2017年 11月 02日 ( 1 )

名作の続編の割には、アメリカでも日本でも評判はあまりよくない。
そして私が観た感想も「うーん、こんなものなのかな」であった。

前作から30年後の2049年、たびたびレプリカンとが反乱を起こすことが原因で、タイレル社は倒産していた。
そのタイレル社の資産を買い取ったのが、ウォレス社だ。
ウォレス社は、狂った生態系が原因で起きていた食糧難を劇的に解決し、躍進していた。
ウォレス社によって改良開発された新型レプリカントは寿命が設定されており、人間に反乱を起こすことはなかった。
そして一部の新型レプリカントはブレードランナーとなり、旧型レプリカント解任の任務を負っていた。

新型レプリカントのK(ライアン・ゴズリング)も、ブレードランナーの一人だった。
ある日郊外の農場で一人の旧型レプリカントを解任するが、その農場の大木の根元に箱が埋まっている事を発見する。
ロス市警がその箱を調べると、中に旧型レプリカントの女性の遺骨が入っていた。
遺骨は綺麗にクリーニングされた状態で格納されており、意志を持って埋葬されたことがわかる。
そしてさらに細かく検査をすると、そのレプリカントが帝王切開中の合併症で死亡したことがわかった。
レプリカントが妊娠することは物理的にあり得る訳がなく、Kの上司のジョシは事実の隠ぺいを図ろうとする。
ジョシの命令で、Kはレプリカントから生まれた子供を含めて、記録をすべて消去することになった。

Kはまず、ウォレス社に出向き骨からレプリカントの記録を調べる。
かつての「大停電」でそれ以前の記録はほとんどが消滅していたが、骨がレイチェルという名のレプリカントであったことを突き止める。
一方、ウォレス社の社長ネアンダルは、レプリカントによる生殖を実現し、さらなる事業の拡大を目論んでいた。
そしてKがかつて出産したレイチェルを追っていることを知り、秘書のラヴにレイチェルの骨を盗ませ、その子供も連れてくるように命ずる。

Kは、レイチェルの骨が埋まっていた場所に戻り、そこで解任したレプリカントが持っていた小さな木馬を発見する。
その木馬はKの記憶にも残っていて、Kは自分の記憶がレイチェルの子供とリンクしていることに気付く。
Kは自分が生まれた後に誰かの記憶を植え付けられたものだと思っていたのだが、Kと一緒に行動していたホログラムのジョイは、Kがレプリカントではなく本当の人間である証拠だと言う。
Kはさらにレイチェルの子供について調べるが、レイチェルは男女の双子を出産し、二人は孤児院に預けられたが、女児は難病で死亡していたことを知る。
記憶デザイナーのアナ・ステリン博士によると、レプリカントに実在した人間の記憶を埋め込むことは違法であると知り、Kは自分がレイチェルの子供ではないかと迷いはじめた。

そんな中、Kは市警の行動テストで不合格となり、停職処分になる。
そして木馬の放射線量をチェックし、木馬がかつてラスベガスにあったことを突き止めた。
Kはジョイとともに廃墟となったラスベガスに向かうのだが、そこにいたのはかつてレイチェルと逃亡したデッカード(ハリソン・フォード)であった。

ストーリー構成は、いたって簡単だ。
前作のラストでデッカードと逃げたレイチェルが本当に出産したのか、そしてKは彼女の子供なのか、がメインテーマである。
そこに、もしレプリカントの出産が事実であっても公にはしたくないロス市警と、レプリカントに生殖能力を持たせてさらに事業を拡大したいウォレス社の思惑が絡んでくる。
Kはレプリカントであるため、上司のジョシの命令を拒否することはできないのだが、命令よりも自分の生い立ちを確認したいという欲求の方がつよくなり、事実を突き止めようとする。

シンプルなストーリーのうえに、重厚な世界観が乗っかってくる。
時代が進んだため市街地は前作よりかなり整理されている感があるが、混とんとした部分も絶妙に残されている。
さらに市街地以外、特にラスベガスの荒廃っぷりの表現は見事だ。
劇場での格闘シーンでは、かつてラスベガスを支えた3Dホログラムショーと思われる、プレスリーやマリリン・モンローなどが映し出される。

ただ、このシンプルなストーリーと重厚な世界観のバランスが悪い。
美しい映像の状況描写やセリフの間などで世界観を作り上げているため、テンポはあまりよくない。
上映時間も2時間48分である。
観客は制作者のもくろみ通り、上映時間中に映画の世界に引きずり込まれるのだが、あまりにもストーリーがシンプルすぎるため、観終わったあとに肩透かしをくらったような気になってしまう。
個人的には「えっ、これで終わるんだ」というのが正直な感想だ。

少々ネタバレになってしまうが、ラストシーンでもう少しKの生い立ちについて、K自身が激しく悲哀をあらわす結末にした方がいいような気もした。
完全な人間ではないKが激しい感情を表現するのは整合性が取れないかもしれないが、映画としてのメリハリを考えると、ラストをもう少し強調すべきだったんではないかと思った。



121.ブレードランナー 2049


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