2017年 11月 04日 ( 1 )

バリー・シールという人の事はまったく知らなかったが、実話を元にしたストーリーだそうだ。
サブタイトルの「アメリカをはめた男」から、詐欺師的な話を想像していたが、実際にはまったく異なりいろいろなリスクを冒したパイロットの話であった。

1970年代、TWAのパイロットだったバリー・シール(トム・クルーズ)は、パイロットの特権を利用して密かに葉巻の密輸の手伝いをしていた。
それをキャッチしたCIAは、バリーの腕を見込んで引き抜き、当時アメリカの裏庭と言われていた中南米の、共産勢力の拠点の空中撮影を行わせた。
バリーはCIAの期待通りの仕事をして、数年後にはパナマのノリエガ将軍との仲介役を任されるようになった。
そこからバリーは、中南米を自由に飛行するようになり、かつ麻薬を密輸する組織ともつながるようになる。
だがさすがにその仕事はリスクが大きく、バリーはコロンビアで投獄されてしまった。
CIAはこのことを快く思わなかったが、バリーの利用価値を評価して黙認、ただし目立たないように田舎に巨大な飛行場を与え、そこを拠点に行動させた。
バリーが麻薬取締局(DEA)や空軍など、他の組織に逮捕されないようにしたのだ。

その後もバリーはCIAから、ニカラグアのコントラに武器を支援する仕事を任される。
しかし実際にバリーが現地に飛んでみると、コントラは武器を欲していなかった。
その武器はコロンビアのメデジン・カルテルのもとに流れ、メデジン・カルテルからコントラまでは麻薬が流れていた。
バリーはそれらの輸送をすべて請け負った。
そのため一人では仕事を回すことができなくなり、新たに4人のパイロットを雇ってチームを編成をした。
その結果、バリーたちにバンバン仕事が舞い込み、バリーは考えられないほどの大金持ちとなった。

だがあまりにも派手に行動したため、FBIが異変に感づきだした。
さらに、バリーの妻の弟がおかしな行動をするため、良好な関係だった州警察にも睨まれるようになる。
さすがに危険だと感じたCIAはバリーを見捨て、バリーは逮捕されてしまう。
しかし今度は、ホワイトハウスがバリーの仕事に注目した。
コントラではなくニカラグアの左派勢力もまた、麻薬の密輸に関与していることをバリーが知っていたため、バリーにその証拠映像を押さえるように言ったのだ。
バリーは司法取引で釈放され、麻薬密輸の映像を撮影しにニカラグアに飛んだ。

冒頭にも書いたが、バリーはかなり派手に行動しているものの、それらはすべてCIAに黙認されたものであり、「アメリカをはめた」という訳ではない。
むしろいいように使われていた感もある。
その結果、バリーもかなりの富を得るのだが、途中からはもう引き返せない状態になってしまう。
バリー自身が相当な野心家のようで、そろそろ手を引くか、と彼が考えるシーンはまったくなかったのだが、ここまでどっぷり麻薬組織とつながってしまうと、おそらくもう手を引くことはできなかったのだろう。
途中までは大金に囲まれるバリーがうらやましく思えたが、田舎に住むバリーが異常な預金を持っていることにFBIが気づいたあたりから、彼の人生には未来がない事が見えてしまった。

際限なく突き進むバリーの生き方は、映画として観る分には爽快で面白いのだが、これが事実に基づいていると知ると、ちょっと背筋に寒いものを覚えた。



123.バリー・シール/アメリカをはめた男


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