<   2014年 03月 ( 12 )   > この月の画像一覧

原作は読んでいないのでどこまで忠実なのかわからないが、吉田恵輔が監督をしているだけに、この映画単体でも青春映画としてきちんとまとまっている。

主人公の八軒勇吾(中島健人)は、札幌で進学校の中学に通っていたが落ちこぼれてしまった。
学校が嫌になった八軒は、親と一緒に暮らす事も嫌い、全寮制の大蝦夷農業高校酪農科に入学する。
クラスメートの御影アキ(広瀬アリス)や駒場一郎(市川知宏)、稲田多摩子(安田カナ)たちはみな酪農家に生まれ、酪農家を目指して高校に入学していた。
そして八軒は、目的もなく酪農高校に入学したことに対し、駒場や多摩子から「酪農をなめるな!」と非難されてしまう。

酪農科は実習が多いため朝も早い。
また、世話をした動物たちを食肉として売らなければならない。
酪農家に生まれた友人はその事に慣れていたが、八軒はついつい実習で世話をした豚に思い入れを強くしてしまったりする。
今まで体験した事のない酪農という仕事に触れ、八軒は少しずつ成長していく。

この他にも、八軒が無邪気な御影アキの言動に振り回されたり、実家が離農するために駒場が高校をやめるなど、よくあるストーリー展開が続く。
まさに青春映画の王道と言ってもいいだろう。
しかしありきたりのスト―リーではあるものの、北海道の農業高校という隔離された場所で生活する高校生の真っすぐな青春には心を打たれる。

高校1年生なのに、家畜を経済動物と言い切って貨幣的な価値でしか見ていなかったり、あるいは駒場の実家が破産することに対して「北海道で農業やっていたらいつ破産するかわからない」など、ちょっと達観しすぎかな、という部分もなくはない。
しかし、適度に異性の目を気にしたり、困っている馬術部をみんなで助けたりしているシーンを見ていると、こういう青春も楽しそうだなと、ちょっとうらやましくも思ったりする。
教条的に正論をふりかざしたりせず、困難に立ち向かっても結果は必ずしもいい方向に向く訳ではない、でも自分の可能性を信じて前を向く高校生に清々しさも覚える。

笑いと感動のメリハリも巧妙で、吉田恵輔の巧さが光る作品であった。


51.銀の匙 Silver Spoon


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ドバイはDFのジャスタウェイとSCのジャスタウェイが完勝。
これで芝のレースについては、日本馬も世界トップクラスであることが証明された。
AWのWCについては、日本にAWコースがないだけに仕方ないだろう。
あるいはダート馬じゃなくて、クラシックロードを進んだ馬の方が勝負になるのかもしれない。

さて、日本に戻って高松宮記念である。
フェブラリーSに次いでまたまたシンガリ人気が突き抜ける、なんてことはないと思うが、なにしろ本日は荒天による不良馬場、何があってもおかしくない。
特に、ハクサンムーン、コパノリチャードと逃げ馬がそろったため、展開、位置取りはかなり難しくなるだろう。
また一番人気のストレイトガールに関しても、夏に函館でタフな競馬を続けていることを考えれば道悪もこなせそうに思えるが、フジキセキ産駒だけに道悪で絶大の信頼は置きづらい。
なので今回は思い切って滑る馬場で根性を発揮できそうな馬を上位にしてみた。

本命はサンカルロだ。
成績にかなりムラがあり、昨年のこのレースが9着でその後も秋まで掲示板に乗る事もできなかった。
しかし年末の阪神Cで4着し、前走の阪急杯はコパのリチャードの2着。
復調気配のところに道悪は持ってこい、そもそも11年、12年はこのレースで連続2着しておりコース適性もある。
内枠に入っただけに、直線を向いて巧く抜けてこられるかどうかがカギだが、前がポッカリ開けば突き抜けてくるに違いない。

対抗はレディオブオペラ。
前走、Sペースで逃げたところをストレイトガールに差し切られて完敗しているため、それほど人気になっていない。
しかしこの馬は、8戦して5勝2着2回3着1回の堅実した成績を残している。
道悪も昨年の函館でこなしており、ハナにこだわる必要もない。
巧く外の好位に付ければこの馬にもチャンスは十分だ。

三番手はストレイトガールにする。
パンパンの良馬場ならもちろんこの馬を本命にした。
週中の追い切りも絶好の動きを示し、体調も万全のようだ。
しかしこの馬場状態では武器である切れ味が鈍る可能性が高い。
よって三番手評価とした。

四番手はリアルインパクトだ。
ずっとマイル路線を使われてきたが、成績が伸び悩んでいた。
しかし年末の阪神Cで1400mを使われて快勝。
前走のオーシャンSは出遅れたため8着に敗れたが、それでもレースを追走して最後に上がり34.5の脚を使っている。
ラストがドロドロの混戦になった場合、根性で伸びてくる可能性は大だ。

五番手はスマートオリオン。
デビュー後4戦は1400m以上を使われていいところがなかったが、昨夏に復帰して1200mを使われるようになってからは8戦5勝2着3回で連対率100%だ。
この馬も切れ味勝負なので馬場状態が気になるが、グラスワンダー産駒なのでまったくダメという事はないだろう。
好位抜け出しができる脚質も、今回のレースでは有利になると思われる。

最後はマヤノリュウジンだ。
前走の阪急杯は休み明けで8着。
しかし昨年の秋も、復帰戦で7着の後スプリンターズSで3着に食い込んでいる。
状態は上がっており、さらに道悪になってこそこの馬の持ち味が生きる。
大外枠も有利とは思えないが、池添の手腕に期待する。


◎サンカルロ
○レディオブオペラ
▲ストレイトガール
△リアルインパクト
×スマートオリオン
×マヤノリュウジン


馬券はいつも通り三連単フォーメーションで、1着◎○、2着◎○▲△、3着は◎○▲△×の24点勝負。


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現在「2」が公開されているが、その宣伝のために放送された「1」を録画して見る。

映画公開時にもほとんど気にならなかったし、今回もそれほど期待しないで見たのだが、TV用にカットされたシーンが多かったためかなんだかよくわからない作品になっていた。

主人公の栗原一止(櫻井翔)は、長野で本庄病院と言う救急医療の病院に勤める勤務医だが、まずこの病院の位置付けがよくわからない。
救急指定の病院でベッド数もそこそこありそうだが、民営なのか公立なのかわからず、医師の数がやたら少ない。
内科が専門の一止だが、そこでは救急医療も担当し、いつでもクタクタに疲れていた。

一止は御嶽荘というアパートだか下宿屋に住んでいて、榛名(宮崎あおい)と言う山岳写真家の妻がいる。
おそらく榛名ともこの御嶽荘で知り合ったと思われるのだが、そのあたりの経緯があまり語られていないため、二人の距離感もよくわからない。
そして御嶽荘には男爵と呼ばれる売れない画家(原田泰造)と、学士殿と呼ばれる信濃大学の大学院生(岡田義徳)も一緒に暮らしているのだが、ある日学士殿が郷里に帰る事になる。
このエピソードも唐突過ぎて、何がなんだかサッパリわからない。
人間の成長がテーマの映画なのに、尊敬とか愛情とか同情とか友情などの、主要キャストの関連性がまったく描かれていないのだ。

ストーリーのメインストリームは、一止が研修で訪れていた大学病院で診察した、安曇(加賀まりこ)にまつわるエピソードである。
教員であった夫を亡くし一人暮らしていた安曇は、胆のう癌を発症しておりいきなり余命宣告を受ける。
大学病院では終末医療を行っていないため、安曇は本庄病院に一止を訪ねてくる。
一止は安曇を受け入れるのだが、余命少ない彼女に何もできない事に悩んでしまう。

ハッキリ言って、医療モノのストーリーとしては、かなりありきたりで薄っぺらい。
普通の医師なら、こんな悩みは医大生の時に乗り越えている物ではないかと思う。
ただ、長野を舞台とした全体の雰囲気がいい。
また出演者も力量のある役者ばかりなので、映画全体としてはギリギリだがまとまっている。

オリジナルバージョンは面白くて、TV用にカットした編集者のセンスがないのか、あるいはオリジナルバージョンも面白くないのか。
どちらかの制作者、あるいはその両者がもうちょっときちんと仕事をしていたら、あるいは違った印象になっていたかもしれない。

50.神様のカルテ

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アカデミー賞受賞作品の割には、日本ではそれほど話題になっていない。
ホームのTOHOシネマズでの上映もなかった。
黒人奴隷をテーマにした作品という事で、日本人には共感されづらいと敬遠されたのか。
たしかに激しく感動した、という内容ではなかったが、しかし完成度は高く十分見応えのある作品だった。

1841年ニューヨーク州サラトガ、自由黒人のソロモン・ノーサップ(キウェテル・イジョフォー)は、腕のいいバイオリニスとして妻、娘、息子と幸せに暮らしていた。
ある日料理人の妻が子ども2人を連れて数週間出張に出ている間に、知人の紹介でサーカスのショウの遠征に参加しないかと誘われる。
報酬に釣られてワシントンまで出向いてしまったソロモンだが、そこで拉致され奴隷として南部に売られてしまう事になった。
その後ソロモンは、材木農園、綿花畑、サトウキビ畑などで合計12年間の奴隷生活を強いられることになる。

事実を元にした映画なので、大きなドンデン返しなどはもちろんなく、ストーリーはわかりやすい作りになっている。
ソロモンは最初なんとかサラトガに戻るため、自分が自由黒人であることを懸命に訴えるのだが、それをすればするほど逆効果で、場合によっては命の危険に及ぶことを悟り、次第に奴隷の身分を受け入れ始める。
本名も取り上げられ「プラット」と言う名前で呼ばれるが、彼は生き延びるために「プラット」になりきっていた。
その間、所有する白人の経済的事情、あるいは家庭環境などで、農園を転々とする。
ソロモンは教育も受けてバイオリンと言う特殊技能もあった。
そのため白人に正論を突きつける事もしばしばあったのだが、それが原因で、所有する白人から気に入られるか憎悪されるか、両極端な状況になっていた。
何人もの黒人奴隷と出会い、別れを繰り返して、時には能力のあるソロモンに助けを求める黒人もいた。
しかし彼は自分の命を守るため、仲間の黒人を見捨てざるを得ない時もあった。
あるいは、彼自身信頼できると思った白人に裏切られる事もあった。
当時のアメリカ南部の黒人奴隷の厳しい状況を、きちんと表現していると思われる。

そして、奴隷の身に甘んじながら、少ないチャンスに賭けようとするソロモンの描き方も見事だ。
セリフではなく、ソロモンの表情、仕草から、ソロモンが常に脱走するチャンスをうかがっている事がきちんと表現されている。
そのため、シーンが切り替わってソロモンが走っていたりすると、「ここで脱走したら捕まるだろう!」と、思わずスクリーンに向かって叫びたくなる事もあった。
だが実はそれは、別の事情でソロモンが走っているだけだったりする。
最後はソロモンがニューヨークに帰還する事はわかっているのだが、全体を通してソロモンの置かれた立場がきちんと表現されており、かつ巧妙な演出によって、観ている間ソロモンの行く末を常に案じてしまった。
アカデミー賞作品賞も納得である。

この映画がアカデミー賞を獲ったことを考えると、やっぱり「ウルフ・オブ・ウォールストリート」はちょっとアカデミー賞は難しいよな、と思ってしまう。
もちろん面白い作品ではあったのだが。


49.それでも夜は明ける


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前シリーズもたしか「2」くらいまで観ていると思うが、基本的に前シリーズの「ロボコップ」の設定を踏襲している。
そしてSF映画としてはなかなか作りこまれていると思うのだが、日本人に評価されるかとなると、ちょっと微妙かもしれない。

物語はノヴァク(サミュエル・L・ジャクソン)のニュースショウから始まる。
いかにもアメリカっぽいニュースショウで、キャスターのノヴァクがゲストに対して持論を激しく展開する。
まず、そのショウの中で中東の街からの中継が入る。
そこではロボットによる警護が行われ、人々はテロの脅威からも安全に守られている。
このロボットを製作しているのがオムニコープ社で、社長のセラーズ(マイケル・キートン)はアメリカの警官に自社のロボットを導入したいと考えていた。
しかし、人格のないロボットが犯罪を取り締まる事に恐怖心も感じる人も少なくなく、ロボットを警官にはできない法律が成立していた。

セラーズはこの法律を廃止に持ち込むべく画策し、障害を負った元警官の体を機械で補完し、サイボーグ警官として活躍させ世論を納得させようと考えた。
この計画を実行するのはノートン博士(ゲイリー・オールドマン)だ。
セラーズとノートン博士が候補者を選別していたところに、マフィアに狙われたマーフィー(ヨエル・キナマン)が瀕死の重傷を負って運ばれてくる。
マーフィーを救うために、妻のクララ(アビー・コーニッシュ)はマーフィーのサイボーグ化を承諾する。

マーフィーは最初、サイボーグ化した自分を受け入れることができないのだが、次第に機械の体を使いこなせるようになった。
だが完全に機械になる事はできず、ロボットと比較するとかなり反応が鈍かった。
ノートン博士は反射能力を高めるためにマーフィーの脳に細工をするが、その結果マーフィーは人間としての感情を徐々に失い始めてしまう。
マーフィーが自分や子供に感情を示さなくなった事にクララは不満を覚えるのだが、セラーズはロボット警官導入のために、マーフィーと家族を引き離そうとする。
しかしマーフィーの感情を殺してしまう事によって、マーフィーは暴走を始め、命令を無視して自分に瀕死の重傷を負わせたマフィア一味をせん滅してしまう。
マーフィーの暴走はさらに続き、汚職をしていた同僚警官まで撃ち殺してしまった。

前シリーズのロボコップもなかなかカッコ良かったが、今回のロボコップはかなりスタイリッシュだ。
特に、バイクで疾走するシーンはバットマン並みにカッコいい。
暗闇の銃撃シーンでは、ロボコップのサーモセンサーの視線、マフィアの暗視カメラの視線、そして実際の映像を巧く切り替えて迫力あるシーンが展開する。
メカデザイン、アクションシーンなどは相当なセンスを感じる。
一方、機械部分を外された生身のマーフィーの姿は、リアル過ぎてちょっと不気味である。
また全体のトーンもちょっと挑発的で、冒頭の中東のシーンも「イスラム=悪、アメリカ=善」と言う図式がかなり強調されている。
物語の要所要所で現れるノヴァクのセリフも、すべて挑発的だ。
あえて観ている者の倫理観を逆なでするような作りにしているのだとは思うが、それでもところどころ、いい気分がしないセリフがあった。

ただ、完成度は高いと思う。
このトーンを突きつめた続編を作り続ければ、逆に名作シリーズとなるかもしれない。


48.ロボコップ



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「鴨川ホルモー」「プリンセス トヨトミ」に続く、万城目学原作の映画化第3弾である。
「鹿男あをによし」もドラマ化されているが、こちらは観ていないのでよくわからない。
しかし先に映画化された2作品を見る限りでは、万城目学作品を映像化するのはかなり難しそうである。

「鴨川ホルモー」は山田孝之、濱田岳、栗山千明、荒川良々などの実力派俳優を何人も起用していたにもかかわらず、内容はダダ滑りだった。
「プリンセス トヨトミ」は手堅くまとめられていはいたものの、個人的な感想では「面白かった!」と言える内容ではなかった。
この2作品から見ると、今回の「偉大なる、しゅららぼん」はかなり面白い作品に仕上がっていた。

琵琶湖のほとりに生きる日出家と棗家は、湖から力を得て代々栄えてきた一族だ。
日出家は人の心を操り、棗家は時間を止めて人の動きを操作できる。
長い間張り合ってきた両家だが、跡取り息子同士が一緒の高校、しかも一緒のクラスに入学する事になった。
同時に、東京の日出家の分家から日出涼介(岡田将生)が本家に修行にやってきて、彼も一緒の高校に通う事になる。
棗家の跡取り広海(渡辺大)は日出家の跡取り淡十郎(濱田岳)に敵意むき出しで、何かと張り合ってこようとする。
しかし淡十郎は日出家の力を使う事を嫌い、まったく使用しなかった。

そんな時、高校の校長である速水(村上弘明)が、日出家と棗家の両家に街から出て行くように告げに来た。
速水は日出、棗、両家の力を操り、かつ彼には両家の力が通用しない。
現当主である淡十郎の父淡九郎(佐野史郎)、そして広海の父海(髙田延彦)とも、なす術なく速水に敗れてしまう。

淡十郎、涼介、広海の3人に加え、淡十郎の姉清子(深田恭子)、そして日出家現師範代の濤子(貫地谷しほり)の5人は、謎の力を持つ速水に立ち向かおうとする。

いつも通り原作は未読なので、映画がどれだけ原作に忠実なのかはわからないが、起承転結はしっかりしている。
しかも、ボケ役の濱田岳と彼に対して三枚目的に突っ込む岡田将生のコンビがキッチリハマっているので、ストーリーのテンポも悪くない。
ところどころに伏線が貼られており、それがわかりやすすぎて若干興醒めな部分もないではないが、反面きちんと機能しているので展開に無理がない。

万城目学作品の持ち味である、「古から伝わる不思議な力」の部分に共感できればかなり楽しめるだろう。


47.偉大なる、しゅららぼん


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ホームの映画館での上映がなかったので、観ようかどうしようか迷っていたのだが、友人から勧められて観に行くことにした。

出演者はロバート・レッドフォードだけ。
他に出演者がいないため、会話どころか彼の役名すらない。

わかっているのは、おそらく家族がいる主人公が、ヨットでインド洋を航海中に遭難した、という事だけ。
彼が何者なのか、家族はどうしたのか、などのバックグラウンドはまったくわからない。

映画は、主人公のヨットのわき腹に漂流中のコンテナが突っ込んだところから始まる。
コンテナに突っ込まれた部分は大きな穴が開いたのだが、たまたまそこに無線機器などが置いてあった。
無線機自体は破壊はされていなかったが、海水に浸かりほぼ使い物にならなくなってしまう。
主人公は取りあえず応急処置としてヨットの穴をふさぎ、海水を排水して航行を続ける。
しかしそこに激しい嵐が訪れる。
ヨットはもみくちゃにされマストは折れ航行不能になってしまう。
主人公は救命ボートに移り、そこでなんとか救助を待とうとする。
しかしやがて食料は尽き、水もほとんどなくなってくる。
最初は知識を総動員してなんとか生き延びようとする主人公も、次第に弱っていきやがて力尽きそうになる。

回想シーンも何もなく、100分間遭難シーンが延々と続く。
ボートの壊れ方や、主人公が船酔いで吐くシーン、水を失う原因などが、偶発的ではなくどれもリアルである。
だから、主人公が途中まで生きるべくためにいろいろと手を打つが、自然の猛威の前に人間の能力がちっぽけである事を思い知らされる部分に、深く共感する。

ただヨット内と救命ボートと合わせて、映画の1/3近くが嵐のシーンのため途中やや飽きがくる。
ワンテーマで押し切るには、100分という時間はちょっと長すぎたかもしれない。
嵐のシーンをあと5分程度縮めたら、もっと一般ウケしたんじゃないかとも思う。


46.オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~


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昨日、日本アカデミー賞が発表された。

結果は脚本賞を含む主要7部門で、「舟を編む」が4冠を獲った。

で、1月に私が行った予想は以下の通り。

★日本アカデミー賞オレ的予想~2014年
http://ksato.exblog.jp/19353684/


●作品賞(対抗的中)
 凶悪
 少年H
 そして父になる
 東京家族
○舟を編む
◎利休にたずねよ

●アニメ作品賞(本命的中)
 かぐや姫の物語
◎風立ちぬ
 キャプテンハーロック
 劇場版魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語
 ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE

●監督賞(対抗的中)
○石井裕也(舟を編む)
◎是枝裕和(そして父になる)
 白石和彌(凶悪)
 三谷幸喜(清須会議)
 山田洋次(東京家族)

●脚本賞
 是枝裕和(そして父になる)
○高橋 泉/白石和彌(凶悪)
◎三谷幸喜(清須会議)
 山田洋次/平松恵美子(東京家族)
 渡辺謙作(舟を編む)

●主演男優賞(対抗的中)
◎市川海老蔵(利休にたずねよ)
 橋爪 功(東京家族)
 福山雅治(そして父になる)
○松田龍平(舟を編む)
 渡辺 謙(許されざる者)

●主演女優賞(本命的中)
 上戸 彩(武士の献立)
 尾野真千子(そして父になる)
◎真木よう子(さよなら渓谷)
○宮﨑あおい(舟を編む)
 吉行和子(東京家族)

●助演男優賞(本命的中?)
 オダギリジョー(舟を編む)
 妻夫木 聡(東京家族)
 ピエール瀧(凶悪)
 松田龍平(探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点)
◎リリー・フランキー(凶悪)
◎リリー・フランキー(そして父になる)

●助演女優賞
 蒼井 優(東京家族)
○尾野真千子(探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点)
◎中谷美紀(利休にたずねよ)
 真木よう子(そして父になる)
 余 貴美子(武士の献立)


予想としては、本命的中が3、対抗的中が3、外れが2だ。
ちなみに、助演男優賞でリリー・フランキーが2作品で優秀賞を獲っているが、受賞としてはどちらか1作品という事になるらしい。
知らないで両方に◎を打ってしまった・・・。
それそれとして、今年は「利休にたずねよ」本線、「船を編む」対抗を基本にして予想を立てたので、まあこんなところだろう。

「船を編む」は助演女優賞では優秀賞がなかったので、アニメ作品賞を除けば最優秀賞を獲れなかったのは宮﨑あおいの主演女優賞とオダギリジョーの助演男優賞の二つとなる。
ただこの二つに関しては、受賞した真木よう子とリリー・フランキーが高い評価をされていたので仕方ないかもしれない。
宮﨑あおいとオダギリジョー、特にオダギリジョーに関しては非常にいい演技で、それ以外の優秀助演男優賞の俳優もみんないい演技だったのだが、いかんせん今回はリリー・フランキーが巧すぎた。

そして、真木よう子が主演女優賞と助演女優賞で最優秀賞をW受賞。
主演女優賞の「さよなら渓谷」が前評判が高かっただけに、助演女優賞の方は受賞がないかと思ったが、あっさりWで受賞した。
助演女優賞も、やや目立ち方が足りなかった余貴美子を除けばみんなハイレベルだったので、こっちは別の人かと思って予想したが、ちょっと穿った見方だったか。
最優秀助演女優賞が真木よう子だった瞬間に、主演女優賞は尾野真千子かな、とも思ったんだけどね。

なお「舟を編む」は主要部門以外にも、最優秀編集賞と最優秀録音賞を受賞して計6冠だった。
黒木華の新人俳優賞も含めると7冠である。
そこまでいい作品だったかな、という気がしないでもないが、後から知ったのだがこのデジタル撮影全盛時に35mmフィルムで撮影されたとの事。
そういう部分が業界人にウケたのかもしれない。
もちろん、いい作品である事には間違いないのだが。

ただ、個人的にはイチオシだった「利休にたずねよ」が、最優秀美術賞だけだったのはちょっと残念だったかな。

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クドカンの脚本、三池崇史が監督と言う事で、どれだけブッ飛んだ映画になっているかと思ったが、期待していたほどではなかった。
まあ主役がジャニーズの生田斗真である事を考えると仕方がないか。
と言うよりは、生田斗真がよくここまで頑張ったと考える方が正しいかもしれない。

正義感は強いがあまり仕事をしない警官の菊川玲二(生田斗真)は、その性格を買われて潜入捜査官(モグラ)に任命される。
便宜上警官はクビになるのだが、うまく阿湖義組に潜りこみ若頭の日浦(堤真一)と義兄弟の契りを交わす事に成功する。
その後、敵対する蜂乃巣会の猫沢(岡村隆史)との抗争を繰り返しながら、MDMAの取引現場を押さえるべく阿湖義組内の内情の調査を重ねる。
だがMDMA取引を仕切る若頭補佐の月原(山田孝之)に正体を見破られ、罠を仕掛けられてしまうのだった。

原作は「ヤングサンデー」で連載開始したが、休刊とともに「ビッグコミックスピリッツ」に移っている。
私は移動した後から読み始めた。
そもそも原作自体がシリアスとギャグのメリハリが売りなのだが、今回は原作のテイストをしっかり踏襲し、かつそれ以上の笑いも盛り込まれている。
このあたりはクドカンの手腕だろう。

三池崇史が監督なので、もうちょっと血がドバドバ飛び交うかと思っていたが、そこはやや控えめだった。
ただ、生田斗真をほぼ全裸で車の前部に縛り付け、そのまま自動洗車機の中に突っ込んでいる。
実際のところはどうかわからないが、CGを使った気配はないので生田斗真が体当たりで演技しているのではないかと思う。
また、殺陣のシーンも手堅い。
仲里依紗のお色気の使い方も絶妙である。
残虐な乱闘シーンはないが、ある意味「過激な三池流」映画と言っていいだろう。

原作を巧く取り込んでいるため、原作ファンにもきちんと楽しめる作品になっている。
ただしラストが原作とはちょっと異なるため、このまま続編を作るのは難しそうだ。
そういう部分ではやや残念にも思える。
原作もファンが多く、映画自体もきちんと作られているのだから、いつでも続編が制作できる内容にしてほしかった。


45.土竜の唄 潜入捜査官REIJI


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事前の情報では、アイゼンハワーからレーガンまで7人の大統領に仕えた、実在のホワイトハウスの執事をモデルにした作品で、執事の視線からホワイトハウスを描いた歴史物語、と聞いていた。
なので、2013年にNHKのBS1で放送された「オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史」のように、知られざるホワイトハウスの外交史を綴った作品なのかと思った。
しかし実際には外交史ではなく、アメリカ国内の問題が焦点となっている映画であった。

主人公のセシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー)は南部の農園の生まれで、幼いころに母を雇い主に凌辱され、それを咎めようとした父は撃ち殺されてしまった。
セシルを不憫に思った雇い主の祖母が、彼を農園勤務からハウスニガーにして自分の手元に置いた。
やがて成長したセシルは、農園に居れば必ず雇い主に殺されると考え、農園を抜け出して街に出る。
しかし仕事も食べ物もなく、ショウウィンドウをぶち破って盗みを働いたところで小さなホテルのボーイとして拾われた。
そこで彼は先輩のホテル付ハウスニガーから、執事としての仕事を教え込まれる。
やがて先輩の推薦を受け彼はワシントンのホテルに勤務する事になるのだが、そこでも仕事ぶりを評価されついにホワイトハウスの執事として勤務する事になった。

学校にも通っていないセシルは実力だけでかなりの地位を掴んだ。
結婚もして二人の男の子にも恵まれ、家族を守るために一生懸命仕事に励んだ。
しかしその結果、妻はキッチンドランカーとなってしまう。
また長男は、ちょうど全米に広まり始めていた黒人の民権運動に傾倒し始め、父の仕事を軽蔑し、家に寄り付かなくなってしまう。

アメリカが抱えた人権問題を軸に、ベトナム戦争など冷戦時のアメリカ国内の政治的な問題、そして当時のアメリカにおける平凡的な家族の問題を、鋭い視点で描き出している。
第二次世界大戦中のナチスのユダヤ迫害を徹底的に糾弾したアメリカだが、実はその後の自国内の民権運動すら統治できていないというセリフが象徴的だった。

家族のために一生懸命働いたのにその家族が崩壊してしまう。
しかしそれでもセシルは家族とホワイトハウスのために尽力し、夫婦、親子の絆を取り戻す。
常に実直に、そして不器用に働くセシルの姿には、こちらが涙してしまいそうだった。

フォレスト・ウィテカーのセシルも良かったが、彼の家族の演技も素晴らしかった。
また、歴代大統領も雰囲気が出ていた。
特にジョン・キューザックのニクソンが個人的には好きだ。

得てして黒人差別の映画だと背景が日本人にはわかりづらい場合も多いのだが、この映画に関して言えば最初から最後まで楽しむ事ができた。


44.大統領の執事の涙


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