのBSドラマで自らこの作品の主演を演じたことがある黒木瞳だ。

石田徹子(吉田羊)は幼少時から、地味に真面目に生きてきた。
自己主張をする事も少なく、大学を卒業して司法試験を受け、小さな事務所で弁護士をしていた。
一度は結婚をするものの、仕事が忙しい事もあり夫とはなかなかコミュニケーションが取れずに離婚も経験していた。

ある日、突然従兄弟の夏子(木村佳乃)が弁護士事務所に現れる。
婚約不履行で訴えられているのでなんとかしてくれ、と言うのだ。
徹子は原告である元恋人と話をして、彼が夏子を恨んでいるのではなく未練があるのだと言う事を知る。
結局元恋人は訴えを取り下げ、しかし夏子は弁護料を支払わずに雲隠れしてしまった。

さらに事務所で数年経験を積んだ時、夏子が徹子の前に現れた。
今度は販売した絵画が偽物なので返金しろ、と言う訴えをされたらしい。
夏子は前回の弁護料も支払っていないのだが、事務所のオーナー弁護士萩原が、夏子の依頼を受けてしまう。
徹子が後輩の磯崎賢(中村蒼)と調査をすると、夏子はいわゆるキャッチセールスで絵画を高く売りつける商売をしており、しかも若い男に貢ぐために詐欺まがいの仕事をしていたのだ。
さらに今は病院で、余命いくばくかという男の身の周りの世話をしていた。
いかにも財産目当てであるかのようだ。

奔放な夏子の依頼を処理しているうちに、いろいろな人の人生に触れ徹子が成長する話だ。
黒木瞳の監督は、それほど悪くはない。
ただ、いろいろな監督の手法を少しずつ取り入れているようで、全体を通してなんとなく既視感がある。
構成もちょっと駆け足な感じで、弁護士事務所の大宅(永島暎子)と後輩の磯崎に関しては徹子の成長に大きくかかわっているのに、取り上げ方が非常に物足りない。
太田の結婚式の潰し方も、かなり強引な感じがした。

黒木瞳が人脈を駆使したのか、出演者はやたら豪華だ。
田中麗奈はほぼワンシーン、トラック運転手役だった竹中直人に至っては、映っているのは1分もなくセリフも2、3だ。
その他にも、エンドロールを見て「えっ、この人どこに出てた」という感じで、豪華な役者がチョイ役で出演している。
そして、吉田洋と木村佳乃の演技力は素晴らしく、特に木村佳乃の破天荒っぷりは見ていて気持ちがいいくらいだった。

上映時間は2時間足らず。
原作に忠実にしているのかもしれないが、せっかくこれだけの役者を揃えたのだから、上映時間が長くなったとしても、もうちょっと構成を変えて映画的にした方がよかったんじゃないかと思った。


51.嫌な女



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原作は島田荘司のデビュー作で代表的なシリーズとのことだ。
かなり豪華な出演者の割には話題になっていないな、と思ったら、映画の出来がやはりよくなかった。

御手洗潔(玉木宏)は本職は脳科学者であるが、イラストレータの石岡とともに数々の難事件を解決、探偵としても一目置かれる存在となっていた。
石岡から紹介された編集者の小川みゆき(広瀬アリス)から、いくつかの謎解きを提案され、その中から瀬戸内海の小さな島に、この半年間で何体もの水死体が流れ着く事に着目、現地調査に向かう事にした。
島の地形と瀬戸内海の海流を調べた御手洗は、死体はすべて福山の海から流れ着いたと推測、二人は島から福山へ向かった。

ちょうど福山では、夫が目、妻が口を縫われた夫婦が滝つぼの杭にしばりつけられ、さらに二人の子どもの赤ちゃんが殺されると言う事件が発生していた。
さらに無登録の外国人が、違法ドラッグの中毒のため死亡する。
御手洗は島に漂着した死体は、この違法ドラッグの中毒患者であると推測。
御手洗の推理力を評価した広島県警の黒田(小倉久寛)は、御手洗に滝に縛られた夫婦の事件の捜査も依頼する。
御手洗は、福山にある化学工場の過去の因縁に注目、古文書に書かれた「星籠」が何なのかを調べ始めた。

島田荘司の小説は読んだ事はないが、この映画に限って言えば、ハッキリ言って酷い内容だった。
設定は、よくある天才の名探偵と若い女性の助手で新鮮味はなく、この作品自体も、かなりの偶然が重なった結果の事件であり、ズバリ言って陳腐である。
しかもその物凄い偶然を、御手洗はベランダの蛍光灯が切れかけているのを見ただけですべて推理してしまう。
さらに赤ちゃんが死んでいると言うのに、謎解きが終わった後でも犯人は罪悪感を感じていない。
TVドラマだっとしても「なんだこりゃ」レベルで、有料で劇場公開してはいけない作品である。

製薬会社の貨物船の船名が「SUSQUEHANA」で、ペリー来航時の古文書に載っていた「星籠」と関わりを持たせた部分だけが、唯一映画っぽいなと思えた部分だった。

ズバリ言って、なんでこんな映画作っちゃったんだろう、というレベルの作品だった。


50.探偵ミタライの事件簿 星籠の海



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西島秀俊と竹内結子の「ストロベリー・ナイト」コンビに香川照之なので、かなり期待して観に行った。
しかし正直微妙な作品であった。

犯罪心理学の研究者でもあった高倉(西島秀俊)は、猟奇殺人の犯人を取り調べしていた。
しかし犯人は警察官を殺害して部屋から逃亡、警察署内で人質を盾にするが、高倉の後輩の野上(東出昌大)に射殺された。

前述の事件から1年後、高倉は警察官を辞職して大学で犯罪心理学の教鞭を取っていた。
転職と同時に高倉は引越しを行うのだが、隣人たちは不思議な人たちばかりであった。
特に隣人の西野(香川照之)は、相手がいらだったり気味悪がったりするような返答ばかりし、しかもそれが故意的なように見えた。
そんな西野の影響もあるのか、その先の隣人も近所づきあいはしないとそっけない対応をしてきた。

高倉の妻康子(竹内結子)は、警察官を辞めた高倉を案じてか少しずつストレスを溜めていた。
引越しを機に気分転換ができるかと思いきや、むしろストレスは溜まる一方だった。
その事を夫に言えず一人で思い悩むのだが、康子はその素振りを一切夫には見せなかった。
そしてそんな康子の心理状態を見抜いたかのように、西野が近づいてきた

一方高倉は、大学の授業の合間に未解決事件を調べていた。
その中で、行方不明なのに未解決事件扱いになっている案件を見つける。
高倉が野上とともにその事件を調べ、4人家族で唯一失踪していない末娘本多早紀(川口春奈)と面会をする。
早紀は記憶があいまいで何も覚えていないと言い、証言能力がないと判断されていたのだ。

行方不明事件を調べているうちに、高倉は失踪した家族が住んでいた家の構図が、今自分が住んでいる家と酷似している事に気付く。
そして隣家の西野家には、娘がいた。
野上が廃墟となっている失踪事件の家の隣家を調べると、押し入れの中からミイラ化した遺体が何体もも発見された。
その中には失踪した本多家の家族全員も含まれていた。
高倉と野上は、高倉家の隣人西野が事件に関与しているのではないかと考える。
野上は単身捜査のため、西野家に乗りこんでいく。

監督は黒沢清で、前半はこの監督ならではのジワジワと迫る恐怖がよく表現されている。
しかし中盤以降、西野の秘密が明かされてからは、個人的にちょっとエグ過ぎて観るのが辛かった。
そのあたりは香川照之、西島秀俊、竹内結子、そして西野の娘役の藤野涼子の演技力による部分も大きい。
特に藤野涼子は、「ソロモンの偽証」も非凡な演技力を見せていたが、実力派の3人に一歩も引けを取らない演技で将来性を感じた。
だが、監督の手腕、役者の演技力は評価されるべきだとも思うが、商業映画として考えた場合、私のように感じる人も少なくなくて、評価も上がらないんじゃないかと言う気もする。


49.クリーピー 偽りの隣人



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「クローバーフィールド/HAKAISHA」の続編と言う話もあったので、気になって観に行った。

ミシェルは恋人に別れを告げ、車を運転して別の街に行こうとしていた。
するといきなり後ろからピックアップトラックに追突されて道路の外に弾き飛ばされ、そのまま意識を失ってしまう。
目が覚めるたときは、窓のないコンクリート打ちっぱなしの部屋で脚を繋がれた状態だった。

ミシェルがパニックに陥っていると、小太りの男が部屋に入ってくる。
この男に攻撃を加えて脱出を試みるミシェルだが、交通事故で脚を怪我していた事もあり失敗。
そしてこの男は、自分の不注意で事故を起こしてしまったお詫びとしてお前を助けた、俺は命の恩人だ、と言う。

男の名はハワード、ミシェルがいた部屋は、ハワードが作ったシェルターの中の1室だった。
ハワードはかつてアメリカ海軍に勤務しており、「何者か」がアメリカを攻撃することを察知していた、と言う。
そのためシェルターを建設、事故を起こした日は、ハワードが外出中に敵の攻撃を察知して急遽帰宅する途中であり、あまりにも慌てていたため事故を起こしてしまったと告げた。
シェルターは広いリビングのほかにハワードの個室があり、その中にシャワーとトイレ、そしてミシェルが繋がれていた部屋と、数年間分の物資を置いた通路兼物置があった。
その物置の奥には、このシェルターをハワードと一緒作った若い男、エメットもいた。

ハワードは銃を持っており、ミシェルはうかつな行動は取れない。
そしてエメットはそもそもこのシェルターに入る予定ではなかったが、事故のあったその日にシェルターに逃げ込んできたため、ハワードが仕方なくシェルターの中に入れたと言う。
その時に左腕にケガを追っていたため、行動も制限されていた。

外は危険なガスが充満していると言うハワードの話を、ミシェルは最初信じていなかった。
しかしハワードからシェルターのカギを奪って逃げだそうとしたその時、外に女が現れ中に入れろと叫び出した。
絶対にドアを開けるなと言うハワード。
やがてドアの外の女の顔は崩れ始め、血を流しながら倒れてしまった。

信じがたい現実を受け入れなければならないミシェル。
やがてハワード、ミシェル、エメットの3人は少しずつ距離を縮め、しばらくはシェルターの中は平穏な日々が続くのだった。

そんな中エアフィルターの故障が起き、狭いダクトを通ってミシェルが修理に向かった。
そこでミシェルが発見したのは、窓に書かれた「HELP!」の文字。
さらに、ハワードが「娘だ」と言って見せてくれた写真の少女が付けていた、アクセサリーが落ちていた。
ミシェルはリビングに戻ってから、写真の少女がハワードの娘かどうかをエメットに確認する。
しかしエメットはこの少女はハワードの娘ではなく、自分の友人の妹で、行方不明となり家で扱いになったと告げた。
ミシェルはハワードがウソをついていると確信し、エメットともに脱出の計画を立てはじめた。
しかし計画がハワードにバレて、二人は窮地に陥る。
そして、宇宙ロケット用の燃料でもある過塩素酸が入ったドラム缶を見せ、この液体なら人体もすべて溶かす事ができると二人を脅す。
ミシェルをかばうためにエメットが自分が勝手に行った事だと言うと、ハワードは容赦なくエメットに向かって発砲した。

「クローバーフィールド/HAKAISHA」の続編かどうかは、微妙な感じだ。
それがなかったとしても、ハワードに対するミシェルの疑惑という点では、なかなかよく作りこまれたサイコサスペンスである。
舞台をシェルター内という非常に限られた空間にして、さらに敵か味方かわからないエメットを加えている部分も巧みである。

ラスト30分は急激な展開になるのだが、この部分は正直評価が別れるだろう。
ストーリーの軸となるサイコサスペンス部分の作りが良すぎるため、ラスト30分の展開はちょっと全体から浮いている感もある。
ただ、この映画と「クローバーフィールド/HAKAISHA」をつなぐ作品がまた別の見せ方で作られたりすれば、この映画の構成も再評価されるのではないかと思う。

個人的にはとても満足できた作品だった。


48.10 クローバーフィールド・レーン



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