2017年 10月 14日 ( 1 )

原作は講談社の「good!アフタヌーン」に連載の人気作品だ。
監督は「踊る」シリーズの本広克行、役者陣も豪華な顔ぶれなので期待して観に行ったが、正直イマイチな感じだった。

死んでも生き返る亜人がアフリカで見つかってから、各国は亜人の研究を行うようになっていた。
日本ではこれまで2体が確認されていたが、研修医の永井圭(佐藤健)が交通事故死直後に蘇生したことで、3体目として確認された。
研究所に収容された永井は、過酷な人体実験を受けていた。
手足を切り取られた後「リセット」と称して絶命させられ、何度も生き返る。
亜人は死んでも生き返るものの、その時の痛みは常人と同様なので、地獄の苦しみを味わい続けていた。

そんな永井を救い出そうとしたのが佐藤(綾野剛)だ。
佐藤は日本で確認された最初の亜人で、佐藤自身も長い間人体実験を受けていた。
そして研究所を脱出した後、数年前に自分同様に人体実験を受けていた2体目の田中(城田優)を研究所から救出している。
今回も田中とともに永井を救い出しに来たのだ。

しかし永井は、長期間の人体実験により人を殺すことをなんとも思わなくなっていた佐藤に違和感を感じる。
救助される途中で永井を射撃し、生き残っていた警備員とともに脱出しようとした。
怒った佐藤は警備員もろとも永井を襲う。
警備員を助けることはできなかったが、永井はなんとか逃げ延びて山村に逃げ込んだ。

佐藤と田中は、今度は入院中の永井の妹の慧理子(浜辺美波)に狙いをつけた。
亜人管理委員会のトップ戸崎(玉山鉄二)は、永井と佐藤たちがともに行動していると思い、自分のボディガードの下村(川栄李奈)を慧理子に張り付かせることにした。
するとそこに田中が現れ、自分の分身を使って下村を襲撃する。
だが下村も亜人で、そこで分身同士の戦いが始まった。
騒ぎが大きくなったところで田中は身を引き、慧理子は一命を取り留める。
その後永井がひそかに病院に訪れ、自分が身を寄せていた山村の家に慧理子も連れ帰った。

佐藤と田中は、これまで厚生労働省が亜人に対して行っていた残虐な人体実験をネットで公開する。
当初世論は亜人擁護に動きかけたが、佐藤が日本に対して厚生労働省の解体を要求し、さらに厚生労働省のビルを破壊するという暴挙に出た。
亜人撃退に駆け付けたSAT30人を佐藤と田中は二人で殲滅、さらに日本に対し、東京を亜人自治区として開放するように要求した。
要求に応じない場合は、亜人を使って開発した毒ガスを散布すると宣言した佐藤を見て、世論も亜人がテロリストであると考え、政府は亜人対策部隊を編成することにした。

このニュースを見た永井は、佐藤を止めることができるのは自分しかいないと考える。
そして戸崎とコンタクトを取り、毒ガスを奪いに来た佐藤たちを捕獲しようと画策する。

原作と映画はかなり詳細が異なるようだが、映画を見た限りではかなり設定に破綻が生じている。
まず、亜人の生み出す「幽霊」と呼ばれる分身についてだ。
この分身は、JoJo」のスタンドに近いイメージである。
原作では、分身を生み出せるのは一部の亜人だけで、しかも1回に数十分だけ、回数も1日に2、3回が限度となっているらしい。
映画ではそれらの説明がほとんどない。
説明に近いのは、佐藤の「幽霊を連続で出せるのか」というセリフだけである。
そのため冒頭の永井救出の時から、佐藤と田中が銃器を持っている意味がわからない。
分身を使えば銃器など使わずに、簡単に永井を救出することができたはずだ。

そして一番意味がわからなくなってしまっているのが、亜人同士の戦いである。
亜人は絶命しても数秒で蘇生するので、銃器で撃たれても、ナイフで切り裂かれてもあまり意味がない。
亜人を沈黙させる唯一の方法は、強力な麻酔剤で眠らせる事だけだ。
亜人同士の戦闘シーンは何度もあるのだが、その際、麻酔剤を使っているのは政府側の永井と下村だけで、佐藤と田中は普通に殺傷しようとしている。
何度殺しても蘇生してしまうのだから、これでは戦いに決着がつかない。
佐藤と田中が、永井と下村を仲間にするために生け捕りしようとしているわけでもないので、戦闘シーンに迫力があっても「これってどう決着するの?」という疑問がわいてしまい、観ていて非常に違和感を感じた。

この設定以外についても若干矛盾点はあったが、全体を通してはまずまずのストーリーだったと思う。
人間に復讐するために常軌を大きく逸脱した佐藤や、佐藤にやや違和感を感じながら亜人として生きるには佐藤に従うしかないと割り切っている田中、そして過酷な人体実験を受けてもやはり人間を殺すことはできないと考える永井、この3人の心情がよく描かれている。
永井を医師の研修生という設定にしたのも、地味に説得感を増している。

それだけに、亜人という物語の軸となる設定について、もう少し詰めてほしかったと思った。


115.亜人



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