2017年 12月 07日 ( 1 )

私にしては珍しく、原作を読んでいる。
だが、ラストでそれまでの雰囲気をすべてひっくり返してしまっているので、個人的には評価をしていなかった。
映画化されてもどうかなと思っていたが、監督が板尾創路と言うことで観に行くことにした。

熱海の花火大会の営業で、スパークスは暴走族の客にいじられてダダ滑りをしてしまう。
その後に出たあほんだらは「お前らの仇を取ってやる」と言って滅茶苦茶なネタを披露し、主催者からひどく怒られてしまう。
営業が終わった後、あほんだらの神谷(桐谷健太)はスパークスの徳永(菅田将暉)を誘って飲みに行き、そこから二人の関係が始まる。
徳永は、独特だが真摯に笑いに向き合っている神谷に感銘を受け、弟子入りを志願する。
神谷はそれを簡単に受け入れるが、スパークスが東京、あほんだらが大阪の事務所に所属していたこともあり、2年間は携帯メールのやり取りだけでほとんど会うこともなかった。

だが2年後、大阪での活動に行き詰ったあほんだらが、東京に来ることになった。
神谷は真樹(木村文乃)の部屋に転がり込み、一緒に暮らしていた。
徳永はたびたびこの部屋で鍋をご馳走になるなど、神谷との仲をどんどん深めていた。
しかしスパークス、あほんだらともなかなか日の目を見ることができない。
売れるのはネタではなくキャラを前面に押し出した芸人ばかりであった。
それでも神谷は笑いの研究を続け、徳永もそれに従う。
そしてスパークスは、テレビ番組に出演するなど忙しくなるときもあった。
だがそれも一時的な現象で、やがて後輩たちにその座を取って代わられるようになってしまった。
ある日相棒の山下(川谷修士)が徳永に、スパークス解散を持ちかける。
同じ時期、神谷は借金がかさみ二進も三進もいかない状態になっていた。

基本的には原作に忠実な仕上がりとなっている。
ただ、冒頭の部分で昼間の熱海の海岸を入れたり、ラストシーンを少し変えるなど、板尾流の変化が加えられていた。
そしてその部分が、うまく機能していた。

最初は徳永が飼い主を追いかける子犬のように神谷を崇拝し、やがてスパークスがやや売れ始めた時にでも神谷は自分を変えようとせず、それを見た徳永が、自分たちの芸が本当に正しいのか、あるいは神谷も売れる事を考えた方がいいのではないかと、いろいろと迷い始める。
途中まで、この徳永と神谷のヒリヒリした距離感がなんとも言えず面白いのだが、原作では最後に神谷がとんでもないことをして、小説の雰囲気をすべてぶち壊してしまう。
なぜ原作者の又吉はあのラストにしたのか、そしてよくあのラストで芥川賞を受賞できたものだと、不思議に思った。

映画のラストは、その神谷のぶち壊しも取り入れられている。
しかしラストのラストは原作と異なりそこにフィーチャリングせず、やや捻ったエンディングにしている。
個人的にはこの方が雰囲気が残ってよかったと思う。

主演の菅田将暉と桐谷健太も徳永と神谷に合っており、映画としてはそれほど悪くないだろう。
エンドロールに流れた二人が歌う「浅草キッド」も、うまい演出だった。


137.火花


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